アンナアドバイザーズ株式会社
近年、日本の少子高齢化の進行やGDP成長率の鈍化から、海外不動産投資に注目が集まってきています。
特に新興国では不動産価格の上昇が顕著で、土地の値段も数年前と比較して格段に上がっています。
しかし、海外の不動産への投資には注意すべきポイントも多く、慎重な投資の検討が必要です。
そこで今回は、海外不動産投資において抑えておくべきポイントを解説します。
1. 海外不動産投資のメリット
海外不動産市場は、国内の不動産市場と比較しても魅力的なポイントが多く、注目すべき点が多く存在します。
まずは、海外不動産投資におけるメリットについて整理してみましょう。
(1) 資本分散によるリスクヘッジができる
海外不動産投資では、物件売買の取引や家賃収入を現地の通貨で得ることになります。
よって、国内の不動産含めて日本円しか資本をお持ちでない方は、外貨への資本の分散という意味でリスクヘッジになるメリットがあります。
例えば、今後数十年日本の低成長が続いてしまったとしても、資産ポートフォリオの中で外貨の割合が増えることで、将来性を加味したバランスの良い資産形成ができます。
コロナウイルスの蔓延やウクライナ情勢など予想しなかった事態が立て続けに起こる中でも、各国によって経済状況は異なります。
資産を分散することで、万が一予想できなかった出来事が起こった場合のリスクをカバーできるというメリットがあります。
(2) インカムゲイン・キャピタルゲインの期待値が高い
海外の不動産市場では、新興国を筆頭に日本以上の不動産価格の上昇が期待できます。
東南アジアを例に挙げると、人口増加率・GDP成長率ともに高い水準で上昇を続けています。
GDPの成長率は不動産需要に相関性がある為、今後も不動産価格の上昇が見込めるということです。よって、物件を取得した価格よりも高い価格で売却差益を得る「インカムゲイン」を狙った投資を出来るメリットがあります。
また、人口が増加すると必然的に物件の需要が上がる為、賃貸需要も高まります。
所有する物件を賃貸に貸し出す「キャピタルゲイン」の観点からも有利でしょう。
(3) 節税対策になる
国内の不動産投資と同じく、海外の不動産投資でも節税効果を狙うことができます。
例えば、少し前まではアメリカ不動産を購入することによって、4年で一気に減価償却ができ、節税効果を大きく得ることができたというやり方がありましたが、税法改正により、個人名義ではこのメリットを享受することができなくなり、法人名義のみになったなどの変更点がありました。
より詳しく知りたい方は税理士などの専門家に相談するといいでしょう。
2. 海外不動産投資の考えられるデメリット
ここまでメリットとなるポイントをご紹介しましたが、もちろん注意すべき点も数多くありますので、投資を検討する際には把握しておくことが重要です。
(1) 為替リスク
海外不動産に投資する場合、現地の通貨での売買や運用が必要になる為、為替リスクを考えなければなりません。
例えば、「円高」の状況であれば物件を安く取得できるメリットがある一方で、より「円高」が進行すると、物件の現地評価額が上昇したとしても、円に換算したタイミングで利益が全く出なくなる場合があります。
また、投資を始めるタイミングで「円安」が進行してしまうと、物件取得に対する費用が想定よりも高くなる為、投資額や利回りに影響が出てくる可能性があります。
(2) カントリーリスク
高い将来性を狙った投資の対象となる新興国では、未だに情勢が不安定な場合があります。
政局が不安定な国では政権交代により法制が変わり、外国人の物件所有にいきなり規制が始まったり、最悪のケースでは、戦争などが勃発し所有する物件エリアが戦場に変わったりするなど想定外のリスクも考えられます。
投資の検討にあたっては、投資先の国の情勢を正確に把握し、より慎重に安全性を確認する必要があります。
(3) 融資の壁
前提として、海外不動産投資の融資には高い壁が存在します。
基本的に現地の金融機関は外国人に対して、自国民と比較しても融資が厳しくなる傾向があるため、思うような金額を融資してもらえない可能性があります。
また、国内金融機関の海外不動産向けのローン商品も、既に所有している物件を担保に入れなければならなかったり、高い自己資本比率を求められたりと、融資を受けるに当たって高いハードルが存在します。
3. 海外不動産投資で成功するには?3つのキーポイント
海外不動産への投資に関するメリット・デメリットを整理しましたが、成功する為には何を行えばよいのでしょうか。
特に着目すべきポイントをご紹介します。
(1) エリア選定
海外不動産投資で最も重要なのはエリアの選定です。
投資目的に沿った市場のある国を選ばなければ、投資効率も下がり想定外のリスクに直面してしまいます。
投資対象となる国のメリットやデメリットを把握した上で投資を検討することが必要です。今回は先進国・新興国に分けてご紹介します。
① 先進国
代表的な国としては、アメリカ・イギリスなどが挙げられます。
先進国に投資するメリットとしては、安全性の高い投資が期待できる点が考えられます。
法整備も整っており、通貨の信頼性も高いので、資本を外貨へ分散できるというメリットがあります。
一方、デメリットとしては、新興国と比較すると利回りの期待値が下がってしまう点が考えられます。物件価格が既に上がりきっているエリアも多いので、慎重な選定が必要です。
② 新興国
海外不動産投資の際、代表的な新興国として挙げられるのは、フィリピンやタイ・カンボジアなどの東南アジア各国です。
近年東南アジアは高い経済成長を続けており、不動産も建設ラッシュが続いています。人口増加率やGDPの成長率も高い水準で推移している国も多く、その将来性に大きな期待が寄せられています。
新興国への投資で大きなメリットと考えられるのは、この将来性です。物件の売買差益で得る「キャピタルゲイン」賃貸に出し、収益を得る「インカムゲイン」ともに大きな利益が期待できます。
一方、デメリットとしてはカントリーリスクがある点です。
新興国では、政局や経済情勢などが不安定な場合もあり、予想外のリスクが存在しています。通貨の信用も先進国と比較すると低い為、暴落などのリスクも孕んでいます。
常に最新の経済状況や政局を把握した上で、慎重な投資の検討が必要です。
(2) 融資先の選び方
海外不動産での資金調達においても、融資を検討する方法が一般的です。
融資を受ける方法には、主に以下の2パターンがあります。
① 国内の金融機関
1つ目は、国内の金融機関から融資を受ける方法です。国内の銀行でも、海外不動産投資向けの金融商品が存在します。
国内の不動産への投資と比較すると、担保が必要であったり、金利が高めに設定してあったりと融資のハードルは高くなってしまいます。
投資先のエリアが限定されている場合も多いので、自身の投資先とマッチしているかどうかも大事な指標になります。
② 現地の金融機関
もう1つは、現地の銀行から融資を受けるパターンです。
海外の銀行も外国人向けのローンをラインナップしていますので、審査のハードルは上がりますが、利用することは可能です。
ただ、書類や審査のやり取りも現地の言語で行う場合がほとんどですので、外国語が苦手という方にはストレスになりうるでしょう。確認事項においても、しっかりと理解しておく必要があるので、その点も外国語の理解が必要です。
また、税制などの法律が突然変わってしまう場合も考えられます。海外への送金の規制などが入ると、資産を動かせなくなるリスクもありますので、現地の最新の情報を仕入れる必要があります。
(3) 信頼できるパートナーを選ぶ
海外不動産投資において、信頼できるパートナーの選定は必須です。
ただでさえ、外国語で取引をしなければなりませんし、現地の最新の情報の入手も必須ですので、現地の情報に強い業者の選定が必要です。
逆に、現地に強いパートナーに出会えることで、融資などの資金調達の方法や期待値の高い物件の紹介などで大きなアドバンテージを得ることもできます。
日本人向けの投資実績を入念に確認した上で、信頼のおける業者を選定しましょう。
4. まとめ
今回は、海外不動産投資の成功のキーポイントをご紹介しました。
海外不動産には、日本国内の市場より大きな将来性や期待値があります。今回ご紹介した注意点に気をつけながら、投資を検討することで大きな収益や利回りを得るチャンスに出会うことができます。
ぜひ、選択肢の一つとして検討してみましょう。
執筆者:荒木 杏奈
アンナアドバイザーズ株式会社
日本とカンボジアを拠点に、国内・海外不動産業を展開。
PickUP
荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社
代表取締役 / 宅地建物取引士 / 宅地建物取引業 東京都知事免許(2)第99967号
所属団体:一般社団法人RE AGENT 理事長 / 一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC) / 公益社団法人全日本不動産協会
1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。
著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
はじめての海外不動産投資