海外不動産投資の融資はどこで受ければいい?実態や金融機関をご紹介

執筆者:荒木 杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

不動産投資のメリットとして、融資を活用して自己資本を効率的に運用できる点。いわゆるレバレッジを効かせた投資ができる点が考えられます。

少子高齢化が進行し、将来性に不安のある日本から、海外の不動産投資に目を向けられる方も増えてきています。

では、海外の不動産への投資を検討する場合、融資が受けられるのでしょうか。受ける際はどのように融資を受ければよいのでしょうか。今回は海外不動産投資において、融資を検討する際のポイントを解説します。海外不動産投資で融資を検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。

 1. 海外不動産投資の資金調達方法は? 

海外不動産投資にあたって、資金をどのように調達すればよいのでしょうか?
主な手段としては、国内の不動産投資と同様以下の2点が考えられます。

 (1) 現金で購入する 
当たり前ですが、現金をお持ちの方は海外不動産を最も簡単に物件を取得することができます。
新興国などでは日本と比較しても安い価格で物件を取得できるエリアがありますので、現金での購入も場合によっては検討できるでしょう。

ただし、物件価格の他に、税金などの諸経費をかかるケースがほとんどであるため、余裕の資金を持つ必要があります

 (2) 不動産ローンを利用する 
海外不動産投資においても不動産用のローンを利用できる場合があります。
不動産投資では、投資効率の観点から考えても、融資を受け物件を取得し運用していくことが王道です。

しかし、海外不動産投資では融資に関する情報や段取りも国内の不動産情報と比較して少ない事から、不安に思われる方も多い事でしょう。
第2章から、海外不動産投資の融資事情について詳しく解説します。

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 2. 海外不動産投資における融資事情 

結論からお伝えしますと、海外不動産投資に対する融資は、国内の不動産投資に対する融資と比較してハードルが上がります。
何故なら、国内への投資とは異なる様々な注意点があるからです。

 (1) 海外不動産投資の融資には高い壁がある 
前提として、融資を受ける方法はありますが、困難であることを理解しましょう。

外国人の方が国内の銀行からローンを受けにくいのと同様、私たちが海外の不動産を取得するにあたっても高い壁が存在します。
融資を受ける先としては、以下の2つが考えられます。

・国内の金融機関から融資を受ける
・現地の金融機関から融資を受ける

国内の金融機関においては、所有している不動産を担保に入れなければならなかったり、通常の融資よりも高い自己資本比率を求められる場合が多いです。

また、現地の金融機関から融資を受ける方法もありますが、言語の違いもありコミュニケーションに苦戦することが予測できる点や、文化の違い、求められる書類なども異なる場合があります。

現在日本国内では、超低金利な状況が続いています。海外の金融機関で融資を組むとなると、基本的に金利は高くなる場合が多いですので、投資の利回りにも影響が出てきます。

 (2) 為替リスクに注意する 
海外不動産投資において頭に入れておきたいのが、為替リスクです。

海外の不動産に投資を行う場合は通貨の価値が変動するリスクを含んでいます。国内の不動産を運用する場合は、円で投資し、円で回収できますが、海外の不動産に投資を行う場合は基本的に現地の通貨で取引を行うことになるからです。

例えば、「円高」の場合は、海外の物件を安く取得できるチャンスでもありますが、物件取得時より「円高」が進行してしまうと、物件価格が現地通貨で上昇したとしても、収益性が見込めなくなります

逆に、「円安」の場合は、そもそも物件取得時の価格が高くなってしまい、手が出しにくくなります。投資を検討し始めてから、いざ物件を取得の段階に進んだ時に、過剰に円安が進行してしまうと、融資の枠組みを超えてしまうリスクすらあります。

この点は、非常に注意すべきポイントとなります。

 (3) 法的なリスク 
法的なリスクに関しても注意しなければなりません。
二国間租税条約の締結があれば、二重課税を防止する為に所得税から一定額の控除があります。

しかしながら、物件の所在国と日本双方に確定申告が必要な場合や、納税を求められる場合も出てきます。その際には、各国税率が異なりますので、その点も把握しなければなりません。

また、国によっては海外への送金の規制があります。物件を取得し収益を得たとしても日本へ送金できない。というような事態にならないよう、投資を検討する際には、その国の法律についても学ぶ必要があるのです。

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 3. 融資が可能な金融機関 

ここまで、海外不動産投資の融資において注意すべきポイントを解説しましたが、実際に融資を受けることができる金融機関をご紹介します。

 (1) 国内の銀行で融資を受ける場合 
まずは、日本で融資を行なっている金融機関をご紹介します。

 ① オリックス銀行「不動産担保ローン」 
国内に所有している不動産を担保にしたローンです。所有物件の所在地に縛りはありますが、投資先の国の制限がありません。

-【借入金額】
1,000万円以上、2億円以下

-【借入期間】
1年以上35年以下

-【借入金利】
・3年固定特約型:3.300%/年
・5年固定特約型:3.500%/年
・変動金利型:年固定特約型:3.675%/年

※出典元:オリックス銀行ホームページ

 ② SBJ銀行「海外不動産(ハワイ州ホノルル)購入ローン」 
ハワイ・ホノルル南部での物件購入に使用できるローンです。購入する不動産を担保としたローンを組むことができます。支払い金利が比較的低いです。

-【借入金額】
1,000万円以上、2億円以内(10万円単位)(お借入通貨円建て)

-【借入期間】
1年以上35年以内(保証会社の保証期間内)

-【借入金利】
年2.80%(変動金利・保証料含む)

※出典元:SBJ銀行ホームページ

 ③ 香川銀行「有担保フリーローン 海外投資用不動産」 
カリフォルニアの物件を対象とした海外不動産投資ローンになります。購入物件を担保に融資を受けることができます。最長5年の元金据え置きにも対応しています。

-【借入金額】
1案件あたり100万円以上、3億円以内(10万円単位、円建て)

-【借入期間】
1年以上35年以内(5年元金据え置き期間含める)

-【借入金利】
変動金利 年2.80%(当初5年固定金利特約条件付)
※保証料を含みます。
※基準金利は、毎年4月1日は10月1日に見直されます。

※出典元:株式会社日本保証ホームページ

 ④ 日本政策金融公庫「海外展開・事業用再編資金」 
政府系の日本政策金融公庫も海外不動産投資のローンがあります。ただし、事業投資に対するローンですので、物件購入目的での融資は受けることができません。融資が実現すれば低金利のローンを組むことができます。

-【借入金額】
7,200万円以内(うち運転資金4,800万円)

-【借入期間】
・設備資金 20年以内(うち据置期間2年以内)
・運転資金 7年以内(うち据置期間2年以内)

ただし、海外企業への転貸資金であって、進出国の資本規制により事業者が転貸資金を長期間にわたり回収できない場合その他真にやむを得ない事情がある場合に限り、以下のご返済期間が適用されます。

・設備資金 20年以内(うち据置期間5年以内)
・運転資金 10年以内(うち据置期間5年以内)

-【借入金利】
0.46〜2.9%(担保の有無、状況、条件などにより異なります)

※出典元:日本政策金融公庫ホームページ

ご覧の通り、国内の金融機関でも利用できるローンはありますが、

・不動産物件の担保が必要
・投資先エリアが限定されている
・金利が比較的高め(国内と比較して)

このような条件が設けられています。逆に物件をすでに保有しており、担保に入れることができる。投資目的と、投資先エリアの属性がマッチしているという方は積極的に利用を考えられても良いでしょう。

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 (2) 現地の銀行で融資を受ける場合 
海外の銀行にも不動産取得向けのローン商品はあります。
現地の金融機関から融資を受ける場合は、その投資先の国によって状況が変わります。

外国人への融資が厳しい国ではハードルが上がるでしょうし、金利の相場も国によって異なるのが実情です。
投資目的と、エリア選定をした際に可能な限り現地の金融機関に詳しい不動産会社や投資家から情報を収集する必要があります。

現地の金融機関を利用する際には、自己判断で行動するよりも専門性の高い方・業者から情報を仕入れ検討する必要があります。

 4. ハードルは高いが利用は可能 

今回、海外不動産投資における融資事情について解説致しました。

結論、ハードルは高いものの、融資を受けることは可能です。
今回の内容から、このような方には海外不動産投資がオススメです。

・現金、キャッシュを豊富にお持ちの方
・既に物件を所有しており、2軒目、3軒目の候補として海外を考えられている方
・ある程度のリスクを許容できる方

日本と比較しても海外には高い将来性が期待できる国があります。メリット、デメリットを比較した上で、ぜひ検討してみましょう。

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荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

宅地建物取引士 / 1984年生まれ、東京都出身。
大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。
2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。

著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
   はじめての海外不動産投資