海外不動産への投資とは?先進国と新興国を比較してみよう!

執筆者:荒木 杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

海外不動産といってもたくさんの国があります。そもそも海外不動産への投資とはどのようなことなのか。
先進国と新興国、投資の対象となる国の経済や不動産市場の性質によって異なる特徴をメリット・デメリットで比較してみましょう。

海外不動産への投資とは

海外不動産への投資とは、自国以外の国や地域に存在する不動産に対して資金を投入し、収益を得ることを目的とした投資のことを指します。海外不動産への投資は、賃貸収入やキャピタルゲイン(資産価値の上昇による利益)を追求するために行われることが一般的です。

海外不動産への投資には、以下のような主な理由があります。

  • ポートフォリオの多様化
    国内のみに投資すると、地域の経済や不動産市場の変動リスクに対して一方的に晒される可能性があります。
    海外不動産への投資は、ポートフォリオを多様化し、リスクを分散するための手段となります。
  • 成長市場へのアクセス
    海外には成長著しい経済や不動産市場が存在し、その成長に乗じるために海外不動産への投資が選択されます。
    特に新興国や発展途上国では、インフラ整備や都市化の進展に伴い、不動産市場が拡大していることがあります。
  • 収益追求
    海外の不動産市場には高い賃貸収入やキャピタルゲインの潜在性がある場合があります。
    一部の地域では、需要と供給のバランスが良く、不動産価格が上昇していることがあります。
  • 移住や休暇用途
    海外不動産は、自身の住居や休暇地として利用するためにも購入されることがあります。
    海外にセカンドホームを所有することで、異なる文化や生活スタイルを体験することができます。

しかし、海外不動産への投資にはいくつかのリスクも存在します。
例えば、外国為替リスクや政治的・経済的な不安定要因による価値の変動、法律や規制の違いによるリスクなどが挙げられます。
そのため、海外不動産への投資を検討する際には、現地の市場や法律、税制について詳しく調査し、専門家の助言を得ることが重要です。

先進国不動産投資と新興国不動産投資

先進国不動産投資と新興国不動産投資は、投資の対象となる国の経済や不動産市場の性質によって異なる特徴を持ちます。

先進国不動産投資は、経済的に発展し成熟した国の不動産市場への投資を指します。
これには、アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、オーストラリアなどの国が含まれます。

先進国の不動産市場は、安定性が高く、法的・規制的なフレームワークが整備されています。また、賃貸収入やキャピタルゲインの潜在性があります。先進国の不動産投資は、収益の確保やポートフォリオの多様化を目的とする投資家に適しています。

一方、新興国不動産投資は、経済的に成長している国や発展途上国の不動産市場への投資を指します。
これには、中国、インド、ブラジル、ベトナムなどが含まれます。

新興国の不動産市場は、高い成長ポテンシャルがありますが、同時にリスクも存在します。政治的・経済的な不安定要因や法的な課題、市場の透明性の欠如などが挙げられます。新興国の不動産投資は、高いリターンを追求する投資家に魅力的ですが、同時にリスクを適切に評価し、地元の市場知識や専門家の助言を活用する必要があります。

どちらの投資も、投資家の目的やリスク許容度に合わせて選択されるべきです。適切なリサーチと専門家の助言を活用しながら、自身の投資戦略と目標に合った選択を行うことが重要です。

先進国不動産投資のメリットとは

先進国不動産投資には以下のようなメリットがあります。

  • 安定性
    先進国の不動産市場は一般的に安定しており、経済の成熟度や法的な枠組みが整っています。
    安定的な経済状況や確立された不動産規制により、投資家は比較的安全な環境で投資を行うことができます。
  • 収益の確保
    先進国の不動産市場は、賃貸収入やキャピタルゲインの潜在性があります。
    需要の安定性や成熟度の高さにより、安定したキャッシュフローや資産価値の増加を期待できます。
  • 市場の透明性
    先進国の不動産市場は、市場データや情報の入手が比較的容易であり、透明性が高い傾向があります。
    これにより、投資家は市場トレンドや需要の動向を把握しやすくなり、意思決定に役立てることができます。
  • リスクの分散
    先進国の不動産投資は、ポートフォリオのリスクを分散する手段として有効です。
    地理的、経済的な要因による影響を受けにくく、複数の国や地域に投資することでリスクを分散させることができます。
  • 資本の安全性
    先進国の法的・規制的なフレームワークにより、不動産投資における資本の安全性が高まります。
    投資家の権利保護や不動産取引の透明性が確保されているため、資本の保全がしやすくなります。

これらのメリットは、先進国の不動産市場が安定しており、投資家にとって比較的低リスクで収益性の高い投資機会を提供することを意味しています。
ただし、市場や地域ごとに異なる要素が存在するため、事前のリサーチや専門家の助言を受けながら、具体的な投資戦略を慎重に検討することが重要です。

先進国不動産投資のデメリットとは

先進国不動産投資には以下のようなデメリットが存在します。

  • 高い競争
    先進国の不動産市場は投資家の関心が高く、需要が安定しているため、競争が激しい場合があります。
    特に主要都市や人気地域では、良質な不動産物件を見つけることが難しくなる場合があります。
  • 高価な物件価格
    先進国の不動産市場では、物件価格が高い傾向があります。
    特に需要が高いエリアや不動産投資が人気のある都市では、投資に必要な資金が多くなる場合があります。
  • 低いキャッシュフロー
    先進国の不動産市場では、需要が安定しているため、賃料相場も比較的安定しています。
    その結果、賃貸収入が高いとは限らず、キャッシュフローが低い場合があります。投資利回りが低下し、収益性が制限される可能性があります。
  • 規制や税制の複雑さ
    先進国の不動産市場では、規制や税制が複雑な場合があります。
    異なる法律や規制、税制度に対応するためには、地元の法律や税務専門家の助言が必要となる場合があります。
  • 外国為替リスク
    海外からの投資では、為替リスクが存在します。
    投資対象国の通貨の変動によって、投資の価値や収益が変動する可能性があります。

これらのデメリットは、投資家が先進国の不動産市場に参入する際に考慮すべき要素です。
投資家は、競争の激しい市場や高価な物件価格に対処するために、慎重なリサーチや地元の市場知識を活用する必要があります。

また、規制や税制の理解と対応、外国為替リスクのヘッジ戦略の策定なども重要です。十分な準備と専門家の助言を得て、リスクを最小限に抑えつつ先進国不動産への投資を行うことが重要です。

新興国不動産投資のメリットとは

新興国不動産投資には以下のようなメリットがあります。

  • 成長ポテンシャル
    新興国の不動産市場は、経済成長が著しく、都市化や人口増加が進んでいます。
    これにより、需要の拡大や不動産価値の上昇の潜在性が高いです。投資家は、成長市場での投資によるリターンを追求することができます。
  • 低価格の投資機会
    新興国の不動産市場では、物件価格が比較的低い場合があります。
    特に発展途上国や新興国の一部地域では、まだ市場が未熟であるため、低価格な投資機会が存在します。これにより、低投資額で不動産ポートフォリオを構築することが可能です。
  • 高い収益性
    新興国の不動産市場では、賃貸収入やキャピタルゲインの潜在性が高いことがあります。需要の増加や物件価値の上昇により、高い収益を期待することができます。
    特に、急速に発展している都市部や観光地などのエリアでは、高いキャッシュフローや資産価値の成長が見込めます。
  • ダイバーシフィケーション
    新興国不動産投資は、ポートフォリオの多様化に役立ちます。
    先進国の不動産市場と比べて相関性が低く、異なる経済状況に影響を受けるため、リスクを分散することができます。
  • 政府の支援やインセンティブ
    新興国では、政府が外国からの投資を促進するための支援策やインセンティブを提供する場合があります。
    税制上の優遇措置や規制緩和などの措置を受けることで、投資家はより有利な条件で投資を行うことができます。

これらのメリットは、新興国の不動産市場が成長性と収益性の高い投資機会を提供することを示しています。ただし、新興国の不動産投資にはリスクも存在するため、地元の市場知識や法律、規制の理解が重要です。

投資家は、リサーチや専門家の助言を通じてリスクを適切に評価し、投資戦略を慎重に計画する必要があります。

新興国不動産投資のデメリットとは

新興国不動産投資には以下のようなデメリットが存在します。

  • 政治的・経済的な不安定性
    新興国は政治的な不安定さや経済の変動性が高い場合があります。
    政治的な不安定さや経済の問題が不動産市場に影響を及ぼす可能性があるため、投資リスクが高まります。
  • 法的・規制的なリスク
    新興国では、法的な枠組みや規制が整っていない場合があります。
    不動産の所有権や投資保護に関する法的な問題が発生する可能性があるため、投資家は地元の法律や規制に関する詳細な情報を入手する必要があります。
  • 市場の透明性の欠如
    新興国の不動産市場は、市場データや情報の透明性が低いことがあります。
    市場のトレンドや物件の評価が不確実な場合があり、投資判断が難しくなることがあります。
  • 通貨リスク
    新興国では外国為替市場の変動が大きいため、通貨リスクが存在します。
    外国からの投資や収益を本国通貨に変換する際に、為替レートの変動によって投資価値や収益が変動する可能性があります。
  • 地域特有のリスク
    新興国は多様な地域や文化を持っています。
    地域特有のリスク要因や地政学的な問題が不動産投資に影響を与える可能性があります。例えば、自然災害や社会的な不安定要因などが挙げられます。

これらのデメリットは、新興国不動産投資のリスクを示しています。

投資家は、事前のリサーチや専門家の助言を通じて、地元の市場環境やリスク要因を評価し、慎重な投資戦略を立てる必要があります。リスクとリターンのバランスを考慮しながら、投資先を選択することが重要です。

海外不動産投資をするために必要なこと

投資の目的や戦略を明確にすることが重要です。収益を得るためのキャピタルゲイン重視の投資なのか、安定的なキャッシュフローを得るための賃貸物件投資なのかを考慮しましょう。

投資先の国や地域を選定し、市場調査を行います。不動産市場の成熟度、経済状況、政治・法律環境、不動産の需要と供給バランスなどを評価し、投資先のポテンシャルを把握します。
そして、投資先の国の不動産取引に関する法律や規制を理解しましょう。外国人による不動産所有や投資に関する制限や手続き、税務情報などを把握し、遵守する必要があります。

また、投資先の地域で信頼できる地元の不動産エージェント、弁護士、税務アドバイザーなどの専門家と連携しましょう。
地元の専門家のアドバイスやサポートを受けることで、地域の情報や手続きに精通し、スムーズに投資を進めることができます。

投資家はリスクとリターンのバランスを考慮し、専門家の助言を受けながら慎重な判断を行う必要があります。

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荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

代表取締役 / 宅地建物取引士 / 宅地建物取引業 東京都知事免許(2)第99967号
所属団体:一般社団法人RE AGENT 理事長 / 一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC) / 公益社団法人全日本不動産協会
1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。
著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
   はじめての海外不動産投資