海外不動産投資でよくある詐欺事例5選!回避策も合わせて紹介

執筆者:荒木 杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

海外不動産投資は、成功すれば大きな利益を生む可能性のある、魅力的な投資先です。

しかし、日本人を狙った詐欺を目論む悪徳業者がいるのも事実であり、もし詐欺にあってしまった場合、最悪泣き寝入りをする事態になりかねません。

海外の投資用不動産を安心して購入できるように、この記事では海外不動産投資でよくある詐欺事例5選と、その回避策について徹底解説します。

海外不動産投資で詐欺が多いのは実情

海外不動産取引は、日本の国内不動産よりも情報を得るのが困難であるうえ、言語や文化の違いにより売買契約のハードルが高くなっています。

そのため、詐欺業者に当たってもなかなか気づけない状況に陥りやすいといえます。
情報や専門知識を持たない投資家を狙って、詐欺をはたらく悪質な不動産業者がいるのが、海外不動産投資の実情なのです。

海外不動産投資でよくある詐欺事例5選

海外不動産投資でよくある詐欺について、具体的な事例5つを紹介します。
それぞれの詐欺の仕組みや、見破るための対処法についても触れているので、海外不動産投資を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

(1) 架空の物件を販売する詐欺事例

実態のない架空の物件を販売する詐欺の事例を紹介します。

▪️詐欺の仕組み

実際には存在しない架空の物件や開発プロジェクトの話を紹介し、不動産を販売する詐欺です。

特に「プレビルド方式」の物件購入は慎重に検討すべきといえます。
プレビルド方式とは、建物が完成する前に不動産を購入する方法のことで、東南アジアの新興国などでは一般的な購入方法です。
プレビルド方式の収益物件を購入したが、実際には建設が行われず物件が手に入らなかったというトラブルが実際に起こっています。

▪️実際にあった詐欺事例

マレーシアで不動産詐欺グループが、実在しない投資用不動産を販売していたケースです。
架空の物件をプレビルド方式で複数人に販売し、時期が来たら「建設が中止になった」と言って逃げてしまうという詐欺事件が実際に起こりました。
購入してから最初のうちは、集めた資金から投資家へ利回りを支払うことで、詐欺だと気付かれるのを遅らせるという巧妙な手口でした。

▪️詐欺を見破る対策

架空の物件を販売する詐欺には、以下のような方法で対策することができます。

デベロッパーや不動産会社について、会社の詳細や評判を調べる
購入対象を中古物件に絞る

(2) 現況が異なる不動産を販売する詐欺事例

現況と異なる説明をして、不動産を売りつける詐欺の事例を紹介します。

▪️詐欺の仕組み

距離が遠いために、購入希望者が現況を確認しに来られないことを利用して、実際の状況とまったく違う物件情報を与えて不動産を販売する詐欺です。
その手法はさまざまで、例えば次のようなケースがあります。

入居者がつかないようなエリアの不動産を「人気エリア」と偽る
優良物件の写真を見せて、資産価値の低い別の物件を販売する
相場よりも高い物件価格で売りつけ、仲介手数料を多く取る
他人の土地に建てた違法な物件であるにも関わらず、売主を名乗る不動産業者が「自社が保有している物件」と説明し販売する

▪️実際にあった詐欺事例

カンボジアの首都プノンペンのコンドミニアムを、相場より高い価格で購入させられてしまったケースです。

とある投資家が、エージェントから「プノンペンの不動産価格は右肩上がりなので、少しでも早く買った方が良い」と急かされ、よく調べずに急いで購入しました。
しかし購入後に、その不動産の所在地がプノンペンの中でも入居率の悪いエリアだったことと、相場より高い価格で購入してしまったことを知ったそうです。

▪️詐欺を見破る対策

現況が異なる不動産を販売する詐欺には、以下のような方法で対策することができます。

直接現地に行って視察する
インターネットで人気エリアや不動産価格の相場を調査する
複数の不動産会社に話を聞き、比較する

(3) 金銭持ち逃げ詐欺事例

不動産購入のための金銭を持ち逃げする詐欺の事例を紹介します。

▪️詐欺の仕組み

不動産業者やブローカーが、投資家から預かった手付金などの費用を持ち逃げする手口です。
お金を支払った後に、電話をかけると「現在使われておりません」とアナウンスが流れて発覚するパターンもあるようです。

▪️実際にあった詐欺事例

フィリピンで不動産を購入したつもりが、購入できていなかったケースがあります。

不動産仲介会社が、デベロッパーに支払うはずの購入代金を持ち逃げしていたのです。
買主が現地で登記内容を見た際に、所有権がデベロッパーのままになっていることに気付いて発覚しました。

▪️詐欺を見破る対策

金銭持ち逃げ詐欺には、以下のような方法で対策することができます。

仲介会社がライセンス(日本でいう宅地建物取引業の免許)を持っているか確認する
支払いの振込先がデベロッパーになっているか確認する

(4) デート商法詐欺事例

恋愛感情を利用した、デート商法詐欺の事例を紹介します。

▪️詐欺の仕組み

SNSや婚活サイトなどで出会った人に、不動産投資を持ちかける詐欺行為が横行しています。

結婚を匂わせるなどして好意を持たせ、「2人の将来のために必要だから」と不動産の購入を勧めてくる手口です。
実際に不動産を購入した後は、音信不通になるパターンがほとんどです。

▪️実際にあった詐欺事例

マッチングアプリで投資詐欺に遭遇したケースです。

LINEの交換を求められ、毎日連絡を取っていたところ、恋人のようなやり取りが増えてその気になってしまいました。
「結婚後のために投資を始めよう」と持ちかけられて不動産を購入したところ、徐々に連絡が減っていき、最終的には音信不通になってしまったそうです。

▪️詐欺を見破る対策

デート商法詐欺には、以下のような方法で対策することができます。

結婚前に金銭の絡む話をしてくる人に注意する
相手に不安な言動があれば、周囲に相談する

(5) サブリース詐欺事例

サブリース契約を売りにした詐欺の事例を紹介します。

▪️詐欺の仕組み

不動産を販売した時にはサブリース契約を売りにしておきながら、途中で契約内容を反故にする手法です。
サブリース契約とは、不動産会社が一定期間物件を借り上げ、毎月決まった額の家賃を物件オーナーに支払う契約のことで、「家賃収入を保証する契約」ともいえます。

しかしサブリース契約は、日本の不動産投資でもたびたび法的トラブルになっています。
数年前には、レオパレスの「契約期間の途中で、家賃の保証金額を引き下げるようオーナーに要求し、合意しなければ契約解除」という強引な手法が大きな問題になりました。

そして海外不動産投資でも、突然家賃が振り込まれなくなるなどのトラブルが起こる場合があるのです。

▪️実際にあった詐欺事例

マレーシアで不動産購入し、サブリース業者と「5年間は利回り10%を保証する」という内容のサブリース契約を結んだ。
しかし2年後に保証利率を7%に下げられ、さらにその1年後にはサブリース業者が逃げてしまい、家賃がまったく支払われなくなってしまった

▪️詐欺を見破る対策

「利回り保証」をうたっている不動産に安易に飛び付かない
契約書類の内容や条件を十分確認した上で決断する
不動産の販売会社やサブリース業者の実績を調べる

海外不動産投資で詐欺に合わないようにするには?

海外不動産投資で安定した資産形成を行うためには、詐欺被害の回避方法を知っておく必要があります。
以下では、海外不動産投資で詐欺に合わないようにするためにするべきことを4つ解説します。

海外不動産投資について調べる

詐欺被害に合わないためには、投資は最終的には自己責任になるので、海外不動産投資について、必要な知識をつけることが非常に有効です。不動産投資会社にまかせきりにせず、該当国の基本的な情報から外国人が投資する際の投資環境、現地の慣習や不動産の法律などについて学び、万が一おかしな点があった際に気付けるようにしておきましょう。

銀行口座開設のサポート会社、不動産仲介会社でも現地に根付いていない会社が多数存在しますし、申込時はスムーズかもしれませんが、数ヶ月後、数年後に事業撤退などで問題になるケースが多く、「連絡が取れない」などで弊社にもよく相談を頂きます

実績がある信頼できる不動産会社に依頼する

現地の不動産市場に詳しく、信頼のできる不動産会社に依頼することも重要です。
デベロッパー・仲介業者・管理会社など、購入した不動産に関わる全ての業者について、どのような会社か事前にチェックしましょう。

具体的には、売買契約時までにインターネットで企業規模・実績・事務所の所在・評判などを確認します。
検索しても出てくる情報が明らかに少ない場合は、他社の不動産会社への相談や変更も検討しましょう。

高利回りなどの営業トークに注意する

不動産会社の担当者のセールストークにも注意を払いましょう。
購入を急かしてきたり、「絶対に安全」「確実に値上がりする」などと断定的な言い方をしたりする営業マンには要注意です。
また、言葉巧みな誘い文句で勧誘してくる詐欺師も多いため、魅力的なメリットのある投資話でも、即決は避けた方がよいでしょう。

必ず現地ツアーに参加する

資料を見るだけでなく、購入前に現地調査を行うことも重要です。
購入物件がまだ建設されていない場合でも、実際に現地を視察することで、その立地の周辺環境や不動産情勢など、得られる情報はたくさんあります。

購入後に後悔しないためにも、現地ツアーには参加することを強くおすすめします

まとめ

今回は、海外不動産投資でよくある詐欺事例5選と回避する方法について解説しました。

不動産投資会社の言うことを全て鵜呑みにするのは危険です。
自分自身で現地について調べたり、不動産の法律を勉強したりすることで、判断力が身につき詐欺被害にあうリスクを減らすことができます。

また、信用できる不動産業者を見つけることも、安定した不動産投資を行う上で重要なポイントです。
海外不動産投資に関する勉強や情報収集を怠らず、資産運用を成功に近づけていきましょう。

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荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

代表取締役 / 宅地建物取引士 / 宅地建物取引業 東京都知事免許(2)第99967号
所属団体:一般社団法人RE AGENT 理事長 / 一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC) / 公益社団法人全日本不動産協会
1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。
著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
   はじめての海外不動産投資