
これまで、日本からカンボジアへ行くにはバンコクやホーチミン、ソウルなどでの乗り継ぎが当たり前でした。
「アンコールワットを見に行きたい」「プノンペンでビジネスを始めたい」と思っても、直行便が限られており、アクセスの不便さがネックになっていた方も多いのではないでしょうか。
そんな中、2025年10月、カンボジアの国家フラッグキャリア 「エア・カンボジア(Air Cambodia)」 がついに日本路線を開設しました。
東京(成田)からプノンペンまで、わずか約8時間半で到着できる新ルートが誕生。
これにより、観光・留学・ビジネスすべての分野で「日本とカンボジアの距離」が一気に縮まります。
さらに注目すべきは、今回の就航が単なる航空ニュースにとどまらない点です。
カンボジア政府と日本の航空当局が覚書(MoU)を締結し、両国の経済・観光・投資をつなぐ国家レベルのプロジェクトとして進められているのです。
本記事では、そんなエア・カンボジアの新路線について、運航スケジュール、料金、乗継ポイント、今後の展望、そして旅行者や投資家にとってのメリットを徹底解説します。
日本とカンボジアが“空でつながる”時代へ
近年、東南アジアの中でも急成長を続ける国のひとつがカンボジアです。
豊富な若年人口、安定した経済成長率、そして観光地としての高い魅力により、ビジネスと観光の両面で注目が集まっています。
しかし、これまで日本からカンボジアへの移動は決して容易ではありませんでした。バンコクやホーチミン、ソウルなどを経由する必要があり、直行便が少ないことが課題とされてきました。
そんな中、2025年10月、待望のニュースが届きます。
カンボジアの国家フラッグキャリアである「エア・カンボジア(Air Cambodia)」が、ついに東京(成田)〜プノンペン線を開設しました。
日本とカンボジアが空で直結することで、両国の距離は物理的にも心理的にもぐっと近づきます。
この新ルートは、単なる新しいフライトではありません。
それは、日本とカンボジア、さらに中国・福州を結ぶ“三国間の新しい経済・観光の架け橋”でもあります。
観光客にとってはアンコールワットやシェムリアップへのアクセスがよりスムーズに。
ビジネスパーソンにとっては、現地への出張や投資活動がより身近に。
そして、現地在住の日本人にとっても、帰国の利便性が格段に高まります。
まさに今、「日本とカンボジアが空でつながる時代」が始まろうとしています。
路線概要:プノンペン〜東京(福州経由)
カンボジアの首都プノンペンと日本の玄関口・成田空港を結ぶ新しいルートが、いよいよ誕生しました。
2025年10月26日、Air Cambodia(エア・カンボジア)が正式に運航を開始するこの路線は、福州(Fuzhou)を経由するワンストップ便として設計されています。
運航ルートとスケジュール
この新路線は、「日本・中国・カンボジア」の三国を結ぶ新たな空のルートとして注目されています。
具体的な運航スケジュールは以下の通りです。
| 区間 | 出発時間 | 到着時間 | 運航日 |
|---|---|---|---|
| 東京(成田) → プノンペン(福州経由) | 20:00 | 翌日 03:00 | 毎週 水・金・日 |
| プノンペン → 東京(成田)(福州経由) | 09:45 | 19:00 | 毎週 水・金・日 |
運航開始日:2025年10月26日
運航会社:Air Cambodia(エア・カンボジア)
目的:日本・中国・カンボジア三国間の観光・ビジネス交流促進
出典:Volonté Real Estate「Air Cambodia flies direct from Tokyo to Phnom Penh」
航空券の料金目安
Air Cambodia の新路線は、手頃な価格設定も魅力のひとつです。
| クラス | 片道料金(目安) |
|---|---|
| エコノミークラス | 約47,620円 |
| ビジネスクラス | 約96,130円 |
この価格帯は、バンコク経由やホーチミン経由といった既存ルートと比較しても競争力が高く、「乗り継ぎ時間が短く、価格も抑えられる」という点が大きな魅力となっています。
福州経由の特徴
Air Cambodia の日本路線は、中国の福州長楽国際空港(Fuzhou Changle International Airport)を経由します。
この経由は「ワンストップ方式」となっており、通常の乗継便と比べて非常にスムーズです。
- 乗継時間は約50分〜1時間
- 中国に入国せず、国際線トランジット扱いで空港内に滞在
- 多くのケースで、手荷物は最終目的地までスルーチェックイン可能
- 乗継のみの場合、中国ビザは不要
- 上海浦東T2および北京首都T3では「144時間トランジットビザ免除制度」も利用可能
このように、乗継のストレスを最小限に抑えた利便性が、Air Cambodia便の大きな特徴といえます。
出典:4Travel「中国乗継トランジットビザ免除制度」
路線開設の背景
Air Cambodia は、カンボジアの国家フラッグキャリアとして2023年に設立された新興航空会社です。
今回の東京〜プノンペン線は、同社にとって日本市場への本格進出の第一歩であり、アジア戦略の中心に位置づけられています。
この路線は、単なる輸送手段ではなく、観光・経済・文化の交流を加速させる“架け橋”としての意味を持つのです。
フライトの例
東京発 → プノンペン行き
2025年12月3日(水)の運航例をもとに、実際のスケジュールと料金を交えたシミュレーションになります。
- 出発空港:成田国際空港(東京 / NRT)
- 便名:K6593(東京 → 福州 → プノンペン)
- 出発時刻:20:00(東京発)
- 福州着:23:30(または 23:50 / 便により変動)
- 福州発:0:30〜0:50(翌日)
- プノンペン着:03:00(または 03:20 / 翌日)
所要時間は、東京発から最終到着まで約 8時間50分 ~ 9時間(乗継時間込み)と見積もられています。
プノンペン発 → 東京行き
2025年12月10日(水)の運航例を想定して、帰路のフライトスケジュールと料金を含めたシミュレーションになります。
- 出発空港:プノンペン テチョ国際空港(KTI)
- 便名:K6592(プノンペン → 福州 → 成田)
- 出発時刻:09:45(プノンペン発)
- 福州着:14:00(または 14:00前後)
- 福州発:14:50(福州 → 成田)
- 成田着:19:00
所要時間は、乗継時間を含めてトータルで約9時間前後の所要時間となる見込みです。
行き帰りの料金例(往復/エコノミークラス)
以下は、先ほどご紹介した「東京(成田)→プノンペン → 東京(成田)」ルートを利用した場合の、往復エコノミークラスの想定料金例です。
(※実際の運賃は時期・予約タイミング・プロモーション等で変動しますので、ご注意ください。)
| 区間 | 片道料金(エコノミー目安) | 往復合計(推定) |
|---|---|---|
| 東京 → プノンペン(福州経由) | 約 ¥47,620 | 約 ¥95,240 |
| プノンペン → 東京(福州経由) | 約 ¥47,620 | 約 ¥95,240 |
解説・注意点
- この料金は、エコノミークラスの標準運賃をもとにした目安です。
- ただし、実際には早割・プロモーション運賃、季節期の変動、空席状況などによって大きく上下する可能性があります。
- 例として、航空券比較サイト Kiwi.com では、東京発プノンペン行きが ¥26,581 といった価格帯でも検索されており、往復を含めたお得な便も見つかることがあります。
- また、Air Cambodia の新路線においては、公式発表では「片道 47,620 円」程度という料金目安が言われており、これを元に往復を見積もったものです。
トランジット情報:福州経由のポイント
Air Cambodia(エア・カンボジア)の東京〜プノンペン線は、中国・福州(Fuzhou)を経由するワンストップ便として運航されます。
「経由便」と聞くと、乗り継ぎの煩雑さや入国手続きの不安を感じる人も多いかもしれません。
しかしこの福州経由ルートは、実際には非常にスムーズで快適なトランジットが可能です。
ここでは、その乗り継ぎの仕組みと注意点を詳しく紹介します。
トランジットの流れ:入国不要の国際線乗継扱い
Air Cambodia の福州経由便は、国際線トランジット扱いとなります。
つまり、通常は中国に入国する必要がなく、空港内の国際線乗り継ぎエリアで待機します。
- 中国入国は不要:パスポートに入国スタンプは押されません。
- 乗継所要時間:およそ 50分〜1時間。短時間で効率的な接続が可能です。
- 待機場所:国際線トランジットエリアまたは、場合によっては飛行機内で待機。
- 荷物の受け取り:ほとんどのケースで、成田〜プノンペン間のスルーチェックインが可能。受託手荷物を再預けする必要はありません。
この点が、他の東南アジア経由便(バンコク・ホーチミンなど)と比べて、福州経由便の大きな強みといえます。
トランジットビザ免除制度:万が一の入国にも安心
万が一、天候や運航の都合で福州に一時的に入国が必要になった場合でも、中国では「144時間トランジットビザ免除制度」が適用されます。
この制度により、上海浦東国際空港(T2)や北京首都国際空港(T3)など指定空港経由であれば、最大6日間(144時間)まで中国国内にビザなしで滞在可能です。
福州空港自体はこの制度の主要対象ではありませんが、同様の短期トランジット措置により、滞在が必要になっても柔軟に対応可能となっています。
参考:4Travel「中国乗継トランジットビザ免除制度」
乗継時のチェックポイント
より快適にトランジットを過ごすために、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 搭乗券を必ず成田〜プノンペンまで通しで発券してもらう
→ 空港での再チェックイン不要、スムーズな乗継が可能です。 - 手荷物は軽めに
→ 福州空港での移動はシンプルですが、乗継時間が短いため手荷物を最小限に。 - トランジットラウンジを活用
→ 福州長楽国際空港(FOC)には、短時間利用可能な国際線ラウンジがあります。 - 中国SIMカード・Wi-Fi環境の確認
→ 一部ネット規制があるため、グローバルWi-FiやVPN利用を推奨。
乗継時間が短い=利便性が高い
Air Cambodia の福州経由便は、乗継時間50分〜1時間という短さが大きな特徴です。
一般的に、アジア圏の経由便では2〜3時間の待機が必要な場合も多いため、この短時間接続は「直行便に近い利便性」といっても過言ではありません。
しかも、乗継時に中国ビザが不要なため、ビジネスパーソンにとっても安心。
到着地・プノンペンでは早朝3時頃に着くため、そのままホテルで休憩し、翌朝から活動できるスケジュール設計になっています。
ストレスのないスマートトランジット
福州経由ルートは、一見「経由便」ながらも、実際には直行便に近いスムーズな接続を実現しています。
乗継時間が短く、手荷物の再預けも不要。
ビザ申請の手間もなく、旅行初心者でも安心して利用できるルートです。
Air Cambodia によるこの経由方式は、単なる中継ではなく、「アジアのハブとしての福州の新たな役割」を象徴する取り組みでもあります。
今後、東アジア全体の航空ネットワーク強化においても、この福州経由モデルは重要な位置づけを担うことになるでしょう。


なぜ今エア・カンボジアが注目されるのか?
2025年の日本就航を控え、カンボジアの国家航空会社 「エア・カンボジア(Air Cambodia)」 がいま大きな注目を集めています。
その理由は単なる新路線の誕生にとどまらず、カンボジアの国家戦略とアジア経済圏の動きが深く関係しています。
カンボジア初の国家フラッグキャリアとしての誕生
エア・カンボジアは、2023年に設立されたカンボジア初の国家フラッグキャリアです。
長らくカンボジアには明確な「国を代表する航空会社」が存在せず、外国資本系エアラインが市場の多くを担っていました。
しかし経済成長が進み、外国投資や観光需要が急増する中で、「カンボジアが自国の航空会社を持つべきだ」という国家的な機運が高まり、政府主導でエア・カンボジアが誕生しました。
プノンペンポスト紙の報道によると、エア・カンボジアは日本市場への進出をアジア戦略の中核と位置づけ、日本路線(成田・関空)を優先的に開設する計画を進めています。
参考:日カンボジア経済交流機構ニュース
カンボジアと日本を結ぶ「国家プロジェクト」
今回の東京〜プノンペン線就航は、単なる民間航空路線の開設ではなく、日・カンボジア両政府の協力に基づく国家プロジェクトとして進められています。
カンボジア州民間航空局(SSCA)の発表によると、2025年6月30日、カンボジアのマオ・ハバナル運輸大臣と日本の航空当局の間で、航空路線開設に関する覚書(MoU)が締結されました。
この合意によって、エア・カンボジアによる日本線の就航が正式に承認されたのです。
この協定は、単に航空便を増やすだけでなく、日本企業のカンボジア進出や、カンボジア観光業の発展を後押しする重要な一歩とされています。
参考:Volonté Real Estate – Air Cambodia Launch New Route by End of 2025
日本市場への本格参入:観光・ビジネス両面で期待
エア・カンボジアが日本市場に本格参入する背景には、観光とビジネスの両面で拡大する日本人需要があります。
- 観光面
アンコールワットをはじめとする世界遺産や、リゾート地シアヌークビル、文化都市シェムリアップなど、カンボジアは「週末でも行けるアジア旅行先」として注目度が上昇しています。
東京〜プノンペン間の直行便が増えることで、日本人観光客の訪問数はさらに伸びると予測されています。 - ビジネス面
日本企業による現地進出も加速中です。
特に製造業・不動産・教育・医療などの分野では、すでに多くの日本人ビジネスマンがプノンペンやシェムリアップで活動しています。
新しい直行便の開設により、出張・投資活動が効率化されることは間違いありません。
東アジアネットワーク拡大への足がかり
福州を経由地とする今回のルートは、東アジア圏全体のハブ化を見据えた戦略的拠点でもあります。
福州をハブにすることで、今後は東京だけでなく、大阪(関空)・名古屋・福岡など日本の他都市との接続、さらに韓国・中国国内線とのネットワーク拡大も可能になります。
このような構造は、単に便数を増やすだけでなく、「日本と東南アジアを結ぶ新しい回廊(コリドー)」としての役割を担う可能性があります。
なぜ「今」なのか?
カンボジア経済はこの数年で急速に発展し、インフラ整備・都市開発・観光資源の拡充が進んでいます。
特にプノンペン新国際空港「テチョ国際空港(Techo International Airport)」の開業は、カンボジア航空市場の近代化を象徴する出来事です。
こうした背景から、エア・カンボジアの日本就航はまさに“最適なタイミング”で行われる国家的プロジェクト。
これにより、アジア全体のビジネス・観光動線が再構築され、日本人にとっての「次の成長国」カンボジアが、より身近な存在になるでしょう。
アジアの新たな空の主役へ
エア・カンボジアは、まだ設立から数年の若い航空会社です。
しかしその背後には、国家の威信・経済成長・地域連携という3つの柱が存在します。
東京〜プノンペン線の開設は、「アジアの中心で新しい空の流れを生み出す」第一歩であり、カンボジアが国際舞台で存在感を高める象徴でもあります。
この動きは今後、関空・名古屋・シェムリアップなどへの拡張にもつながり、カンボジア航空史に新たなページを刻むことになるでしょう。
日本〜カンボジア航空アクセスの新時代
日本とカンボジアを結ぶ航空アクセスは、ここ数年で大きな転換点を迎えています。
これまで、両国を行き来する際には第三国経由が一般的でしたが、Air Cambodia(エア・カンボジア)の日本就航によって、「より短く・より便利に・より手頃に」カンボジアへアクセスできる時代が始まります。
これまでの課題:直行便の少なさと長時間の移動
これまで日本からカンボジア(特にプノンペン)への直行便はごくわずかでした。
ANA(全日本空輸)やカンボジア・アンコール航空などが過去に路線を運航したこともありますが、多くの場合、採算性や需要の問題から運休や減便が繰り返されてきました。
その結果、旅行者やビジネス関係者の多くは、バンコク、ホーチミン、シンガポール、ソウルといった都市を経由するルートを選ばざるを得ませんでした。
これらの経由便は乗り継ぎ時間を含めると10時間以上かかるケースも珍しくなく、「距離的には近いのに、時間的には遠い国」と感じる人も多かったのです。
新ルートがもたらす革新
Air Cambodia による東京(成田)〜プノンペン線の開設は、こうした従来の課題を一気に解決します。
- 所要時間:約8時間半前後(乗継込み)
- 乗継地:福州(中国)/入国不要
- 運航日:週3便(水・金・日)
- スルーチェックイン対応で手間なし
つまり、従来よりも約2〜3時間短縮された新ルートが誕生したのです。
これにより、観光・出張・留学といった多様な目的の渡航者が、より柔軟にスケジュールを組めるようになります。
利用者別メリット:観光・ビジネス・在住者
| 利用者タイプ | メリット |
|---|---|
| 観光客 | アンコールワットやシェムリアップなどの観光地へのアクセスが容易。週末旅行も可能に。 |
| ビジネス渡航者 | 日本とプノンペン間の移動時間短縮により、商談や現地視察がスムーズに。 |
| 現地在住者・留学生 | 帰国や渡航の選択肢が広がり、航空券価格の競争によるコスト削減も期待できる。 |
この新しいルートは、「日本とカンボジアを行き来するすべての人」にとっての朗報となります。
特にプノンペン在住の日本人コミュニティにとっては、利便性の向上だけでなく、精神的な“距離の近さ”を感じられるきっかけにもなるでしょう。
東アジアネットワークの拡大:福州ハブの可能性
Air Cambodia のもう一つの強みは、福州(Fuzhou)をハブ都市として活用している点です。
これにより、日本だけでなく、韓国・中国国内・ASEAN諸国との接続も拡大する見込みがあります。
- 日本の地方都市(大阪・名古屋・福岡)との接続強化
- 韓国・中国南部の都市圏との相互乗継ネットワーク
- 将来的にはシェムリアップやシアヌークビル便への連携も視野に
この「福州経由モデル」は、東アジアの新しい航空ダイナミクスを象徴しています。
乗継便でありながら“直行便に近い利便性”を実現しており、今後の国際航空戦略においても注目される構造です。
日本〜カンボジア間の需要拡大
観光庁およびASEAN観光統計によると、2024年時点でカンボジアを訪れる日本人旅行者は年間約10万人規模にのぼり、その数はコロナ禍前の水準を着実に回復しています。
一方で、カンボジアから日本を訪れる旅行者や留学生も増加しており、両国間の双方向交流が加速しています。
Air Cambodia の就航は、こうした流れをさらに強化し、観光・教育・経済の三領域での相互発展を後押しすると期待されています。
日本とカンボジアの“空の距離”が変わる
エア・カンボジアの新路線は、単なる新しいフライトスケジュールではありません。
それは、日本とカンボジアの関係を一段と深める象徴的な架け橋です。
これまで遠く感じられたカンボジアが、わずか8時間半で到着する身近な国へと変わり、旅行者にとっては“次に訪れたい東南アジアの目的地”、ビジネスパーソンにとっては“新たな成長市場への入り口”となるでしょう。
まさに今、日本とカンボジアの空の時代が、新しい章を迎えています。


利用者にとってのメリット
エア・カンボジア(Air Cambodia)の東京〜プノンペン線就航は、日本とカンボジアの距離を縮めるだけでなく、利用者の目的別ニーズに応じた利便性の向上をもたらします。
ここでは、「観光」「ビジネス」「在住・留学」の3つの視点から、それぞれのメリットを解説します。
観光客にとってのメリット:もっと近く、もっと気軽なカンボジアへ
- 世界遺産アンコールワットへ最短ルート
カンボジア観光といえば、世界遺産アンコールワットや古都シェムリアップが定番。これまで日本からは直行便が少なく、ホーチミンやバンコクでの乗り継ぎが必須でした。
しかし、Air Cambodia の就航により、わずか約8時間半でプノンペンに到着できるようになります。
そこから国内線でシェムリアップまでは約1時間。これにより、週末休暇でも「アンコールワットを見に行ける時代」が現実になります。 - 新興リゾート・シアヌークビルも身近に
カンボジア南部の海岸都市シアヌークビルは、近年リゾート開発が進む注目エリア。
プノンペンから車で約3時間の距離であり、短期滞在でもアクセス可能です。
東京発のフライトで早朝にプノンペンに着けるため、その日のうちにビーチリゾートへ移動することも可能です。 - 日本人観光客向けの安心環境
近年のプノンペン市内では、日本食レストラン・日系ホテル・観光サポートデスクなどが急増しています。
直行便の就航により、観光需要が拡大すれば、日本語対応サービスの充実も一層進むことが期待されます。
ビジネス渡航者にとってのメリット:出張が“日帰り圏内”に
- 移動時間の短縮で業務効率が向上
これまで日本からプノンペンへ行くには、最低でも片道10〜12時間を要し、日程調整に負担がかかっていました。
Air Cambodia の福州経由便では、所要時間が約8時間半に短縮され、朝出発して夜には現地入り、翌朝から商談に臨むことが可能です。 - 投資・貿易ビジネスへの追い風
プノンペン経済特区(PPSEZ)やシェムリアップの新産業拠点には、日本企業の進出が相次いでいます。
今回の就航は、そうしたビジネス展開において日本と現地の往来を容易にし、投資機会を拡大させる契機となるでしょう。
また、福州を経由することで中国市場へのアクセスも容易になり、日中カンボジアの三国ビジネスネットワーク形成にも貢献します。 - スケジュールの柔軟性
週3便(水・金・日)の運航スケジュールにより、短期出張から長期滞在まで、柔軟な旅程設計が可能です。
特に、水曜日発・日曜日帰国のパターンは、「1週間で商談+市場視察+帰国報告まで完結」できる理想的なビジネススケジュールです。
在住者・留学生にとってのメリット:より安心で便利な“帰国ルート”
- 日本人コミュニティへの恩恵
プノンペンやシェムリアップには、教育・医療・開発支援などの分野で活動する日本人が多数在住しています。
直行便の増加により、帰国や家族訪問の際の時間的・経済的負担が軽減します。 - 留学生・現地駐在員にも朗報
カンボジアの大学・国際学校・企業に在籍する日本人留学生・駐在員にとっても、フライトの選択肢が増えることは大きな安心材料です。
特に、夜行便での移動が可能なため、学業・業務への影響も最小限に抑えられます。 - 航空券価格の競争が進む
Air Cambodia の参入により、日本〜カンボジア間の航空券市場では価格競争が活発化すると見込まれています。
これまで平均10万円以上だった往復航空券が、プロモーション運賃では7万円台以下に下がる可能性も指摘されています。
この価格競争が進めば、今後さらに多くの日本人がカンボジアを訪れる契機となるでしょう。
誰にとっても“アクセスの革命”
Air Cambodia の日本就航は、観光客・ビジネスパーソン・現地在住者のいずれにとっても、「時間・コスト・心理的距離」を縮める画期的な動きです。
これまで“遠い国”と感じられていたカンボジアが、アジアの中心に位置する“アクセスしやすい新興国”へと変わりつつあります。
特に、プノンペンからはタイ・ベトナム・ラオスなどへのアクセスも容易で、Air Cambodia の就航はアジア周遊旅行にも新たな選択肢を提供します。
今後の展望:関空・シェムリアップ便の就航と東南アジアハブ化の可能性
Air Cambodia(エア・カンボジア)は、2025年10月の東京(成田)〜プノンペン線開設を皮切りに、さらなる路線拡大を計画しています。
次のステップとして予定されているのが、大阪(関西国際空港)への直行便と、観光需要が高いシェムリアップ発着便の展開です。
これにより、日本とカンボジアを結ぶ航空ネットワークは、かつてない広がりを見せようとしています。
大阪(関空)便の開設計画
Air Cambodia は、プノンペン〜東京線の成功を受けて、関西国際空港(KIX)への直行便就航を正式に計画しています。
すでに2025年7月時点で、カンボジア州民間航空局(SSCA)が日本当局と協議を進め、航空路線開設に関する覚書(MoU)が締結されています。
関西圏は、観光客だけでなく中小企業や製造業が多く、東南アジアへのビジネス進出が活発な地域です。
このため、関空〜プノンペン直行便の実現は、「日本西部の企業がカンボジア市場へ直接アクセスできる初のルート」として大きな意味を持ちます。
運航開始は2026年前半が有力視されており、Air Cambodia にとっては日本市場での第二の主要拠点となる見込みです。
シェムリアップ便の構想:観光需要に応える第二波
もうひとつ注目されるのが、シェムリアップ発着便の開設計画です。
シェムリアップは世界遺産アンコールワットを擁する、カンボジア最大の観光都市。
特に日本人観光客の人気が高く、今後の直行便化が強く期待されています。
エア・カンボジア関係者によると、プノンペン路線の運航が安定した後、シェムリアップ〜東京/大阪線の検討が本格化する予定とのことです。
もし実現すれば、乗継不要でアンコールワット観光が可能になる初の直行ルートとなります。
この新ルートは、東南アジア全体の観光動線に大きな影響を与え、タイ・ベトナム・ラオスと連携した「メコン地域観光圏」の形成を後押しすると期待されています。
カンボジアの航空市場拡大とテチョ国際空港の開業
こうした路線拡張の背景には、カンボジアの航空インフラ整備が急速に進んでいるという現実があります。
首都プノンペン郊外では、2025年中に新空港「テチョ国際空港(Techo International Airport)」が開業予定。
最新の滑走路設備や大型旅客機対応ターミナルを備え、将来的には年間1,300万人以上の旅客処理能力を持つとされています。
この新空港が稼働すれば、Air Cambodia を中心とした国際線の発着がさらに増え、東南アジアの新しいハブ空港としての地位確立が見込まれます。
これにより、プノンペンが「次のシンガポール」や「第2のバンコク」として注目される日も遠くありません。
東南アジアハブ化へのステップ
Air Cambodia の中期計画では、日本路線を基盤に、韓国・中国・ベトナム・マレーシアなどの近隣諸国とのネットワーク拡大を進める方針が示されています。
特に、福州をハブとして活用する戦略は、「アジア三国間のシームレスな移動」を実現する第一歩です。
今後は以下のような展開が見込まれます。
- 東京・大阪とプノンペンを結ぶ定期便の安定化
- シェムリアップ・シアヌークビル発着の観光便開設
- プノンペンを拠点としたASEAN域内ネットワークの拡大
- カンボジアを中心とする日中ASEANの経済・観光回廊の形成
こうした動きにより、カンボジアは単なる観光地にとどまらず、「東南アジアの交通・経済ハブ」としての存在感を高めていくでしょう。
今後への期待:日本からのアクセスが当たり前になる未来
今から数年後、「成田から8時間で行ける新興国」だったカンボジアが、「日本各地から気軽に訪れられる定番の旅先・ビジネス拠点」へと進化しているかもしれません。
Air Cambodia の挑戦は、カンボジアにとっても日本にとっても、アジアの空の新しい章を開く国家的プロジェクトです。
関空便・シェムリアップ便の実現によって、日本とカンボジアの絆は、空を通じてさらに強く結ばれていくでしょう。
まとめ:エア・カンボジアが拓く新しい空の架け橋
東京(成田)〜プノンペン間を約8時間半で結ぶこの便は、これまでバンコクやホーチミンを経由していた従来ルートの不便さを大きく改善し、両国の距離を文字通り「ひとっ飛び」で近づける画期的なフライトです。
観光客にとっては、アンコールワットやシェムリアップ、シアヌークビルなどの魅力的な観光地へのアクセスが格段に良くなり、短期旅行でもカンボジアの魅力を体験できるようになります。
ビジネスパーソンにとっても、日本とプノンペン間の移動時間短縮によって、商談や視察、投資活動がよりスムーズに進められるでしょう。
また、在住者や留学生にとっても、帰国や往来の負担が軽減され、心理的にも「日本がもっと近く感じられる」環境が整います。
さらに、Air Cambodia は関西国際空港(KIX)やシェムリアップ便の開設も視野に入れており、将来的には日本各地とカンボジアを結ぶネットワークが形成される見込みです。
テチョ国際空港を拠点とし、東南アジア各国への接続性を強化することで、カンボジアは「東南アジアの新たな航空ハブ」としての地位を確立しつつあります。
これにより、観光・経済・教育・文化といった幅広い分野での交流が活性化し、日本とカンボジア、さらに中国・韓国・ASEAN諸国をつなぐ三国間ネットワークが拡大していくでしょう。
エア・カンボジアの日本就航は、単なる航空路線の開設にとどまりません。
これは、国と国、人と人を結ぶ「新しい時代の架け橋」です。
東京からプノンペンへ、そして関西からシェムリアップへ──。
今、アジアの空に描かれようとしている新しい航路は、未来の経済と文化を動かす力を秘めています。Air Cambodia は、その中心で“希望と発展を運ぶ翼”として、日本とカンボジア、そしてアジア全体の未来をつなげていくのです。



荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社
代表取締役 / 宅地建物取引士 / 宅地建物取引業 東京都知事免許(2)第99967号
所属団体:一般社団法人RE AGENT 理事長 / 一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC) / 公益社団法人全日本不動産協会
1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。
著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
はじめての海外不動産投資
