カンボジアの銀行を知ろう!銀行の種類から口座開設方法まで丁寧に解説

執筆者:荒木 杏奈

アンナアドバイザーズ株式会社

2021/10/27

カンボジアの銀行と言えば、一時期金利が7%台だったこともあり、日本でも話題となったため、知っている人もいらっしゃるのではないでしょうか。

現地に行かなければ口座を開設できないにも関わらず、多くの人がツアーに参加してまで口座開設をしたカンボジアの銀行。

今回はそんなカンボジアの銀行事情を銀行の種類から口座開設の流れまで丁寧に解説していきます。

 1. カンボジアの銀行ってどうなっているの? 

現在カンボジアには、24行の商業銀行、6つの専門銀行、18のマイクロ・ファイナンス機関及び60のマイクロ・ファイナンスNGOが存在しており、資金の国際的移動、信用状の発行、外国為替サービス等の業務をおこなっています。

カンボジアにある銀行の歴史は意外にも浅く、大手銀行ですら90年代以降にできたものがほとんどです。銀行の多くは日本やアメリカの出資を受けているため、外国人向けのサービスがとても手厚いのが特徴です。

プノンペン商業銀行などの一部銀行では完全日本語対応をしていて、現地の日本人だけでなく、日本にいながら口座を持っている方でもスムーズにやり取りすることができます。

 1-1. 通貨の取り扱い 
カンボジアには「リエル」という独自の通貨がありますが、通貨への信用が低いため、現地の人ですら米ドルを使っているのが現状です。
そのため銀行でも米ドルが当然のように流通しています。米ドルですと、貨幣価値が急落する心配もないため安心して銀行に預けておくことができますね。

 1-2. 金利が高い 
銀行にお金を預けると、預金額に応じて利息が支払われます。そして1年分の預金利息の割合のことを「金利」と言います。カンボジアの銀行において特筆すべきはその金利の高さ。日本の大手銀行の利率が0.001~0.002%なのに対して、カンボジアでは4%台となっています。なぜそんなに金利が高いのでしょう?

カンボジア国内では米ドルが刷れないため、なんとしてでも国外から米ドルを調達する必要があるのです。海外に米ドルが流れてしまうと、カンボジアの流通貨幣が不足し、経済が回らなくなってしまう恐れがあるため、高金利政策をとり世界中から米ドルを集めているのです。
金利は銀行ごとによって異なるため、どの銀行へ投資するかしっかりと比較して決めていきましょう。

 2. カンボジアにある銀行の種類 

カンボジアには現在、マイクロ・ファイナンスを含めると100を超える銀行があります。
今回はその中でも、特に大きな銀行を4つ見て行きましょう。
 

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 2-1. アクレダ銀行(ACLEDA Bank) 
カンボジア最大の銀行と言えばこのアクレダ銀行。支店数や、現地での知名度もさることながら、なんと筆頭株主が三井住友銀行であり、日本の企業だけで実に3分の1の株式を保有していることが特徴です。

郵送での口座開設も可能とのことですが、非居住者の口座開設には対応しておりません。しかし、日本企業との強いパイプから居住者であれば最低限の必需品と現地の電話番号があれば口座開設に対応してくれるそうです。
カンボジアの主要産業である農林水産業と小売業向けの融資が多いことが特徴になっています。

 2-2. プノンペン商業銀行(Phnom Penh Commercial Bank) 
プノンペン商業銀行は、カンボジア国内で唯一非居住者の口座開設が公的に認められている銀行になります。必要になるのは「パスポート」「初期費用」「雇用契約書、在職証明書、事業証明書」のみ。

プノンペン商業銀行にはジャパンデスクがあり、完全日本語対応が可能となっています。電話だけでなく、現地にも日本語を話せるスタッフが常駐していることから、誰でも気軽に口座開設できるのが強みです。

 2-3. カナディア銀行 
カンボジア国内で2番目のシェアを誇るカナディア銀行。日本ではみずほ銀行、三菱UFJ銀行と提携しています。金利は最大で5.25%。しかし、1年以上取引がない場合、口座が凍結されてしまうので、カンボジア国外にいながら運用するのには向いていない銀行ではないでしょうか。

 2-4. ABA銀行(ABA Bank) 
ABA銀行は近年カンボジア国内で人気を拡大している銀行になります。インターネットバンキングが使いやすいと評判で、「2020年カンボジア最優秀銀行」にも選出されている銀行です。

 3. カンボジアの銀行に口座を開設する方法 

当然ですが銀行ごとに口座の開設方法や必要なものは変わります。今回は日本人が比較的に口座の開設・運用をしやすいプノンペン商業銀行を例に口座の開設方法を紹介していきます。

 口座開設の流れ 
プノンペン商業銀行では、非居住外国人の郵送による口座開設に対応していないため、最寄り店舗の窓口に行く必要があります。

窓口で口座を開設したい旨を伝えると、申請書を渡されるので、必要事項を記入しましょう。このときに必要書類の提出も行います。外国人でカンボジア非居住者の方がプノンペン商業銀行に口座を開設するときに必要となるものは次のとおりです。

・パスポート
・雇用計画書
・在職証明書
・事業証明書

これらの資料は原則として公的機関または法人から正式発効されたものである必要があります。受付が終わり、初期費用を入金すれば口座開設完了です。書類などに不備がなければ通常30分~1時間ほどで口座開設の手続きが完了となります。

プノンペン商業銀行にはジャパンデスクという日本人専用の窓口があり、日本語での対応を行っているため、英語に自信がない方はこちらを活用するようにしましょう。

開設できる口座は、

普通預金口座:金利が低いが引き出しが自由にできる。
当座預金口座:ビジネスの取引に使う人向け、金利はつかない。
定期預金口座:自由にお金の出し入れはできないが高い金利がつく。

の3つです。また、非居住者は居住者よりも税率が高くなることだけ注意しておきましょう。
 

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 4. カンボジアの銀行に預金するときの注意点 

カンボジアに口座を開設するときに知っておくべき大事なことがあります。
それは銀行が破綻した場合の保証がないということ。日本には、金融機関が破綻した場合、預金保険機構が元本とその利息の一定分を払い戻すという仕組み(ペイオフ制度)があります。カンボジアの銀行にはそれがないため、万が一預金を預けている銀行が破綻した場合、すべて失われるリスクがあります。

 5. カンボジアの銀行への預金で相乗効果を狙おう 

いかがでしょうか。
カンボジアの銀行への口座開設は現地に行ってしまえば比較的簡単に行えることがおわかりいただけたのではないでしょうか。

金利が4%台になってしまった今、わざわざカンボジアまで出向き口座を開設するメリットは以前ほどなくなったかもしれません。

しかし、カンボジアで不動産投資をするなど、他の投資と合わせた相乗効果で考えると、カンボジアに口座開設をしておくことで、投資で得たお金がさらに金利で増えていくことになるのです。

執筆者:荒木 杏奈

アンナアドバイザーズ株式会社

日本とカンボジアを拠点に、国内・海外不動産業を展開。

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荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

宅地建物取引士 / 1984年生まれ、東京都出身。
大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。
2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。

著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
   はじめての海外不動産投資