国内不動産投資と海外不動産投資の違いは?メリット・デメリットとは?

執筆者:荒木 杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

国内不動産投資と海外不動産投資の違いは、市場や投資手続きと法的要件、管理などたくさんあります。

これらの違いを考慮して、投資家は自身の投資目標、リスク許容度、知識、経験などを総合的に評価し、国内不動産投資と海外不動産投資のどちらが自身に適しているかを判断する必要があります。

今回は国内不動産投資と海外不動産投資の違いから、そのメリット、デメリットをお伝えいたします。

国内不動産投資とは

国内不動産投資とは、投資家が自国内の不動産市場に対して資金を投入し、不動産を取得・所有・運営することを指します。
具体的には、住宅、アパート、オフィスビル、商業施設、倉庫など、様々な不動産の取得や開発、賃貸などを通じて収益を得るための投資活動です。

国内不動産投資の目的は、資本の増加や現金収入の確保、資産の保全・成長、ポートフォリオの多様化などがあります。投資家は、賃貸収入や売却益などの利益を得ることを期待して不動産を購入し、所有権を持ちます。

国内不動産投資は、自身の投資目標やリスク許容度に基づいて検討されるべきです。不動産市場の特性やリスク、投資家自身の知識や経験などを考慮し、慎重に計画を立てる必要があります。

海外不動産投資とは

海外不動産投資とは、投資家が自国外の不動産市場に対して資金を投入し、不動産を取得・所有・運営することを指します。
投資家は海外の国や地域で不動産を購入し、賃貸収入や売却益などの利益を得ることを目指します。

海外不動産投資の目的は、資本の成長、現金収入の確保、資産の多様化、リスクの分散などがあります。海外の不動産市場には、異なる経済状況、法律、規制、文化などの要素が関与するため、海外不動産投資は国内不動産投資とは異なる特徴を持ちます。

海外不動産投資は、自身の投資目標やリスク許容度に基づいて検討されるべきです。海外市場の特性、投資先国の法律や規制、通貨リスク、政治的リスクなどを慎重に評価し、十分な調査と計画を行うことが重要です。
また、現地の専門家やアドバイザーのサポートを活用することも推奨されます。

国内不動産投資と海外不動産投資の主な違い

市場の特性

国内不動産投資は、自国の不動産市場に対する投資です。国内市場の特性や動向に基づいて投資を行います。
一方、海外不動産投資は、外国の不動産市場に対する投資です。異なる国や地域の法律、規制、文化、経済状況などを考慮する必要があります。

リスクとリターン

国内不動産投資は、投資家が比較的熟知している国内市場に関与するため、リスクが相対的に低く、安定したリターンが期待できる場合があります。
一方、海外不動産投資は、外国市場のリスクや変動性に直面する可能性があります。通貨リスク、政治的リスク、経済的リスクなどが存在し、リターンは高い可能性がありますが、同時にリスクも高くなる場合があります。

投資手続きと法的要件

国内不動産投資は、自国の法的要件や手続きに基づいて行われます。投資家は国内の法律や規制に従って取引を行う必要があります。
一方、海外不動産投資は、外国の法的要件や手続きに対応する必要があります。異なる国や地域の投資規制、土地所有権、税制などを理解し、適切に対処する必要があります。

管理と監督

国内不動産投資では、投資家は自身の国内での活動を管理し、監督することが比較的容易です。
一方、海外不動産投資では、物理的な距離や文化の違いなどから管理や監督がより困難になる場合があります。不動産管理会社や現地のパートナーを適切に選定することが重要です。

ポートフォリオの多様化

海外不動産投資は、投資家にとって国内投資とは異なる地域や市場への多様化の機会を提供します。異なる国や地域の不動産市場への投資により、リスクを分散し、ポートフォリオの多様性を高めることができます。

国内不動産投資のメリット

  • 熟知した市場
    国内不動産投資では、自国の不動産市場に投資するため、市場の特性や動向について比較的よく理解できます。地元の経済や法律、規制、文化などに精通していることで、リスクを管理しやすくなります。
  • 安定したリターン
    国内不動産市場は、一般的に比較的安定したリターンが期待できる場合があります。不動産は需要と供給のバランスに基づいて価値が形成されるため、安定的な現金収入や資産価値の成長が見込めることがあります。
  • 見通しや管理の容易さ
    自国の不動産投資では、物理的な距離が近く、現地での管理や監督が比較的容易です。必要な場合には、自身で不動産の管理やメンテナンスを行うことも可能です。また、地元の専門家やネットワークを活用しやすいため、問題や課題に迅速かつ効果的に対応することができます。
  • 規制や法律への理解
    国内不動産投資では、自国の法的要件や規制に従うことが求められますが、自身の国内の法律や税制についての理解があるため、投資を行う際の手続きやリスク管理が比較的容易です。また、地元の専門家やアドバイザーのサポートを受けることもできます。
  • ポートフォリオの多様化
    国内不動産投資は、自国の不動産市場に限定されるわけではありません。国内においても、地域や不動産の種類によって市場の特性やリターンが異なるため、複数の不動産に投資することでポートフォリオを多様化することも可能です。

これらのメリットを考慮し、自身の投資目標やリスク許容度に合わせて国内不動産投資を検討することができます。
ただし、不動産市場にはリスクも存在するため、投資前に十分な調査と計画を行うことが重要です。

国内不動産投資のデメリット

  • 価格の変動性
    不動産市場は時間と地域によって価格が変動する場合があります。景気の変動や需要と供給の変化によって価格が上下することがあり、投資家は市場の変動性に対処しなければなりません。
  • リスクの集中
    国内不動産投資は、地域や国内市場に限定されるため、投資ポートフォリオが不動産に集中してしまう可能性があります。地域経済の影響を受けやすくなり、地域特有のリスクに晒されることがあります。
  • 金融リスク
    不動産投資は多額の資金を要する場合があり、借入金や金利の変動による金融リスクが存在します。金利の上昇や資金調達の難化など、金融市場の変動が投資の収益性やキャッシュフローに影響を与える可能性があります。
  • 修繕・メンテナンスの負担
    不動産投資には、修繕やメンテナンスに関わる費用や負担が伴います。定期的な保守や修繕にかかる費用を考慮する必要があります。また、テナント探しや賃料集金、法的手続きなど、不動産の運営や管理にも時間と労力が必要です。
  • 市場の流動性の制約
    不動産は比較的流動性の低い資産であり、売買や資金の回収には時間がかかる場合があります。急な資金需要や投資の戻しを行う場合に制約が生じる可能性があります。

これらのデメリットを考慮し、自身のリスク許容度や投資目標に合わせて国内不動産投資を検討する必要があります。
また、投資の前には地元の市場調査やリスク管理の計画を行うことが重要です。

海外不動産投資のメリット

  • ポートフォリオの多様化
    海外不動産投資により、自国外の不動産市場に投資することで、投資ポートフォリオを多様化することができます。地理的、経済的、法的な要素が異なる複数の国や地域に投資することで、リスクを分散し、安定性や収益性の向上を図ることができます。
  • 成長の潜在性
    発展途上国や新興市場などの海外の不動産市場には、成長の潜在性があります。急速な都市化や経済発展に伴い、需要の増加や不動産価値の上昇が期待される場合があります。投資家は成長の見込まれる市場に参入することで、資本の成長を狙うことができます。
  • 高い収益性
    海外の一部の不動産市場では、比較的高い賃貸収入やキャピタルゲインが見込める場合があります。需要と供給のバランスが良く、投資利回りが魅力的な市場に投資することで、より高い収益を得る可能性があります。
  • 通貨の多様化
    海外不動産投資により、異なる通貨での資産を保有することができます。通貨の多様化により、自身の資産を通貨リスクから保護することができます。また、通貨の相対的な価値変動を利用して収益を最大化することも可能です。
  • 租税上のメリット
    一部の国や地域では、海外不動産投資に対して特典や税制上の優遇措置が存在する場合があります。例えば、税制上の優遇や減税、所得税や資本利得税の軽減措置などが提供されることがあります。

これらのメリットを考慮し、自身の投資目標やリスク許容度に合わせて海外不動産投資を検討することができます。
ただし、海外不動産投資には独自のリスクも存在するため、投資前に地域の法律や規制、市場の特性、政治的・経済的な要素を評価し、慎重な計画を立てることが重要です。

海外不動産投資のデメリット

  • 外国の市場リスク
    海外の不動産市場は、自国の市場とは異なる経済状況や法的環境に影響を受けます。政治的な不安定さや法律の変更、外国為替リスク、市場の規模や成長率の変動など、外国市場特有のリスクが存在します。これらの要素は投資の収益や価値に影響を及ぼす可能性があります。
  • 文化・言語の違い
    海外不動産投資は異なる文化や言語環境に直面することがあります。地元の文化や習慣、ビジネスの慣行に対する理解が必要です。言語の壁や異文化間のコミュニケーションの困難さも投資活動に影響を及ぼす可能性があります。
  • 資金や資産の流動性の制約
    海外不動産への投資は、国内の不動産に比べて資金や資産の流動性が低い場合があります。不動産市場の成熟度や流動性の程度によって、投資資金の回収や不動産の売却が困難になる可能性があります。
  • 管理・運営の難しさ
    海外不動産の運営や管理は、地理的、文化的、法的な要素の違いによって複雑さを増すことがあります。不動産の維持管理や入居者の管理、税務や法的手続きの遵守など、異なる国や地域の規制に対応する必要があります。現地の専門家やパートナーとの協力が重要ですが、その選定や管理にも困難が伴うことがあります。
  • 通貨リスク
    海外不動産投資は、異なる通貨での資産保有による通貨リスクを伴います。為替相場の変動によって、投資元本や収益が影響を受ける可能性があります。通貨リスクの管理やヘッジが必要となる場合があります。

これらのデメリットを考慮し、リスク管理や事前の情報収集、専門家のアドバイスを活用しながら、海外不動産投資を検討することが重要です。
十分なリサーチと計画を行い、自身の投資目標やリスク許容度に基づいた判断を行いましょう。

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荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

宅地建物取引士 / 1984年生まれ、東京都出身。
大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。
2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。

著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
   はじめての海外不動産投資