執筆者:荒木 杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社
資産運用とは、投資や貯蓄などを通じて、将来的な利益を得るための活動です。具体的には、株式や債券、不動産、投資信託、預金などの金融商品や資産を購入し、その価値の変動や利息、配当などから収益を得ることを目的としています。
資産運用には、投資家のリスク許容度や目的に応じて、様々な運用方法があります。例えば、株式投資は高いリターンを狙える一方で、リスクも高くなります。一方で、定期預金は安定した運用が可能ですが、利回りは低い傾向があります。
資産運用は、個人だけでなく企業や機関投資家にとっても重要な活動であり、将来に備えるために必要な活動です。しかし、資産運用にはリスクが伴い、適切な知識や情報収集が必要です。
資産運用の種類
資産運用には、様々な種類があります。主なものを以下に挙げます。
- 株式投資:企業の株式を購入し、その価値の変動や配当金等から利益を得る方法です。株式投資は、リスクが高い一方で高いリターンが期待できます。
- 債券投資:国や企業が発行する債券を購入し、利息を受け取る方法です。債券投資は、株式投資に比べリスクが低く、安定した収益が期待できます。
- 投資信託:複数の投資家の資金を集めて、専門のファンドマネージャーが運用する投資商品です。投資家は、投資信託の口数を購入することで、株式や債券などに投資することができます。
- 不動産投資:不動産を購入し、その家賃収入や価値の上昇等から利益を得る方法です。不動産投資は、リスクが比較的低く、長期的な収益が期待できます。
- FX取引:外国為替証拠金取引の略で、外貨を売買することで為替差益を狙う方法です。FX取引は、リスクが高く、初心者には向いていないとされています。
これらの種類の中から、投資家自身のリスク許容度や投資目的に合わせて、適切な選択を行うことが重要です。また、投資にはリスクが伴うため、事前に情報収集やリスク管理を行うことも大切です。
貯蓄型資産運用
貯蓄型資産運用とは、主に定期預金や国債などの安定した利回りが期待できる金融商品を中心に、安全性を重視した資産運用のことを指します。
貯蓄型資産運用は、将来的な資産形成のための基盤となる運用方法であり、主に老後の資金や、教育費などの長期的な資金需要に向いています。貯蓄型資産運用は、リスクが比較的低く、安定した利益を得ることができるため、初心者や保守的な投資家にとっては比較的安心して取り組める資産運用方法とされています。
しかし、貯蓄型資産運用は、一般的に利回りが低いため、長期的な運用を行うことで、利益を上げることができます。また、インフレーションの影響を受けやすいため、適切なリスク管理や適切な商品の選択が必要となります。
投資型資産運用
投資型資産運用とは、主に株式や債券、不動産、投資信託などの金融商品を中心に、リスクを取りながら利益を追求する資産運用のことを指します。
投資型資産運用は、リスクが高い一方で、高い利益を得ることが可能です。投資家自身のリスク許容度や投資目的に合わせて、適切な商品を選択することが重要となります。
また、投資型資産運用は、リスクマネジメントが重要です。リスク管理を行わずに、高リターンを狙うことは、大きな損失を被る可能性があります。適切な情報収集や分散投資、投資先の状況や市場環境の把握などを行い、リスクとリターンのバランスを考慮して、運用を行う必要があります。
投資型資産運用は、将来の資産形成や収益を得るために有効な方法ですが、リスクが高いため、投資家自身が責任を持って運用することが重要です。
そもそも資産ってなに?
資産とは、企業や個人が所有する、将来的に経済的な利益や現金流を生み出すと期待される財産のことを指します。
資産には、流動資産と固定資産があります。流動資産は、現金や預金、有価証券、債権、棚卸資産など、比較的短期間に現金化が可能な資産です。一方、固定資産は、不動産や設備、機械など、長期にわたって使われるものであり、減価償却を行いながら経理処理されます。
資産は、企業や個人の財政状況や信用力を測る指標として用いられることがあります。また、投資家は、資産の性格や将来の収益性を考慮して、適切な投資先を選択することが重要となります。
金融資産
金融資産とは、企業や個人が持つ、金融市場で売買される証券や口座残高など、現金以外の金融商品のことを指します。
金融資産には、株式や債券、投資信託、為替証拠金口座、預貯金口座などが含まれます。これらの金融資産は、金融商品取引市場で取引され、流動性が高いため、投資家はいつでも現金化することができます。
金融資産は、資産運用の一部として、将来の資産形成や資金調達に利用されることがあります。また、金融資産は、投資家のリスク許容度や投資目的に合わせて、適切な商品を選択することが重要です。
一方で、金融資産には、リスクが存在します。株式や投資信託などの株式系の金融商品は、価格変動リスクがあり、債券などの債務系の金融商品は、信用リスクや金利リスクがあります。投資家は、適切な情報収集やリスクマネジメントを行いながら、投資を行う必要があります。
金融資産のメリットデメリット
金融資産には、以下のようなメリットやデメリットがあります。
【メリット】
- 流動性が高い:金融資産は、金融市場で売買されるため、取引が容易で、いつでも現金化ができます。
- 運用の自由度が高い:投資家は、自分の投資目的やリスク許容度に合わせて、様々な金融商品を組み合わせて運用することができます。
- 収益性が高い:一部の金融商品は、将来的なキャピタルゲインや配当金、利子などを得ることができるため、収益性が高い商品もあります。
【デメリット】
- リスクがある:金融商品には、価格変動リスクや信用リスク、金利リスクなど、さまざまなリスクがあります。リスクを適切に理解し、リスクマネジメントを行う必要があります。
- 取引コストがかかる:金融商品の売買には、手数料や取引コストがかかるため、収益を上回るコストがかかる場合があります。
- 価格が不透明である:一部の金融商品は、価格が急激に変動することがあるため、投資家にとって価格の不透明性がある場合があります。
金融資産は、リスクとリターンのトレードオフがあるため、投資家は自己の投資目的やリスク許容度を考慮し、適切な金融商品を選択する必要があります。
実物資産
実物資産とは、土地、建物、車、機械、家具、工具など、物理的な形で存在する資産のことを指します。つまり、目に見える形で存在している資産のことです。
実物資産は、企業の生産活動や個人の生活に必要不可欠なものが多く、それらの価値は時間とともに変化することがあります。例えば、建物や土地は、周辺環境の変化や市場の需要・供給の変動によって価値が変動することがあります。また、機械や設備は、経年劣化や技術の進歩によって価値が低下することがあります。
実物資産は、資産運用の一部として、将来の資産形成や資金調達に利用されることがあります。ただし、実物資産の取得や運用には、資金や知識、管理能力が必要であり、投資家は、適切な情報収集やリスクマネジメントを行いながら、投資を行う必要があります。
実物資産のメリットデメリット
実物資産には、以下のようなメリットやデメリットがあります。
【メリット】
- 安定した現金収入:不動産などの賃貸物件や土地などは、毎月の家賃や賃貸料などの安定した現金収入を得ることができます。
- 長期的な資産価値の維持:実物資産は、長期的に見た場合、インフレや市場の変動に影響されにくいため、一定程度の資産価値の維持が期待できます。
- 資産の自己利用が可能:実物資産は、自己利用することもできます。自分自身が住んだり、自分のビジネスに使用したりすることができます。
【デメリット】
- 購入や管理に必要なコストが高い:実物資産を購入するには、膨大な資金が必要であり、また、維持・管理にも多大なコストがかかることがあります。
- 運用に必要な知識が必要:実物資産の運用には、土地や建物に関する法律や建築物の管理に関する知識が必要となります。
- 売却が難しい場合がある:一部の実物資産は、需要が限られたり、売却するための手続きが複雑であるため、売却が難しい場合があります。
以上が、実物資産の一般的なメリットやデメリットです。実物資産を運用する際には、資金や知識、管理能力が必要であり、投資家は適切な情報収集やリスクマネジメントを行いながら、投資を行う必要があります。
不動産投資で資産運用
不動産投資は、実物資産の一種であり、賃貸物件を所有して、賃料収入を得たり、将来的に物件の価値が上昇することによって、資産価値の増加を期待する投資のことです。
【メリット】
- 安定したキャッシュフロー:賃貸物件を所有することによって、安定したキャッシュフローを得ることができます。また、テナントが定期的に家賃を支払うことで、収入の安定性が高まります。
- 資産価値の成長:物件価値の上昇によって、将来的な資産価値の成長を期待できます。特に、都市部や駅前などの需要の高いエリアに物件を所有することで、物件価値の上昇が期待できます。
- 節税効果:不動産投資には、節税効果があります。例えば、賃貸物件の取得費用や修繕費、減価償却費、利子割引などが、税制上の優遇措置として認められています。
【デメリット】
- 購入費用や維持費用の高さ:不動産投資には、購入費用や維持費用が高額になることがあります。また、賃貸物件の管理には、人件費や各種保険料などの費用がかかります。
- 運用に必要な知識やスキルの高さ:不動産投資には、運用に必要な知識やスキルが求められます。例えば、物件の選定や価格設定、テナント管理など、さまざまなスキルが必要です。
- 価格変動リスク:不動産投資は、物件価格の変動リスクがあります。特に、市況に左右されることが多いため、市況の変動に敏感に反応することが求められます。
以上が、不動産投資における一般的なメリットとデメリットです。不動産投資には、適切な情報収集やリスクマネジメントを行いながら、投資を行う必要があります。
荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社
代表取締役 / 宅地建物取引士 / 宅地建物取引業 東京都知事免許(2)第99967号
所属団体:一般社団法人RE AGENT 理事長 / 一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC) / 公益社団法人全日本不動産協会
1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。
著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
はじめての海外不動産投資