執筆者:荒木 杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

近年、低金利が続く日本に比べ、東南アジアの新興国であるカンボジアの銀行の定期預金金利が注目されています。
中でも、カンボジアは米ドル建てでの定期預金が可能である点や、金利の高さ、口座開設のしやすさなどが魅力です。
この記事では、日本とカンボジアの定期預金の違いを徹底的に比較し、資産運用の一つの選択肢として「カンボジアの定期預金」がどのような立ち位置にあるのかを分かりやすく解説します。
なぜ今、カンボジアの定期預金?
「資産を銀行に預けておけば安心」と言われた時代は終わりを迎えつつあります。日本では長引く超低金利により、定期預金に預けても資産がほとんど増えない、むしろインフレによって実質的な価値が目減りするという事態が進行中です。
そうした中、今、多くの人々が注目しているのが新興国・カンボジアの銀行を活用した定期預金です。
カンボジアは、東南アジアの中でも経済成長が著しい国のひとつであり、特筆すべきはその「高金利」と「米ドル建てで運用できる柔軟性」。
さらに、日本人非居住者でも観光ビザで口座開設が可能という点で、比較的ハードルが低く、「資産運用は初めて」という方にも実践しやすいのが魅力です。
もちろん、海外の銀行を利用することに不安を感じる方も少なくありません。
ですが、実際に調査してみると、外資系の信頼性の高い銀行が多く進出し、ネットバンキングの対応も進んでいるなど、現代のライフスタイルに合った環境が整いつつあります。
そんなカンボジアの定期預金について、日本の銀行との違いや金利、メリット・デメリットを明確に比較しながら、実際に活用するための手順や注意点も含めて詳しく解説していきます。
「日本の銀行に預けたままでいいのだろうか?」と疑問を持っている方にこそ、ぜひ読んでいただきたい内容です。
日本の銀行定期預金の現状と課題
日本の銀行に定期預金を預けるという行為は、これまで「安全で堅実な資産運用」の代名詞とされてきました。
しかし、現在の日本ではその常識が通用しなくなりつつあります。
超低金利時代の現実
金融庁の最新データによれば、国内の大手銀行(メガバンク)の定期預金金利は年0.002%、地方銀行や信用金庫でもせいぜい0.01%前後に留まっており、金利というリターンがほぼ存在しない状況です。
金融機関 | 1年定期金利(年率) |
---|---|
三菱UFJ銀行 | 0.002% |
ゆうちょ銀行 | 0.002% |
地方銀行(平均) | 0.01% 前後 |
ネット銀行(例:楽天) | 0.1% |
この金利水準では、100万円を1年間預けても利息はわずか20円程度。
物価上昇率や消費税の引き上げに比べると、その差は歴然であり、資産を「守るどころか減らす」リスクすらあります。
インフレと実質マイナス金利
さらに深刻なのは、「実質マイナス金利」の問題です。
たとえば2024年のインフレ率が2.5%だった場合、預金金利が0.01%であっても、実質的には年間で2.49%分、資産価値が失われていることになります。
これは「お金を銀行に預けることで価値が減っている」という逆説的な現象であり、従来の感覚とは大きく乖離しています。
投資未経験者こそ直面する「資産の眠り」
資産運用に慣れていない方、特に会社員や主婦の方々の多くは、依然として銀行預金を「最も安全な資産保管先」と見なしています。
しかし、それが“資産を増やす”という目的においては、完全に機能不全に陥っていることに気づかねばなりません。
では、どうすればよいのでしょうか?
その答えの一つが、日本から飛び出し、成長著しい国の金融機関を活用するという選択肢です。
カンボジア銀行の魅力と背景
日本から見ると、カンボジアはどこか「遠い新興国」という印象を持つ方も少なくありません。
しかし、投資と資産運用という視点で見ると、今や“注目すべき金融成長国”であることが明らかになってきています。
高金利で米ドル建て資産が形成できる
カンボジアの定期預金で最も大きな魅力は、何と言ってもその高い金利と米ドル建てでの預金が可能である点です。
カンボジアの主要銀行では、米ドル建てで年利4%〜4.5%の定期預金商品が一般的です。日本の100倍以上とも言えるこの数字は決して誇張ではなく、実際に各銀行の公式サイトでも確認可能です。
【例】
ACLEDA Bank(1年)→ 3.90%
Phillip Bank(1年)→ 4.50%
これは単なる短期的なキャンペーンではなく、長年にわたり安定して維持されている金利水準でもあります。
さらに、米ドル建てであることにより、為替変動リスクを活かした運用や、グローバルな資産分散にも適しており、「円だけに資産を集中させる不安」から解放されるというメリットもあります。
カンボジア経済の成長と金融インフラの整備
カンボジアは近年、年平均6%を超える経済成長率を維持しており、ASEAN諸国の中でも屈指の成長国です。特に都市部では急速なインフラ整備が進み、首都プノンペンでは近代的なオフィスビルや商業施設が立ち並びます。
この成長に呼応するように、銀行業界も大きな発展を遂げており、国際基準に準拠した銀行サービスの提供が拡大。外資系銀行(カナダ、シンガポール、韓国系など)の参入により、安全性・透明性も向上しています。
出典:World Bank – Cambodia Overview
また、カンボジア国内では米ドルとリエル(KHR)の二重通貨体制が採用されており、都市部では米ドルが広く流通。これにより、外貨に不慣れな日本人でも比較的扱いやすい環境が整っています。
口座開設のハードルが低い
カンボジアの多くの銀行では、外国人の口座開設を積極的に受け入れており、観光ビザでも開設が可能なケースが多いのが特徴です。
実際の口座開設には、パスポートと入国スタンプ(visa)があれば手続きが進められる銀行もあり、手続きの煩雑さという意味でも東南アジアの中でも非常に開かれた金融国と言えるでしょう。
さらに、一部の銀行では渡航せずに日本から開設ができる銀行もあります。弊社の開設サポートを利用すれば、日本にいながら開設ができ、日本語による丁寧なサポート体制が整っております。初めての海外銀行口座開設でも安心して進められます。
銀行選びの幅と競争力
カンボジアには40を超える商業銀行が存在し、その中には外資系銀行、地場大手銀行、マイクロファイナンス機関が転換した信頼性のある銀行など、非常に多様な選択肢があります。
中でも、本記事で後述する「ACLEDA銀行」「Phillip銀行」「ABA銀行」は、それぞれ異なる強みを持ち、ニーズに応じた銀行選びが可能です。
今後の成長余地と海外マネーの流入
世界的に見ると、日本や欧州のような成熟市場では金利が抑えられている一方で、カンボジアのような新興市場では、今後も外資の流入によって銀行業の競争と利便性がさらに高まる可能性があります。
すでに韓国、シンガポール、カナダなどの資本が進出しており、日本からも注目が集まりつつあります。
つまり、カンボジアの銀行は「高金利」だけでなく、経済の成長性、外貨での運用、国際的な金融体制との接続性といった点でも、魅力的な選択肢となり得るのです。
次章では、そんなカンボジアの銀行の中でも特に注目すべき「アクレダ銀行」「フィリップ銀行」「ABA銀行」の3行に焦点を当てて、具体的に比較・分析していきます。


注目銀行3選:アクレダ・フィリップ・ABAを徹底比較
カンボジアには数多くの商業銀行が存在していますが、その中でも日本人投資家や資産運用を検討する非居住者に特に人気の高い3行が存在します。
それが、「ACLEDA(アクレダ)銀行」「Phillip(フィリップ)銀行」「ABA(エー・ビー・エー)銀行」です。
それぞれに特徴があり、目的や資産規模に応じて適した銀行が異なります。
以下では、3行の特徴を金利、信頼性、オンライン対応、口座開設のしやすさといった多角的な視点から比較します。
ACLEDA Bank(アクレダ銀行):カンボジア最大の地場銀行
■概要と信頼性
1993年に設立されたアクレダ銀行は、もともとはマイクロファイナンスからスタートし、現在ではカンボジア最大の民間銀行へと成長しました。
ASEAN全域での拠点拡大も進めており、地方支店が豊富な点が魅力です。
■金利(USD建て定期預金)
預入期間 | 金利(年率) |
---|---|
6か月 | 2.90% |
1年 | 3.90% |
3年 | 4.00% |
■特徴
- 地方拠点が多く、カンボジア内での利便性が高い
- 少額($100)から預金可能で、初心者にも始めやすい
- 英語対応が基本、日本語サービスはなし
■向いている人
- 少額から資産運用を始めたい人
- 地場の銀行に信頼を置きたい人
Phillip Bank(フィリップ銀行):シンガポール系で高金利&投資連携に強み
■概要と信頼性
2009年に設立されたフィリップ銀行は、シンガポールのフィリップキャピタルグループ傘下の銀行であり、東南アジア全域で証券・金融ビジネスを展開する総合金融機関の一部です。
外貨投資や証券運用との連携が取りやすいのが特長です。
■金利(USD建て定期預金)
預入期間 | 金利(年率) |
---|---|
6か月 | 3.50% |
1年 | 4.50% |
3年 | 4.50% |
■特徴
- 金利水準が非常に高く、長期運用に向いている
- 金融商品が豊富で複合的な資産運用が可能
- 観光ビザでの口座開設が可能(英語対応)
■向いている人
- 高利回りを重視したい人
- 銀行預金+投資商品を視野に入れたい人
ABA Bank(エー・ビー・エー銀行):テクノロジー先進・外資系の安定感
■概要と信頼性
1996年に設立されたABA銀行は、カナダの「ナショナルバンク・オブ・カナダ」傘下であり、外資系ならではの透明性と堅牢性が特長です。
ネットバンキングの使いやすさやモバイルアプリの完成度は、カンボジア国内で群を抜いています。
■金利(USD建て定期預金)
預入期間 | 金利(年率) |
---|---|
6か月 | 2.25% |
1年 | 2.75% |
3年 | 2.75% |
■特徴
- モバイルバンキングが充実
- 日本語対応スタッフがいる支店も存在
- カナダ系資本による高い信用力
■向いている人
- テクノロジー重視で効率的に管理したい人
- 外資系の堅実さ・安心感を求める人
3行の比較表
ACLEDA Bank | Phillip Bank | ABA Bank | |
---|---|---|---|
親会社 | カンボジア地場資本 | シンガポール資本 | カナダ系(NBC) |
株主(日系企業) | 三井住友銀行 オリックス | ― | ― |
定期預金金利(3年) | 4.00% | 4.50% | 2.75% |
定期預入最低額 | $100 | $100 | $100 |
デビットカード | あり | バーチャルカードのみ | あり |
日本語対応 | なし | なし | 一部支店であり |
信頼性・安定性 | 高い | 高い(証券連携強) | 高い(外資) |
それぞれの銀行には明確な個性と強みがあります。
安定性・利便性は3行にあまり差はないですが、少額から始めたいならアクレダ銀行、高利回りと投資商品を重視するならフィリップ銀行というように、目的に応じた使い分けが可能です。
カンボジアと日本の比較
定期預金を通じた資産運用を考える際、最も気になるのは「どれだけ利息がつくか」、そして「どれだけ安全に預けられるか」という点です。
この章では、カンボジアの主要銀行3行(アクレダ・フィリップ・ABA)と日本の銀行を、金利・通貨・預金保護制度・流動性といった観点から比較し、その違いを表とグラフで視覚的に理解できるように整理します。
金利と通貨の比較表(1年定期)
銀行名 | 国 | 金利(1年) | 通貨 | 預金保護制度 |
---|---|---|---|---|
三菱UFJ銀行 | 日本 | 0.002% | 円 | あり(1,000万円まで) |
ゆうちょ銀行 | 日本 | 0.002% | 円 | あり |
楽天銀行 | 日本 | 0.1% | 円 | あり |
ACLEDA Bank | カンボジア | 3.90% | USD | なし |
Phillip Bank | カンボジア | 4.50% | USD | なし |
ABA Bank | カンボジア | 2.75% | USD | なし |
※為替リスクや税務処理については別章で詳述します。
年利による利息額比較(100万円相当を1年預けた場合)
銀行名 | 年利 | 通貨 | 利息額(円換算) |
---|---|---|---|
日本(平均) | 0.01% | 円 | 約100円 |
ABA Bank | 2.75% | USD | 約27,500円 |
Phillip Bank | 4.50% | USD | 約45,000円 |
ACLEDA Bank | 3.90% | USD | 約39,000円 |
※為替変動の影響を考慮する必要あり
比較から見える“現実”
このように、金利面だけを見ても日本とカンボジアでは約450倍の差があります。
もちろん、日本の銀行は預金保護制度が整っており、安全性の面で優れています。
しかしその代償として、預金しても資産がほとんど増えないという問題に直面します。
一方のカンボジアは、預金保護制度は未整備または限定的であるものの、高金利かつ米ドル建てという外貨資産の形成チャンスがあります。
これは、インフレや円安による資産価値下落を回避したい人々にとって、非常に有効な手段となり得ます。
日本とカンボジアの預金環境:5つの比較視点
日本 | カンボジア | |
---|---|---|
金利 | 非常に低い(0.002%〜) | 高金利(4%前後) |
通貨 | 円 | 米ドル |
為替リスク | なし | あり(円安で利益、円高で損失) |
安全性 | 高(預金保険あり) | 中〜高(銀行により異なる) |
手続きのしやすさ | 非常に簡単(日本語・ネット) | 手続きは簡単だが、開設に費用がかかる (渡航費やサポー費用) 基本的に英語対応 |
どちらを選ぶかは「目的次第」
- 安全性を最優先するなら日本の銀行が適していますが、「資産を“守る”だけの選択」になる可能性が高いでしょう。
- 一方で、資産を“増やす”ことを重視するならカンボジア銀行は強力な選択肢になります。
米ドルという世界通貨で高金利を享受できる点は、他国でもなかなか得られない魅力です。


為替リスク・税務上の注意点
カンボジアの銀行での定期預金は、高金利と米ドル建てという通貨の安定性から、魅力的な運用手段といえます。
しかし、国外での金融取引には必ず伴うリスクと法的責任が存在します。
この章では、特に注意すべき為替リスクと日本での税務上の対応について、事前に知っておくべきポイントをまとめました。
為替リスク:為替は味方にも敵にもなる
カンボジアの銀行預金は基本的に米ドル(USD)建てで行われます。これは世界的に信用のある通貨であり、資産保全や分散の観点から大きなメリットがあります。
しかし、米ドルと日本円の為替レートは常に変動しており、その動きによって利息が増えたり減ったり、場合によっては元本割れの可能性すらあります。
■シナリオ比較
パターン | 為替レート | 運用結果(100万円→USDで預金) |
---|---|---|
円安時 | 1ドル=160円 → 140円 | 円に戻したとき損失が発生 |
円高時 | 1ドル=140円 → 160円 | 円に戻したとき利益が増大 |
安定 | ±5円程度の変動 | 利息収入が主なリターンに |
ポイント:資産をドル建てにすることは、日本円以外の通貨による「通貨分散」になりますが、円での最終評価額に大きく影響することを理解しておきましょう。
利息への課税と日本での申告義務
海外で得た利息は、日本に住む納税義務者(日本の居住者)である限り、国内での課税対象になります。たとえカンボジアで税引きされたとしても、それだけで終わりにはなりません。
■カンボジア国内での税制
- 一部銀行では利息から源泉徴収(10〜14%程度)が行われます。
- 銀行によっては、非居住者への源泉徴収免除を設けているケースもありますが、基本的には利息に対して税金が引かれると考えてよいでしょう。
■ 日本国内での申告義務
- 海外で得た利息は「雑所得」として確定申告が必要です。
- 年間20万円以上の雑所得がある場合、課税対象になります(給与所得者の場合)。
- 利息収入を申告しなかった場合、加算税や延滞税のリスクもあります。
ポイント:税務リスクを避けるためにも、利息の受け取り記録を保存し、年末に税理士等へ相談するのがベストです。
送金・資金移動時の手数料やレポート義務
国外から日本へ資金を戻す際には、次のような手数料や制度上の注意が発生します。
■送金コスト
- 海外送金には手数料が片道3,000〜8,000円程度かかります。
- 送金経路(SWIFTなど)や中継銀行の数によってコストが異なります。
■資産の国外移転報告制度
- 1回の送金額が1,000万円以上になる場合、国外送金等調書の提出義務が生じます(税務署へ)。
長期投資と為替タイミングの分散がカギ
為替リスクは「読みにくい」と言われますが、タイミングを分けて分散投資を行うことで、その影響を緩和することができます。
- 一度に全額を預けず、数回に分けて預金を組む
- 為替が円安に傾いた時に取り崩すタイミングを調整する
- 利息のみを運用し、元本は据え置くという戦略も有効です
資産運用の“見えないリスク”とどう向き合うか
- カンボジアの銀行定期預金は、高金利というリターンを提供する一方で、為替と税務のリスクは個人が管理する責任があります。
- この2つを正しく理解し、計画的に対応策を講じることで、安定かつ有利な資産形成が可能になります。
資産分散戦略としての位置づけ
資産を守り、育てていくためには、「安全に預ける」だけでは不十分です。経済環境が変化し、通貨の価値が上下し続ける現代において、リスクを一極集中させない“資産分散”は、もはや投資家だけでなく、あらゆる立場の人にとって重要な戦略となっています。
その中で、カンボジアの定期預金は“実践的かつ手軽に始められる分散投資の一手段”として、じわじわと注目を集めています。
通貨の分散:円だけに頼らない“為替リスク対策”
多くの日本人は、資産の大半を日本円で保有しています。しかし、日本円に対する信頼が下がったり、円安が進行した場合、資産の実質価値が大きく目減りするリスクがあります。
たとえば、1ドル=110円の時代から1ドル=150円になっただけで、円の購買力は30%以上下落したことになります。
そこで、米ドル建ての資産を持つことは、通貨のリスクヘッジとして非常に有効です。カンボジアの銀行預金は、こうした米ドル資産を安定的かつ高金利で保有できる数少ない手段の一つです。
利回りの分散:日本の低金利を補完する運用先として
日本国内の定期預金金利は0.002%〜0.1%が一般的であり、「預けても増えない」ことは前章まででご説明した通りです。
一方、カンボジアでは4%以上の高金利が期待できるため、日本円資産に偏った利回り構成を補い、全体の平均利回りを押し上げる効果が見込めます。
■例:資産1,000万円を分散した場合の年利回りシミュレーション
分散モデル | 日本の預金比率 | カンボジア預金比率 | 想定年利(平均) | 年間利息(円) |
---|---|---|---|---|
100% 日本円預金のみ | 100% | 0% | 0.03% | 3,000円 |
80% 日本円 + 20% カンボジア預金 | 80% | 20% | 0.96% | 96,000円 |
70% 日本円 + 30% カンボジア預金 | 70% | 30% | 1.365% | 136,500円 |
50% 日本円 + 50% カンボジア預金 | 50% | 50% | 2.265% | 226,500円 |
30% 日本円 + 70% カンボジア預金 | 30% | 70% | 3.165% | 316,500円 |
100% カンボジア預金のみ | 0% | 100% | 4.5% | 450,000円 |
※税引前・為替変動考慮なし
- 日本円だけで預けた場合の年利はわずか0.03%=3,000円。
- カンボジア定期を30%組み込むだけで、年間利息が45倍以上(13万円超)に。
- 50%をカンボジアに分散することで、実質年利は2.2%超に上昇し、インフレに打ち勝てるレベルに近づきます。
地理的分散:政治・経済リスクの低減
同じ国内だけに資産を保有することは、政治・自然災害・金融政策など、国内特有のリスクに集中してしまうことを意味します。
カンボジアという成長市場に資産の一部を置くことは、地理的な分散となり、結果としてポートフォリオの安定性を高めます。
特に、カンボジアのような新興国は、先進国とは異なる経済サイクルで動いているため、グローバルに見たときの資産のクッションとしても機能します。
少額から実践できるのが最大の強み
資産分散と聞くと、億単位の投資を思い浮かべる方も少なくありません。
しかし、カンボジアの銀行預金では$100〜$500から始められる商品も存在しており、特にアクレダ銀行ではわずか100ドルから定期預金が可能です。
つまり、これは「誰にでも始められる国際分散投資」の一歩であり、特別な投資知識がなくても実践できる点が大きな魅力です。
分散=防衛と成長の両立
資産分散は、リスクを最小化する「防衛策」であると同時に、収益を最大化する「成長戦略」でもあります。
高金利かつ米ドル建ての定期預金という手段は、この“守り”と“攻め”のバランスを実現する貴重な選択肢です。
カンボジアの定期預金は、その中でも比較的ハードルが低く、制度としても整ってきており、中長期的な資産設計において欠かせない一手になり得るでしょう。

まとめ:どの銀行がどんな人向け?
ここまでカンボジアの定期預金について、金利、信頼性、為替リスク、資産分散の観点から幅広くご紹介してきました。
最後に、今回ご紹介した3つの主要銀行(アクレダ銀行、フィリップ銀行、ABA銀行)を振り返りながら、それぞれの銀行がどのようなタイプの人に適しているのかを整理しておきましょう。
ACLEDA Bank(アクレダ銀行)
✔︎ 地場最大手の安心感と小口預金に強み
- 向いている人
- 資産運用をこれから始めたい初心者
- 少額(100ドル〜)で気軽にスタートしたい方
- 世界で使えるデビットカードの発行をしたい方
- 推しポイント
- カンボジア国内最大規模で、信頼と安定感
- 少額でも高金利(年利3.90%)の恩恵が得られる
- 現地開設と日本から開設の2通りから選べる
Phillip Bank(フィリップ銀行)
✔︎ 高金利と投資連携のバランスが魅力
- 向いている人
- 高い利回り(年利4.5%)を重視する方
- スマートフォンで資産管理したいデジタル派
- シンガポール資本の金融機関に安心感を求める方
- 推しポイント
- 3行中、最も高い利率を提供
- フィリップキャピタルとの連携により、金融商品が多様
- 将来的に海外投資口座や証券口座と接続を考えている人に◎
ABA Bank(エー・ビー・エー銀行)
✔︎ 外資系の安心感と日本語対応
- 向いている人
- スマートフォンで資産管理したいデジタル派
- カナダ資本の外資系銀行の透明性・信頼性を求める方
- 日本語対応窓口を希望する方(支店によりあり)
- 推しポイント
- 支店によっては日本語対応のジャパンデスクがある
- カナダ系銀行の傘下で国際的なガバナンスが明確
銀行別おすすめ早見表
タイプ | おすすめ銀行 | 理由 |
---|---|---|
初心者・少額で始めたい | ACLEDA Bank | $100〜可能、高金利、地場の安定感 |
高金利&投資との連携重視 | Phillip Bank | 年利最大4.5%、証券商品との親和性が高い |
外資志向 | ABA Bank | 外資系の安心、日本語対応支店あり |
あなたに最適な選択を
3行ともに魅力的な定期預金商品を提供しており、重要なのは「自分の運用スタイルと目的に合っているかどうか」です。
- 「海外での資産形成を一歩踏み出したい」
- 「米ドルでの分散投資を検討したい」
- 「インフレや円安に強い運用をしたい」
こうした思いを持つすべての方に、カンボジアの銀行預金は、“安全資産”と“成長資産”の中間に位置する新たな選択肢となります。
参考
■ACLEDA Bank(アクレダ銀行)公式サイト
■Phillip Bank(フィリップ銀行)公式サイト
■ABA Bank(Advanced Bank of Asia)公式サイト
■金融庁:国内金利情報
■世界銀行:カンボジア経済



荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社
代表取締役 / 宅地建物取引士 / 宅地建物取引業 東京都知事免許(2)第99967号
所属団体:一般社団法人RE AGENT 理事長 / 一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC) / 公益社団法人全日本不動産協会
1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。
著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
はじめての海外不動産投資