執筆者:荒木 杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

カンボジア不動産は、ドル建てで運用できて利回りが高いといったメリットから、外国人投資家からの人気が高まっています。
カンボジア不動産には富裕層から人気のハイグレード物件も多くありますが、物件そのものの良し悪しに加えて、物件の管理体制も重要です。
物件の管理が不十分な場合、家賃滞納リスクが大きくなったり、メンテナンス不備による劣化が進んだりする可能性があります。
今回は、カンボジア不動産で優良な管理会社を見極めるためのコツを詳しく解説します。
管理会社の質もチェックできれば、より適切に不動産を運用しやすくなるでしょう。
カンボジア不動産市場は外国人投資家からも人気
カンボジア不動産市場には、以下のような特徴があり、外国人投資家からの人気を集めています。
- GDP成長率が右肩上がりに推移しており地価も上昇している
- 国民の平均年齢が27歳と非常に若く、住宅需要の拡大が期待できる
- プノンペンを中心に都市開発が活発に行われている
- 周辺国に比べて物件の相場が安くなっている
- 表面利回りが10%程度の物件も多くある
- 米ドルで不動産を購入・運用できる
- カンボジアの銀行は金利が高く、不動産収益をさらに増やしやすくなる
カンボジア不動産投資はさまざまなメリットがありながら、物件数が増加しており、まだまだ参入の余地がある狙い目の市場といえます。
カンボジア不動産投資については、こちらでも詳しく解説しています。
カンボジア不動産投資のリスク・デメリット5選
多くのメリットがあるカンボジア不動産投資ですが、リスクやデメリットも存在します。
ここでは、カンボジア不動産投資のリスク・デメリットを5つに分けて解説します。
プレビルド物件が竣工しないリスク
カンボジア不動産では、物件の建設にプレビルド方式が広く採り入れられています。
プレビルド方式とは、物件の竣工時に少額の頭金を支払い、工事の進捗に応じて段階的に物件価格の残金を支払う決済方法です。
初期費用が安く抑えられるというメリットがある反面、デベロッパーの倒産などで物件が未竣工に終わるケースに要注意です。
物件が完成しなかった場合でも、支払った金額が払い戻される保障がないため、投入した資金が無駄になるリスクがあります。
仮に物件が竣工しても、本来の予定より大幅に遅れるケースも散見されます。
経営の不安定な中小デベロッパーに起こりがちな事例で、カンボジアでは物件の建設中断は決して珍しくありません。
詐欺行為に遭遇するリスク
海外不動産投資では、外国人が現地事情に疎く動向を把握しづらいという状況を逆手に取って、詐欺行為を働く業者が存在します。
近年では詐欺の手口も巧妙化しており、不動産投資に慣れた方でも騙されてしまうケースもあります。
カンボジア不動産は市場自体が未成熟で、法整備が行き届いているとはいいがたいのが現状です。
特にカンボジア不動産では、詐欺行為や悪徳業者に遭遇するリスクに注意を払う必要があります。
安全な取引を実現させるためにも、信頼できる不動産仲介業者を選ぶことが非常に重要です。
なお、不動産投資における詐欺の具体的な事例はこちらの記事でも詳しく解説しています。
現地不動産業者が無資格かもしれないリスク
カンボジア不動産市場は、日本に比べて法整備が行き届いていないのが現状です。
現地業者のなかには、無資格で不動産を仲介している場合があるので注意が必要です。
無資格の業者から不動産を購入すると、権利書を発行できなかったり、予期せぬトラブルに巻き込まれやすくなったりするリスクがあります。
また、個人のブローカーを介して不動産を購入するのも、資格の有無が曖昧なためおすすめできません。
カンボジア不動産を購入する際は、公的にライセンスを取得した業者を利用するのが最も安全です。
弊社では、日本とカンボジアの双方の公的機関からライセンスを取得したうえで事業を営んでおります。
空室や家賃滞納が発生するリスク
不動産投資で収益を得る場合、物件の入居者を確保することは非常に重要です。
入居者がない状態では収益が得られず、インカムゲインがゼロになります。
また、空室期間が長いと物件の査定額が下がりやすく、キャピタルゲインにも悪影響を及ぼす可能性があります。
入居者の家賃滞納も同様で、家賃収入が途絶えると不動産収益を得られません。
入居者確保のノウハウや家賃滞納時のケアがある仲介業者を選ぶのがベストですが、カンボジア不動産業者はアフターケアがあまり入念でない傾向にあります。
業者の対応が不十分な場合、購入者自身で問題に対処しなくてはならず、大きな負担となります。
管理会社の全体的な質が日本ほど高くないというデメリット
カンボジア人は温和でフレンドリーな国民性に魅力がある一方で、日本人の価値観からすると以下のようにルーズに感じやすい面があります。
- 約30分以上の遅刻を度々する
- 頻繁に転職する(1ヶ月程度で辞職することもある)
- 遅刻や欠勤に言い訳をする(忌引きをする際に同じ親族が亡くなっていることがある)
荒木自身がカンボジア人に接した際の実例であり、ビジネスにも現れやすい特徴です。
日本のサービス基準と比較すると、カンボジアの不動産管理会社の質は決して高くないのが実情です。
管理が不十分だと、入居者の家賃滞納に対応してもらえなかったり、清掃や設備メンテナンスの不備が入居者のクレームに発展したりするリスクがあります。


不動産投資は物件購入後の適切な運用が不可欠
海外不動産投資では物件の管理を現地の管理会社に委託しますが、日本と比較して海外の管理会社のサービスの水準は必ずしも高くはないです。
カンボジアでは求人が多く労働者優位な状況にあり、労働期間を問わずより良い条件があればすぐに新しい職場に転職する傾向にあります。
カンボジアの管理会社では、担当者が頻繁に入れ替わり、責任の所在が曖昧になりがちです。
責任の所在が不明瞭だと、日々の清掃や設備のメンテナンスが行き届かない可能性があります。
物件のメンテナンスが不十分だと、以下のようなデメリットが考えられます。
- 物件の汚損や老朽化が早まり、資産価値が下落する→キャピタルゲインが得にくくなる
- 入居者のクレームや悪い評判が広まり、入居率が低下する→インカムゲインが得にくくなる
物件自体の条件も大切ですが、物件の管理業務も資産価値を保持するうえで重要な要素です。
カンボジア不動産投資は業者のサポート利用がおすすめ
カンボジア不動産投資は、物件価格の相場が安く利回りが高いのが魅力ですが、プレビルド物件の未竣工や詐欺リスクもあります。
プレビルド物件の未竣工を避けるには大手デベロッパーを選び、詐欺を防ぐには信頼できる業者を選ぶのがポイントです。
現地の管理会社の質が日本ほど高くない可能性があるため、管理面にも注意を払う必要があります。
ただし、初心者にとってはデベロッパーや仲介業者・管理会社の見極めは難しいかもしれません。
カンボジア不動産を購入する際には、管理を含めたアフターサポートの充実した業者を選ぶのがおすすめです。
特に現地にオフィスのある業者は、いざという時に迅速に対応しやすくなります。
弊社では、カンボジアにもオフィスを展開しており、日本人スタッフが常駐しております。
カンボジア不動産投資の優良業者を見分けるポイント5選
カンボジア不動産投資では、優良業者を見極めることが重要です。
ここでは、カンボジア不動産の優良業者を見極めるためのポイントを5つご紹介します。
特に、物件の仲介と管理の両方を行っている業者は、購入から運用までを一貫してサポートしてくれる可能性が高いです。
物件を購入する際に資金面を含めたアドバイスを受けられること
海外の不動産を購入する際、金融機関から融資を得るための審査基準は非常に厳しく、基本的には自己資金を充てる必要があります。
カンボジアの不動産価格の相場は安いにしても中古コンドミニアムは平均約1,000台で、投入するには大きな決断です。
優良な業者であれば、お客様の資産状況に見合った価格帯の物件を提案できるでしょう。
また、状況によっては海外不動産の住宅ローンを受けやすい金融機関を斡旋するなど、資金調達に関するサポートを受けられる可能性があります。
大手デベロッパーによる開発物件を仲介していること
カンボジア不動産業界では、プレビルド物件の未竣工リスクに念入りな注意を払う必要があります。
カンボジアの中小デベロッパーは経営が不安定になりがちで、資金繰りの悪化から物件の建設が中断になるケースが決して珍しくありません。
管理会社が経営の安定した大手デベロッパーの開発する物件を扱っている場合、工事の未竣工リスクを低減できます。
例えば弊社では、日系企業が開発している超高級コンドミニアム「J-Tower」シリーズの区分を仲介・管理しております。
「J-Tower」はすでに2棟が竣工しており、確かな実績があるために、現在開発中の3棟目も無事に竣工する可能性は非常に高いといえます。
アフターサポートが充実していること
物件は購入時以上に、実際に運用していく過程でさまざまな出来事に直面していきます。
なかには、入居者の家賃滞納や設備の破損・故障など予期しないトラブルが発生するケースもあるでしょう。
トラブルが発生した際、カンボジア現地の管理会社は対応の度合いが日本ほど高くない傾向にあるので要注意です。
最も理想的なのは、物件の仲介と管理の両方を行っている日本人業者を選ぶことでしょう。
物件の管理もカバーしている仲介業者は、入居者トラブルなどにも対応した不動産運用のアフターサポートを提供している可能性が高いです。
弊社ではカンボジアにもオフィスを設置しており、万全のアフターサポートをご提供できる体制にあります。
アドバイスやシミュレーションが出口戦略を意識していること
不動産投資ではインカムゲイン・キャピタルゲインを問わず、出口戦略を設計しておくことが資産形成の成否に大きく影響します。
例えば、以下のように目的に合わせて不動産運用の方法が変わってきます。
- 居住用なのか投資用なのか
- 長期間にわたって所有するのか短期間で売却するのか
物件周辺エリアの価格相場の推移なども見据えながら、目的に合わせた綿密なシミュレーションがポイントになります。
優良業者は、お客様個々の目的や事情に応じて出口戦略を意識した運用方法を提案してくれるでしょう。
逆に、ただ物件を仲介するだけの業者はあまり良質とはいえません。
弊社では不動産投資に関するセミナーを定期的に開催しているほか、お客様のご事情をお伺いする個別のご相談も随時受け付けております。
日本人スタッフが在籍していること
海外不動産投資には、日本人同士にはない言語の壁が存在します。
日本人スタッフが在籍している不動産業者では、コミュニケーションの利便性や円滑さが大幅に向上するでしょう。
カンボジアでは主要都市の不動産業者はおおむね英語に対応していますが、日本語にも対応している業者はそれほど多くありません。
弊社には現地オフィスにも日本人スタッフが常駐しており、物件の購入からアフターサポートまで、一貫して日本語でのご対応が可能です。


カンボジア不動産管理会社の主な業務内容とは
カンボジア不動産管理会社の主な業務は、建物敷地内の清掃のほか、大型のコンドミニアムでは内装・外装の維持点検です。
大型コンドミニアムでは、管理費の一部を施設の修繕費に充てている場合が多いです。
会社によって対応には差異がありますが、家賃を滞納した入居者に督促をすることもあります。
また、入居者の退去時には賃貸・売買の募集手続きを行います。
日本の管理会社と業務自体はおおむね同じですが、特に現地人デベロッパーが管理を行う物件は業務がおろそかになりやすい傾向にあります。
カンボジアのおすすめ管理会社3選
ここでは実際に、カンボジア現地でおすすめの管理会社を3社ご紹介します。
いずれも日系企業なので、日本人の感覚にフィットしたサービスを受けやすいでしょう。
アンナアドバイザーズ | カンボジアオフィスに日本人スタッフが常駐
弊社ではカンボジア不動産の売買・賃貸の仲介に加えて、物件の管理業務も担っています。
カンボジア現地のオフィスには日本人スタッフが常駐しており、各物件の管理業務を統括しています。
カンボジア人の気質を尊重しつつルールを徹底することで、日本と同等のクオリティでの管理を実現しているのが特徴です。
オフィスはプノンペン市内にあり、急を要する場合も日本語で応答し、即座に対応できる体制を構築しております。
また、弊社は資産形成のトータルサポートを得意としており、お客様の目的に合わせた物件探しや収支のシミュレーションもご提案可能です。
富士リアルティ | 現地管理会社と提携した豊富な賃貸物件が強み
富士リアルティは大手不動産業者のセンチュリー21グループに属しており、カンボジアでの不動産仲介実績は10年以上に上ります。
特にプノンペンを中心とした賃貸物件の仲介を得意としており、現地の管理会社とも密接なネットワークを有しています。
スタッフは日本人による研修を受けており、クメール語・英語・中国語・日本語による対応が可能です。
自社物件に加えて、他社で購入した物件の賃貸管理なども取り扱っています。
HopeTree | 日本と同クオリティの不動産管理業務を提供
HopeTree(ホープツリー)はスキー場など国内でリゾート施設開発・管理を手がけるほか、香港にも拠点を持つ不動産管理会社です。
日本式の迅速・丁寧できめ細かいサービスをワールドワイドに提供しています。
カンボジアでは、外国人にも特に人気の高い一等地のBKK1エリアの物件などを管理しています。
日本でのサービスのクオリティを海外でも発揮しており、提携先のデベロッパーから管理会社として指名を受けるなど実績も豊富です。
カンボジアの物件には日本人デスクを設置しており、日本語での対応が可能です。
まとめ
カンボジア不動産では、現地の管理会社が日本ほどサービスの質が高くない傾向にあります。
管理会社の質は入居率にも影響し、ひいては不動産収益にも関係します。
カンボジアで不動産を探す際は、管理会社の質も重要なチェック項目です。
日系の管理会社は日本と同等のサービスを提供している可能性が高いため、日系企業が管理する物件を選ぶのはおすすめです。
弊社ではプノンペンにもオフィスを設置しており、日々の管理業務も含めて万全のアフターサポート体制を敷いております。
カンボジア不動産投資で、物件の管理までカバーできるサポートをご希望の方は、ぜひ弊社をご用命ください。




荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社
代表取締役 / 宅地建物取引士 / 宅地建物取引業 東京都知事免許(2)第99967号
所属団体:一般社団法人RE AGENT 理事長 / 一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC) / 公益社団法人全日本不動産協会
1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。
著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
はじめての海外不動産投資