執筆者:荒木 杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社
カンボジアでのビジネス展開や投資を考えている方々にとって、信頼できる銀行口座の開設は重要な一歩です。
特にアクレダ銀行は、カンボジア最大の銀行として、その信頼性とサービスの質で多くの注目を集めています。
しかし、海外での銀行口座開設は、手続きの複雑さや必要書類の不明瞭さから、多くの方が疑問や不安を抱えているのではないでしょうか。
本記事では、カンボジアのアクレダ銀行口座開設に必要な書類、手続きの流れ、さらに開設後の利用方法について、詳しく解説します。
アクレダ銀行とは?
カンボジアの金融業界において、アクレダ銀行は最前線にいます。
1993年の設立から現在に至るまで、同行はカンボジアで最大の銀行として成長し、多くの企業や個人に信頼されています。
しかし、その歴史や特徴、提供するサービスについては、まだ知られていないことが多いのではないでしょうか。
ここでは、アクレダ銀行の基本情報から、その独特な特徴までを詳しく解説します。
アクレダ銀行の概要
アクレダ銀行は、カンボジアの金融業界において重要な役割を担っています。
1993年に国連開発計画(UNDP)と国際労働機関(ILO)の支援のもと、中小企業を支援する非政府組織(NGO)として設立されました。
2000年に専門銀行へと移行して2003年には商業銀行としての免許を取得し、今やカンボジアで最大の銀行としてその地位を確立しています。
アクレダ銀行は、支店数、税引後利益、貯蓄、ローンポートフォリオ、総資産、払込資本金、など、多くの面でマーケットリーダーとしての地位を保持しており、2020年末時点での総資産は6.55 billion USDに達しています。
日本企業からも注目されており、三井住友銀行が18.25%、オリックスが12.25%の株式を保有していることからも、その信頼性が伺えます。
アクレダ銀行の特徴
アクレダ銀行の最大の特徴は、高い金利を提供する定期預金商品です。
最大4%(2024年12月現在)の高金利米ドル定期預金を提供しており、これは国際的にも非常に魅力的な条件です。
カンボジアでは米ドルが流通通貨として広く使われているため、米ドル建ての普通預金や定期預金が可能であり、これが多くの投資家にとって大きな魅力となっています。
また、アクレダ銀行はJCBデビットカードやVISAデビットカードの発行も行っており、国際的な利便性も高いです。
さらに、銀行の資産保護のためにAsia InsuranceとBankers Blanket Bond保険契約を締結しており、顧客の資産を守るための堅牢な体制を整えています。
このように、アクレダ銀行は安全性と高いリターンを兼ね備えた銀行として、国内外の顧客から高い評価を受けています。
日本にいながら口座開設するには
日本にいながらカンボジアの銀行口座を開設する方法は、あまり知られていないだけに、やや複雑に感じられるかもしれません。
ここでは、口座開設に必要な書類、弊社が代行した場合の流れと業務内容について詳しく解説します。
必要な書類
- パスポートのスキャンデータ(PDF)
個人のお客様は、6ヶ月以上の残存有効期間のパスポートのスキャンデータ(PDF)必要です。
携帯やスマートフォンではなく、必ずスキャンし、A4サイズのカラーPDFをご用意ください。
法人口座を開設する場合は、後述いたします。
お手続きの流れ
弊社を通じて口座開設のお手続きをする場合の流れは以下のとおりです。
- お申し込みフォームの入力
お名前、メールアドレス、電話番号などの基本情報を正確に入力。 - 必要書類のご用意
弊社がお客様から提供された情報を基に申請書を作成し、郵送いたします。 - 公証役場でお手続き
お客様が公証役場にて外国文認証を作成(公証費用はお客様負担、1部あたり11,500円)。 - 弊社へ必要書類を郵送
書類が整い次第、弊社に外国文認証を郵送してください。
届き次第、弊社東京オフィスからカンボジアへ発送いたします。 - 開設完了
カンボジアで手続きを進め、口座開設完了(ここから開設完了までの期間は約1ヶ月)。 - デビットカードのお受け取り(お申し込みいただいた方のみ)
約1週間後に発行されるカードをご本人様が受け取るか、弊社が代行で受け取り(代行受け取りには別途手数料がかかります)。
カンボジア現地の代行業務
弊社で行っているカンボジア現地での代行業務は以下のとおりです。
- カンボジアでの公証
個人・共同口座:200ドル
法人口座:250ドル - 普通預金口座の口座番号取得
- 普通預金口座への入金
最低預金額:個人口座 20ドル、共同口座 40ドル
100ドルまで手数料無料
(100ドル以上は銀行の送金手数料5,500円+弊社の送金代行手数料として金額の3%)
以下はお客様の任意でお申し込みいただけます。
- 定期預金の初回設定サポート
最低預金額:500ドル(500ドル以上は銀行の送金手数料5,500円+弊社の送金代行手数料として金額の3%) - 通帳の申し込み
費用:3ドル - デビットカードの申し込み
年間費:6ドル〜250ドル(受け取り代行手数料100ドル、税別) - 開設後の弊社アフターサポート
アクレダ銀行はジャパンデスクがないため、お問い合わせは全て英語またはクメール語対応となります。
期間:1年・3年・5年(個人口座で年間100ドル、税別)
サポートは現地カンボジアの日本人スタッフが対応(土日祝日は休み、お返事は休み明けから順次対応いたします)
法人口座の場合
法人口座を開設する際には、以下の書類をご用意ください。
- 会社定款の日本語および英訳版
- 会社謄本の日本語および英訳版
- 決算書の日本語および英訳版
- 株主名簿の日本語および英訳版
- 役員、代表者、株主のパスポートスキャン(PDF)
これらの書類は、カンボジアの銀行規制に準拠しており、法人の正式な登録と運営の証明として利用されます。
カンボジア現地で口座開設するには
カンボジアでの銀行口座は、現地でビジネスや投資を考えている方に必須ですが、現地での開設手続きには不安や疑問がつきものです。
ここでは、カンボジアでの口座開設に必要な書類、手続きの流れ、さらに法人口座開設の際の特別な要件について、わかりやすく解説します。
必要な書類
カンボジア現地で口座を開設する際には、以下の書類をご用意ください。
- パスポート
- 入国VISA
- パスポートサイズ(縦45mm×横35mm)のカラー証明写真2枚
まず、パスポートが必須で、申請書を銀行に提出する日から6ヶ月以上の残存有効期間が必要です。
パスポートの写真ページは、カラーのPDF形式で提出するか、携帯やスマートフォンで撮影した写真をご用意ください。
次に、入国VISAが必要で、これは「観光ビザ」として大使館やオンラインで申請できます。
VISAの取得後、オンラインでカラーのPDFか撮影した写真をご提出ください。
さらに、パスポートサイズ(縦45mm×横35mm)のカラー証明写真2枚も必要です。
これらの書類は、口座開設の際に必ず必要となるため、渡航前に準備を完了させておきましょう。
現地でお手続きの流れ
カンボジアでの口座開設の流れは以下のとおりです。
- 弊社の専用フォームからお申し込み
お名前、メールアドレス、電話番号などの基本情報を入力。 - 必要書類をご用意
- カンボジアへ渡航
- アクレダ銀行の窓口で手続き
普通預金口座や定期預金口座の申請を行い、インターネットバンキングやモバイルバンキングの案内を受ける。 - デビットカードのお受け取り(お申し込みいただいた方のみ)
約1週間後に発行されるカードをご本人様が受け取るか、弊社が代行で受け取り(代行受け取りには別途手数料がかかります)。
現地で法人口座の場合
法人口座を開設する際には、以下の書類をご用意ください。
- 会社定款の日本語および英訳版
- 会社謄本の日本語および英訳版
- 決算書の日本語および英訳版
- 株主名簿の日本語および英訳版
- 役員、代表者、株主のパスポートスキャン(PDF)
これらの書類は、カンボジアの銀行規制に準拠しており、法人の正式な登録と運営の証明として利用されます。
渡航前に書類を準備していただき、日本にて公証(外国文認証)を行っていただきます。その後カンボジアでも公証をしますので、お手続きに日数がかかります。渡航計画はゆとりを持って行うことをお勧め致します。
アクレダ銀行口座開設でよくある質問
口座について
申し込みをしたら、開設までにどれくらいかかりますか?
郵送いただいた書類(外国文認証)に不備がないことを確認後、カンボジアへ発送いたします。
書類がカンボジアに到着→公証役場にて公証→アクレダ銀行窓口へ申請となります。窓口へ申請してから約3週間ほどで口座開設が完了します。
デビットカードは口座開設後、約1週間ほどでカード発行、お受け取り可能となります。
口座は凍結されますか?
1年間取引がない場合、口座が凍結されます。
凍結解除を銀行へ依頼する場合は、名義人様が銀行に登録したメールアドレスからメール(英文)で銀行に解除手続きを依頼ください。(登録メールアドレス以外からは不可になります。)
※手数料として5ドルかかります。定期預金を契約している場合、手数料はかかりません。
定期預金は後から自分で作れますか?
はい。インターネットバンキング、モバイルバンキング(アプリ)を利用して簡単に作ることができます。
最近の定期預金金利は?
最新の情報は、アクレダ銀行のサイトをご確認ください。
▷https://www.acledabank.com.kh/kh/eng/ps_defixeddeposit?t=b
インターネットバンキング、モバイルバンキング(アプリ)について
インターネットバンキングやモバイルバンキング(アプリ)の操作マニュアルは無いですか?
英語表記なので、操作方法がわからず海外送金など不安です…
アクレダ銀行から発行しているマニュアルはございません。
弊社にてオリジナルの操作マニュアルをお作りしております。口座開設が完了しましたら、お客様へお渡ししておりますので、安心して操作ができます。
カンボジアへ渡航しないで日本から開設した場合は、モバイルバンキング(アプリ)は利用できるの?
スマートフォンやタブレット端末を利用したモバイルバンキング(アプリ)はカンボジア現地でのみ申請可能になります。日本から口座開設したお客様はご利用できません。
日本で開設後に現地で申請することは可能です。その際、銀行申請書とカンボジアの携帯番号が必要になります。ご希望のお客様は弊社へご相談ください。
その他
カンボジアの利子源泉税について教えてください。
非居住者の利子源泉税は14%、カンボジア居住者の利子源泉税は6%です。
公証役場で作成する外国文認証とは?
申請書の署名が口座名義人本人のものであり、本物であることを確認する為に作る書類になります。日本から開設する場合は、日本の公証役場にて認証してもらう必要があります。(費用 1部 ¥11,500)
デビットカードを作ったけど更新はどうしたらいいの?
弊社にてデビットカードの更新お手続きも承っております。
お気軽にご相談くださいませ。
アンナアドバイザーズのアフタサポートはどういったものなの?
個人口座の場合、年間110ドルで開設後のサポートをご提供しています。大切な資産の保守管理にお役立てください。サポートは現地カンボジアの日本人スタッフが日本語で対応いたします。
【アフターサポートの範囲】
・専用LINEでの日本語対応
・お客様の質問に対しての、各銀行へ確認と回答
・お手続きに必要な申請書の作成
・デビットカードの新規作成・更新手続き
・口座凍結防止の入金
※手続に関した費用(申請料や配送料など)の実費はご負担ください。
【アフターサポート範囲外】
・日本の銀行やWiseなどの海外送金設定に関する質問(こちらは送金元へご確認ください。 )
・サポート銀行以外の銀行に関する質問
・日本の税務関係における質問
・不動産関連における質問
※範囲外のご質問にはお答え致しかねますので、あらかじめご了承ください。
まとめ
本記事では、カンボジアのアクレダ銀行の口座開設に関して必要な情報を詳しく紹介してきました。
アクレダ銀行の概要から特徴、日本からの口座開設方法、現地での手続きプロセス、さらに法人口座開設に必要な書類まで、幅広く解説しております。
また、口座開設のよくある質問と回答も網羅しておりますので、お困りの際はお役立てください。
アクレダ銀行の口座開設を検討される際には、ぜひ弊社のサービスをご検討いただき、遠慮なくお問い合わせください。
荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社
代表取締役 / 宅地建物取引士 / 宅地建物取引業 東京都知事免許(2)第99967号
所属団体:一般社団法人RE AGENT 理事長 / 一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC) / 公益社団法人全日本不動産協会
1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。
著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
はじめての海外不動産投資