執筆者:荒木 杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社
海外の不動産投資先として人気なカンボジアは、外国人でも銀行口座を開設できます。
ただ、カンボジアで銀行の口座開設をおこなうメリットを知っている方は少ないのではないでしょうか。
そこで本記事では、外国人がカンボジアで口座開設するメリットとデメリットを解説しながら、口座の開設方法やおすすめの銀行も紹介します。
カンボジアで銀行口座の開設を検討している方や、海外での資産運用を検討している方はぜひ参考にしてください。
カンボジアは外国人でも銀行口座開設できる
カンボジアは、外国人でも銀行口座を開設できる魅力的な国です。
多くの国は、その国に住んでいる方しか銀行口座が作れません。
しかし、カンボジアは日本人であれば観光ビザだったとしても口座を開設できる東南アジア諸国唯一の国です。
実際に現地に行き手続きをする方法や、郵送で手続きする方法があります。
現地への渡航費用や郵送費用を考慮しながら、自身の状況に合わせて選択しましょう。
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カンボジアで銀行口座を開設するメリット
海外の不動産への投資を考える際、候補に上がりやすいカンボジアですが、銀行口座を開設するメリットが大きく5つあります。
それぞれ詳しく確認しましょう。
(1) 金利が高い
メリットとして挙げられるのは、金利の高さです。
銀行によって異なりますが、カンボジアの銀行の米ドル建ての定期預金の相場は4%から6%程度です。
たとえば4%の場合、定期預金として1万USD預けておけば1年後には1万400USDになるため、1年間で400USDの利息を受けられます。
日本の銀行と比較すると、非常に高い金利であることがわかるでしょう。
日本の場合は、高金利だと言われるインターネットバンキングでも年利0.1%から0.2%程度です。
よって、ドル建てをするのであれば日本のネットバンキングよりカンボジアの銀行がおすすめです。
預金のみでより多く利益を出したい方には、カンボジアの銀行がおすすめです。
(2) 非居住者でも開設できる
非居住者でも口座を開設できます。もちろん日本人も開設可能です。
ただ、銀行によって開設方法が異なるため、開設したい銀行が決まったら手順を調べるとよいでしょう。
よくわからない場合や自身で調べるのが不安な場合は、問い合わせを代行している業者に依頼すると安心です。
(3) ドルで資産を所有することができる
米ドル(USドル)で資産を所有できるのもカンボジアの銀行のメリットです。
カンボジア現地の通貨はリエルですが、米ドルも流通しており、現地の決済手段として普及しています。
したがって、不動産投資の家賃収入も米ドルで入金されるケースが多いです。
値動きの激しい現地通貨よりも基軸通貨である米ドルの方が安定しており、落ち着いた運用をできるのが魅力です。
(4) 海外送金の制限がない
海外送金(国際送金)の制限がないことも、メリットとして挙げられます。
制限がある場合、自身の都合に合わせて送金するのが難しいでしょう。
その点、制限のないカンボジアの銀行口座であれば心配ありません。
口座開設後、ある程度自由な海外送金を希望する方はカンボジアで銀行口座開設をおこなうとよいでしょう。
(5) 現地に行かなくても開設できる銀行がある
全ての銀行ではありませんが、現地に行かなくても開設できる銀行があります。
カンボジア国内まで行かないと口座開設ができない場合、わざわざ現地へ行くための時間や費用がかかるため、簡単には進められないでしょう。
その点、現地に行かなくても申し込みをし、口座を開設できる銀行があることは大きなメリットです。
ただし、全銀行が対応しているとは限らないため、現地へ行く時間や手間をかけたくない方は現地に行く必要のない銀行を事前に調べておきましょう。
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カンボジアで銀行口座を開設するデメリット
メリットがある一方で、デメリットも存在します。
想像していたものと異なると、後悔しないように事前に目を通しておきましょう。
保証制度がないため銀行が倒産してもお金が返ってこない
デメリットとして挙げられるのは、保証制度がないため銀行が倒産してもお金が返ってこないことです。
日本の場合、ペイオフ制度があるため銀行が破綻しても1,000万円までは預金が保証されます。
その点、カンボジアは制度がないため保証がされず、1円も返還されません。
しかし、あまり不安を感じる必要はないでしょう。
カンボジアは現在経済成長率も好調で、今後も経済が成長していくと予想されています。
銀行が破綻してしまうことはカントリーリスクとして捉えられることがありますが、その可能性は低いといえるでしょう。
ドルで所有するため為替リスクがある
資産をドルで所有するため、為替リスクがあります。
海外で投資をおこなう際には避けられないリスクです。
一般的にドルの値動きは安定していますが、動きがないわけではありません。
日本国内から投資する以上、円での利益が発生するかどうかで回収率が決まります。
利益をしっかりと出したい場合は、ドル高、円安の状態を狙って日本円に変えるとよいでしょう。
為替の知識がなく両替するタイミングを間違えると損をする可能性もあるので、常に為替レートを確認したり、為替の変動を注視したりするなど注意が必要です。
長期間使わないと口座が凍結される
長時間使わないと口座が凍結されることも、デメリットの一つです。
口座開設時から1年以上入金が確認できない場合、多くの銀行が口座を凍結します。
高金利を狙ってまとまった資金を入金するのはよいですが、放置すると気づかないうちに口座が利用できなくなることがあります。
資産運用で利用したい方は、個人口座が休眠状態にならないように適宜取引をおこなうなど使い方に注意しましょう。
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カンボジアで銀行口座を開設する方法
カンボジアで銀行口座を開設する方法を紹介します。
いくらメリットが多くても、開設ができなければ意味がありません。必要書類や手続きを把握しておきましょう。
口座開設に必要な書類を準備する
まず、口座開設に必要となる書類を用意しましょう。
たとえば、プノンペン商業銀行であれば下記の3点が必要です。
- 勤務先が確認できる書類
- 90日以上の有効期限が残っているパスポート
- 普通預金口座であれば5ドル以上、定期預金口座であれば500ドル以上の預金額
銀行ごとで必要な書類が異なりますので、必要な書類についてより細かく知りたい場合は開設予定の銀行に問い合わせください。
現地にて手続きをする
原則は、現地にて手続きをする必要があります。
郵送やインターネットでの口座開設を認めていないところもあります。
英語でのコミュニケーションが苦手だという場合は、日本語に対応しているジャパンデスクがいる銀行を選びましょう。
現地に行かなくても開設できる銀行がある
原則は現地に赴く必要がありますが、現地に行くことなく開設できる銀行もあります。
たとえばアクレダ銀行やABA銀行であれば、カンボジアへ行かずに済むため初期費用を抑えられます。
全ての銀行が対応しているわけではありませんが、どうしても現地に行けない方は条件を確認して利用を検討してもよいでしょう。
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カンボジアの口座開設ができる銀行
カンボジアにはたくさんの銀行があります。こちらは弊社がおすすめする銀行になります。
銀行名 | 特徴 |
---|---|
アクレダ 銀行 | ・5年定期の金利が6.25%と非常に高い ・デビットカードを発行可能 ・三井住友銀行が筆頭株主、オリックス銀行も株式を保有しているため安心感がある ・オンラインバンキングが便利 ・日本から口座開設可能 |
ABA 銀行 | ・カナダ・ナショナル銀行が運営する外資系の銀行 ・2020年時点でカンボジア最優秀銀行に選出 ・定期預金金利が最大6% ・モバイルバンキング(アプリ)で送金などが可能 ・日本から口座開設可能 |
フィリップ 銀行 | ・シンガポール系の銀行 ・世界17カ国に拠点があるので安心 ・銀行、保険、信託などの事業を展開している ・定期預金金利が最大で7%以上 ・日本から口座開設可能 |
Jトラスト ロイヤル 銀行 | ・Jトラスト株式会社(東京証券取引所2部上場)が運営する日系の銀行 ・日本人が常駐でどんなことでも日本語で対応 ・オフショアアカウント ・手続きが簡単、オンラインで完結 ・日本からのみ口座開設可能 |
プノンペン 商業銀行 | ・SBIホールディングスがカンボジアで設立した唯一の銀行(現在は売却済のため母体は変更されている) ・ジャパンデスクを設置 ・法人口座開設も日本語でサポート ・ジャパンデスクを通して送金できるようサポート ・便利な各種サービスを提供している ・口座開設には現地渡航が必要 |
カナディア 銀行 | ・カンボジア最大手の金融機関 ・日本事業部があり、日本人向けのサービスが充実している ・みずほ銀行、三菱U F J銀行と提携 ・口座開設には現地渡航が必要 |
まとめ
近年、海外投資で注目されているカンボジアは、外国人でも銀行口座を開設できます。
保証制度がないことや、口座が凍結する可能性があるのはデメリットですが、日本語対応している銀行があったり、金利が高かかったりするのは非常に魅力的です。
個人でも法人でもカンボジアの銀行口座開設に興味がある方は、本記事で紹介した口座開設方法とおすすめの銀行を参考にぜひ検討してみてください。
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荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社
代表取締役 / 宅地建物取引士 / 宅地建物取引業 東京都知事免許(2)第99967号
所属団体:一般社団法人RE AGENT 理事長 / 一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC) / 公益社団法人全日本不動産協会
1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。
著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
はじめての海外不動産投資