カンボジア不動産投資で融資は受けられるの? カンボジア不動産融資の実例を紹介

執筆者:荒木 杏奈

アンナアドバイザーズ株式会社

2022/01/28

不動産投資で1つの壁となるのが、資金の問題です。
融資を受けられるなら、不動産投資を始めたいと考えている人も多いのではないでしょうか。

海外不動産投資では、リスクが大きいことから融資を受けづらいというのが現状ですが、あくまで“受けづらい”のであって、決して融資が下りないわけではありません。しかし、国内不動産投資に比べて融資を受けるための条件は厳しくなることは間違いありません。

この記事では、カンボジアでの不動産投資をするにあたり、融資を受けるための条件を実際の融資例を踏まえて紹介していきます。
条件に当てはまりそうであれば、融資の活用を検討してみましょう。

 1. カンボジア不動産投資で融資を受けるなら 

現在、カンボジアでの不動産投資を行うにあたって、受けられる融資の選択肢はおおよそ3つあります。
それぞれ、条件や特色がありますので簡単にご紹介します。

1つ目は政策金融公庫で受けられる融資です。
・法人であること
・3期以上続いている会社である
・賃料収入が定期的にある

など、融資を受けるためにはいくつかの条件をクリアする必要があります。

2つ目は、オリックス銀行の不動産担保ローンというものがあり、国内の不動産を担保にすることで、融資を受けることができます。担保にする不動産は自宅でも大丈夫ですし、ほかに有している不動産を組み合わせて、融資を受けることもできます。

3つ目は、東京スター銀行の融資で、オリックス銀行と同じで国内の不動産を担保にすること、年収によって金利が変わるなどの特徴があります。ただ、担当者によって判断基準が異なる場合がありますので、とりあえず近くの店舗に問い合わせてみるというのは、あまりお勧めしません。

では、実際にカンボジア不動産投資目的で金融機関から融資を受けた2件のケースを見ながら、さらに詳しくそれぞれの特色を見て行きましょう。

 

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 2. 融資実績① – 政策金融公庫 

Aさんは個人で資産運用会社を経営し、政策金融公庫から融資を受け、カンボジアの物件を2件購入されています。Aさんは、融資先の窓口を1回目と2回目で変えるという工夫をしています。そこにも注目しながら見ていきましょう。

 ・Aさん(40代、会社員)の例 
1件目の不動産(ホテル)を購入するときには、「国民生活事業」の窓口にて融資を受けています。
こちらの窓口ですと、融資されたお金を投資用でも居住用でも使用することができるのが特徴です。
 

Aさん融資詳細(1件目)
 融資額     1,800万円
 融資期間    18年
 適用金利    1.6%

冒頭に記載していた3期以上の法人であること、定期的に賃料収入がある点をクリアしており、無担保で上記の条件で融資が成立しています。その他、必要書類の作成代行などの経費が掛かりますが、こちらの融資は3ヵ月ほどで実行されています。

2件目の不動産(オフィス)を購入するときは、「中小企業事業」の窓口で融資を受けています。
 

Aさん融資詳細(2件目)
 融資額     8,000万円
 融資期間    18年
 適用金利    1.6%

2件目も、国内での賃貸実績から無担保で融資が成立しています。

融資期間や適用金利などは1件目と同じですが、融資額はかなり増えて、8000万円もの融資を受けています。
ここが「国民生活事業窓口」と「中小企業事業窓口」の大きな違いになります。

国民生活事業窓口での融資は住居などの目的にも利用することができますが、中小企業事業窓口での融資は商業用の物件、倉庫やオフィスやレストランなどにしか利用することができません。その分、中小企業事業窓口での融資額が大きくなるのです。

中小企業事業窓口で融資を受けるためには政策金融公庫での返済実績が必要になります。
そのため、Aさんは1件目の融資を国民生活事業窓口で受けて、中小企業事業窓口で融資を受けるための実績を作ったのです。

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 3. 融資実績② – オリックス銀行 

オリックス銀行では、国内の不動産を担保にすることで融資を受けることができます。
ここが、政策金融公庫と大きくことなるところです。
どのような不動産を担保に融資を受けているのか、2人の方の例を見て行きましょう。

 ・Bさん(50代、金融機関勤務)の例 
Bさんは1件目の担保ではファミリータイプの物件と1LDK、ワンルームという3つの不動産を組み合わせて担保(共担と言います)にして融資を受けております。担保にした3つの不動産は、おおよそ購入から10〜20年ほど経ったものです。
 

Bさん融資詳細(1件目)
 融資額    4,000万円
 融資期間   25年
 適用金利   2.375%(3年固定特約)

2件目では、ご自宅とワンルームを担保に融資を受けております。
 

Bさん融資詳細(2件目)
 融資額    3,000万円
 融資期間   25年
 適用金利   2.375%(3年固定特約)

担保にする不動産の組み合わせは自由ですから、Bさんは合計5つの物件を組み合わせて担保とし、2件の物件を購入したということになります。

 ・Cさん(50代、シンクタンク勤務)の例 
Cさんは、ファミリータイプの自宅と借入なしのワンルーム2部屋共担にして融資を受けています。
ファミリータイプの方は築15年、ワンルーム2部屋は築30年になります。
 

Cさん融資詳細
 融資額    3,600万円
 融資期間   25年
 適用金利   2.3%(3年固定特約)

BさんもCさんもおよそ1か月で融資が下りています。オリックス銀行は融資が下りるまでのスピードが特徴ですから、不動産投資することを決めてから購入まで早く進めたい方には向いているでしょう。

また、先ほどご紹介した政策金融公庫であれば、個人の属性というところよりも法人の信用が重要になりますが、銀行だと、年齢や年収といった属性もかなり加味されます。Bさん、Cさんはどちらも年収1000万円を超えています。

 4. まとめ 

いかがだったでしょうか。融資を受けてカンボジア不動産への投資するための具体的な数字やルートが想像できたのではないでしょうか。

海外、特に新興国の不動産投資への融資はリスクが高いため、それ相応の信用や担保が必要になります。ですから、国内への不動産投資で融資を受けるよりも、カンボジアへの不動産投資で融資を受ける場合のほうが条件的なハードルは高くなってしまいます。

しかし、条件的なハードルさえ満たすことができれば、その分国内不動産に投資するよりも大きなリターンを期待できるのです。

執筆者:荒木 杏奈

アンナアドバイザーズ株式会社

日本とカンボジアを拠点に、国内・海外不動産業を展開。

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荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

宅地建物取引士 / 1984年生まれ、東京都出身。
大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。
2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。

著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
   はじめての海外不動産投資