執筆者:荒木 杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

フィリピンは経済が急速に成長しており、フィリピン不動産市場は世界中の投資家から注目を集めています。
特にマニラやダギッグといった都市部では、コンドミニアムの価格が年々上昇し、安定した利回りも期待できる状況です。
ただし、投資の妥当性や物件の価格相場など、初めてのフィリピン不動産投資には不安があるかもしれません。
今回は、2025年現在の最新データをもとに、フィリピン不動産の市況や利回り・リスクなどを詳細に解説します。
フィリピン不動産のおすすめエリアについても厳選してご紹介しますので、ぜひ最後までお付き合いください。
フィリピン不動産投資が人気な5つの理由
フィリピン不動産投資は、さまざまな理由から外国人投資家の人気を集めています。
ここでは、フィリピン不動産に人気が集まっている理由を5つに分けて解説します。
GDPが順調に成長しており経済状態が良好
フィリピンはGDPが継続的に成長しており、国内経済が良好な状態です。
以下のグラフは、フィリピンのGDP推移を示したものです。

2025年第2期のGDP成長率は、当初の予想である6.5%を下回る5.5%であったものの、依然として高い状態にあります。
GDP成長率が継続的に上昇していることから経済状況が好調であり、不動産を含めた国内産業が活発であると読み取れます。
人口の増加で予想される住宅需要の拡大
フィリピンは、以下のグラフが示す通り国内人口が増加し続けています。

若年層が多く労働力が豊富なため、GDPが上昇している原因になっています。
また、次の人口ピラミッドから、高齢者が少なく若年層が多いと読み取れます。

人口が増加しており若年層が多いため、結婚などに伴う住宅需要の拡大が期待できます。
想定利回りが平均約5%と高水準
フィリピンは経済状況が好調で、住宅需要の拡大が見込まれています。
フィリピン政府も大規模な都市開発を推進しており、中〜高所得者層に向けたコンドミニアムなどの物件が増加しています。
Global Property Guideの調査では、フィリピン賃貸住宅の平均利回りは前年同期の5.19%より下落したものの、2025年第1四半期は5.12%でした。
新築・築浅の理想利回りが4〜5%といわれているため、十分にリターンが期待できるでしょう。
日本よりも不動産価格が安価
フィリピン不動産は住宅需要の拡大が期待できることに加えて、日本などの先進国より不動産価格が安価なのが特徴です。
例えば、東京都新宿区・マニラ・バンコク(タイ)の中古物件を比較すると、以下のような価格の物件がみられます。
- 新宿区:1LDKで約6,500万円(約40㎡・2014年竣工)
- マニラ:1ベッドルームで約1,300万円(約60㎡・2016年竣工)
- バンコク:1ベッドルームで約5,700万円(約40㎡・2020年竣工)
同じ条件の物件を探す場合、日本よりも販売価格が安価になる可能性が高く、小資本で不動産投資を始めやすいといえます。
また、フィリピンの物件には最初に小額の頭金を支払い、工事の進捗に応じて段階的に残金を支払うプレビルド方式が多く採用されています。
プレビルド物件にはデメリットもありますが、うまく活用することで、より少ない金額で物件を購入することが可能です。
日本からのアクセスが便利
フィリピンは日本から物理的な距離が近く、成田・羽田・関西国際・中部国際・博多など全国各地の空港からマニラやセブ島への直行便が運行されています。
フライトの目安時間は東京周辺から約5時間、大阪周辺から約4時間と比較的短いのが特徴です。
日本各地からアクセスしやすいため、物件の視察などを手軽に行いやすいでしょう。
時期や空港にもよりますが、格安航空券を利用すれば片道1万円程度での渡航も可能です。
フィリピン不動産の価格相場と今後の見通し
フィリピン不動産投資を始めるにあたっては、物件の価格相場や価格推移を把握しておくことが重要です。
ここでは、フィリピン不動産の現在の価格相場や今後の見通しについて解説します。
2025年時点の不動産価格の平均と過去推移
以下のグラフが示すように、フィリピンの住宅不動産価格指数(RREPI)は継続的に上昇しており、コロナ禍を経て回復基調が続いています。

フィリピン不動産の価格推移を時系列でみると、以下のような傾向が読み取れます。
- 2019年〜2020年:コロナ禍の影響で取引減少、一時的に横ばい
- 2021年〜2023年:経済回復とともに緩やかに上昇
- 2024年〜2025年:再度の外国資本流入・開発ラッシュで高騰傾向
特にマニラの都心部(マカティ)では、コンドミニアム物件の価格上昇率がほかの地域よりも顕著で、1平方メートルあたり15万PHP(約40万円)前後が一般的な相場です。
マニラ・タギッグ・セブなど主要エリアの現在の価格相場
フィリピン不動産投資の主要エリアの都市別の価格帯を比較すると、以下のようになります。
| エリア | 平均販売価格 | 平均月額家賃 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| マニラ | 約1,200〜3,800万円 | 約6万5,000〜20万円 | 高級物件が集中 |
| マニラ首都圏 | 約1,600〜1億4,650万円 | 約8万〜55万円 | ビジネス街のマカティを含む |
| タギッグ | 約2,900〜3億3,000万円 | 約12万5,000〜130万円 | 外資系企業が多数進出 |
| セブ | 約1,550〜6,650万円 | 約7万5,000〜22万円 | 観光地・移住先として人気 |
※平均販売価格・平均月額家賃は1ドル=150円として換算
出典:World Invest「フィリピン不動産データ【住宅不動産価格指数・物件価格・家賃・利回り】」
マニラ首都圏はマニラ周辺の複数都市を含んでおり、国内人口の多くが集中しているエリアです。
エリアごとに際立った特徴があり、不動産価格にも大きな差があります。
フィリピン不動産を始める際は、エリアごとの費用や特徴を整理しておくことで、より物件を選びやすくなるでしょう。
今後の価格見通し
近年のフィリピンはGDP成長率が前年比+ 4〜5%前後で推移しており、建設資材の価格上昇も物件価格に影響しています。
一方、近年の為替市場は、以下のようにPHP(フィリピン・ペソ)安円高の傾向で推移しています。

PHP安円高の環境下ではフィリピン不動産の価格が上昇していても安価に購入しやすく、日本人投資家にとって参入しやすい状況といえます。
今後は以下の要因が価格上昇を後押しする可能性があります。
- マニラ首都圏の地下鉄や南北通勤線などのインフラ整備
- 中間層の増加による住宅需要の拡大
- フィリピン政府による外国人投資の促進政策
ただし、フィリピン不動産の価格はピークを超えているとの指摘もあり、慎重な分析が求められます。
フィリピン不動産の利回り・家賃収入の相場
フィリピン不動産で収益を得るには、利回りや家賃収入を正確に把握しておくことが重要です。
ここでは、フィリピン不動産の利回りや家賃収入の相場を解説します。
想定されるインカムゲイン・キャピタルゲイン
2025年現在、マニラ周辺の物件の利回りは6〜7%前後が相場です。
特に1ベッドルームのコンドミニアムでは、月額家賃2万5,000〜4万5,000PHP(1PHP2.6円=6万5,000〜11万7,000円)程度の物件が多く、安定した収益源となり得ます。
また、成長エリア(マカティ・タギッグ・セブなど)では年3〜5%の資産価値の上昇が期待でき、数年単位の運用でキャピタルゲインを狙う投資家も増えています。
物件タイプ別の利回り・月額家賃のエリア別相場
フィリピン不動産の物件タイプ・エリアごとの販売価格・月額家賃の相場および想定利回りは、以下の表の通りです。
| エリア | 物件タイプ | 販売価格 | 月額家賃 | 年間利回り |
|---|---|---|---|---|
| マニラ | スタジオ・1ベッド | 約1,200万円 | 約6万5,000円 | 6.50% |
| 2ベッド | 約1,850万円 | 約12万円 | 7.71% | |
| 3ベッド | 約3,800万円 | 約20万円 | 6.41% | |
| マニラ首都圏 | スタジオ・1ベッド | 約1,600万円 | 約8万円 | 6.28% |
| 2ベッド | 約2,800万円 | 約14万5,000円 | 6.17% | |
| 3ベッド | 約7,250万円 | 約25万円 | 4.16% | |
| 4ベッド | 約1億4,650万円 | 約55万円 | 4.50% | |
| タギッグ | スタジオ・1ベッド | 約2,900万円 | 約12万5,000円 | 5.13% |
| 2ベッド | 約6,400万円 | 約23万5,000円 | 4.43% | |
| 3ベッド | 約1億3,350万円 | 約43万円 | 3.89% | |
| 4ベッド | 約3億3,000万円 | 約130万円 | 4.76% | |
| セブ | スタジオ・1ベッド | 約1,550万円 | 約7万5,000円 | 5.74% |
| 2ベッド | 約3,650万円 | 約16万円 | 5.14% | |
| 3ベッド | 約6,650万円 | 約22万円 | 4.01% |
出典:World Invest「フィリピン不動産データ【住宅不動産価格指数・物件価格・家賃・利回り】」
表からは、物件タイプやエリアによって利回りに幅があると読み取れます。
高額な物件が収益を得やすいとは限らないので、エリアごとの特徴や利回りを見極めつつ物件を選ぶことが重要です。
利回りが高いエリアの共通点とエリアの選び方
フィリピン不動産で高利回り物件が多いエリアには、以下のような共通点があります。
- 駐在員や外国人居住者が多い地域である
- ショッピングモールや駅・病院などが近くにある
- 開発中のインフラ・再開発プロジェクトがある
- 教育機関・医療機関・ビジネス街など長期滞在者のニーズがある
観光地での短期貸しやプレビルド物件は、想定より利回りが下がることもあるため、事前の市場調査が不可欠です。


フィリピン不動産投資の独自ルール3つ
フィリピン不動産投資には、独自のルールが存在しており、ルールから外れる取引はできないので注意が必要です。
ここでは、フィリピン不動産投資のルールを3つご紹介します。
外国人は戸建て・土地の購入が不可
フィリピンでは外国人が不動産を購入する際に、以下のようにいくつかの制限を設けています。
- 土地・戸建て:外国人は原則として所有不可(フィリピン国籍を持つ配偶者などの名義であれば可能なケースあり)
- タウンハウス・コンドミニアム:建物全体の40%までなら外国人所有が可能
フィリピンでは、外国人による土地所有や一軒家など戸建て物件の購入が認められていません。
タウンハウスは一般的にアパートなどの比較的簡素な構造の物件を指しており、外国人の区分所有が可能ですが、物件の数自体はそれほど多くありません。
フィリピン不動産投資では、日本でいうマンションにあたるコンドミニアムの区分所有が第一の選択肢になりますが、外国人が購入できる割合は建物全体の40%以内です。
必要書類と購入までの流れ
外国人がフィリピンでコンドミニアムを購入する場合、基本的な流れは以下の通りです。
- パスポートのコピーを提出(有効期限が6ヶ月以上)
- 現地不動産業者との契約書を交付
- 予約金(通常は物件価格の5〜10%)の支払い
- 売買契約書の締結
- 残金の送金と登記手続き
プレビルド物件の場合、完成までに数年かかるケースもあり、信頼できるデベロッパー・仲介業者の選定が重要です。
税制・ビザ・ローンの注意点
フィリピン不動産は、購入時に主に以下のような税金が発生するので要注意です。
- 不動産取得税:不動産評価額の1.5〜3%程度
- 印紙税:不動産評価額の1.5%
- 仲介手数料:不動産評価額の3〜5%程度(場合により買主が負担)
不動産の購入にはビザは必要ありませんが、移住や赴任などで現地に長期滞在する場合は対応するビザが必要です。
フィリピン不動産の購入にローンを利用する際は、基本的に現地の銀行の審査を通過する必要があります。
日本国内で海外不動産投資を目的として金融機関の住宅ローンを利用するのは、審査基準が非常に厳しく、あまり現実的な選択肢とはいえません。
現地の銀行の審査も確実に通過できるとは限らないため、フィリピン不動産投資を始める際は、自己資金で完結させるのがベストです。
フィリピン不動産投資で注意したい3つのリスク・デメリット
フィリピン不動産投資には、デメリットや注意点が存在しており、リスク・デメリットを把握していないと予期しない損失を招く可能性があります。
ここでは、フィリピン不動産投資のリスク・デメリットを3つ解説します。
プレビルド物件の未竣工リスク
フィリピンを含む東南アジアでは、最初に頭金を支払い、工事の進捗に応じて残金を段階的に支払うプレビルド物件が多いです。
プレビルド物件は初期費用を安く抑えやすい一方で、デベロッパーの倒産などによる未竣工リスクがあります。
また、プレビルド物件の完成が予定時期から数年間遅れるケースや、当初の完成予想から大幅にスケールダウンしてしまうケースにも要注意です。
プレビルド物件の未竣工や竣工遅延などは、東南アジアの不動産取引で多く発生する事例であるため、十分に注意が必要です。
為替の影響による不動産価格の変動
PHPと日本円の為替レートは、投資の収益に大きな影響を与えます。
仮に購入時よりPHPが10%下落すれば、それだけで日本円換算の利回りが低下する可能性があります。
2025年10月現在はPHP安円高で為替が推移していますが、通貨レートは突発的な事象で急激に変動する可能性があるので要注意です。
また、インフレ率が高い国では建設コスト・管理費・税金なども年々上昇し、想定よりも出費がかさむリスクがあります。
不動産売却時の不透明性
日本国内と違い、売却には時間がかかりやすいのがフィリピン不動産の特徴です。
市場内で売却の需要が少ない場合、売約の成立に数ヶ月〜1年以上かかることも珍しくありません。
売却に時間がかかった場合、途中で物件価格が変動してしまい、想定していた収益から乖離してしまう可能性があります。
フィリピン不動産投資のおすすめエリア3選
フィリピン不動産投資で収益を得るためには、人気が高く入居者を確保しやすいエリアを選ぶのがおすすめです。
ここでは、フィリピン不動産投資のおすすめエリアを3つご紹介します。
マカティ | 金融エリアの安定した賃貸需要
マカティはマニラ首都圏に属するフィリピン経済の中心地であり、金融機関・外資系企業・大使館などが集まるエリアです。
特に日本人駐在員や外国人ビジネスマンが多く、家賃水準は高めです。
マカティには、以下のような特徴があります。
- 高級物件の開発が進んでおり、物件の資産価値も安定傾向
- SM・グリーンベルトなどの大型商業施設へのアクセスが良好
- 道路や歩道の整備が比較的良好
マカティでは、1ベッドルームで月額4万ペソ(1ペソ2.6円=約10万円)前後の賃料が期待できます。
また、資金に応じて、1,000万円台の手頃な物件から1億円以上の高級物件まで幅広い物件を購入しやすいです。
タギッグ(BGC) | 外資企業の集まる成長エリア
タギッグは「ボニファシオ・グローバル・シティ(BGC)」とも呼ばれるエリアで、フィリピン国内でも特に注目を集めている新興開発エリアです。
マニラの近隣に位置しており、Google・JPモルガン・ユニクロなどの多国籍企業が集結する国内随一のビジネス街でもあります。
タギッグには、以下のような特徴があります。
- 街並みが整備されており、欧米的でスタイリッシュな雰囲気
- 国内の中〜高所得層や外国人の住宅需要が旺盛
- 将来的に価格が上昇する可能性が高く、中長期の投資向け
タギッグの家賃相場はフィリピン国内で特に高くなっており、月額5万8,000ペソ(1ペソ2.6円=約15万円)以上の賃貸物件が多くみられます。
タギッグには所得の高い層やファミリー向けの高価格帯の物件が多く、1ベッドルームで3,000〜4,000万円台、2ベッドルームでは1億円以上が相場です。
セブ | 実需とのバランスがとれたリゾート地
セブはフィリピンの臨海部に位置する都市で、美しいビーチの広がるリゾート地として有名です。
セブは観光地として人気が高いほか、教育機関・医療機関が充実しており、海外のリタイアメント層からの注目も集まっています。
セブには、以下のような特徴があります。
- 物件の価格が比較的手頃で、初心者でも参入しやすい環境
- 長期滞在者・現地勤労層向けの実需が多く安定傾向
- 物件管理会社の選択肢も豊富
セブにはほかのエリアより価格帯の安い物件が多く、月額2万3,000ペソ(1ペソ2.6円=約6万円)前後のリーズナブルな物件が多くあります。
1,000万円〜5,000万円台で購入できる物件が多いため、小資本でフィリピン不動産投資を始めやすいエリアといえます。
「今買うべきか」の判断基準を将来性と出口戦略から逆算
フィリピン不動産投資を行う際、物件を購入する時期や事前のシミュレーションは収益に大きく影響します。
ここでは、フィリピン不動産投資を始める前に重要なポイントについて解説します。
今後の都市開発と政府インフラ計画
フィリピン政府は積極的な都市開発を推進しており、2025年現在も以下のような大型インフラプロジェクトが進行中です。
- マニラ地下鉄の敷設
- 南北通勤鉄道計画
- 空港・高速道路の新設・拡張
大規模なインフラ整備によって都市間の移動効率が向上し、郊外エリアの不動産価値も上昇する可能性があります。
都市開発の進捗はコンドミニアム価格に直接関係しやすいため、インフラ沿線の新興エリアは将来的なキャピタルゲインを見込んだ投資先として有力です。
不動産バブルの兆候と見極め方
フィリピンでは積極的な都市開発が進行する一方で、2025年時点での価格高騰や新築ラッシュによるバブル経済を懸念する声もあります。
以下の点を意識することで、フィリピン不動産市場の過熱リスクを察知しやすくなります。
- 住宅価格と所得水準の乖離度合い
- 建設中物件の供給過多や空室率の上昇
- 販売代理店による過度な値引き・特典キャンペーン
不動産価格が適正かどうかをを見極めるためには、フィリピン国内銀行や国際不動産サイトの評価データなども活用するのが効果的です。
購入前にインカムゲインorキャピタルゲインを想定
不動産投資で収益を得るには、インカムゲイン・キャピタルゲインのいずれを狙うかを事前に想定しておくことが重要です。
インカムゲイン・キャピタルゲインには、それぞれ以下のようなメリットやリスクがあります。
| 特徴 | メリット | デメリット | |
|---|---|---|---|
| インカムゲイン | 家賃収入によって収益を得る | 収益が安定しやすい | 物件の老朽化・維持コストの継続化 |
| キャピタルゲイン | 売却時の差額で収益を得る | 一度に大きな利益を得やすい | 売却先が見つからない可能性 |
いずれの収益を狙うにしても、購入前から出口戦略を意識し、将来的に需要が続く立地か再販しやすい物件かを見極めることが重要です。


フィリピン不動産のランニングコストを整理
フィリピン不動産は所持している期間中に、さまざまな費用が発生します。
フィリピン不動産を運用する際は、ランニングコストを計算に入れておくことが重要です。
ここでは、フィリピン不動産投資で発生する費用についてご説明します。
年間の管理費・修繕費・固定資産税の価格・税率
フィリピン不動産投資には、主に以下のような費用・税金が発生します。
| 費用・税率名 | 発生時期 | 価格・税率 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 登記費用 | 購入時 | 不動産購入額の約1.5〜3% | 所有権移転の税金・行政の手続き費用 |
| 印紙税 | 購入時 | 不動産評価額の1.5% | 不動産契約書類に対する税金 |
| 仲介手数料 | 購入時 | 不動産売買価格の約3〜5% | 原則的には売主側が負担 |
| 固定資産税 | 所有時 | 不動産購入額の約0.5〜2% | 年に1回支払う税金 |
| 管理費 | 所有時 | 月額約100〜200PHP/㎡ | 物件の清掃・警備などの費用 |
| 修繕積立金 | 所有時 | 約300〜500PHP/㎡ | 物件設備の長期修繕積立金 |
修繕積立金は、所定の費用(約300〜500PHP/㎡)を一括で支払うケースが多いです。
賃貸運用する場合の費用
フィリピン不動産投資で賃貸物件を運用する場合、主に以下のような費用が発生します。
| 費用名 | 価格 | 備考 |
|---|---|---|
| 賃貸管理委託費 | 家賃の約10〜15% | 空室管理・入居者対応・修繕対応などの費用 |
| リーシングフィー | 家賃の約1ヶ月分 | 入居者を新規募集する際の費用 |
| 家具・家電代 | 約10〜25万ペソ | 家具・家電を設置する際の初期費用 |
フィリピン不動産には家具・家電付きの物件がありますが、家具・家電の設置費用は原則として買主が負担します。
入居者を新規募集する際、物件の状態によっては別に内装費が発生する可能性があります。
空室リスクと対応策
購入した物件を賃貸に出す場合、空室リスクは避けて通れません。
特に、プレビルド物件の完成直後や景気低迷時には、想定よりも空室の期間が長く続く可能性もあります。
空室リスクに対応するためには、以下のような対策が考えられます。
- 家具・家電を設置して即入居可能な状態で貸し出す
- 短期〜中期賃貸にも対応できる物件を選ぶ
- 現地の管理会社に委託し、募集・契約・家賃回収を任せる
現地の管理会社に業務を委託することで、買主が海外にいても空室対応・メンテナンス・入居者対応を一括管理してもらえます。
フィリピン国外から細かな管理業務に対応するのは現実的とはいえないため、賃貸管理委託費は予算に計上しておき、信頼性の高い業者を探すことが重要です。
フィリピン不動産投資は信頼できるサイト・仲介業者選びが不可欠
フィリピン不動産投資は物件価格が比較的安価で外国人が参入しやすい環境ですが、収益性の高い物件や信頼できる仲介業者を選ぶことで、より成功しやすくなります。
ここでは、フィリピン不動産投資を行う際に、信頼性の高いサイトや仲介業者を選ぶコツを解説します。
サイト | 複数社の比較を推奨
フィリピン不動産は東南アジアのなかでも市場規模が大きく、複数の日系業者が自社サイトに物件情報を掲載しています。
大手だけでなく、中小企業が運用するサイトもあり、他社では扱っていない独占物件が掲載されている可能性があります。
特定の業者のサイトだけでなく、複数社のサイトを比較することで、より多くの物件を探しやすくなるでしょう。
業者によっては現地の不動産視察ツアーなどを開催している場合もあるので、業者に問い合わせたり気になったツアーに参加してみるのもおすすめです。
なお、弊社はカンボジア不動産を中心に仲介しておりますが、2025年夏にはフィリピンの日系業者とタイアップしてフィリピン・カンボジアの不動産ツアーを開催しました。
仲介業者・管理会社 | 日系企業も複数存在
フィリピン不動産を探す際は、日系の仲介業者を利用するのがおすすめです。
日系の仲介業者は基本的に日本人または日本語話者が対応するため、言語の壁がなく、日本語の細かいニュアンスが伝わりやすいです。
フィリピン国外で不動産を運用する場合、物件の清掃・修繕や入居者対応といった管理業務は、原則として現地の管理会社に委託します。
海外の管理会社は文化や日本との商習慣の違いから、日本人の価値観からすると管理が不十分に感じられる場合があります。
現地に根付いた仲介・管理を行っている日系業者は、日本人の価値観に見合ったサービスを提供している可能性が高いです。
例えば、RAM HOMESはフィリピン最大手の建設会社グループに属する日系の仲介・管理業者で、日本人担当者が不動産投資を包括的にサポートしています。
まとめ
フィリピンは経済状況が好調で、若年層が多いなどの理由から不動産市場もさらなる成長が期待されています。
フィリピン不動産投資は外国人の参入も可能ですが、外国人による土地や戸建て物件の購入は認められていません。
外国人の主要な投資対象となるコンドミニアムは1,000万円台から購入可能で、不動産価格が比較的安価なので小資本でも参入しやすい状況です。
2025年現在のフィリピン不動産の平均利回りは5%前後ですが、エリアや物件の間取りなどで利回りが変動するため、エリアや物件選びが収益に大きく関係します。
マカティ・ダギッグ・セブなどは高所得者層から人気があり、物件数も多いので初めてのフィリピン不動産投資に適したエリアといえます。
日系業者が仲介・管理している物件も多いため、日系業者を経由して不動産投資を始めるのもおすすめです。



荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社
代表取締役 / 宅地建物取引士 / 宅地建物取引業 東京都知事免許(2)第99967号
所属団体:一般社団法人RE AGENT 理事長 / 一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC) / 公益社団法人全日本不動産協会
1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。
著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
はじめての海外不動産投資
