NFTが海外不動産投資にもたらす影響は?メリットやリスクについてご紹介

執筆者:荒木 杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

最近良く耳にするワード「NFT」ですが、一体どういうものなのか疑問に持たれる方もいらっしゃることでしょう。

NFTの拡大により、様々なサービスへの活用が検討されていますが、実は海外不動産投資にも大きな影響をもたらすと言われています。

そこで、この記事ではNFTの概要に加え海外不動産投資への影響を解説します。
NFTについて知識を深めたい方、海外不動産投資との関わり方を知りたいという方は、ぜひこの記事を通して情報をストックしていきましょう。

 1. NFTとは? 

テレビやネットニュースでNFTというワード自体は聞いたことはあるものの、どのようなものか理解をしていないという方も多いです。
まずは、NFTについてご説明します。

 (1) NFTの特徴 
NFTとは「 Non-Fungible-Taken 」の省略であり、「非代替性トークン」と呼ばれるものです。このNFTは後ほどご紹介するブロックチェーンシステムという技術を利用して作られています。

代替不可能なトークンと言ってもピンとこないかもしれませんが、要は、このブロックチェーンシステムを応用することで、デジタル資産に「唯一性」をもたらすことができます

デジタル資産は今までコピーや改ざんのリスクに晒されていましたが、この「唯一性」が担保される形で、デジタル資産に大きな価値を生み出すことが可能になりました。
よって、アートや音楽などの分野にNFTが応用され、急激に市場が拡大しています。

 (2) ブロックチェーンシステムを理解しよう 
NFTには、ブロックチェーンという技術が応用されている点をお伝えしました。
ブロックチェーンには主に4つの特徴があります。

・消すことができない連続した取引の記録が残る
・改ざんできない
・自律分散型台帳
・システムが落ちることがない

これらの特徴を持ち合わせたブロックチェーンの登場で、インターネット上での取引により高い信用が生まれました。
現在、この技術が応用されている分野で代表的なものは、仮想通貨(ビットコインなど)ですが、今後は様々な業界への活用が期待されています。

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 2. NFTが海外不動産投資にもたらす影響 

では、このNFTが海外不動産へどのような影響をもたらすのでしょうか?
以下2点を解説します。

 (1) オンライン上で所有権の唯一性が担保される 
不動産の所有権をトークン化することで、オンライン上で不動産の売買が簡単になります。何故なら、改ざんができない・連続した取引の履歴が残るという特性のもと、高い信頼性を持って取引が行われるからです。

現在、不動産売買はオフラインで数々の書類を用いて厳正な取引が行われていますが、NFTの導入で、誰でも簡単に取引できるようになります。

 (2) 公正な取引が担保される 
先ほどお伝えしたように、ブロックチェーンの技術により改ざんができない・連続した取引の記録が残るという特性に加え、自律分散型台帳であるという特性も不動産の取引へ透明性を与えることになります。

誰もが不動産取引の履歴へアクセスすることができるようになるため、より透明性の高い不動産情報を入手することができます。

この透明性のもと、より公正な取引が担保されますので、不動産市場も更に流動的になるでしょう。

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 3. NFTを活用するメリット・デメリット 

このNFTを海外不動産へ活用することによって生まれる具体的なメリット・デメリットをご紹介します。

 (1) NFTが海外不動産投資にもたらすメリット 
NFTの導入で、更に海外不動産投資市場が拡大・成長していく可能性を秘めています。
この技術がもたらすメリットを以下3点にまとめました。

 ① 契約の簡略化 
不動産所有権がトークン化されることで、不動産の売買手続きが非常に簡略化されるというメリットがあります。なぜなら、信頼性の高い取引がオンライン上ですべて完結するからです。

従来、不動産売買は膨大な書類の提出や押印・確認作業など様々な紙媒体での手続きを必要としています。しかし、NFTの導入でこれらの手続きを省略し不動産の売買を行うことができるため、より流動性の高いものになることが予測されます。

これまで海外不動産への投資においても、様々な手続きが必要でしたが、NFTが導入されることで更に参入しやすいような環境が実現するでしょう。
また、様々な仲介業者・手続きが簡略化される為、売買における手数料が低くなるというメリットも併せて考えられます。

 ② 即時取引が可能に 
NFTの導入で、オンライン上でのリアルタイムな取引が可能になります。
理由としては、トークン化された不動産所有権に対して様々な方がリアルタイムでアクセスすることができるようになるからです。

現在、不動産の取得や売買においては手続きなどの都合上少なくとも数日の時間を要することになりますが、この時間差を取り除くことができます。

特に、取引のタイムラグの発生が考えられる海外不動産の売買においても、オンライン上で所有権の売買がリアルタイムできることから、世界中の物件の即時取引が実現します。

 ③ 小口投資が可能に 
所有する不動産は、実体を伴う為本来は分割することができません。
しかし、不動産所有権がトークン化されることで、所有権の分割が可能になり、より少額からの投資が可能になります。

高額な費用が必要な海外不動産投資ですが、NFTが導入され不動産所有権が小口化されると、一気に参入の敷居が低くなります。
少額で取引を開始できることから、より不動産市場も流動的になる可能性が高いので、翁メリットと考えられます。

 (2) 考えられるデメリット 
ここまでNFTが導入されることによるメリットを解説しましたが、現状では良い点ばかりではありません。考えられるリスクについても解説します。

 ① 法整備が未熟 
全世界で市場が拡大してきているNFTですが、まだまだ日本での認知度は高くありません。よって、NFTに対する法律や制度が明確に定まっておらず、今後大きく変化していく可能性があります。

比較的新しいものなので、日本の法整備が追いつかない点は仕方がありません。
ここで重要なのは、これから起こる変化に対して柔軟に・臨機応変に対応できるよう常に最新情報を仕入れ、アンテナを貼ることです。

特に税法などに関して、資産を所有している際に変更があった場合は脱税・未納などのリスクに直面してしまう可能性もあります。
まだまだ変化が大きな市場ですので、しっかりと情報収集を行いましょう。

 ② 仮想通貨↔現金交換時のレート問題 
現在の不動産投資では、現金で投資を行い現金で回収する場合がほとんどですが、NFTの導入でトークン化された不動産所有権を受け取る場合、仮想通貨などでやり取りをする可能性も考えられます。

仮想通貨の値動きは非常に激しく、仮想通貨の基軸通貨と言われるビットコイン(BTC)も、2022年5月現在、史上最高値から約50%程大暴落している相場を見せています。

ただでさえ、海外不動産投資では為替の影響を受けてしまいます
この相場に仮想通貨とのレート問題が加わると、より複雑なものとなるでしょう。

このように、運用益をどのような形で受け取るかで収益に大きく影響する可能性があります。仮想通貨自体の価格変動リスクが高いため、どのような形で金銭を運用していくかは、今後の動きをチェックしていきましょう。

 4. まとめ 

今回は、NFTについての特徴と、海外不動産投資との関係についてご紹介しました。

NFTの導入で海外不動産投資への参入障壁が下がり、さらなる市場の成長・拡大が見込まれる為、大きく期待できる技術です。

一方で、完全な運用にはさらなる改善が必要であるため、より注意深く動向をチェックしなければなりません。
高い将来性を持った市場であることには間違いないので、引き続き情報をストックしながら、大きなチャンスを逃さないよう備えましょう。

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荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

代表取締役 / 宅地建物取引士 / 宅地建物取引業 東京都知事免許(2)第99967号
所属団体:一般社団法人RE AGENT 理事長 / 一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC) / 公益社団法人全日本不動産協会
1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。
著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
   はじめての海外不動産投資