世界最大の経済大国のアメリカですが、コロナ禍においても高い成長率を見せています。先進国でありながら人口も増加しており、さらなる国としての成長が見込まれます。
このアメリカは、海外不動産投資先としても注目を浴び続けています。
発展途上国への投資と比較して、安全性も高いと考えられているアメリカの不動産投資ですが、今回は、アメリカへの不動産投資のメリットと、抑えておきたい注意点を解説します!
1. 米国不動産投資のメリット
海外不動産投資では先進国や発展途上国などさまざまな国が投資の対象となります。
その際、各国の情勢を加味しながら検討していく必要があります。
ここでは、その中でも投資先として人気の高いアメリカの不動産投資で考えられるメリットを3点解説します。
(1) 不動産価格が引き続き上昇
アメリカ経済はコロナ禍でも経済成長を続けています。
不動産価格も同じく上昇している状況です。
※出典元:FRED E CONOMIC DATA
人口の増加もさることながら、アメリカの不動産市場は需要の増加に対して供給が間に合っていない状況にあり、需要過多の傾向が続いております。
この需要の拡大に付随して住宅価格が上昇しています。
今後さらなる発展も期待できることから、不動産投資先としても将来性が高いと考えられるでしょう。
アメリカの不動産投資にあたって最もメリットと考えられるポイントです!
(2) 国内銀行でも融資プランがある
海外不動産への投資では、融資先の選定が必要です。
国内の銀行にはアメリカの一部エリアを対象とした融資プランがあるため、融資先を確保しやすいというメリットがあります。
ご参考までに2行ご紹介します。
◆【SBJ銀行】海外不動産(ハワイ州ホノルル)購入ローン
※出典元:SBJ銀行ホームページ
◆【香川銀行】有担保フリーローン 海外投資用不動産(カリフォルニア)
※出典元:株式会社日本保証ホームページ
(3) 外国人に対する物件購入の規制がない
国によっては、外国人の不動産購入に規制のある国があります。
アメリカでは、外国人が物件を所有するに当たっての規制がなく、日本人でも問題なく不動産を所有することが出来ます。
また、日本に居住しながら物件を所有できるので、規制に縛られることがないというメリットがあります。
2. 考えられるデメリット
海外不動産への投資を検討する際、メリットはもちろんですが、リスクやデメリットを把握しておくことも重要です。
そこで、考えられるデメリットをご紹介します。
(1) すでに物件価格が高騰している
アメリカ主要都市の物件価格は既に価格が高騰しています。
ロサンゼルスやニューヨークの物件は世界を見渡してもトップクラスに不動産価格が高く、常にニーズが多い状況です。
その為、投資を検討しようと思っても、手を出せない。といった状況に直面するリスクが考えられます。
初期投資としてある程度まとまった資金が必要である場合も出てきます。
アメリカの中でも国内不動産投資と同じく慎重なエリア選定が必要になります。
(2) 言葉や時差の壁がある
これはアメリカに限った話ではなく、海外不動産投資にあたって直面する問題です。
世界で最もポピュラーな言語である英語が公用語ですが、苦手な方は書類のやり取りや契約に際して苦戦してしまうことも考えられます。
レスポンスや顧客対応などに関しても、文化的な違いや意思の疎通に苦戦する場合も出てくるでしょう。
また、日本とアメリカには約13時間の時差があります。
活動時間も異なる為、日本に居住しながら投資を行う場合は、様々なやり取りにタイムラグが発生しておくことも念頭に置きましょう。
(3) 融資のハードルが上がる
アメリカ向けの融資プランが国内の銀行にもある旨をご紹介しましたが、現地の銀行での融資を受ける場合には注意が必要です。
一般的に、居住者以外の物件購入に対する融資には、3割程度の頭金が求められる場合が多く、金利も国内の金融機関と比較して高く設定されている場合が多いです。
フルローンを組むことはまず難しいという点を念頭に置いておきましょう。
よって、投資利回りに影響が出てきますので、物件選定のハードルが上がってしまいます。
一方で、現金をある程度豊富にお持ちの方は、まず物件をキャッシュで購入し、その物件を担保に融資を受けていくという方法が取れます。
ある程度初期費用が必要になりますが、レバレッジを効かせていく方法の一つですので意識しておくと良いでしょう。
3. 米国不動産への投資目的
ここまで、アメリカの不動産投資におけるメリットや考えられるリスクをご紹介いたしました。
米国不動産への投資にあたっては、その目的によって手法が異なってきます。
以下の、4点をご紹介いたします。
(1) 家賃収入によるインカムゲイン
最も安定した投資と言える、インカムゲインを得る投資。つまり、所有物件を賃貸に出して家賃収入を得る方法ですが、これは国内不動産同様エリアの選定が重要です。
アメリカ各州の中でも、エリアによって不動産価格の変動水準は異なります。
その際、着目する一つの指標として、人口増加率が挙げられます。
人口の増加と賃貸ニーズには相関性がありますので、まず人口が増加しているエリアから選定した方が良いでしょう。
また、犯罪発生率や学区次第では賃貸ニーズが下がってしまうエリアもありますので、その辺りも検討するべきです。
入念な調査や、現地のエリア事情に詳しい方からの情報収集も重要となります。
(2) 売買差益によるキャピタルゲイン
先進国でありながら、不動産の売買差益が大きく狙えるのもアメリカ不動産投資の魅力的なポイントです。
アメリカの不動産市場では中古物件が活発に取引されています。
新築にこだわりのある人が多い日本の文化と異なり、中古物件にも抵抗のない方がほとんどです。
つまり、不動産の売却においても日本と比較して非常に流動的である点が大きなメリットとして考えられます。
人口の増加率や誘致されている産業などにも着目し、10年20年後を見越して需要のあるエリアを選定できれば、大きなキャピタルゲインを得ることができる可能性があります。
(3) 節税対策
アメリカの不動産投資では税金面においてもメリットがあります。
理由としては2点考えられます。
1点目は、建物価格を4年間減価償却費として損金算出できる為です。
アメリカの不動産は「築22年以上の木造物件」が減価償却の対象となっている為、日本の税制上でも該当物件は4年間で減価償却することが可能です。
中古物件市場が活発である点もこのメリットを後押ししてくれます。
2点目は、不動産価格に占める建物の割合が高い為です。
日本の不動産では上物よりも土地の占める割合が高くなる場合がほとんどです。
その為、経費に計上できる割合も少なくなってしまいます。
一方、アメリカ不動産の土地の占める割合は平均して3〜4割と言われており、建物の占める割合が高くなります。よって、必然的に経費に計上できる割合も高くなります。
以上のことから、税金面でもメリットが考えられます。
(4) 資産ポートフォリオのリスク分散
最近のドル高・円安の進行など世界の経済情勢は目まぐるしく変動します。
その中で、リスクヘッジとして海外への資産の分散は非常に重要です。
一つの国・エリアへ資本を集中してしまうと、予想だにしない事態が起きてしまった時に大きく資産を減らしてしまうことに繋がってしまうからです。
アメリカの不動産へ資本を分散させることはリスク面から考えても効率的であると考えられます。
為替面でも、基軸通貨である「米国ドル」へ資産を分散できるというメリットがありますし、不動産投資の面においても、国内の物件価格が下落してしまった時のリスク分散になります。
投資先の分散という点でも、アメリカ不動産への投資を検討する意義はあるでしょう。
4. まとめ
不動産投資先としても注目を浴び続けるアメリカですが、今回はメリット・リスクに関して解説しました。
キャッシュを豊富にお持ちの方や、国内だけに資産をお持ちの方には特に魅力的な投資先と言えるでしょう。
もちろんリスクも把握した上で、投資を検討することには大変意義があると考えます。
是非、今回ご紹介した内容をもとにアメリカ不動産への投資を検討してみましょう!
荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社
代表取締役 / 宅地建物取引士 / 宅地建物取引業 東京都知事免許(2)第99967号
所属団体:一般社団法人RE AGENT 理事長 / 一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC) / 公益社団法人全日本不動産協会
1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。
著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
はじめての海外不動産投資