執筆者:荒木 杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社
ここ10数年ほど、カンボジアはほぼ毎年にわたってGDPが好調に成長しており、海外不動産投資家から注目を集めています。
また、カンボジアには不動産投資を行うにあたって、さまざまなメリットがあります。
今回は、カンボジア不動産投資のメリットをお伝えするとともに、当国の最新事情についてもご紹介しましょう。
カンボジア不動産投資が魅力的な理由7選
カンボジア不動産投資の魅力について、大きく7つに分けました。
それぞれの魅力について、詳しく解説します。
①カンボジア政府が外資の誘致に積極的
日本貿易振興機構(JETRO)の発表にもありましたが、カンボジア政府は外資の獲得に積極的な姿勢を示しています。
2023年にフン・マネット氏が首相に就任してから、投資に関してさまざまな優遇措置が講じられました。
不動産投資の分野も、追い風といえる状況になっています。
・新投資法制が制定されている
新投資法制は投資のさらなる誘致・促進を目的に2023年に制定・施行されています。この法制はカンボジア当局の認可を条件として、税制などに優遇措置を採るというものです。
従来の縫製産業から、高度テクノロジー産業への転換を目指すことを目的とした法制で、法人税の減税などで国内産業のさらなる発展を後押ししています。
投資法においては、外国人投資家に自由度の高い取引を引き続き保障しています。
・不動産分野も投資優遇措置に該当している
かねてよりカンボジアでは、適格投資プロジェクト(QIP)の認可を受けることで、税制上の優遇措置などを受けることができましたが、産業の性質によって差異がありました。
新法制では各業種を見直しグループ分けするとともに、よりテクノロジーの発展に貢献できると期待された業種には、さらに手厚い優遇措置が認められます。
不動産分野もQIPの対象となっており、主に以下のような条件のもとで優遇措置が受けられます。
- 物流センター事業:1,000万米ドル以上
- ホテル(リゾートホテルも同様):4つ星以上
- ホテル・遊園地・ジム・動物園などのサービスを備えたリゾート:3つ星以上のホテル、かつ土地面積が10ヘクタール以上
出典:JETRO「カンボジア 外資に対する奨励(最終更新:2023年9月27日)」
なお、カンボジア不動産投資で取引される物件は日本でのマンションにあたるコンドミニアムが多いですが、弊社では高級ホテルや物流センターなども扱っております。
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②東南アジアで唯一米ドルでの取引が可能
カンボジアではごく一部の農村部で自国通貨リエルのみを使用していますが、都市部をはじめ大半の地域では米ドルが流通しています。
東南アジア諸国では決済や資産の保有は自国通貨に限定されている一方、カンボジアでは唯一米ドルでの取引が可能です。
不動産の収益を米ドルで保有し、そのまま他国間でのやり取りができるため、スピーディーかつ安定した資産運用を実現しやすいでしょう。
③物件の利回りが5~10%程度と高水準
外資の誘致に積極的なカンボジアは、プノンペンを中心に好調な発展を遂げており、外国人富裕層からの人気も高まっています。
開発の進むプノンペン周辺部には高級コンドミニアムが多く、家賃収入による利回りは約5〜10%と高水準なのが特徴です。
また、ホテル・物流センターなどの事業用物件も増えてきており、物件の選択肢が増えている点も魅力といえます。
④非居住者の銀行口座開設にも対応
東南アジアの多くの国が、銀行口座の開設を国内居住者に限定する一方、カンボジアでは非居住者であっても銀行口座を開設できます。
カンボジア国外に居住しながら、カンボジア銀行口座を保有できることで、不動産運用で出た収益のスムーズな管理が期待できます。
ただし、近年は非居住者による口座開設が制限される場合もあるので注意が必要です。
また、口座開設にあたっては書類や手続きなどが必要なため、専門業者のサポートを受けることをおすすめします。
弊社では、物件の仲介に加えて、銀行口座の開設もサポートしております。
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⑤カンボジア銀行の預金利息は約5%
前述したように、カンボジアでは非居住者でも国内に銀行口座を開設できます。
カンボジアで銀行口座を開設する大きなメリットは、定期預金の利息が約5%と、日本とは比較にならないほど高いことです。
家賃収入などの収益をカンボジアの銀行口座に預金することで、資産をさらに増やせる可能性が高くなります。
物件の利回り・預金口座の利息率の両方が高いため、ハイリターンが見込めます。
⑥海外への送金は無制限
カンボジアでは、国内で保有している資産を海外に送金する際の制限がありません。
JETROのサイトでも、投資法の項目に以下のような記載があります。
- カンボジア政府は、投資家が銀行を通じて外貨を購入し、次の目的のためにその外貨を海外へ送金することを許可する。
a. 輸入品の代金、もしくは国際的な借入に対する元金・利息の支払い
b. ロイヤルティー、および管理費用の支払い
c. 利益の送金
d. 投資資本の本国送金
出典:JETRO「カンボジア 外資に対する奨励(最終更新:2023年9月27日)」
明確な規制がなく、不動産運用で得た収益を銀行に届け出るだけで送金できるため、流動性の高い資産運用が可能です。
⑦キャピタルゲインによる利益は期待大
カンボジアの不動産投資では、家賃収入によるインカムゲインのほか、不動産を売却するキャピタルゲインでも大きな利益を期待できます。
2024年6月現在、カンボジアでは個人が不動産を売却した際のキャピタルゲインは、課税の対象外となっています。(法人の場合は20%が課税対象)
2024年1月から個人のキャピタルゲインにも20%が課税される予定でしたが、コロナ禍や中国政府の海外不動産投資規制などが原因で1年延期となりました。
2024年は、個人がキャピタルゲインによる収益を得るベストタイミングともいえるでしょう。
カンボジアのGDP成長率は2024年も右肩上がり
カンボジアのここ10年ほどのGDP成長率は、以下の通りです。
- 2012年:7.31%
- 2013年:7.36%
- 2014年:7.14%
- 2015年:6.97%
- 2016年:6.93%
- 2017年:7.00%
- 2018年:7.47%
- 2019年:7.05%
- 2020年:-3.10%(コロナの影響でマイナス成長)
- 2021年:3.03%
- 2022年:5.10%
参照:CEIC
2020年のコロナ禍を除いては、常に右肩上がりの成長を見せており、国内経済は好調の一途を辿っています。
観光業・縫製産業が活発であり、政府の新法制によって高度テクノロジー産業の成長も期待されています。
政府が外資の獲得に積極的な姿勢を示している状況も、外国人投資家にはプラスといえるでしょう。
好調な経済成長を裏づけるように、プノンペンを中心に高級コンドミニアムやホテル・ショッピングモールの建設が進み、都市はさらなる発展を遂げています。
富裕層向けの利回りが高い物件が多く、米ドルによる自由度の高い取引がしやすい環境から、2024年のカンボジア不動産投資はなお加熱した状況といえます。
日本とカンボジア間で経済特区構想の検討が加速
カンボジアと日本の間で、経済特区(SEZ)構想の検討が前向きに進められています。
2023年末には、フン・マネット首相が岸田文雄首相に、日本企業専用の経済特区を提案しました。
2024年にはカンボジア開発評議会(CDC)が、投資誘致や持続可能な開発目標などを達成するための「グリーン経済特区」への賛同を示しています。
近隣国のタイ・インド・マレーシアなどとも連携した経済特区構想が進行しており、日本を含めたアジア諸国の外資を積極的に誘致しています。
なお、プノンペン周辺には既にイオン・吉野家・和民などが出店しており、日系企業の進出が活発な点も要注目です。
官民問わず日本と深い経済交流がなされており、GDPも好調に推移していることから、不動産投資においてもますますの発展が期待できます。
要注意!?覚えておきたいカンボジア不動産投資のリスク&デメリット
ここまで、カンボジア不動産投資の魅力やメリットについて解説しましたが、カンボジア不動産投資にはリスクやデメリットもあります。
不動産投資で失敗しないためにも、リスクやデメリットについても把握しておきましょう。
①詐欺業者に遭遇するリスク
カンボジアはここ10年ほどで右肩上がりの経済成長を成し遂げました。
裏を返せば未成熟な部分があり、不動産業界も例外ではありません。
なかには、詐欺を目的とした悪徳業者が存在するのも事実です。
- 家賃保証付きの物件を購入したのに、購入後に家賃収入が入ってこない
- 家賃の送金が止まった後、売主からの連絡が途絶えた
上記のようなケースに遭遇した事例もあり、初心者や高齢者だけでなく、ベテラン投資家を対象とした手の込んだ詐欺もあるので注意が必要です。
②物件の工事が中断するリスク
カンボジア不動産業界では、物件を建築する際にプレビルド方式が多く採用されています。
プレビルド方式は、建物の着工時に頭金を入金し、工事の進行にともなって残金を支払うといったものです。
中小のデベロッパーが物件を手がけていた場合、デベロッパーの倒産によって工事が中断されるリスクがあります。
「頭金を支払ったのに、物件が完成しなかった」という事態に陥る可能性があるのです。
カンボジアで不動産を購入する際は、大手デベロッパーが関係する物件以外は避けた方が無難といえるでしょう。
③現地を視察する際の負担の大きさ
カンボジア不動産投資では、物件そのものの良し悪し以上に、物件の周辺環境が重要な判断材料になります。
広い視野に立って物件を見極めるには、現地に足を運んで直接確かめるのがベストといえるでしょう。
ただ、カンボジアへのアクセスは直行便で約7時間、他国を経由すると約10時間と決して手軽とはいえません。
空港から物件への移動も加味すると、時間・費用ともに負担は小さくありません。
個人でも物件オーナーとやり取りをして現地を視察できますが、言語の壁もあり、敷居が高く感じられる方も多いでしょう。
現地を視察する際は、業者のツアーに参加することをおすすめします。
信頼できる業者を選ぶことがとても重要
カンボジア不動産投資にはリスクやデメリットもあるとご紹介しました。
リスクを避け、デメリットを緩和するにはやはり信頼できる業者を選ぶのがポイントです。
優良業者を介することで、信頼性の高い現地仲介業者や大手デベロッパーが手がける物件を購入でき、詐欺や工事中断といったリスクを避けやすくなります。
安心して不動産投資を行える環境を手に入れることで、カンボジア不動産投資のメリットをより受けやすくなります。
弊社は信頼できる現地業者とだけ提携し、健全かつきめ細かな投資サポートをご提供可能です。
カンボジア在住経験があり、今なお現地への渡航が多い代表・荒木が同行させていただく現地ツアーもございます。荒木が同行する現地ツアーの様子は、YouTubeチャンネルでも配信しております。
初心者の方に向けたセミナーも定期的に開催しておりますので、ぜひご参加ください。
まとめ
今回は、カンボジア不動産投資の魅力やメリットについてご紹介しました。
カンボジアはGDPが右肩上がりの成長を続けており、政府が外資の誘致に積極的な姿勢を示しています。
2024年も、カンボジア不動産投資は「熱い市場」だといえます。
この機会に、カンボジア不動産投資を検討されてはいかがでしょうか。
荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社
代表取締役 / 宅地建物取引士 / 宅地建物取引業 東京都知事免許(2)第99967号
所属団体:一般社団法人RE AGENT 理事長 / 一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC) / 公益社団法人全日本不動産協会
1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。
著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
はじめての海外不動産投資