海外不動産投資では対象となる国が多数あります。
選択肢が多い為、どの国やエリアへ投資を行えばよいか悩まれる方も多いことでしょう。
投資先の国によっても特徴や情勢が異なりますので、投資目的に沿った国の選定が必要になります。
様々な要素をチェックして投資の成功確率を上げていただく為に、今回は海外不動産投資で着目したいポイントをランキング形式でご紹介したいと思います。
自身の投資目的にマッチした国を把握し、投資を検討していきましょう。
1. 都市部の表面利回りランキング
まずは、世界各国の都市部の表面利回りのランキングを確認してみましょう。
■1位:ナイジェリア
都市部の表面利回り:34.35%
■2位:ガーナ
都市部の表面利回り:12.99%
■3位:UAE(アラブ首長国連邦)
都市部の表面利回り:12.07%
■4位:南アフリカ
都市部の表面利回り:10.86%
■5位:ベネズエラ
都市部の表面利回り:8.52%
■6位:バーレーン
都市部の表面利回り:8.47%
■7位:パナマ
都市部の表面利回り:8.07%
■8位:アメリカ
都市部の表面利回り:7.99%
■9位:カタール
都市部の表面利回り:7.97%
■10位:パレスチナ
都市部の表面利回り:7.71%
※出典元:Numbeo(Property Prices-Gross Rental Yield City Centre )
上記ランキングに関しては、「Numbeo」から抜粋しています。
「Numbeo」は世界各地の物価や交通などあらゆる生活に関する指標をまとめたデータベースです。
2022年のデータを確認すると、人口が増加している国がランキングに並んでいる傾向があります。
景気の向上と関連しているかは検討が必要ですが、人口の増加が不動産の利回りに影響している可能性があるでしょう。
新興国が多い理由としては、人口の増加率ももちろんですが、物件価格が安い点も考えられます。
アメリカやUAEなど、物価の高い先進国でも高い表面利回りで推移していることがわかりますので、投資先の選定要素として期待が持てるデータとなります。
カントリーリスクとの比較検討は必要ですが、ランキング上位国は期待値も高くなりますので、抑えておきましょう。
2. 人口密度ランキング
次に、人口密度のランキングを確認してみましょう。
■1位:モナコ
人/平方キロメートル:19,150
■2位:シンガポール
人/平方キロメートル:7,867
■3位:バーレーン
人/平方キロメートル:1,906
■4位:モルディブ
人/平方キロメートル:1,780
■5位:マルタ
人/平方キロメートル:1,565
■6位:バングラディシュ
人/平方キロメートル:1,122
■7位:モーリシャス
人/平方キロメートル:640
■8位:サンマリノ
人/平方キロメートル:566
■9位:大韓民国
人/平方キロメートル:512
■10位:ルワンダ
人/平方キロメートル:470
※出典元:総務省統計局「世界の統計」2021
上記ランキングは、総務省の統計局のデータから引用したものになります。
人口密度は、賃貸需要などに大きく影響があります。人口密度が高い国では住居の需要が高まりますので、空室リスクの軽減になります。
国全体の面積が小さい国もランクインしていますが、このランキングの中には成長著しい新興国も見られます。
新興国では、特に都市部の開発が急速に進んでいるケースも多く、投資対象となるエリアの賃貸需要の予測に人口密度を参照してもよいでしょう。
ただし、人口密度が高くても国全体の経済リスクの影響はどうしても受けてしまいます。空室のリスクが少なくても、物件価格が下がってしまったり、為替の影響を受けて収益が出なくなったりというパターンも考えられますので、あくまで参考の指標にしましょう。
3. GDP成長率ランキング
GDP成長率は、その国の経済成長率の指標となる為、市場全体の発展や将来性の予測の指標として捉えることができます。トップ10を確認しましょう。
■1位:リビア
前年比:177.260%
■2位:モルディブ
前年比:33.416%
■3位:ガイアナ
前年比:19.228%
■4位:マカオ
前年比:17.990%
■5位:パナマ
前年比:15.336%
■6位:モルドバ
前年比:13.945%
■7位:アイルランド
前年比:13.479%
■8位:ペルー
前年比:13.297%
■9位:ボツワナ
前年比:12.515%
■10位:ホンジュラス
前年比:12.550%
※出典元:IMF WORLD ECONOMIC OUTLOOK DATABASES
ご覧の通り、マイナス成長の日本と比較すると考えられないような高い水準で経済成長をしている国が並びます。
しかし、不動産投資の観点から考えると、アフリカや中南米など投資対象国として馴染みが少なく、カントリーリスクに不安な国のランクインも見られます。
よって、今回は馴染みの深いASEAN諸国のGDP成長率の最新ランキングも確認しておきましょう。
■1位:シンガポール
前年比:7.614%
■2位:フィリピン
前年比:5.598%
■3位:インドネシア
前年比:3.691%
■4位:マレーシア
前年比:3.133%
■5位:ベトナム
前年比:2.576%
■6位:カンボジア
前年比:2.151%
■7位:ラオス
前年比:2.061%
■8位:タイ
前年比:1.566%
■9位:ブルネイ
前年比:-0.676%
■10位:ミャンマー
前年比:-17.938%
※出典元:IMF WORLD ECONOMIC OUTLOOK DATABASES
ランキングのように、シンガポールやベトナムなどGDP成長率も高い国では、不動産の賃貸需要や物件価格も上昇している傾向にあります。
不動産投資の対象国として将来性も加味する必要がありますが、現在の成長率を確認することで物件価格の推移を予測することができます。
ランキングから推測すると、ASEAN諸国は経済成長率も好調なトレンドにあり、投資対象国としても人気なのがわかります。
ただし、前年比データの為、直近の経済事象の影響を受けてしまっている可能性があります。実際に投資を検討する場合には、GDP成長率の背景まで確認する必要がありますので注意しましょう。
4. 年齢中央値(若さ)ランキング
年齢中央値は、今後の生産年齢人口の予測、すなわち今後の賃貸需要の予測に生かすことができる指標となります。
■1位:エチオピア
2022年年齢中央値:20.2歳
■2位:エジプト
2022年年齢中央値:23.6歳
■3位:ペルー
2022年年齢中央値:25.6歳
■4位:フィリピン
2022年年齢中央値:25.7歳
■5位:インド
2022年年齢中央値:26.6歳
■6位:南アフリカ
2021年年齢中央値:27.9歳
■7位:メキシコ
2021年年齢中央値:30.0歳
■8位:インドネシア
2021年年齢中央値:30.7歳
■9位:サウジアラビア
2021年年齢中央値:30.8歳
■10位:コロンビア
2021年年齢中央値:30.9歳
※出典元:国立社会保障・人口問題研究所
こちらは、国立社会保障・人口問題研究所の主要国データを参照にランキングをご紹介しております。
フィリピンやインドネシアはASEAN諸国のGDP経済成長率でもランクインしている為、高い経済成長を見せながらも、今後の更なる発展も期待できる国であることが推測できます。
生産年齢人口の伸び率は不動産需要に大きく影響しますので、今後も着目していくことが重要です。
5. 海外不動産投資でおすすめしたい国ランキングトップ5
ここまで、4つの指標を元にランキングをご紹介しました。
最後に各出典元データを参照に、海外不動産投資におすすめしたい国をまとめます。
■1位:フィリピン
フィリピンは、高い経済成長率を誇りながらも、年齢中央値が若い国としてランクインしています。つまり、経済が発展しているエビデンスを持ちながらも、今後のさらなる成長を見込めるエリアとなっています。
不動産投資は長期的な視点で価格の推移や物件の需要を予測していく必要がありますが、フィリピンの各データは期待できる要素が多く、投資対象国としておすすめです。
■2位:インドネシア
インドネシアもフィリピンと同様に、若い年齢中央値と高いGDP成長率が見られる国であり、投資対象国としておすすめです。
インドネシアは親日国としても知られ、言語や文化などのハードルも周辺国と比較して馴染みやすい国です。
また、外国人の不動産所有も認められている為、問題なく不動産投資を行うことができます。
■3位:シンガポール
シンガポールはASEAN諸国の中でもGDP成長率の前年対比が1位を誇り、人口密度ランキングも第2位です。世界でも有数のグローバル都市としても発展しており、不動産も高い物件需要が見込まれます。
一方で、既に大きく発展している為、物件価格が高騰している点が気になります。
治安も良く富裕層に人気のエリアですが、高額な初期費用が気になる場合や、今後の高い将来性を加味した投資を検討する場合は、他のエリアを検討する方が良いでしょう。
■4位:アメリカ
世界第1位の経済大国であるアメリカも、投資対象国として検討できる国です。
既に大きく発展している国である為、新興国と比較すると人口の増加率や経済成長率は劣るように見えます。しかし、高い母数を持ちながらも経済成長率も高い水準で推移しており、人口も増加しています。不動産の需要も高く、表面利回りランキングではトップ10にランクインしていました。
先進国でありながら将来性にも期待できる点が不動産投資におすすめの理由です。
■5位:ベトナム
他のASEAN諸国に引けを取らない経済成長を見せているベトナムですが、年齢中央値も32.3歳と第14位の若さを誇ります。よって、さらなる成長、需要の増加を期待できる国となるためおすすめできる国の一つです。
社会主義国家であるため、規制や法の改正などが気になりますので、常に最新の情報を収集する必要があります。
6. まとめ
今回は、不動産投資の観点から、世界各国の指標をランキング形式で確認しました。
あくまで、ランキングである為、このデータを妄信するだけではいけません。
実際に投資を検討する際には、この数字の背景や社会情勢を調べることで、より期待値の高い投資を行うことができます。
ランキングは流動的に変化する場合もありますので、調べる習慣をつけておきましょう。
荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社
代表取締役 / 宅地建物取引士 / 宅地建物取引業 東京都知事免許(2)第99967号
所属団体:一般社団法人RE AGENT 理事長 / 一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC) / 公益社団法人全日本不動産協会
1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。
著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
はじめての海外不動産投資