カンボジアに渡航する時はビザ必須!申請方法や書類などを紹介

執筆者:荒木 杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

アンコールワットなどの遺跡が有名なカンボジア。

カンボジアに行きたい場合、パスポートを持っているだけでは渡航できないことをご存じでしょうか。
カンボジアに入国するには、渡航目的によって異なる手続きが必要です

この記事では、カンボジアに行くために必要な手続きや書類について、詳しく解説します。

カンボジアに行くにはビザが必要

日本人がカンボジアに入国するためには、渡航目的に応じて有効なビザ(入国査証)が必要です。
ビザには入国の有効期限が記載されており、その日までに入国しなかった場合は失効してしまうため、注意が必要です。

また、滞在期限内にカンボジアを出国しなかった場合(オーバーステイ)、超過した日数×10米ドルを支払わなければ出国できなくなります。
加えて、パスポートの残存期間が、入国日から6ケ月以上でなければ渡航できない点にも注意しましょう

カンボジアビザの種類は大きく5つ

主要なカンボジアビザの種類は、以下の5つです。

  • 業務・商用ビザ(ビジネスビザ)…観光以外の目的(留学・ボランティア・セミナー参加・企業視察など)で渡航する場合
  • 観光ビザ…観光目的で渡航する場合
  • 外交ビザ…外交官が渡航する場合
  • 公用ビザ…国際機関などの任務で渡航する場合
  • 表敬ビザ…カンボジア政府や省庁の指定機関などからオファーを受けた場合

また、カンボジアのビザには、1回のみ有効な「シングルビザ」と、1〜3年の間に何度も入出国が可能な「マルチプルビザ」が存在します。
(当記事では、一般的な旅行者などが取得する「シングルビザ」について説明しています)

ビザを申請する方法は3つ

ビザを申請するには、以下の3つの方法があります。

  • カンボジア大使館にて申請
  • インターネットにて申請(e-Visa)
  • カンボジアの空港にて取得(アライバルビザ)

また、特定の条件を満たす人はビザがなくても入国が認められます。
それぞれについて、詳細を解説していきます。

在日カンボジア大使館にて通常のビザを取得

直接、カンボジア王国大使館(東京)もしくは名誉領事館(札幌・名古屋・大阪・福岡)に赴いてビザを申請する方法です。
ビザは最短で申請日の翌々日(休館日は除く)に発行され、パスポートに貼付されます。

オンラインビザ(e-Visa)を取得

観光ビザまたは商用・業務ビザであれば、事前に公式申請サイトの「e-Visa」で申請・取得することが可能です。
申請から取得までは3営業日で、クレジットカード決済にて申請料金を支払います

パソコンやスマートフォンで、簡単にビザ取得ができるところがe-Visaのメリットです。
しかし、誤って申請代行業者のWebサイトから申請を申し込んで代行費用を請求されたり、巧妙に作られた偽サイトが出回っていたりと、トラブルも報告されています。
インターネットで査証申請する際は、必ずe-Visaの公式サイトから申請するようにしましょう
【e-Visa カンボジア外務省 公式サイト】https://www.evisa.gov.kh/

また、e-Visaで取得したビザの場合、入国できる国境が以下の3空港・4陸路国境に限定されます。

【e-Visaで入国可能なポイント】
プノンペン国際空港・シェムリアップ空港・シアヌークビル国際空港・タラープリアンキアン・ポイペト・チャムイエム・バヴェット

それ以外の地点から入国する可能性がある場合は、他の手段でビザを取得しましょう。

アライバルビザ(カンボジアの空港)を取得

観光ビザまたは商用・業務ビザは、カンボジアの現地空港や陸上国境の入国審査場にある、アライバルカウンターで取得することもできます。
(2022年3月の入国制限改定により、現在はアライバルビザの発給が再開されています。)

事前準備が不要で気軽な反面、ビザ取得の手続きで入国するまでに時間がかかります
特に混雑時には、アライバルカウンター前に長蛇の列ができていることも。
そのため、可能であれば、事前に大使館やe-Visaでビザ取得してから入国する方がスムーズです。

また、アライバルカウンターではクレジットカードは使用できず、ビザ申請料(観光ビザは30米ドル、業務・商用ビザは35米ドル)を現金で用意しておく必要があります

査証免除措置の場合

日本国籍で、外交旅券または公用旅券を所持している人(外交官など)は、90日以内の滞在であればビザがなくても入国できます。
ただし、90日を超えて滞在する場合は手続きが必要です。

また、以下の国籍の一般旅券を持っている人も、決められた日数以内の滞在であれば、ビザが不要になります。

【滞在可能日数30日】
インドネシア・ベトナム・ラオス・マレーシア・フィリピン・シンガポール

【滞在可能日数15日】
セーシェル

【滞在可能日数30日】
ブルネイ・タイ・ミャンマー

査証審査に必要な書類について

ビザの申請・審査に必要な書類等について、入国の目的別にまとめました。

商用目的

業務・商用ビザを取得する必要があります。必要書類は以下の通りです。

  • パスポート残存有効期間が、カンボジアに入国する日から6ケ月以上のもの
  • 縦4.5cm×横3.5cm、無地の背景の証明写真(e-Visaの場合はJPEGまたはPNGデータ)

※以下は大使館などの窓口でビザの申請をする際に必要です。

  • 申請書(申請用紙はカンボジア王国大使館・名誉領事館のホームページにて、PDFファイルで事前取得可能)
  • カンボジアの企業・団体などからの招へい状(あれば)
  • 代理申請する場合、委任状(カンボジア王国大使館・名誉領事館のホームページにて、PDFで事前取得可能)

観光目的

観光ビザを取得して入国します。申請時に必要な書類は以下の通りです。

  • パスポート残存有効期間が、カンボジアに入国する日から6ケ月以上のもの
  • 縦4.5cm×横3.5cm、無地の背景の証明写真(e-Visaの場合はJPEGまたはPNGデータ)

※以下は大使館などの窓口でビザの申請をする際に必要です。

  • 申請書(申請用紙はカンボジア王国大使館・名誉領事館のホームページにて、PDFファイルで事前取得可能)
  • 窓口で代理人が申請する場合、委任状(カンボジア王国大使館・名誉領事館のホームページにて、PDFで事前取得可能)

親族・知人訪問

カンボジアにいる親族などを訪ねる場合は、観光ビザではなく業務・商用ビザを取得します。
申請書類の所定の欄に訪問先や訪問理由を記入することで、親族などを訪問する目的であることを伝えます。

就労・長期滞在

カンボジアでは、業務・商用ビザでの最長滞在可能期間が30日間までと定められています
滞在日数が31日以上になる場合は、業務・商用ビザにて入国後に、カンボジアの入国管理事務所でビザの延長手続きが必要です。
業務・商用ビザを取得する際の必要書類は商用目的で述べた通りなので、ここではビザの延長をする際に必要な書類について説明します。

【ビザの延長に必要な書類】

  • パスポート
  • 雇用主が作成した雇用証明書
  • 雇用主パテント証明書のコピー
  • 外国人労働許可証

またカンボジアでは、「カンボジア外国人滞在システム」に登録されている外国人でなければ、ビザの延長が認められないことになっています
当該システムに登録するのは本人ではなく、滞在している物件のオーナーなどです。
そのため、ビザを延長するには、居住先のオーナーなどにシステムへの登録をお願いする必要があります。

申請期間及び手数料

カンボジアのビザ申請は、入国予定日の3ケ月前から手続きできます
申請期限については、ビザの取得方法によって異なります。
大使館に行って直接申請する場合、申請してから最短で翌々営業日以降にビザの受け取りが可能です。(休館日を除く)
また、e-Visaであれば、渡航日の1日前まで申請可能となっていますが、Webサイトの不具合や登録の不備があった場合を考えると、直前の申請はおすすめできません。

手数料についても、申請方法により異なります。
大使館で取得した場合の手数料は、観光ビザが3,900円、業務・商用ビザが4,400円ですが、名誉領事館で取得すると、この金額にプラス500円が加算されます。
e-Visaを利用した場合の手数料は、観光ビザが36米ドル、業務・商用ビザが42米ドルで、登録画面でクレジットカード情報を入力して支払います

最後にアライバルビザの手数料ですが、金額は観光ビザが30米ドル、業務・商用ビザが35米ドルと、e-Visaに比べて安価な設定になっています。
ただし、クレジットカードでの支払いができないため、渡航前に現金の米ドルを用意しておく必要がある点に注意が必要です

まとめ

今回は、カンボジアに入国するために必要なビザの種類や申請方法などについて、詳しく解説しました。

自分がやるべき手続きや用意する書類がどんなものか、確認できたのではないでしょうか。
安心して渡航するためにも、事前に必要な手続きは早めに済ませて、万全な体制を整えておくことが大切です。

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荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

代表取締役 / 宅地建物取引士 / 宅地建物取引業 東京都知事免許(2)第99967号
所属団体:一般社団法人RE AGENT 理事長 / 一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC) / 公益社団法人全日本不動産協会
1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。
著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
   はじめての海外不動産投資