執筆者:荒木 杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

ドバイは都市機能の充実性や税金の安さなどから、移住先として高い人気があり、ドバイに移住する外国人が増えています。
「ドバイ=富裕層の移住先」というイメージを抱きやすいかもしれません。
今回は、ドバイに移住した際の生活費の目安について詳しく解説します。
ドバイで生活する際の年収別の生活水準についてもご紹介します。
「ドバイに住んで後悔した」ということがないように、ドバイ移住に興味のある方はぜひ最後までお付き合いください。
ドバイと日本の生活費の平均額を比較
まずは、ドバイと東京の生活費を消費品目ごとに以下の表で比較してみましょう。
消費品目 | ドバイの 平均価格 | 東京の 平均価格 | 比率 |
---|---|---|---|
安いレストランでの食事 | 1,631円 | 1,000円 | 163% |
一般的なレストランのコース | 10,604円 | 7,000円 | 151% |
マクドナルドのバリューセット | 1,427円 | 800円 | 178% |
国産生ビール(500ml) | 1,835円 | 500円 | 367% |
カプチーノ(レギュラー) | 856円 | 510円 | 168% |
水(330ml) | 163円 | 116円 | 141% |
牛乳(1000ml) | 285円 | 232円 | 123% |
食パン(500g) | 204円 | 226円 | 90% |
白米(1㎏) | 367円 | 673円 | 55% |
卵(中12個) | 489円 | 317円 | 154% |
チーズ(1㎏) | 1,427円 | 2,198円 | 65% |
鶏ささみ(1㎏) | 1,387円 | 1,124円 | 123% |
牛モモ肉(1㎏) | 1,835円 | 3,155円 | 58% |
りんご(1㎏) | 367円 | 766円 | 48% |
バナナ(1㎏) | 285円 | 359円 | 80% |
トマト(1㎏) | 245円 | 803円 | 30% |
じゃがいも(1㎏) | 163円 | 430円 | 38% |
玉ねぎ(1㎏) | 204円 | 430円 | 47% |
水(1500ml) | 82円 | 140円 | 58% |
ボトルワイン | 2,447円 | 1,200円 | 204% |
タバコ20箱(マルボロ) | 979円 | 600円 | 163% |
交通機関の片道チケット | 245円 | 200円 | 122% |
タクシー初乗り(通常料金) | 489円 | 500円 | 98% |
タクシー1km(通常料金) | 122円 | 440円 | 28% |
ガソリン(1000ml) | 122円 | 179円 | 68% |
光熱費の基本料金(85㎡アパート) | 32,097円 | 27,117円 | 118% |
携帯電話の月額プラン(通話+10㎇以上のデータ) | 9,013円 | 4,080円 | 221% |
インターネット月額料金 | 15,172円 | 4,918円 | 308% |
フィットネスクラブ月額料金(大人1名) | 12,602円 | 10,418円 | 121% |
インターナショナル小学校(1名) | 1,970,671円 | 2,274,773円 | 87% |
ジーンズ1本(リーバイス501など) | 11,216円 | 8,070円 | 139% |
サマードレス1着(ZARAなど) | 9,299円 | 5,559円 | 167% |
シティセンターのアパート(1ベッドルーム) | 337,526円 | 169,617円 | 199% |
市内中心部のアパート購入価格(1㎡あたり) | 994,838円 | 1,538,417円 | 65% |
平均月給(税引後) | 592,303円 | 367,769円 | 161% |
住宅ローン金利(20年間固定金利) | 4.43% | 1.78% | 244% |
出典:「NUMBEO 2025年」
表から読み取れるように、ドバイと東京の物価には特徴的な違いがあります。
各費用については、以降で詳しく解説していきます。
なお、表中では1AED=40.78円となっていますが、記事作成時点(2025年6月)では1AED=39.27円です。
為替レートによっても生活費が変動するため、1AEDがいくらになるかを常に把握しておくことが重要です。
ドバイの生活費の主な品目ごとの目安額
ここでは、先にご紹介した表をもとに、ドバイでの生活費の内訳をより詳しくみていきましょう。
ドバイ都心部であるダウンタウンの1ベッドルームで生活する場合、1か月の生活費の目安は以下のようになります。
支出項目 | 目安額(円表記) |
---|---|
家賃 | 30万円 |
食費(自炊中心) | 3万円 |
日用品 | 3,000円 |
被服費 | 8,000円 |
水道光熱費 | 2万円 |
携帯電話代(10GBプラン) | 6,000円 |
インターネット利用料金 | 2万円 |
交通費(タクシーと公共交通機関が中心) | 1万5,000円 |
医療費(格安プラン+20%の自己負担分) | 1万円 |
合計 | 41万2,000円 |
個人のライフスタイルにもよりますが、ドバイの都市部で生活するには日本より多めの生活費が必要になると考えられます。
各費用の詳細については、続く部分でご説明します。
家賃 | 国内全体で日本よりも相場は高額
ドバイの生活費のうち、家賃は支出額の大きな割合を占めています。
ドバイは計画的な開発で都市機能が発展しており、政府も外資誘致政策の一環として積極的に外国人移住者を受け入れています。
ドバイではコロナ明けから経済が急速に回復し、不動産販売件数・不動産販売金額が急増している状況です。
2025年6月現在のドバイの家賃相場は、以下の通りです。
間取り | 平均価格(㎡単位) | 円価格(㎡単位) |
---|---|---|
スタジオ | 259AED | 10,170円 |
2ベッドルーム | 170AED | 6,675円 |
3ベッドルーム | 461AED | 18,103円 |
※1円未満は切り捨て
※4ベッドルーム以上はデータ不足
出典:Propester「ドバイ: 住宅価格と価格/平方メートル」
仮に50㎡の2ベッドルームに入居した場合の家賃目安は、50㎡×6,675=33万3,750円です。
ドバイ都市部の賃貸物件の家賃目安は30万円前後と、日本よりも高額になると考えたほうがよいでしょう。
なお、ドバイの住宅は1部屋当たりの間取りが広く、1ベッドルームでも30〜50㎡と、単身で生活する場合は十分な広さがあります。
ドバイのエリアごとの価格相場については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
食費 | 月3万円が目安だが外食の頻度によって変動
食費は個人の生活習慣によって変動しやすい費用ですが、ドバイでの1か月あたりの食費の目安は1人当たり約3万円です。
自炊を中心にした場合と外食を中心にした場合では、食費が大きく異なるので注意が必要です。
食料品 | スーパーや市場に並ぶ商品は比較的安価
ドバイではスーパーや市場に並ぶ生鮮食品類は、比較的安価に購入できます。
先にご紹介したドバイと東京の物価の比較表から、食料品類を抜粋してみましょう。
消費品目 | ドバイの 平均価格 | 東京の 平均価格 | 比率 |
---|---|---|---|
牛乳(1000ml) | 285円 | 232円 | 123% |
食パン(500g) | 204円 | 226円 | 90% |
白米(1㎏) | 367円 | 673円 | 55% |
卵(中12個) | 489円 | 317円 | 154% |
チーズ(1㎏) | 1,427円 | 2,198円 | 65% |
鶏ささみ(1㎏) | 1,387円 | 1,124円 | 123% |
牛モモ肉(1㎏) | 1,835円 | 3,155円 | 58% |
りんご(1㎏) | 367円 | 766円 | 48% |
バナナ(1㎏) | 285円 | 359円 | 80% |
トマト(1㎏) | 245円 | 803円 | 30% |
じゃがいも(1㎏) | 163円 | 430円 | 38% |
玉ねぎ(1㎏) | 204円 | 430円 | 47% |
水(1500ml) | 82円 | 140円 | 58% |
大半の品目の平均額が東京より安くなっており、特に主食である米は価格が高騰している日本の約半額です。
ドバイではパンのほか米も主食として親しまれており、手軽に入手できます。
食料品の平均額が安いため、うまく活用することで日本の6〜7割程度の食費に抑えることも可能です。
外食 | 日本よりも高額でサービス料も加算
ドバイではスーパーや市場の食料品が安い反面、以下のように外食の価格相場は全体的に割高です。
消費品目 | ドバイの 平均価格 | 東京の 平均価格 | 比率 |
---|---|---|---|
安いレストランでの食事 | 1,631円 | 1,000円 | 163% |
一般的なレストランのコース | 10,604円 | 7,000円 | 151% |
マクドナルドのバリューセット | 1,427円 | 800円 | 178% |
マクドナルドなどのチェーン店のほか、レストラン全般で飲食費が高額になりやすく、日本での外食費の約1.5倍が価格相場です。
また、ドバイでは外食時に10%のサービス料が加算されるため、価格はより高くなりがちです。
嗜好品類 | 特定の飲料・タバコともに高額
ドバイでは外食費に加えて、アルコールやタバコといった嗜好品類も日本より高額になります。
嗜好によっては、生活費が高額になる可能性があるので注意が必要です。
酒類 | 酒税が30%と非常に高額
ドバイはイスラム圏に属していますが、飲酒自体は可能です。
ただし、アルコール飲料には30%の酒税が課されるため、お酒全般の価格が日本よりも高いです。
レストランやバーで生ビールをオーダーすると多くの店舗で1杯1,500円を超えることが珍しくなく、ワインなども1杯1,000円以上が相場になります。
また、ドバイではライセンスのある店舗でのみ飲酒が許可されており、特定のリカーショップでしか酒類を購入できません。
飲酒に対する規制が厳しく、酩酊して公共の場で大声を出したり他人に絡んだりした場合、罰金・逮捕といった処罰の対象になるので要注意です。
エナジードリンク・炭酸飲料 | ともに高額の税金が課税
ドバイでは「レッドブル」などのエナジードリンクには100%、コーラなどの炭酸飲料には50%の税金が課せられています。
仮に150円の商品を購入した場合、税抜価格はエナジードリンクが300円、炭酸飲料が225円です。
お酒以外の飲料も高額になるものがあるため、嗜好によっては思わぬ出費につながる可能性があります。
タバコ | 市内よりも空港の免税店がお得
ドバイではタバコにも100%の税金が課されているので、タバコ全般が日本よりも高額になります。
市内で購入すると日本よりも高額ですが、空港の免税店であれば税金がかからないため市内よりも安く購入できます。
喫煙の習慣がある方は、空港の免税店でまとめ買いをしておくことで生活費を抑えやすくなります。
日用品 | 月3,000円が目安でECサイトでも購入可能
ドバイでは、シャンプーや洗剤・トイレットペーパーなどの日用品は概ね日本と同額です。
店頭に並ぶ商品はファミリーパックが主流で、容量が多めという特徴があります。
また、ECサイトでも手軽に購入可能です。
日用品の月あたりの費用は3,000円程度を見込んでおけばよいでしょう。
水道光熱費 | 日本より高額だがサービスアパートメントは実質無料
ドバイの水道光熱費の相場は、日本よりも高額です。
ドバイでは電気代と水道代がセットになった料金プランが一般的で、契約会社にもよりますが、1か月あたりの利用料目安は単身者で約2万円です。
ドバイは特に5月〜9月ごろの暑さが非常に過酷で、エアコンの使用頻度が高いため電気代も高額になりやすい傾向にあります。
また、砂漠地帯に属しているため水資源が乏しく、海水を淡水に変えるといった手間をかけているため水道代の相場が高めです。
インフラ整備自体は行き届いており、水道は特に制限なく使用できるほか、飲用も可能です。
家庭用コンロはIHヒーターが一般的で、ガスコンロを使用したい場合は別途契約が必要になる可能性があります。
一般住宅では水道光熱費が発生しますが、サービスアパートメントやホテルは費用に光熱費が含まれているため、実質的に無料になります。
被服費 | 約8,000円で免税店やECサイトが人気
個人の好みにもよりますが、ドバイで生活する際の被服費は日本と概ね同額です。
ダウンタウンなどの都市部には高級ブランド店がありますが、ZARAなどファストファッション系の店舗も展開しています。
衣類はECサイトでも購入できるほか、免税店を利用するとお得に購入できる可能性があります。
通信費 | 携帯電話代・自宅のインターネット代ともに高額
ドバイの通信費は、日本よりも高額になりやすい傾向にあります。
契約会社や料金プランによっても異なるので、ご自身にあった契約をするとよいでしょう。
携帯電話代 | 日本よりもやや割高
ドバイの携帯電話キャリアは国営企業のEtisalat・duのほか、民間企業のVirgin Mobileなど複数社から選択できます。
各社とも、データ使用量や通話時間に応じた複数の料金プランを用意しており、一般的にデータ使用量・通話時間が多いほど料金も高額になります。
データ無制限プランでは1万円を超えるものがありますが、プランによっては利用料金を5,000円前後に抑えることも可能です。
幅広いプランがあるので、使用量に応じたプランを選択することで料金を節約しやすくなるでしょう。
自宅のインターネット代 | プロバイダが国営で利用料金が高額
ドバイでは、インターネットプロバイダは国営企業のEtisalat・duが独占しています。
価格競争が活発でないため、料金の相場が高く、安いプランでも月額1万円を超えるケースが少なくありません。
通信速度に応じて料金も高額になり、高いプランだと月額約3万円にも上ってしまいます。
交通費 | 約1万円台で自動車での移動が基本
ドバイは特に暑い時期の徒歩移動が難しく、自動車が広く普及しており、車社会といってよいでしょう。
ガソリン代が日本よりも安く、自動車による移動が中心でも1万円台で収まる場合が多いです。
タクシー | 初乗り料金の相場が約500円
ドバイではガソリンが安く、自動車が広く普及していることもあり、タクシー料金の相場も安めです。
料金体系は日本と同じく、乗車時に一定額が発生し、走行距離に応じて料金が加算される仕組みです。
タクシー会社にもよりますが、初乗り料金が500円前後で1㎞単位の走行距離によって加算される料金が約70〜100円と、日本よりも少額であるケースが多いでしょう。
公共交通機関 | キャッシュレスカードでの支払いが一般的
ドバイで公共交通機関を利用する場合、基本的にはキャッシュレスカードで料金を支払います。
ドバイの電車・バスに乗車する際は「Nol(ノル)」というカードを用いるのが一般的で、現地在住者はパーソナルカードを利用可能です。
パーソナルカードは約2,800円で購入でき、内訳は発行手数料が約2,000円(50AED)、残額の約800円(20AED)が乗車賃です。
日本の交通系ICカードと同じ要領で、メトロやバス停などで乗車賃をチャージできます。
医療費 | 民間保険の保険料+診察料の20%が自己負担
ドバイには国民皆保険制度が導入されておらず、基本的には任意の民間保険に加入します。
保険会社によって幅広い選択肢があり、年額約4〜5万円から年額約50万円のプランまで多彩です。
所得に応じて所定の保険料を支払う日本とは異なっており、安いプランを選ぶことで日本よりも医療費(保険料)を安く抑えられる可能性があります。
ご自身の年齢や健康状態によって、最適なプランを選ぶのがよいでしょう。
民間保険に加入した場合、医療機関での診察料の20%が自己負担額になります。
仮に診察料が2万円だと、自己負担額は4,000円です。
ドバイは医療機関も充実しており、近隣国からの重篤な患者をドバイで引き受けられるほどです。


年収別にみるドバイでの生活水準
ドバイの生活費の目安を品目ごとにご説明しましたが、年収によって現地でどの程度の生活を送れるか気になる方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは、ドバイ移住後の生活水準の目安を年収ごとに分けて解説します。
なお、いずれのケースも単身者の生活を想定しています。
年収360万円(生活費30万円) | 節約を駆使すれば生活可能
年収360万円(1か月の生活費30万円)ほどでも、ドバイでの生活自体は可能です。
年収360万円でドバイで生活する際、各費用の目安は以下の通りです。
支出項目 | 目安額(円表記) |
---|---|
家賃 | 20万円 |
食費(ほぼ自炊) | 2万円 |
水道光熱費 | 2万円 |
通信費(携帯電話のみ・10GBプラン) | 1万円 |
交通費(公共交通機関が中心) | 1万円 |
医療費(格安プラン+20%の自己負担分) | 1万円 |
娯楽費 | 2万円 |
雑費(日用品など) | 1万円 |
合計 | 30万円 |
都市部では家賃を30万円以下に抑えることが難しいため、都市部から離れた郊外の物件が候補になるでしょう。
日常の買い物を含む移動はバス・電車を利用し、食事は基本的に自炊に限定します。
インターネット回線の契約は高額なため、携帯電話のデータ通信のみでやりくりしています。
医療費も最安プランに加入して、最低限に抑えるのが望ましいです。
ドバイでの生活自体は可能ですが、かなりの節約を意識しなくてはならず、生活水準は決して高いとはいえないでしょう。
費用に見合った物件がない場合、ルームシェアなども選択肢に入ります。
年収420万円(生活費35万円) | 都市部での生活も可能
年収420万円(1か月の生活費35万円)ほどであれば、住む場所などをある程度選択できます。
年収420万円でドバイで生活する際、各費用の目安は以下の通りです。
支出項目 | 目安額(円表記) |
---|---|
家賃 | 25万円 |
食費(ほぼ自炊) | 2万円 |
水道光熱費 | 2万円 |
通信費(携帯電話のみ・10GBプラン) | 1万円 |
交通費(公共交通機関が中心) | 1万円 |
医療費(格安プラン+20%の自己負担分) | 1万円 |
娯楽費 | 2万円 |
雑費(日用品など) | 1万円 |
合計 | 35万円 |
依然として節約を最大限に意識する必要はありますが、都市部から近いエリアでの物件も選択肢に入ります。
都市部から近いと、電車での移動が快適になると期待できます。
東京にあてはめると、節約を意識しつつ23区外でターミナル駅のある中規模都市で生活するイメージが近いかもしれません。
年収540万円(生活費45万円) | ある程度余裕のある生活が可能
年収540万円(1か月の生活費45万円)ほどであれば、ダウンタウンなど都市部で一定水準の生活を送れる可能性があります。
年収540万円でドバイで生活する際、各費用の目安は以下の通りです。
支出項目 | 目安額(円表記) |
---|---|
家賃 | 30万円 |
食費(自炊+月数回の外食) | 4万5,000円 |
水道光熱費 | 2万円 |
通信費(携帯電話・10GBプラン+インターネット) | 3万円 |
交通費(タクシー・公共交通機関が中心) | 1万5,000円 |
医療費(格安プラン+20%の自己負担分) | 1万円 |
娯楽費 | 2万円 |
雑費(日用品など) | 1万円 |
合計 | 45万円 |
家賃はダウンタウンのセキュリティ性が高い1ベッドルームに相当します。
食費は自炊中心ですが、月に数回程度の外食も可能です。
自宅での生活をより快適にするためにインターネット回線も契約しました。
公共交通機関だけでなく、タクシーも利用できるため移動はより快適になります。
東京にあてはめると、23区内のマンションである程度余裕のある一人暮らしを送るようなイメージが近いでしょう。
年収660万円(生活費55万円) | レンタカーによる車の所有が可能
年収660万円(1か月の生活費55万円)ほどであれば、都市部で一定水準の生活を送れるうえに、レンタカーによる車の所有も可能です。
年収660万円でドバイで生活する際、各費用の目安は以下の通りです。
支出項目 | 目安額(円表記) |
---|---|
家賃 | 30万円 |
食費(自炊+月数回の外食) | 5万円 |
水道光熱費 | 2万円 |
通信費(携帯電話・10GBプラン+インターネット) | 3万円 |
交通費(レンタカー料金+保険料+ガソリン代など) | 10万円 |
医療費(格安プラン+20%の自己負担分) | 1万円 |
娯楽費 | 3万円 |
雑費(日用品など) | 1万円 |
合計 | 55万円 |
現地で自動車を購入するには頭金やローンの支払い・維持費などが必要ですが、レンタカーではより手軽に自動車を確保できます。
ドバイは車社会で移動手段も車が中心になるため、レンタカーを契約することで移動の利便性が格段に向上するでしょう。
レンタカーを利用する場合、自動車本体のレンタル費用のほか、保険料や駐車場代・ガソリン代などが発生します。
便宜的にマイカーを所有できるので、快適な暮らしを送れるといえます。
年収900万円(生活費75万円) | かなり余裕のある生活が可能
年収900万円(1か月の生活費75万円)ほどであれば、ドバイの都市部でかなり余裕のある暮らしができます。
年収900万円でドバイで生活する際、各費用の目安は以下の通りです。
支出項目 | 目安額(円表記) |
---|---|
家賃 | 40万円 |
食費(外食メイン) | 10万円 |
水道光熱費 | 3万円 |
通信費(携帯電話・20GBプラン+インターネット) | 5万円 |
交通費(レンタカー料金+保険料+ガソリン代など) | 10万円 |
医療費(中程度プラン+20%の自己負担分) | 3万円 |
娯楽費 | 3万円 |
雑費(日用品など) | 1万円 |
合計 | 75万円 |
ダウンタウンでもよりグレードの高い物件への入居が可能です。
食事は外食メインでもそれほど困ることはないでしょう。
通信費・医療費などに割ける金額も多くなっています。
より贅沢な生活を望むのであれば上限がありませんが、まず不自由のない生活が送れるでしょう。
家族でドバイに移住するための費用目安
先ほど、単身者がドバイで移住する際の生活費の目安を年収別にご紹介しました。
ここでは、家族でドバイに移住する際の費用目安について解説します。
両親と子ども2人(現地インターナショナルスクールに通学)の生活費の一例は、以下のようになります。
支出項目 | 目安額(円表記) |
---|---|
家賃(3ベッドルーム・100㎡) | 150万円 |
食費(自炊中心) | 10万円 |
水道光熱費 | 7万円 |
通信費(携帯電話・10GBプラン+インターネット) | 5万円 |
交通費(レンタカー料金+保険料+ガソリン代など) | 10万円 |
医療費(中程度プラン+20%の自己負担分) | 10万円 |
娯楽費 | 4万円 |
雑費(日用品など) | 4万円 |
教育費(子ども2人のインターナショナルスクール) | 50万円 |
合計 | 250万円 |
家族4人で生活するために、間取りに余裕のあるダウンタウン近郊の3ベッドルームに入居しています。
生活費をなるべく抑えるために、食事は自炊中心とし、携帯電話は両親のみが所有しています。
ドバイのインターナショナルスクールは高度な教育を受けられますが、数千〜数万米ドルになるケースも珍しくありません。(上の表では1人年額300万円で計算)
家族でドバイに移住する場合、教育費を考慮すると、ある程度余裕のある生活を送るための世帯年収は2,000万円〜が目安になるでしょう。
子どものいる家庭でドバイに移住するには、日本の一般的な所得水準から比較するとかなり高い収入が必要になると考えられます。
収入面でドバイ移住のハードルが高い場合、他国への移住を検討するのもおすすめです。
例えば、カンボジアなど物価が比較的安い国では、ドバイよりも生活費を大幅に抑えられる可能性があります。
カンボジアでの生活費については、こちらの記事でも詳しく解説しています。


ドバイの平均給与は日本よりも高水準
ドバイの物価水準は家賃をはじめとして多くの費目が日本よりも高額ですが、所得自体も高い水準にあります。
ドバイは積極的な外資誘致政策を執っており、独自の税制に魅力を感じる海外富裕層や高所得者が多く、国内人口の大半が移民で構成されています。
所得の多い移民者にかかる税金が少ないため、所得水準が高くなりやすく、そのぶん給与水準も高くなりやすいのが特徴です。
日本人全体の給与所得の平均額が416万円(国税庁調査・2025年)なのに対し、ドバイの外国人労働者の給与所得平均額は約750万円(JETRO調査など)と大きな差があります。
UAE居住者はさらに所得水準が高く、以下のように平均年収が1,000万円前後の職種も少なくありません。
職業 | 平均月収 (平均年収) | 円換算 |
---|---|---|
投資銀行アナリスト | 25,800AED (309,600AED) | 1,013,166円 (12,157,992円) |
シェフ | 9,250AED (111,000AED) | 363,247円 (4,358,970円) |
人事マネージャー | 24,100AED (289,200AED) | 946,407円 (11,356,884円) |
教師 | 12,400AED (148,800AED) | 486,948円 (5,843,376円) |
銀行支店長 | 29,100AED (349,200AED) | 1,142,757円 (13,713,084円) |
エンジニア | 15,400AED (184,800AED) | 604,758円 (7,257,096円) |
看護師 | 12,600AED (151,200AED) | 494,802円 (5,937,624円) |
薬剤師 | 20,100AED (241,200AED) | 789,327円 (9,471,924円) |
※1円未満は切り捨て
出典:Time Doctor「ドバイの平均給与(費用、比較、アウトソーシング)」
ドバイに移住にあたって日本企業からの仕事を受けるなどした場合、職種や報酬体系によってはドバイの給与平均よりも低くなる可能性があります。
両国間の給与水準の差によってドバイに住みづらい状況に陥ることも考えられるため、移住前に念入りに収支計画を立てておきましょう。
ドバイ移住のために取得できるビザ
ドバイ移住にあたっては、ビザを取得する必要があります。
ドバイ移住用ビザの種類や取得のための条件は、以下のようになります。
名称 | 有効期間 | 取得条件 |
---|---|---|
就労ビザ | 原則2年 | 現地法人や政府機関で雇用を受けること |
不動産ビザ | 2年 | 75万AED(約2,950万円)以上の投資がある不動産オーナー |
ゴールデンビザ | 5年or10年 | 投資家・起業家・専門職などが対象で、投資家の場合は200万AED(約7,850万円)以上の資本の証明が必要 |
グリーンビザ | 5年 | 年収36万AED(約1,400万円)以上の収入があるフリーランス・自営業 |
リモートワークビザ | 1年 | UAE圏外の組織から月額3,500米ドル(約50万円)に該当する収入を得ている者 |
ファミリービザ | 2年 | 上記ビザを取得している配偶者・子どもなどが対象で、別途申請費用が必要 |
ゴールデンビザは多額の資本が必要なものの、住宅ローンの審査優遇などの付加価値があり、長期間にわたる移住が可能です。
ビザ取得の条件や期間を確認しておき、ご自身の収入や想定する移住期間にあったビザを取得しましょう。
ドバイに移住するメリット3選
ドバイに移住することで得られるメリットは多くあります。
ここでは、ドバイ移住で得られるメリットを3つご説明します。
税金が非課税または安価
ドバイでは外資誘致・経済振興政策の一環として、以下のように税制面でさまざまな優遇措置を導入しています。
- 個人の所得税・住民税は非課税
- 所得税・住民税のための確定申告が不要
- 不動産取引のキャピタルゲインは非課税
税制面の優遇措置は所得が高いほど得られるメリットが大きく、税金の安さから富裕層や高所得者の移住先として選ばれるケースも多いです。
「ドバイ=高所得者の移住先」とイメージされやすいのは、税金の安さも原因と考えられます。
また、日本の消費税に該当するVAT(付加価値税)は特定の費目を除いて5%です。
治安状態が良好
ドバイでは市内各所に防犯カメラが設置されており、以下のような規制が設けられているため、国内の治安は非常に良好な状態にあります。
- 公共の場で大声で騒いだり、他人に暴行などを加えたりした者は罰金・逮捕の対象となる(飲酒による酩酊時も同様)
- 公共交通機関での居眠りや乗り過ごしは処罰の対象になる可能性がある(飲酒時含む)
- 犯罪行為は罪状によって国外追放となり、当事者の再入国を禁止する
迷惑行為に対する強い規制があるほか、イスラム教の宗教規範からマナーやモラルを遵守する意識が浸透しているのも特徴です。
都市機能・インフラ整備が充実
ドバイは緻密な都市開発計画により、快適な生活が送りやすいのが特徴です。
インフラ整備も行き届いており、水道は高度な海水淡水化技術によって、安全に飲用できます。
エアコンもほぼ全戸に設置されており、室内では一年を通して快適に過ごせます。
移動手段が車中心であるため道路も十分に整備されており、タクシーも比較的安価に利用可能です。
ドバイの近未来的な都市景観は外国人からも注目されており、快適な都市機能と相まって観光客や移住者から高い人気を得ています。
ドバイに移住するデメリット・注意点3選
ドバイに移住する際には、デメリットや注意点も存在します。
ここでは、ドバイ移住のデメリット・注意点を3つご説明します。
不動産契約は原則として1年単位
日本の賃貸物件は2年単位の契約が多いですが、ドバイの賃貸物件は1年ごとに更新するのが一般的です。
また、原則として毎月家賃を支払う日本とは異なり、1年分の家賃を前払いする支払方法が主流です。
例えば、30万円の物件に入居する際には家賃1年分にあたる360万円を支払う必要があります。
ドバイでは、賃貸物件に入居する前にかなりまとまった金額が必要である点に注意が必要です。
日本よりも物価が全般的に高水準
2025年6月時点でのドバイは、生鮮食品などの一部を除いて、ほぼ全般的なモノ・サービスが日本よりも高額です。
特に賃貸物件の価格は著しく上昇しており、東京都心部と比較しても家賃の平均額が2倍程度異なります。
日本と同水準の生活を送るには、日本よりも多くの生活費が必要になると考えられます。
ドバイは高所得の外国人移住に伴って国民の所得水準が上昇しており、国内所得に応じて物価も高くなっているのが特徴です。
平均所得が日本よりも高いため、例えば収入源が日本からの仕事である場合、物価水準の違いによって生活費が大きな負担になる可能性があります。
砂漠性の過酷な気候
ドバイは砂漠気候に属しており、年間を通して気温が高めです。
特に8月ごろは、外気温が50℃前後になることもあり、歩行が困難なほど過酷な暑さになります。
5月〜9月ごろまでは平均湿度も80〜100%と非常に高いため、蒸し暑く感じやすいでしょう。
日差しが強烈で紫外線も強く、日焼けなどの肌トラブルにも注意が必要です。
時期によっては昼夜間の気温差が15℃前後になるため、時期や時間帯によっては暑さと寒さの両方を体感しやすい気候です。
まとめ
ドバイは税制面の優遇措置などによって外国人富裕層の移住が増えており、国民所得の高さから物価も全般的に高いのが現状です。
家賃も高騰していますが、インフラ整備が行き届いているため、快適な生活を送りやすいといえます。
ドバイは物価が全般的に高いため、生活費も日本より高額になりやすいでしょう。
個人のライフスタイルにもよりますが、ドバイで単身者がある程度余裕のある生活を送るためには年収約540万円〜が目安になります。
ドバイの市場やスーパーの生鮮食品類は日本より安価なものが多く、自炊を取り入れるなどの工夫によっても生活費を節約できる可能性があります。
海外移住にあたって収入に不安のある方は、ドバイ以外の移住先を選択するのもおすすめです。
例えば、カンボジアは気候が温暖で物価水準も日本より低く、日本より安い費用で生活できる可能性があります。
弊社では不動産仲介・銀行口座開設を含めて、カンボジア移住をサポートしております。



荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社
代表取締役 / 宅地建物取引士 / 宅地建物取引業 東京都知事免許(2)第99967号
所属団体:一般社団法人RE AGENT 理事長 / 一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC) / 公益社団法人全日本不動産協会
1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。
著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
はじめての海外不動産投資