執筆者:荒木 杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

近年、ドバイは経済が順調に発展しており、外国人移住者が増加しています。
ドバイには税金の安さや整ったインフラなどの多くの魅力がある一方で、気候や物価水準など注意すべき点があるのも事実です。
今回は、ドバイ移住のメリット・デメリットや現地事情などを詳しく解説しています。
ドバイで生活する際の年収の目安なども解説していますので、ドバイ移住で後悔しないためにも、ぜひ最後までお付き合いください。
ドバイはアラブ首長国連邦の中心的存在
ドバイはアラブ首長国連邦を構成する7つの首長国のうちの1つで、厳密には独立した国家ではありませんが、アラブ首長国連邦の中心的存在です。
(本記事内では、便宜的に国としています)
アラブ首長国連邦の主要産業は石油・天然ガスですが、ドバイは商業や観光業などが発展しており、石油依存の経済構造からの脱却を図っているのが特徴です。
ドバイの面積は約3,885㎢で、人口は約350万人ですが、人口の約9割が外国人移住者といわれます。
ドバイ全体での平均年収は約1,100万円、うち外国人労働者の平均年収は約750万円とされており、日本の平均年収(約460万人)よりも高い水準にあります。
ドバイに移住するメリット7選
ドバイは外国人を積極的に受け入れており、特徴的な政策を実施することで、居住者に多くのメリットをもたらしています。
ここでは、ドバイ移住のメリットを7つご説明します。
税金が日本と比較して非常に安い
ドバイは日本と比較して、税金が非常に安いのが大きな特徴です。
ドバイと日本の税制には、以下のような違いがあります。
| ドバイ | 日本 | |
|---|---|---|
| 所得税 | 0% | 5~45% |
| 住民税 | 0% | 10% |
| 法人税 | 0~9% | 15~23.2% |
| 消費税 | 5% | 8~10%(軽減税率) |
| 相続税 | 0% | 10~55% |
所得税・住民税など個人にかかる税金がなく、法人にかかる税金も最大で9%と日本よりも大幅に税率が低くなっています。
日本は累進課税制度が導入されているため、所得が高いほど税金が高くなり、所得によっては収入の約半分の税金を支払わなくてはなりません。
ドバイの税制は特に高所得者に有利になりやすく、実際に税金の安さを理由にドバイが移住先に選ばれるケースも多くあります。
世界トップレベルに治安がいい
ドバイの治安は非常に良好であることが広く知られています。
NUMBEOの2025年調査ではドバイの安全指数は83.9で、世界第4位にランクインしました。
ドバイでは市内各所に防犯カメラが設置されており、都市全体のセキュリティ性が高い構造です。
居住者の平均所得が高いため、貧困から犯罪を起こす事例が少ないのも特徴です。
警察の装備や組織力・最先端の科学技術を導入した捜査力は中東随一で、犯罪行為には厳格な罰則を科しています。
ドバイでは罪状によっては犯罪者を国外追放し、犯罪歴のある人物は簡単には入国できません。
イスラム教の宗教規範から、社会全体でマナーやモラルを遵守する意識が広まっています。
ドバイでは、深夜でも女性や子どもが安心して外出できるほど治安が良好といわれています。
外国人移住者が歓迎されやすい
ドバイは成長戦略の一環として積極的な外資誘致政策を掲げており、外国人移住者を広く受け入れています。
ドバイの税金の安さや治安の良さに惹かれる外国人移住者は多く、国内人口の約8〜9割が外国人移住者といわれるほどです。
世界各国から外国人が移住しているため、人種も多種多様で外国人移住者が歓迎されやすい環境にあるといえます。
また、現在のドバイは物価や家賃が高騰していますが、現地で十分に生活できるだけの高所得者が多いのも特徴です。
ドバイ居住者には経営者や資産家などの高所得層が多く、現地のコミュニティに所属することで、居住者同士のビジネスに発展する可能性もあります。
今後の経済成長を期待しやすい
ドバイ政府は外資を積極的に誘致するとともに、緻密な経済成長戦略を打ち出しています。
ドバイでは緻密な計画の下で都市を開発しており、近未来とも形容される独自の都市景観は国内外から大きな注目を集めています。
ドバイは従来の石油依存の産業構造からの脱却を図っており、近年の主力産業は小売業や観光業・不動産業などにシフトしてきています。
以下は、アラブ首長国連邦(ドバイ)のGDP推移を示したもので、経済状況が好調なドバイがアラブ首長国連邦を牽引していると読み取れます。

2020年からのコロナ禍で各国の経済活動が緊縮する傍らで、ドバイはワクチンの早期接種などでいち早い経済回復に成功しました。
ドバイでは外国人観光客の受け入れを早期に再開するなど、迅速な経済戦略が追い風となってGDPが上昇しています。
外国に渡航しやすい
ドバイは中東に属していますが、中東はアジア・ヨーロッパ・アフリカ間のちょうど中間的な位置にあります。
ドバイは以下のように、アジア・ヨーロッパ・アフリカから物理的に近い距離にあります。
- ヨーロッパ:6~7時間
- アジア:3~5時間
- アフリカ:3~5時間
諸外国からの距離が近いため、特に海外でビジネスをする方や旅行が好きな方には快適に感じやすいでしょう。
高度な教育を受けやすい
ドバイは居住者の約9割が外国人移住者といわれるほどの多民族国家ですが、家族での移住者に対応するため、教育機関も充実しています。
さまざまな国籍の生徒に対応したインターナショナルスクールが多数設立されており、学校間の競争から各校ともカリキュラムを洗練し、質の高い教育を提供しています。
私立のインターナショナルスクールは2024年時点で200校を超えており、教育理念や校風などから子どもに合った学校を選びやすいのが特徴です。
小・中学生は日本人学校にも通学可能で、整った設備で教育を受けられるほか、日本から著名人や有識者を招いて特別講演を行うなど日本との接点も意識されています。
購入した不動産は有力な資産になりやすい
ドバイは2020年以降の国際博覧会の成功やコロナ禍からの早期回復によって、急激にGDPが成長しており、不動産価格も急激に上昇しました。
ドバイの不動産は外国人も購入可能ですが、今後の値上がりや収益性に対する期待感が高く、投資家からも高い注目を得ています。
移住目的で不動産を購入する場合、不動産を資産として保有することが可能です。
仮にドバイから日本に帰国したり、他国に移住したりしても、ドバイの不動産を必要な費用に充当できる可能性があります。
ドバイ不動産の価格推移については、こちらの記事でも詳しく解説しています。


ドバイ移住のデメリット・注意点5選
ドバイ移住には、メリットだけでなく、デメリットや注意点もあります。
ここでは、ドバイ移住に伴いがちなデメリット・注意点を5つご説明します。
夏が非常に暑い
ドバイは砂漠性気候で、夏季にあたる5〜8月ごろは平均気温が40℃前後となり、過酷な暑さに見舞われます。
夏季のピーク時には体感温度が60℃近くにもなるといわれており、屋外での活動は極めて困難です。
ただし、ドバイでは酷暑への対策としてほぼ全ての建物にエアコンを設置しており、屋内では快適に過ごせます。
なお、砂漠に近いという地理的要因から、風の強い日は砂の飛来によって洗濯物や自動車が汚れやすいので要注意です。
生活費の水準が高い
ドバイは経済が順調に発展しており、国内全体でインフレが加速しています。
以下の表は、ドバイと東京で消費品目の物価を比較したものです。
| 消費品目 | ドバイの 平均価格 | 東京の 平均価格 | 比率 |
|---|---|---|---|
| 安いレストランでの食事 | 1,631円 | 1,000円 | 163% |
| 一般的なレストランのコース | 10,604円 | 7,000円 | 151% |
| マクドナルドのバリューセット | 1,427円 | 800円 | 178% |
| 国産生ビール(500ml) | 1,835円 | 500円 | 367% |
| カプチーノ(レギュラー) | 856円 | 510円 | 168% |
| 水(330ml) | 163円 | 116円 | 141% |
| 牛乳(1000ml) | 285円 | 232円 | 123% |
| 食パン(500g) | 204円 | 226円 | 90% |
| 白米(1㎏) | 367円 | 673円 | 55% |
| 卵(中12個) | 489円 | 317円 | 154% |
| チーズ(1㎏) | 1,427円 | 2,198円 | 65% |
| 鶏ささみ(1㎏) | 1,387円 | 1,124円 | 123% |
| 牛モモ肉(1㎏) | 1,835円 | 3,155円 | 58% |
| りんご(1㎏) | 367円 | 766円 | 48% |
| バナナ(1㎏) | 285円 | 359円 | 80% |
| トマト(1㎏) | 245円 | 803円 | 30% |
| じゃがいも(1㎏) | 163円 | 430円 | 38% |
| 玉ねぎ(1㎏) | 204円 | 430円 | 47% |
| 水(1500ml) | 82円 | 140円 | 58% |
| ボトルワイン | 2,447円 | 1,200円 | 204% |
| タバコ20箱(マルボロ) | 979円 | 600円 | 163% |
| 交通機関の片道チケット | 245円 | 200円 | 122% |
| タクシー初乗り(通常料金) | 489円 | 500円 | 98% |
| タクシー1km(通常料金) | 122円 | 440円 | 28% |
| ガソリン(1000ml) | 122円 | 179円 | 68% |
| 光熱費の基本料金(85㎡アパート) | 32,097円 | 27,117円 | 118% |
| 携帯電話の月額プラン(通話+10㎇以上のデータ) | 9,013円 | 4,080円 | 221% |
| インターネット月額料金 | 15,172円 | 4,918円 | 308% |
| フィットネスクラブ月額料金(大人1名) | 12,602円 | 10,418円 | 121% |
| インターナショナル小学校(1名) | 1,970,671円 | 2,274,773円 | 87% |
| ジーンズ1本(リーバイス501など) | 11,216円 | 8,070円 | 139% |
| サマードレス1着(ZARAなど) | 9,299円 | 5,559円 | 167% |
| シティセンターのアパート(1ベッドルーム) | 337,526円 | 169,617円 | 199% |
| 市内中心部のアパート購入価格(1㎡あたり) | 994,838円 | 1,538,417円 | 65% |
| 平均月給(税引後) | 592,303円 | 367,769円 | 161% |
| 住宅ローン金利(20年間固定金利) | 4.43% | 1.78% | 244% |
出典:「NUMBEO 2025年」
表から読み取れるように、食料品以外のほとんどの品目は東京よりドバイのほうが高額です。
ドバイの飲食店は全体的に高価格なため、外食中心だと食費が高くなりがちです。
酒税・タバコ税が高いので、飲酒や喫煙の嗜好があると出費が大きくなりやすいでしょう。
ドバイは不動産価格が急激に上昇しており、ダウンタウンなどの都市部では家賃の平均額が約30万円と、日本よりも高いです。
固定費となる家賃が高いので、生活費を安く抑えるのが難しいかもしれません。
ドバイ移住後の生活費については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
車がないと不便に感じやすい
ドバイは特に夏場の屋外移動を避ける目的もあり、自動車が広く普及しています。
都市構造が自動車の移動を前提にした設計になっており、いわゆる車社会といえます。
自動車での移動が快適な反面、自動車を所有していないと日常生活を不便に感じやすいかもしれません。
タクシーや公共交通機関での移動も可能ですが、やはり自動車を所有している状態と比較すると利便性は低下すると考えられます。
日本からのフライト時間が長い
日本からドバイにアクセスする際は、羽田空港・成田空港・関西空港からエミレーツ航空による直行便が運航されています。
2025年7月時点での日本ードバイの直行便は各空港から1日1便のみで、所要時間は約12時間、運賃(エコノミー)は往復で約20万円です。
直行便があるため比較的簡単にアクセスできますが、日本の近隣国や東南アジアなどと比較するとフライト時間は長く感じられるかもしれません。
そのほかに東南アジアなどを経由したアクセスも可能で、エコノミー運賃は往復で約10万円と安価な便もありますが、所要時間は24時間近くになります。
日本との文化・生活習慣の違いを感じやすい
ドバイはイスラム圏に属していることから、特に宗教上の理由で日本とは文化や生活習慣に違いがあります。
例えば、イスラム教では飲酒が禁じられており、ドバイでは飲酒自体は可能ですが以下のように日本よりも厳しい規定が設けられています。
- 路上や交通機関など公共の場での飲酒は禁止
- 酩酊した状態で大声を出す・路上に座り込む(寝込む)・嘔吐する・公共交通機関での居眠りなどといった行為は禁止(場合によっては罰則の対象となる)
飲酒に関して日本では許容される範囲での行動でも、ドバイでは罰金や逮捕の対象となりうるので注意が必要です。
また、ラマダン(断食)の期間中は、断食をしている人の前での飲食は控えるのがマナーです。
イスラム圏では女性は人前で肌を露出してはならず、女性が露出度の高い服装をすることは避けるべきです。
イスラム圏では金曜日が安息日となっており、土曜日・日曜日は平日に該当します。
原則として土日が休日の日本とはズレがあるため、特にドバイ移住当初は違和感を覚えやすいかもしれません。
前もってチェックしておきたいドバイの現地事情5つ
ドバイには現地特有の文化や習慣・制度があります。
前もってドバイの文化や習慣・制度について知っておくことで、移住後の生活に馴染みやすくなるでしょう。
言語 | 基本的には英語を使用
ドバイの公用語はアラビア語ですが、英語も国内のほぼ全域に浸透しています。
街中の看板・掲示板やレストランのメニューなどもアラビア語と英語が併記されている場合がほとんどです。
空港・ホテル・レストランなど、ほぼすべての施設で英語が通じます。
日本語は日本人街や特定のコミュニティー以外では通じにくいため、日用レベル以上の英会話や英語筆記ができないと、生活するうえで不便に感じやすいかもしれません。
保険 | 公的保険がなく任意保険への加入が必要
ドバイでは日本と異なり国民皆保険制度が導入されていないため、各自が任意保険に加入する必要があります。
ドバイの任意保険には幅広いプランがあり、保険料も年間数万円〜数十万円と幅があります。
高額なプランだと病院の診察代や薬代をカバーしてくれる場合があり、逆に安いプランだと保険料を月額1万円程度に抑えられる可能性があります。
ご自身の健康状態にあったプランを選ぶとよいでしょう。
ドバイの医療技術は先進国水準で発達しており、重度のケガや病気もほぼ国内で診察可能です。
交通 | タクシーや公共交通機関が発達
ドバイでは特に夏場の過酷な気候に対応して自動車が普及しており、タクシーも多く運行されています。
ドバイはガソリン代が安価なためタクシーの走行料金も安い傾向にあり、自動車を所有していない場合でも、タクシーでの代用が可能です。
公共交通機関を利用する際は、日本のSuicaなどのように「ノルカード」というプリペイド式ICカードを利用します。
ノルカードは以下のように、いくつかの種類に分けられます。
| 種類 | ゴールドカード | シルバーガード | レッドチケット |
|---|---|---|---|
| 購入価格 | 25AED (発行手数料6AED) | 25AED (発行手数料6AED) | 2AED |
| チャージ 限度額 | 1,000AED | 1,000AED | チャージ10回分または 乗車10回分 |
| 有効期間 | 5年間 | 5年間 | 90日間または 乗車10回分 |
| 備考 | ゴールドクラス利用可能 | ゴールドクラス利用可能 (運賃の2倍を支払い) |
乗車時にカードリーダーにタッチして運賃を精算する仕組みで、一回あたりの運賃は約5AED(1AED約40円=約200円)前後です。
ゴールドカードは、特典として専用席であるゴールドクラスを利用可能です。
レッドチケットは有効期限が短めで都度利用の性質が強く、公共交通機関を利用する頻度が少ないユーザーの利用に適しているといえます。
宅配 | デリバリーサービスが充実
ドバイは夏季の気候が過酷なため、外出を控えられるようデリバリーサービスが充実しています。
調理済みフードやネットスーパーなど、多彩なデリバリーサービスがあり、多くのサービスでは即日の受け取りが可能です。
なかには薬や化粧品・電化製品・タクシー配車など、より多品目のデリバリーに対抗したサービスもあります。
国内のほぼ全域に対応しているため、日本よりもデリバリーを利用しやすい環境といえるかもしれません。
宗教 | 全体的に宗教色が希薄
ドバイを含むアラブ首長国連邦はイスラム教が国教ですが、ドバイは外国人移住者が多いこともあり、国内全体でイスラム教への意識が希薄な傾向にあります。
イスラム教では飲酒や豚肉の食用が戒律によって禁じられていますが、ドバイ国内の一部店舗では、アルコール飲料や豚肉を入手できます。
飲食店でもレストラン・バーなどで酒類を提供するほか、店舗によっては豚肉を使った料理も注文可能です。
ただし、飲酒やラマダン時の行動・女性の服装などに規定があるため、イスラム教の慣習については注意を払っておきましょう。


ドバイ移住のために取得できるビザの種類
ドバイに移住するためには、現地に滞在できるビザの取得が条件になります。
ドバイ移住にあたって取得できるビザの種類は、主に以下の通りです。
| 名称 | 有効期間 | 取得条件 |
|---|---|---|
| 就労ビザ | 原則2年 | 現地法人や政府機関で雇用を受けること |
| 不動産ビザ | 2年 | 75万AED(約2,950万円)以上の投資がある不動産オーナー |
| ゴールデンビザ | 5年or10年 | 投資家・起業家・専門職などが対象で、投資家の場合は200万AED(約7,850万円)以上の資本の証明が必要 |
| グリーンビザ | 5年 | 年収36万AED(約1,400万円)以上の収入があるフリーランス・自営業 |
| リモートワークビザ | 1年 | UAE圏外の組織から月額3,500米ドル(約50万円)に該当する収入を得ている者 |
| ファミリービザ | 2年 | 上記ビザを取得している配偶者・子どもなどが対象で、別途申請費用が必要 |
現在、ドバイには無期限の永住権はありませんが、ゴールデンビザでは実質的に永住権に近い権利を取得できます。
有効期間や条件などを確認しておき、ご自身に合ったビザを取得するとよいでしょう。
ドバイに移住する日本人の主な仕事
ドバイには多くの外国人が移住しており、日本人在留者はUAE全体で約4,500人です。
ドバイ在留日本人は、現地の外資系企業に勤務するほか、日本からの出向で現地に滞在するケースもあります。
また、日本人富裕層の移住が増えており、会社経営者や実業家も存在しています。
ドバイ在留日本人の職種は、会社員以外にもシェフ・美容師・ホテル従業員、ITエンジニアやフリーランスなど多彩です。
UAE圏外で一定の収入があることで取得できるビザもあり、リモートワークで収入を得ながら現地に滞在するといったライフスタイルも可能です。
ドバイで生活するための年収の目安
ドバイは国内に高所得者が多く、物価水準が高いため、移住に際してはそれなりの年収が必要になると考えられます。
ここでは、ドバイで生活するための年収の目安について解説します。
単身者 | 切り詰めれば年収400万円台から生活可能
ドバイに移住する際、単身者であれば年収400万円台から現地で生活すること自体は可能です。
ただし、年収400万円台だと月あたりの生活費は約33万円〜となります。
ダウンタウンなど都市部の1LDKの家賃平均額が約30万円なので、年収400万円台でドバイの都市部に住むのは難しいといえます。
年収400万台でドバイに移住するには、以下のように切り詰めた生活を意識する必要があるでしょう。
- 住居は郊外の物件に限定(場合によりルームシェア)
- 食事は基本的に自炊のみ
- 買い物を含む移動手段は公共交通機関に限定
制約が多い生活では不便を感じやすく、せっかくのドバイを住みづらく感じてしまうかもしれません。
ドバイ移住を後悔しないためには、単身者である程度の生活水準を見込める年収550万円〜が望ましいでしょう。
年収1,000万円ほどであれば、ドバイでもかなり快適な生活を送りやすいと考えられます。
家族 | インターナショナルスクールは高額
家族でドバイに移住する際に特に注意したいのが、家賃と教育費です。
一般的に、複数人が同じ物件に快適に入居する際の一人あたり面積は約25㎡が必要といわれます。
4人家族(両親と子ども2人)で生活する場合、理想的な面積は約100㎡と考えられます。
ドバイの都市部で100㎡の賃貸物件に暮らす場合、家賃の目安は約50万円です。
ドバイのインターナショナルスクールはカリキュラムが充実している一方、費用の平均額は生徒1人につき約200万円(子ども2人で約400万円)です。
住居にもよりますが、4人家族の生活では家賃+教育費で年間約1,000万円が必要になると考えられるため、生活していくにはさらに高い年収が必要です。
ドバイで家族4人が不自由なく生活するには、世帯年収約1,500万円〜が現実的なラインと考えられます。
家族で海外に移住する場合、カンボジアなど東南アジアは子どもをインターナショナルスクールに通わせながら、生活費をドバイより安く抑えられる可能性があります。
カンボジアの生活費については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
ドバイ移住を特におすすめできる人の特徴3選
ここまで、ドバイ移住に関連した解説をしましたが、ドバイ移住をおすすめできる方にはいくつかの特徴があると考えられます。
ここでは、ドバイ移住を特におすすめできる方の特徴を3つご説明します。
節税をしたい人
ドバイには、所得税・住民税などの税金がほぼ0円という大きな特徴があります。
税金が非常に安いため収入が手元に残りやすく、結果として大きな節税が可能です。
所得が高いほど税金の安さによるメリットを受けやすく、実際に富裕層が多く移住しています。
法人税も最大で9%なので企業が事業売り上げを確保しやすく、事業資金を留保しやすいというメリットがあります。
海外で法人を設立したい人
ドバイは外国人移住者が活発に経済活動しやすい環境にあり、法人設立にも適しています。
ドバイで設立できる法人形態には、主に以下のようなものがあります。
- フリーゾーン法人:ドバイ国内の特定の地域で設立できる法人で、外国資本100%での法人設立が可能な点や税制優遇などのメリットがある。不動産業・サロン経営・コンサルティング業などに適している
- メインランド法人:ドバイ国内全域で設立できる法人で、資本金不要で法人を設立可能な点や法人税100%免除などのメリットがある。あらゆる業種に対応しており、個人事業での法人設立もできる
ドバイは個人の所得税・住民税が非課税なので、支給された役員報酬や給与が手元に残りやすいのも大きなメリットです。
不動産投資で資産形成したい人
ドバイ移住時に不動産を購入しておくと、ドバイ不動産を資産として保有できます。
ドバイの不動産は価格が上昇しているため、適切なタイミングで物件を売却することで、購入時より高値になる可能性があります。
ドバイ不動産取引ではキャピタルゲインが非課税なので、より大きな収益を確保しやすいのも大きなメリットです。
後ほどご紹介するように、日本の有名人が不動産投資を視野に入れてドバイ不動産を購入した事例もあります。
著名人によるドバイ移住に関する情報発信3例
ドバイに日本人が移住するケースも増えてきており、有名人がドバイの移住や不動産関連の情報をSNSなどで発信している事例もあります。
ここでは、ドバイ移住や不動産購入を有名日本人が情報発信している事例を3つご紹介します。
さきの海外不動産しか勝たん | ドバイ移住などを豊富な知識で解説
さきさんはYouTuber・投資家・複数の海外物件オーナーなど、投資・資産運用の分野で活躍中です。
現在はドバイに在住しながら富裕層の海外移住を支援するなど、海外不動産投資や海外移住コンサルタントとしても有名です。
大学在学中に暗号資産や不動産投資で資産形成した経験をもとに、YouTube番組「さきの海外不動産しか勝たん」を配信しています。
さきさんの配信する動画ではドバイの現地事情のほか、仮想通貨や世界各国の経済情勢など資産運用に関する情報を、深い知識や的確な分析でわかりやすく解説しています。
20代女性投資家という話題性や才色兼備なさきさんの魅力、動画の完成度の高さなどから多くの視聴者を獲得し、さきさんのチャンネルは開設からわずか2年ほどで登録者数が10万人を突破しました。
れみオフィシャルブログ | 現地での家族生活をブログで公開
恋愛バラエティ番組「あいのり」の出演経験もある れみさんは、ドバイ移住生活をブログやInstagramなどで積極的に発信しています。
れみさんは総合商社の海外営業職などを経て、女性や子連れ旅行者向けのコンテンツを運営するトラベルライターとして独立しました。
現在のれみさんは、旅メディア&PR会社代表として「地球の歩き方」に連載記事を持つほか、SNSやオンラインサロンを運営中です。
プライベートでは、2024年に夫と子ども2人の家族4人でドバイに移住しています。
れみさんの投稿する記事は、ビジネス的な目線よりも、「ひとつの家族のありのままの暮らし」といったスタンスが前面に出ているようです。
れみさんの投稿する記事には写真が多く用いられており、ドバイ現地の状況をイメージしやすいものになっています。
ヒカル(Hikaru) | ドバイ不動産購入が大反響
チャンネル登録者数506万人(2025年7月現在)の人気YouTuber・実業家のヒカルさんが2025年にドバイ不動産を購入したことは、SNSやネットニュースなどで大きな話題となりました。
今回のドバイ不動産購入については、ヒカルさんのYouTube番組でも一連の流れが配信されています。(2025年3月24日配信)
配信された動画内で、ヒカルさんはドバイ不動産購入を決意した主な動機を以下のように語っています。
- 日本の治安には懸念点があり、より治安のいい国で暮らしたい
- 海外に別荘があるというシチュエーションに魅力を感じる
- 不動産を購入しておくことで、資産にもなる
ヒカルさんのドバイ不動産購入は、将来的な移住や海外拠点の確保のほか、不動産投資を見越したものでもあるようです。
ヒカルさんはアパレルブランドの展開やリゾートホテル経営など、実業家としての手腕も高く評価されています。
ドバイ不動産購入の続編となる動画では、現地の大手デベロッパーと専属契約のうえ、ドバイ不動産の仲介を行うと発表されました。
日本のYouTuber・実業家がドバイの大手デベロッパーと業務提携したことは、不動産業界でも大きな話題を呼んでいます。
まとめ
ドバイは脱石油を目指して観光業・不動産業などに注力しています。
ドバイの経済成長やGDPの上昇に伴って不動産価格が高騰しており、投資家から高い注目を得ているのが特徴です。
ドバイの税金の安さや治安の良さなどに惹かれる移住者が多く、国内人口の約9割が外国人といわれています。
国民の平均所得が上昇している一方で、家賃をはじめとする生活費も高騰しているため、移住後の費用のやりくりには注意を払う必要があります。
ドバイにはイスラム圏独自の風習や法律があり、日本とは文化が異なる部分があるので、前もって理解しておくことも重要です。
ドバイはさらなる経済成長が期待されており、今後も移住者が増加していくと予想されています。



荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社
代表取締役 / 宅地建物取引士 / 宅地建物取引業 東京都知事免許(2)第99967号
所属団体:一般社団法人RE AGENT 理事長 / 一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC) / 公益社団法人全日本不動産協会
1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。
著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
はじめての海外不動産投資
