NFT不動産投資って何だろう?注目される次世代の投資方法をわかりやすく解説

執筆者:荒木 杏奈

アンナアドバイザーズ株式会社

2022/02/04

デジタル領域で連日話題となり続けているNFT。デジタルアート作品が約75億円、twitter創設者の最初のツイートが3億円を超える価格で落札されるなど、センセーショナルなニュースが絶えません。

さらに、NFTはデジタルアートの世界を超えて、さまざまなマーケットに急拡大を続けています。不動産投資もそのうちの1つです。

この記事ではNFTがよくわからないという人や、NFT不動産投資について知りたいという人に向けて、NFTの仕組みについて簡単にご紹介いたします。

 1. NFTってそもそもなに? 

NFTとは、簡単にいうと、「偽造ができない鑑定書や所有証明書が付いているデジタルデータ」です。暗号資産と同じようにブロックチェーン上で発行され、取引されます。

ブロックチェーンとは、情報を記録するデータベース技術で、改ざんが非常に困難であること、停止することがないこと、誰でも追跡可能なこと、1つの場所で管理するのではなく、世界中の多数の参加者に同一のデータを分散して保持させることなどの特徴を持っています。要はセキュリティがものすごく高いデータ記録の技術ということです。

NFTとは、「Non-Fungible Token」の略称で日本語に訳すと、「非代替性トークン」となります。トークンとは、しるしや象徴と言った意味ですが、NFTでは「デジタル上の資産」といった意味合いになります。非代替性とは、他のものでは代わりの効かない価値があるということになります。

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・非代替性とは 
例えば、野球ボールが10個あるとします。この野球ボールはどれも価値は等しく同じものと言えますが、そのうち1つだけ、大谷翔平選手が練習で使ったボールがあることがわかりました。すると、10個のボールはその性能や外見自体に変わりはありませんが、大谷選手が使用したボールには他の9個では代わりの効かない価値が生まれます。

つまり、「非代替性トークン」とは、同一なもので交換ができない、それぞれ固有であり他に代えがたいからこそ価値が生まれているデジタルの資産ということができます。同一なもので交換できるからこそ価値のあるビットコインと対を成すデジタル資産と言えるでしょう。

・代わりの効かないデジタル資産って? 
「物理的に存在するものだったら、非代替の価値はわかるけど、デジタル上の資産なら簡単にコピーができてしまいそうだけど?」

このような疑問を持つ方が多くいると思います。確かにデジタルデータであれば、簡単にコピーが作られてしまい、どれが本物でオリジナルか、見分けることができなくなってしまい、そのオリジナルが持つ固有の価値が証明できそうにありません。どんなに素晴らしいデジタルアートであっても、スクリーンショットしてしまえば簡単にインターネット上で拡散できます。

どれがオリジナルなのかを判別するための技術が、改ざんの難しいブロックチェーンです。デジタルアート作品であれば、作家がオリジナルであることを証明する内容を紐づけたトークンを作成します。すると、その情報がブロックチェーンに刻み込まれ、誰にも改変されることのない、信頼性の高いデータになります。

このトークンは絵画の鑑定書や所有証明書のようなもので、アートのデータとセットで販売され、そのトークンの所有権が移り変わったことがまたブロックチェーンに刻まれていきます。
こうして、デジタルアートに疑似的なオリジナル性、付加価値が生まれるのです。

実際問題、アートはデジタル画像である以上コピーが可能なので、価値があるのはブロックチェーンに刻まれた鑑定書の方になってきています。そのため、NFTとはブロックチェーンに刻まれた鑑定書や所有証明書を指すこともあります

 2. 不動産投資でも期待される新たなNFT利用 

・NFTの新たな使い方「デジタル所有権」 
このNFTは物理的に存在するものの所有権を証明するためにも利用され始めています。それも小口での利用という新たな手法が生み出されたのです。
物理的に存在するある絵画を購入する際、その絵は購入した人の所有物になります。

しかし、このNFTを利用した小口購入の場合、購入した人それぞれにブロックチェーン上で証明書が発行されます。すると、絵画の所有権は、小口に分割された全ての人の所有物となります。この所有権を「デジタル所有権」と呼びます。

あくまでこれは新しい概念で、現行法上では問題も多く残ります。日本をはじめ、この動きには静観を続ける国が多いのですが、フィリピンなどでは、このブロックチェーン技術を取り入れた法整備を進め、NFTを積極的に利用しようという動きもあるようです。

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・NFT不動産投資とは? 
不動産投資においても、このNFTは利用され始めています。

改ざんができず、かつ迅速に手続きが勧められるという特性から、その土地や物件を誰が有しているのかを証明する登記の代替行為として利用しようとしているのです。時間が掛かってしまう登記がNFTを利用すれば、即座に不動産の所有者である証明ができます。

そうした、ブロックチェーン上で不動産の持ち主を証明するNFTを売買した投資をNFT不動産投資と呼びます。

・煩雑な手続きが入らず、迅速に行えること
・取引は売りたい人と買いたい人の間のみで完結するため、仲介業者を挟まなくて済むことなどが特徴としてあります。

また先ほどの項目で紹介したように、不動産を小口に分け、それぞれにNFTを発行し、1つの不動産を複数人で所有し、運営するという方法も開発されているようです。現行法上の問題によく注意しなくてはなりませんが、小口投資になるので参入しやすく、国外というハードルの高い投資もごく簡単に行えるような未来がすぐ待っているかもしれません。

・VR空間でのNFT不動産投資 
NTF不動産投資という言葉が使われるとき、その不動産は現実に存在するものだけを指すわけではありません。VR空間、メタバース上の不動産もNFTで取引され、NTF不動産投資と呼ばれることがあります

購入したVR空間の不動産では、アパレルショップを開いたり、カジノを開いたり、あるいは、企業の広告をするための物件を建てたりなど、さまざまな利用方法があるようです。

VR空間には、不動産登記や不動産の売買の際に必要な宅建法は存在しません。NFTを利用してその土地の持ち主が誰なのかを記録するのは合理的で自然な流れとも言えますが、SF映画やドラマの中の出来事のようで、なんとも『未来』という感じがします。実際に、あるメタバース上の土地区画は3千万以上の価格で取引されたそうです。

 3. まとめ 

いかがだったでしょうか。NFTのことから、それがどのように不動産投資に利用されようとしているのか、おわかりいただけたでしょうか。

記事内でも紹介したように、NFTを利用した不動産投資はまだ日本の現行法上、疑問が残る点が多くあります。それだけでなく、将来、よりNFTでの投資が一般に広まっていくにつれ、NFT不動産投資を騙る詐欺なども流行するかもしれません。

NFT不動産は取引が迅速に小口で行えることもメリットの一つですが、始めてみようと思われた方は、ぜひ信頼のおける不動産会社に相談してからにしましょう。

執筆者:荒木 杏奈

アンナアドバイザーズ株式会社

日本とカンボジアを拠点に、国内・海外不動産業を展開。

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荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

代表取締役 / 宅地建物取引士 / 宅地建物取引業 東京都知事免許(2)第99967号
所属団体:一般社団法人RE AGENT 理事長 / 一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC) / 公益社団法人全日本不動産協会
1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。
著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
   はじめての海外不動産投資