資産運用の鉄則!分散投資で賢くリスクヘッジをしよう

執筆者:荒木 杏奈

アンナアドバイザーズ株式会社

2021/04/26

これから資産運用を始めようと思ったときに気になるのは、資産運用における「リスク」ではないでしょうか。将来に備えてお金を増やすことを目的とした資産運用ですから、逆にお金が減ってしまうかもしれないという不安は少しでも減らしておきたいですよね。

そこで今回は、資産運用にはどのような「リスク」があるのか、そしてリスクを減らすための鉄則とも言われる「分散投資」について解説していきます。リスクの種類や、分散投資への理解を深めて、賢くリスクヘッジをおこなっていきましょう。

 1. 資産運用に伴う3つのリスク 

資産運用に伴うリスクと聞くと、資産運用には危険があるのかなと身構えてしまいますよね。ここで知っておいていただきたいのは、一般的に使われる「リスク」という言葉と投資用語として使われる「リスク」は意味が異なるという点です。みなさんは普段、リスクを「危険」という意味で使うことが多いと思います。しかし、投資用語ではリスクという言葉は「不確定な要素」を意味します。お金を増やすための資産運用ですが、不確定な要素があるためときにはお金が減ってしまう可能性があるということです。では、その不確定な要素にはどのようなものなのがあるのか見ていきましょう。

【価格変動のリスク】
資産の価格は経済的な理由により変動します。価格の変動により、資産を換金する際に受け取る金額が、資産を購入する際に支払った金額を上回れば利益が出ます。逆に下回っている状況を「元本割れ」といい、損失が出ます。この価格に関する不確実性のことを「価格変動のリスク」といいます。

【信用のリスク】
資産運用では、株式投資のように会社の信用に対して投資をおこなうものもあります。ある会社がすばらしい新商品を開発することにより会社の信用が上がれば、株価が上がり利益につながります。逆に不正な取引などをおこない会社の信用が下がれば、株価が下がり損失につながります。この信用の不確実性を「信用のリスク」といいます。

【地域によるリスク】
日本やアメリカなど、先進国と呼ばれる国は安定した成長が見込める国として信用があります。一方、東南アジアや南米などの新興国は将来的に発展すれば大きな利益につながる可能性がありますが、経済が安定していない国があったり、なかには政変、内戦により経済状況が著しく悪化し損失につながるという可能性もあり、先進国のように国としての信用は高くありません。このような地域への信用面における不確実性を「地域によるリスク」といいます。海外に投資する金融商品で資産運用をおこなう場合、カントリーリスクには注意が必要です。

 2. 分散投資でリスクヘッジ 

資産運用をしていくときには、上で述べたリスクに備えるリスクヘッジがなによりも大切になります。資産運用で一番王道なリスクヘッジの手法が「分散投資」です。

分散投資とは、投資する対象を複数に分けることで、どれか1つが値下がりしても他の値上がりでカバーするなど、資産が大きく減ってしまう可能性を小さくする投資手法になります。「卵は1つのカゴに盛るな」という資産運用の有名な格言がありますが、資産を1つに集中してしまうと、それが値下がりしたときに大きな損失につながってしまうため避けたいところです。では、実際どのような分散方法があるのか見ていきましょう。

図1.png

参照:金融庁ホームページ

 2-1. 資産の分散 
投資の対象となる資産にはさまざまなものがあり、それぞれ異なった値動きをします。「資産の分散」とは資産ごとの値動きの違いに着目して、別々の値動きをする複数の資産に投資をおこなうことです。資産の分散をすることにより、1つの資産の値動きによって運用資産全体が左右されるという状況を避けることができます。例えば、株式と債券は異なる値動きをする傾向にあるため、両方に分散して投資をおこなうというのが資産の分散にあたります。

 2-2. 地域の分散 
現在は日本だけでなく、さまざまな国や地域の、さまざまな資産に投資をすることができます。「地域によるリスク」でお伝えしたように、国や地域の状況・為替の変動などによって値動きが異なります。「地域の分散」とは、投資対象地域の違いに着目して、異なる地域の資産を組み合わせて投資をおこなうことです。国内と国外、先進国と新興国のように異なる国や地域の資産に投資をすることが地域の分散にあたります。

 2-3. 時間の分散 
資産は時間の経過によって値動きをします。なかには株式や外貨のように毎日価格が変動している資産もありますから、時間・時期による値動きを考慮し、1度にまとめて運用資金を投資するのではなく、何度かに分けて投資をおこなうのが「時間の分散」です。「安く買って高く売る」が投資の基本ですが、安いときに投資できるのがベストですが、安いタイミングを見極めることは言うほど簡単ではありません。ですから、タイミングをずらして何度かに分けて投資をすることで、価格が高いときにまとめて投資してしまうリスクを避けることができます。例えば、投資信託で毎月決まった日に購入する積立という購入方法がありますが、これは「時間の分散」の良い例といえます。

 3. 日本人の資産状況 

さて、ここまで「資産」「地域」「時間」という3つの分散投資の手法について説明してきましたが、実際に日本人が保有している資産がどのぐらい分散されているのか、海外と比較して見てみましょう。

図2.png

参照:資金循環の日米欧比較 日本銀行調査統計局調べ

こちらの図は、日本と米国とユーロエリアにおける一般家庭の金融資産の保有割合を表したものです。日本は「現金・預金」での保有率が54.2%と飛びぬけて高いことがわかります。逆に株式等での保有率は、米国が32.5%・ユーロエリアが17.2%・日本が9.6%。投資信託では、米国が12.3%・ユーロエリアが8.7%・日本が3.4%です。このデータからわかるように日本では米国やユーロエリアと比較して分散投資が十分におこなえていないことがわかります。

なぜ日本では分散投資がここまで進んでいないのでしょうか? 理由は日本経済の安定にあります。日本人は自国の通貨が安定しているため、このような資産状況に違和感をもたない人が多いのです。しかし、今後の日本は高齢化により苦しい事態に見舞われる可能性は十分に考えられる今だからこそリスクを分散していくべきだと考えています。

 コラム:アメリカでは、出産祝いに株をプレゼント! 
アメリカでは出産祝いとして株をプレゼントする文化があるそうです。また、子どもがお小遣いで株を気軽に買ったりすることも珍しくないのだとか。日本人からしたら信じられないことですよね。近年日本でも、株が安く買えるようになってきているので「出産祝いに株をプレゼント」なんて光景を目にするようになるかもしれません。

 4. 国際分散投資こそ最高のリスクヘッジ 

「分散投資が資産運用のリスクヘッジに最適なのはわかったけれど、実際にどうやっていけばいいのかわからない」と悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。そんな方には国際分散投資がおすすめです。

国際分散投資とは、投資地域を日本だけではなく先進国や新興国などに分散させる「地域の分散」によるリスクヘッジです。1つの国のみに投資をおこなうと、その国の経済の動向に運用結果が左右されてしまいます。そうならないためにも、さまざまな国に投資をおこなう国際分散投資がおすすめです。

まずは国際分散投資という地域の分散からはじめて、慣れてきたら資産・時間すべての分散を活用して卵をさまざまなカゴに入れられるようにしましょう。

▼アンナ社長のリスクヘッジや分散投資の事例について知りたい方はこちらをご覧ください。

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執筆者:荒木 杏奈

アンナアドバイザーズ株式会社

日本とカンボジアを拠点に、国内・海外不動産業を展開。

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荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

宅地建物取引士 / 1984年生まれ、東京都出身。
大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。
2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。

著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
   はじめての海外不動産投資