執筆者:荒木 杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社
不動産投資は、物件の所有と安定的なリターンを見込める魅力がありますが、残念ながら詐欺に遭うリスクも無視できません。
手付金詐欺、二重譲渡、さらには海外不動産投資詐欺など、巧妙な手口が横行しており、投資家を不安にさせています。
これらの詐欺は、初心者はもちろんのこと、経験豊富な投資家でさえも騙される可能性があります。
不動産投資の世界において、信頼できる業者の見極めは決して簡単ではありません。
また、もし詐欺に遭った場合、どのように対処すればよいのか不安を抱え、踏み出せない方もおられます。
この記事では、不動産投資におけるよくある詐欺の手口を明らかにし、回避方法を詳しく解説します。
不動産投資でよく見られる詐欺手口4つ
不動産投資は魅力的な収益源ですが、同時に多くの詐欺リスクも伴います。
詐欺の手口は巧妙で、投資家を惑わす多様な手法が存在していますが、投資家に広く知られているわけではありません。
以下の4つは、よく見られる不動産詐欺手口です。
- 手付金詐欺
- 入居状況詐欺
- 二重譲渡詐欺
- 海外不動産投資詐欺
ここでは、不動産投資における代表的な詐欺手口の特徴や防御策について詳しく解説します。
① 手付金詐欺
不動産投資において、手付金詐欺は特に注意が必要な詐欺手口です。
不動産売却や物件の購入の際、信頼できる不動産会社の見極めが大切ですが、残念ながら悪質な業者による詐欺被害が後を絶ちません。
手付金詐欺は、売主や仲介業者が偽の不動産取引を装い、買主から手付金を詐取する手口です。
手付金とは、物件購入の意志を示すために支払う予約金で、通常、売買契約が成立した後に支払われます。
手付金詐欺にはいくつかのパターンがありますが、代表的なものに「おとり広告」があります。
これは存在しない物件や条件の良い物件を広告し、興味を持った買主から手付金を騙し取る手法です。
また、「サブリース契約」を装い、将来の家賃収入を保証すると偽って手付金を詐取するケースもあります。
手付金詐欺に巧妙な詐欺まがいの手法が存在しますので、相手の営業マンや電話連絡に対しても警戒してください。
手付金詐欺に遭わないためには、物件の選び方や契約の進め方に注意が必要です。
まず、不動産取引は、宅地建物取引業者による仲介が一般的ですが、売主や仲介業者の信頼性を十分に確認してください。
信頼できる仲介業者を見つけるには、宅建業免許の有無、過去の取引実績や評判を調査するとよいでしょう。
また、物件の査定額や市場価格を確認し、不自然に高額な手付金を要求される場合は特に警戒してください。
物件を選ぶ際にも、買取業者による囲い込みにあい、重要な情報が遮断されていないか、悪徳業者ではないか注意が必要です。
悪徳業者は法テラスなどの公的機関を装って詐欺を行うこともありますので、さまざまな角度から信頼性を確認しましょう。
手付金詐欺を防ぐためには、契約書の内容も重要です。
契約書には物件の詳細や取引条件が記載されていますので、内容をしっかりと確認し、理解できない部分は専門家に相談するようにしましょう。
② 入居状況詐欺
入居状況詐欺は、不動産会社や業者が物件の入居状況を偽って投資家を騙す手口です。
例えば、実際には空室の物件を満室と偽り、高い家賃収入が見込めると誤解させるケースがあります。
投資家は実際の入居状況と異なる見込みで物件を購入してしまい、結果として期待した収益を得られない事態に陥ります。
この手口の危険性は、表面的な情報だけで判断しやすい不動産投資の性質にあります。
実際の入居状況の確認なく物件を購入すると、後になって現実とのギャップに直面します。
物件の査定価格の確認のために、現地確認や第三者による客観的な評価を得るように努めましょう。
契約書の詳細な確認と不動産業者の選定も重要です。
信頼できる業者を選ぶために、業者の実績や評判を調査し、過去の取引事例の確認を怠らないようにしましょう。
特に、多くの成功事例や顧客満足度の高い業者が望ましいです。
また、市場動向や物件の評価方法、法律知識など、不動産投資における基本的な知識の獲得も入居状況詐欺の対策になります。
詐欺を避けるためにも、不動産投資に関連する情報を常にアップデートし、最新の市場動向や法律の変更に注目するようにしましょう。
③ 二重譲渡詐欺
二重譲渡詐欺は、売主が一度売却された物件を、再度別の買主に売って不正に利益を得る詐欺です。
二重譲渡を未然に防ぐためには、取引前に必ず登記簿のチェックが欠かせません。
特に不動産投資初心者は、経験不足から登記簿謄本の確認を怠る傾向があるため、詐欺の被害に遭いやすくなります。
二重譲渡詐欺に遭わないためにも、不動産取引を行う際には、登記簿謄本を確認し、物件の所有権状況の正確な理解に努めてください。
また、信頼できる不動産会社や仲介業者の選定も重要で、契約書の内容や取引の流れについて正確に説明できる業者を選びましょう。
二重譲渡詐欺を防ぐには、売買契約を結ぶ前に物件の登記情報を確認し、すでに他の買主に売却されていないかを徹底的にチェックしてください。
不動産取引におけるリスク管理の一環として、購入予定の物件に関する情報の多角的な収集も有効です。
市場価格や周辺環境、物件の状態など、物件に関する情報を総合的に評価すれば、詐欺に遭遇するリスクを低減できます。
④ 海外不動産投資詐欺
海外不動産投資詐欺は、投資家が海外の物件に投資する際に、存在しない物件や実際とは異なる条件の物件への投資契約させる詐欺です。
海外不動産投資には、言語の壁や法律、市場環境の違いなど、国内投資とは異なる多くのリスクがあります。
投資家が海外不動産投資詐欺に遭う一因は、海外不動産市場に対する不十分な理解です。
海外の不動産市場は国によって大きく異なり、価格動向や法律、税制などの詳細な知識がなくてはなりません。
徹底したリサーチなしに海外不動産投資をするなら、非常に無謀で危険です。
海外の物件取引では、現地の業者との連携が不可欠なため、実績のある業者の選定が詐欺の回避に直結します。
信頼できる不動産会社や仲介業者を選び、十分に備えてください。
また、契約書は現地の言語で作成されることが多いため、内容を正確に理解するためには翻訳サービスや法律の専門家への相談もご検討ください。
また、海外不動産投資詐欺を防ぐためには、物件の実際の状態の確認が重要です。可能であれば、自ら現地を訪れ、物件の状況を直接確認するか、信頼できる第三者に依頼しましょう。
投資家は、海外不動産投資における税金や法的な問題にも注意を払う必要があります。
特に、国によっては外国人の土地所有に制限がある場合もあるため、法律や税制の熟知は不可欠です。
税理士や弁護士などの専門家に相談し、海外の不動産市場に精通したアドバイスを得るように努めてください。
注意すべき不動産業者の特徴4つ
不動産投資は大きな機会を提供する一方で、不正行為や詐欺の温床でもあります。
不動産投資の詐欺を行う業者にはどのような特徴があるのか知らなければ、気づかないうちに騙されてしまうかもしれません。
以下の4つは、注意すべき不動産業者の特徴です。
- 投資リスクなど不利な情報を伝えない
- 実際にない物件を表示するおとり広告をされている
- 事務所はマンションの1室、雑居ビルにある
- 頭金なしなど営業トークをする
ここでは、注意すべき不動産業者の特徴を4つに分けて詳しく解説します。
① 投資リスクなど不利な情報を伝えない
投資リスクや不利な情報を伝えない不動産業者には注意しましょう。
信頼できる不動産会社は、投資のメリットだけでなく、リスクやデメリットの正確な説明があります。
しかし、中には投資家を誘引するために、リスクを軽視し、利益のみを強調する業者も存在します。
メリットばかりを強調する業者からの物件購入は、後になって予期せぬ問題や損失に直面するリスクが高いです。
例えば、物件の立地や将来の市場価値、維持管理費用など、不動産投資には多くの潜在的リスクが伴いますが、事実を適切に伝えない業者は信頼に欠けます。
不動産業者にすべてを一任して物件購入の決断を下す前に、自分自身で市場調査を行い、専門家の意見を聞くなど、十分に備えるようにしましょう。
また、物件の見込み収益だけでなく、税金、保険、維持管理費用などの追加コストについても考慮する必要があります。
不動産詐欺に遭わないためにも、不動産業者が提示する情報の出所を確認し、提供された情報が客観的かつ現実的な基準に基づいているか検証しましょう。
② 実際にない物件を表示するおとり広告をされている
実際に存在しない物件を表示する「おとり広告」をする不動産業者には警戒してください。
おとり広告は、実際には売買や賃貸の対象とならない物件の情報を掲載し、消費者を誘引します。
おとり広告の目的はあくまで顧客の集めることで、実際の取引には結びつかない場合が多いです。
おとり広告に掲載される物件は、通常、市場価格よりも低価格で提示され、非常に魅力的に見えます。
しかし、実際に問い合わせをすると、すでに「売却済み」や「貸出済み」とされ、他の物件を紹介されるのが典型的なパターンです。
広告がどれだけ魅力的であっても、まずは冷静に疑問を持って、物件の詳細情報や写真の信頼性を確認しましょう。
広告に掲載されている物件の詳細情報が少ない、または曖昧な表現が多い場合には、特に注意が必要です。
また、不動産業者を選ぶ際には、透明性があり、実在する物件のみを取り扱っているかなど、評判や過去の取引実績を確認するようにしましょう。
物件に関する情報を提供する際の業者の対応や態度からも、業者の信頼性をある程度判断できます。
物件の見学を希望した際に、誠実に受け答えしてニーズに応えようとしてくれているか、すぐに他の物件を勧めて自社の利益を優先していないかなど冷静に観察してください。
③ 事務所はマンションの1室、雑居ビルにある
マンションの一室や雑居ビル内に事務所を構える業者には、注意しましょう。
雑居ビルのマンションの一室に事務所を構えるだけの事情とは、例えば、不正な活動に関与するため一時的な利用、資金力が不足しているか、隠れる必要があるような業務実態などが疑われます。
信頼できる不動産業者の多くは、アクセスが良く、きちんとしたオフィスを構えています。
また、事務所の立地や外観だけでなく、内装や設備にも注意を払いましょう。
古くて手入れが行き届いていない事務所や、最低限の設備しかない場合は、業者の信頼性に疑問を持つべきです。
また、事務所の住所が実際に存在するかどうかも確認しましょう。
インターネット上の住所と実際に訪問して確認した住所が異なる場合、その業者には警戒が必要です。
業者の信頼性を測るために、事務所訪問時のスタッフの応対や雰囲気も参考にし、専門的知識を持ち、親切であるか確認しましょう。
事務所がマンションの一室や雑居ビルにある場合でも、必ずしもその業者が信頼できないわけではありませんが、十分な警戒をおすすめします。
④ 頭金なしなど営業トークをする
「頭金なし」や「高利回り保証」など、現実離れした営業トークをする業者にはご注意ください。
不動産投資にリスクはつきものですが、過度に楽観的な見通しを提示する業者は信頼に欠けます。
「頭金なしで投資が可能」という言葉は、特に初心者投資家を対象にした誘い文句です。
しかし、多くの場合、隠れたコストやリスクを含んでいるため、慎重な検討が必要です。
不動産投資において、高い利回り保証は現実的ではありません。
市場の変動や物件の状態によって、予測された利回りが得られない場合も十分ありえます。
そのため、高利回りを保証する業者の言葉を鵜呑みにしないようにご注意ください。
営業トークの中で特に注意すべきは、具体的な根拠や計算方法が示されない説明です。
利回りや収益の計算にはさまざまな要素が影響するため、通常、簡単な数値の提示だけで終わりません。
また、業者選びの際は、提供される情報の透明性にも注意を払いましょう。
隠されたコストや条件がないか、契約前に詳細な説明を求めるのも有効です。
営業トークに流されず、物件や投資計画について冷静に分析できるだけの知識と、業者の情報とは別の、専門家の意見が得られると尚よいでしょう。
短期的な利益を強調する業者の提案には特に注意してください。
不動産投資詐欺に回避する方法
不動産投資では、大きな利益を目指すだけでなく、詐欺や不正行為を回避する努力も大切です。
不動産投資の契約に進む前に、以下の4点に留意しましょう。
- 不動産投資の基礎知識を身につける
- 取引実績があるなど信頼できる不動産会社を見極める
- 疑問を持ったままに話を進めない
- 知識、スキル豊富な担当者を見つける
ここでは、不動産投資詐欺を回避するための具体的な方法を解説します。
① 不動産投資の基礎知識を身につける
不動産投資詐欺を回避する最も効果的な方法の一つは、不動産投資の基礎知識の習得です。
知識があれば、詐欺の兆候を見抜きやすくなります。
まず、不動産投資における基本的な用語や仕組みを学びましょう。
物件の選定方法、投資のリスク、収益の計算方法などの知識があれば、業者が提供する情報の真偽を判断しやすくなります。
また、不動産市場の現状把握も重要です。
市場のトレンド、物件の価格動向、地域の発展計画など、市場の全体像を把握できれば、良い投資判断ができます。
不動産投資に関する法的知識も詐欺に対する守りになります。
契約書の読み方、登記、税金、法律上の権利や義務など、基礎知識をおさえておいて損はありません。
また、リスク管理に関する知識も役に立ちます。
どのようなリスクが存在し、リスクをどのように管理するかを理解できれば、より安全な選択ができます。
情報源を広げ、さまざまな角度からの情報収集も効果的です。
書籍、セミナー、ウェブサイト、専門家の意見など、多様な情報源を活用し、不動産投資に役立てましょう。
不動産投資に関する基礎知識があれば、不動産業者との交渉でも、的確な質問をし、正確な情報を取得しやすいです。
たとえ時間がかかったとしても、不動産投資の基礎知識の習得には価値があります。
② 取引実績があるなど信頼できる不動産会社を見極める
海外不動産は日本の宅建業は適用外になるため、以下は日本国内の不動産投資の場合としてご確認ください。
信頼できる不動産会社であるか見極め、不動産投資詐欺を回避するために、まず、会社の取引実績を確認しましょう。
取引実績が豊富な不動産会社は、長い歴史を持ち、信頼性が高いです。
不動産投資に関する成功例や顧客の声など、地域で良い評判があれば、尚よいでしょう。
また、宅地建物取引業者免許なども確認し、国土交通省の登録や保証協会への加入状況もチェックしましょう。
物件の詳細情報、価格設定、利回りなど提供される情報の透明性も重要で、会社がどのようなサービスを提供しているかも入念に調査してください。
物件の管理やアフターケア、賃貸サポートなど、投資に関わる幅広いサービスの提供有無も確認が必要です。
さらに、会社の財務状況や経営状態も重要です。
安定した経営基盤を持つ会社は、自社の利益を優先して詐欺を働く動機が薄く、信頼性が高いと言えます。
インターネット上のレビューや評価、知人からの推薦など、口コミや評判も参考にしましょう。
不動産セミナーや相談会に参加するのも良い方法です。
実際に会社の担当者と直接話すれば、会社の専門性や対応を確認できます。
また、会社のホームページや資料も細かくチェックしましょう。
提供している情報の質や量、専門性を確認して、会社の信頼性をはかる材料になります。
これらのステップを踏み、信頼できる不動産会社を見極めるように努めてください。
③ 疑問を持ったままに話を進めない
疑問や不安がある場合、解消するまで契約を進めるべきではありません。
不動産投資には、多くの専門用語や複雑な契約内容が存在するため、理解できない点や不明瞭な部分があるのは当然です。
不動産会社や仲介業者は、顧客が納得するまで丁寧に説明する責任があります。
不明瞭な点がある場合、疑問点がなくなるまで遠慮せず質問しましょう。
明確な答えが得られない場合や曖昧な対応のみで納得できない場合は、慎重になるべきです。
また、業者が提示する情報以外に自分自身で独自に情報を収集し、確認する姿勢も必要です。
インターネットや専門書、セミナー参加などを通じた知識の習得は、不動産詐欺の回避につながります。
また、契約書や関連書類は、署名・捺印前に細部まで確認してください。
特に、金額や支払条件、キャンセルポリシーなどの重要項目は慎重にチェックしましょう。
信頼できる専門家や知人など第三者の意見も有効で、客観的な視点が得られ、問題点を発見しやすくなります。
契約内容についての疑問や不安を感じた場合、強引な営業には屈せず、必要に応じて他の業者とも比較検討しましょう。
不動産投資は大きな金額が動くため、後悔のない慎重な行動が大切です。
④ 知識、スキル豊富な担当者を見つける
不動産投資詐欺を避けるために、信頼できる知識とスキルを持つ不動産の専門家を見つけましょう。
専門知識を持つ担当者は、投資に関する疑問や不安を解消し、正確な情報を提供してくれます。
知識、スキル豊富な担当者を見つけるには、不動産会社や担当者が持つ資格や経歴を確認し、宅地建物取引士や不動産の専門資格を持っているか確認しましょう。
不動産業界における実績や評判も重要な判断基準です。
過去の取引実績、顧客からの評価、業界内での立ち位置など複数の観点からリサーチしましょう。
良い担当者は、顧客の要望を丁寧に聞き、適切なアドバイスを提供してくれます。
強引な販売手法を使わず、顧客の利益を最優先に考えて安心させてくれるか、相談時の対応も重要なポイントです。
また、顧客の疑問に対して明確で理解しやすい説明をするかどうか、納得いくまで丁寧に対応してくれるか見極めてください。
資金計画や投資戦略についての専門的なアドバイスができるかどうかも、良い担当者を見分ける重要な基準です。
さらに、投資のリスクやリターンについて適切に説明できるか、市場動向や物件情報に精通しているか、チェックしましょう。
最新の不動産市況や物件の詳細情報について、正確で最新の情報を提供できるかも重要な判断材料です。
信頼できる担当者は、法的な側面や税務面についても適切なアドバイスができるので、不動産取引における法律や税金の知識が豊富かどうかも確かめてください。
知識、スキル豊富な担当者を見つけることが不動産投資の成功への近道と言えるでしょう。
万が一不動産詐欺にあった時の相談先
不動産詐欺は複雑で、被害にあった時の影響は深刻です。
万が一詐欺に遭ってしまったとき、通常、冷静な判断はできません。
一刻でも早く事態を収拾させるために相談すべき先は、以下の4つです。
- 免許行政庁
- 宅地建物取引業保証協会
- 消費生活センター
- 弁護士
ここでは、万が一不動産詐欺に遭遇した際の主な相談先を4つ選択肢として紹介します。
① 免許行政庁
万が一不動産詐欺に遭遇した場合、最初に相談すべき場所は、不動産会社の免許を管理する免許行政庁です。
不動産業者は宅地建物取引業者として登録されており、それぞれの都道府県にある免許行政庁が管轄しています。
免許行政庁では、不動産取引に関する法律違反や不正行為の報告を受け付けています。
詐欺の疑いがある場合、早急に報告しましょう。
免許行政庁は、例えば、地面師による詐欺や原野商法、デート商法など、多岐にわたる不正行為に対処するため、不動産取引における消費者保護の最前線にいます。
免許行政庁は、仲介手数料や代金の支払い、小切手の取り扱い、不動産査定や一括査定サイトを通じた取引など、さまざまな面での相談に応じています。
また、免許行政庁は、無料相談窓口を通じて、購入希望者や売却希望者からの苦情解決にも貢献する、消費者の味方です。
免許行政庁に相談する際は、契約書や取引の詳細、発生した問題に関する資料を用意しておきましょう。
特に、不動産購入や売買代金の決済、住宅ローンの相談、融資に関わる資金の流れなど、金融機関とのやり取りに関する詳細情報がスムーズな解決につながります。
さらに、免許行政庁は、不動産売買時の高値や不当な賃料の設定、家賃保証やクーリングオフ制度の適用などについても監督し、不動産業者の定期的な監査や指導を行っています。
また、免許行政庁のウェブサイトでは、不動産取引に関する詐欺の防止策や注意点など、役立つ情報が豊富に掲載されています。
投資物件や収益物件の評価、賃貸借契約の注意点、マンション経営や土地活用のコツなど、多岐にわたる情報がありますので、万が一のトラブルに備えて活用しましょう。
② 宅地建物取引業保証協会
万一不動産詐欺に遭遇した際、宅地建物取引業保証協会への相談も検討しましょう。
宅地建物取引業保証協会は、不動産取引におけるトラブル解決の支援や、取引の適正化を図るための活動を行い、不動産取引の安全と消費者保護に取り組んでいます。
宅地建物取引業保証協会は不動産取引に関する相談や苦情の受付も行っており、詐欺の疑いがある場合の対応策や被害回復のための具体的なアドバイスや情報提供も有益です。
不動産詐欺の被害に遭った場合も、状況次第では法的措置の取り方も指導してくれます。
宅地建物取引業保証協会は不動産業者に対する監督指導も行っており、業者の信頼性や業務の適正化を促進しています。
宅地建物取引業保証協会のウェブサイトでは、協会は被害者が取るべきステップや、関連する法律についての情報が提供されていますので、詐欺を含む不正な取引を防ぐためにもご活用ください。
また、宅地建物取引業保証協会は不動産業者と消費者間の調停役としても機能し、トラブル解決に向けた中立的な立場で支援をしてくれます。
宅地建物取引業保証協会は、地域ごとに設置されており、それぞれの地域の実情に合わせたアドバイスが得られます。
不動産詐欺に遭遇した際、宅地建物取引業保証協会は、被害者の心強い味方となるでしょう。
③ 消費生活センター
万が一不動産詐欺に遭遇した際、消費生活センターへの相談も非常に有効です。
消費生活センターは、消費者の権利を守るためのさまざまな支援を行い、不動産取引に関するトラブルや詐欺に対する相談を受け付けています。
専門の相談員は、個々の事例に応じたアドバイスを提供し、適切な解決策を案内してくれます。
被害に遭った消費者が次に取るべきステップを指導し、必要に応じて関連する機関への紹介も心強いサポートです。
また、消費生活センターは、全国に展開しているため、地域ごとの不動産市場の特性や法令に精通したアドバイスができます。
消費生活センターは法的な対処方法や必要な書類の準備に関する情報も提供してくれますので、詐欺にあった場合、迅速かつ適切な対応がとれます。
また、消費生活センターは、詐欺被害に関する統計や事例も収集し、被害防止のための啓発活動も行っています。
消費生活センターは、不動産詐欺の被害者だけでなく、不動産取引を検討している消費者にとっても有益な情報源です。
消費者は事前の相談を通じて、安全な不動産取引の準備もできますので、少しでも不安がある時には積極的に活用しましょう。
④ 弁護士
万が一不動産詐欺に巻き込まれた時には、弁護士への相談が確実です。
弁護士は法律の専門家であり、詐欺事件に対処する適切なアドバイスを提供してくれます。
不動産詐欺の被害に遭った場合、弁護士は被害者の代理として、詐欺師や不正な不動産会社に対する法的措置も可能です。
弁護士は、詐欺事件の被害者が直面する複雑な法的問題を解決するため、民事訴訟の提起や和解交渉をサポートしてくれます。
また、弁護士は被害者の権利保護や、適切な賠償獲得のための戦略立案も提供してくれます。
不動産詐欺事件では、法的な手続きが非常に複雑になるケースがあるため、弁護士に依頼せざるを得ない状況もあるでしょう。
弁護士は、不動産詐欺事件の被害者の最も強力なプロのパートナーです。
万が一詐欺に遭った場合の相談先として活用するだけでなく、不動産投資の契約を進める際の良き相談役としても、事前に関係を築いておくことをおすすめします。
まとめ
本記事では、不動産投資における詐欺の手口とその回避方法について解説してきました。
だたし、日本の不動産と海外の不動産では相談先が異なりますのでご留意ください。
詐欺に利用される一般的な手法に、手付金詐欺や二重譲渡などがありますが、詐欺から身を守るために、登記情報や契約書など一つ一つ慎重に確認するように心がけましょう。
また、信頼できる不動産業者の見極め方や、詐欺に遭遇した際の相談先や対処法なども詳しく紹介していますので、事前にさまざまなケースを想定しておいて損はありません。
詐欺リスクを低減するためにも、実際に不動産投資の契約に進む前に、基礎知識の習得など十分に備えておきましょう。
カンボジア不動産投資にご興味があり、具体的な物件に詳しい信頼できる専門家をお探しの際は、弊社サービスをご検討ください。
荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社
代表取締役 / 宅地建物取引士 / 宅地建物取引業 東京都知事免許(2)第99967号
所属団体:一般社団法人RE AGENT 理事長 / 一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC) / 公益社団法人全日本不動産協会
1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。
著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
はじめての海外不動産投資