ドバイに永住権はある?ドバイに移住できるビザの種類・取得条件を詳細に解説

執筆者:荒木 杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

ドバイは順調に経済成長を続けており、税金の安さなどの魅力から外国人移住者が増加しています。
外国人の移住先として人気のドバイですが、永住権は獲得できるのでしょうか

今回は、ドバイでの永住権獲得に関して、長期滞在に向いたビザの種類やビザ取得条件について詳しく解説します
現地生活で必要な収入の目安なども解説しますので、ぜひ最後までお付き合いください。

ドバイに永住権自体はないがビザによる長期滞在が可能

結論から申し上げると、ドバイに無期限で滞在可能な永住権はありません
ドバイに永住権そのものは存在しませんが、長期滞在できるビザはいくつか種類があり、条件を満たすことで取得できます。

なかには5年または10年間という長期ビザもあり、更新も可能なことから、実質的な永住権に近い権利を獲得できます。

ドバイに長期滞在できるビザの種類

ドバイに移住するには、ある程度の期間にわたって現地に滞在できるビザの取得が条件になります
ここでは、ドバイに長期滞在できるビザの種類や取得条件、ビザごとの有効期間について詳しく解説します。

なお、各種ビザの発行手数料はWorld Investを参照しました。
また、ドバイの通貨であるディルハム(以下、AED)はわかりやすくするために1AED=40円として計算しています。

就労ビザ | ドバイの企業への就職で取得できるビザで2年or3年有効

就労ビザは、ドバイ現地の企業や公的機関などで雇用される際に取得できるビザです。
申請には雇用契約書・有効期間が6ヶ月以上のパスポートおよび顔写真・卒業証書などが必要になります。

就労ビザの有効期間は2〜3年間ですが、雇用関係の継続によって更新が可能で、発行手数料は約4,000〜8,000AED(約16万円〜約32万円)です。

グリーンビザ | フリーランス・自営業者向けのビザで5年有効

グリーンビザは、UAE(アラブ首長国連邦の略、以下同)内で経済活動をするフリーランス・自営業者向けまたはフリーランス経験のある従業員に発給されるビザです。
ビザ申請には、それぞれ以下のように一定以上の収入が必要です。

  • フリーランス・自営業者:年収36万AED(1,440万円)
  • フリーランス・自営業経験のある従業員:月収1万5,000AED(60万円)

日本の水準からみた場合、高所得層が対象になっており、一定以上の実績のあるフリーランス・自営業者向けのビザといえるかもしれません。
ビザ申請費用の目安は、約5,000AED(約20万円)です。

申請には、収入証明書または給与証明書・有効期間が6ヶ月以上のパスポートおよび顔写真・フリーランス許可証・ポートフォリオなどが必要になります。
グリーンビザの有効期間は5年間で更新が可能なため、ドバイへの長期滞在が可能です

なお、収入の条件がないフリーランスビザも取得可能ですが、発行手数料として約1万AED(約40万円)が発生するので要注意です。

バーチャルワーキングビザ | UAE外で収入のあるリモートワーカー向けのビザで1年有効

バーチャルワーキングビザは、UAE外(原則として母国)で収入を得ているリモートワーカー向けのビザです。
申請には雇用契約書(1年以上の有効期限)または会社所有権の証明書・有効期間が6ヶ月以上のパスポートおよび顔写真などが必要になります。

バーチャルワーキングビザの取得には、月収3,500ドル(1ドル約150円=約53万円)の収入証明が条件に設定されています。
また、ビザ発行手数料として約4,000AED(約16万円)が発生します。
バーチャルワーキングビザの有効期間は1年間で、更新が可能です。

なお、バーチャルワーキングビザの取得条件は、2025年中に月収3,000ドル(1ドル約150円=約45万円)への引き下げが検討されています。

リタイアメントビザ | セカンドライフでのドバイ移住に適したビザで5年有効

リタイアメントビザは、55歳以上の退職者が取得できるビザで、年齢のほか収入も取得条件になります。
申請には、有効期間が6ヶ月以上のパスポートおよび顔写真・申請者の収入を証明できる公式文書などが必要になります。

リタイアメントビザの取得には、以下のいずれかの収入面の条件を満たすことも必要です

  • 年収18万AED(720万円)以上
  • 定期預金の貯蓄額が3年間で100万AED(4,000万円)以上
  • 不動産などの財産保有額が申請時点で100万AED(4,000万円)以上

リタイアメントビザの有効期間は5年間で、更新が可能です。
発行手数料は約3,800AED(約15万円)です。

法人設立ビザ | 現地に法人を設立して取得できるビザで3年有効

法人設立ビザは、UAE内に法人を設立することで取得できるビザです。
申請には卒業証明書・メールアドレス・有効期間が6ヶ月以上のパスポートおよび顔写真などが必要になります。
ドバイで法人を設立する際の選択肢は、大きく分けてフリーゾーン法人またはメインランド法人の2通りあります。

フリーゾーン法人はドバイ国内で定められたエリアで設立される法人が対象で、法人税と所得税が免除されるほか、外国資本100%での設立が可能です。
メインランド法人はドバイ国内でエリアを問わず設立でき、法人税が免除されるほか、最低資本金不要で法人を設立できるなどのメリットがあります。

法人設立ビザの有効期間は3年間ですが、6ヶ月に1回ドバイに入国することで更新可能なため、日本で生活しながらドバイへの滞在権を確保することも可能です
発行手数料は法人規模にもよりますが、約1万5,000ドル(1ドル150円=約225万円)です。

不動産ビザ | 一定額の不動産保有で取得できるビザで2年有効

不動産ビザは、UAE内に一定の金額を超える不動産を所有するオーナーが取得できるビザです。
申請には、不動産権利書・有効期間が6ヶ月以上のパスポートおよび顔写真・無犯罪証明書などが必要になります。

不動産ビザの取得条件は、UAE内に75万AED(3,000万円)以上の不動産を所持していることです。
ドバイの不動産ビザは所持する不動産額を条件にビザを取得できるため、不動産投資家から人気の高いビザといえます。
有効期間は2年間で、条件となる額以上の不動産を所有している限り更新できます。
不動産所有のほかに、発行手数料として約1万AED(約40万円)が必要です。

ゴールデンビザ | 実質的な永住権に近いビザで5年or10年有効

ゴールデンビザは、投資家や起業家などを対象としたビザで、条件を満たすことで最も長い有効期間が適用されるビザです。
申請には、不動産権利書・有効期間が6ヶ月以上のパスポートおよび顔写真・無犯罪証明書などが必要になります。

ゴールデンビザの有効期間は5年または10年で、該当する条件によって年限が変わります。
発行手数料は約1万AED(約40万円)で、条件を満たすことで更新もできるため、ドバイ移住者に発給されるビザでも最も永住権に近いものです。

ゴールデンビザを取得するための条件については、この記事の続きで詳しく解説します。

家族ビザ | ビザ取得者の家族に対して発給可能

ドバイでは、移住に際して外国人がいずれかのビザを取得した場合、取得者の家族に対してもビザ発給を認めています。
対象となるのはビザ取得者の配偶者・子ども・両親で、有効期間は基本的に取得した本人のビザに準じます。

例えば、10年間有効なゴールデンビザを取得した投資家の男性・Aさんの妻であるBさんと、小学生である息子または息女のCさんもドバイに10年間滞在可能です。
ドバイでゴールデンビザを取得・更新すると、家族にも取得者と同じ滞在可能期間が認められるため、大きなメリットといえるでしょう。

家族ビザの発行手数料は約3,000~4,000AED(1AED40円=約12万円〜約16万円)で、ビザ取得者と同時に更新が可能です。
ビザの種類によって家族ビザを発給できる条件や手数料が異なるので、ドバイ渡航前に詳細を確認しておくとよいでしょう。

ゴールデンビザの取得条件は主に3通り

前述したように、ゴールデンビザはドバイ移住にあたって取得できるビザで最も有効期間が長く、永住権に近い権利が付与されます。
ここでは、ドバイでゴールデンビザを取得するための条件について詳しく解説します。

投資家 | 公共ファンドまたは不動産に一定額以上を投資

ドバイのゴールデンビザは一定の条件を満たした投資家に対して、10年間の有効期間を付与しています。
投資家を対象にしたゴールデンビザは、公共投資と不動産投資に分かれており、それぞれに条件が設定されています。

公共投資に対する条件は以下の通りです。

  • UAE認可の投資ファンドに出資し、200万AED(8,000万円)以上の投資残高のある証明書の提出
  • 200万AED(8,000万円)以上の資本金を証明する定款+有効なライセンスの提出
  • 年間25万AED(1,000万円)以上の納税を証明する税務当局の書類を提出
  • 自己資本での投資であること(借金は不可)

不動産投資に対する条件は以下の通りです。

  • UAE内で200万AED(8,000万円)以上の価値に該当する不動産を1つ以上所有
  • UAE内で承認された銀行からの融資によって不動産を購入

UAE内の投資ファンドまたは不動産に一定額を投資することで、ドバイに10年単位での滞在が可能になるため、投資家にとって特に取得しやすい条件といえます。

起業家 | UAEから承認を受けて発給

ドバイのゴールデンビザは、UAEから承認を受けた起業家にも発給されています。
対象となるのは「リスクとイノベーションに基づく技術的または将来的な性質の経済プロジェクト」で、条件は以下の通りです。

  • UAEの監査法人が、審査対象プロジェクトの価値を50万AED(2,000万円)と判断
  • UAE当局が、プロジェクトの技術性または将来性を評価・承認
  • UAEの認定ビジネス団体が、提案されたプロジェクトを地域内で展開

起業家に発給されるゴールデンビザの有効期間は5年間で、プロジェクトの継続により更新が可能です

専門的人材 | 承認書・推薦書などの所持が条件

ドバイのゴールデンビザは、医師・科学者・文化や芸術に関するクリエイティブ人材など、専門的な人材に対しても発給されることがあります。
ゴールデンビザの対象となる人材や条件には、主に以下のようなものがあります。

  • 医師:AED保健予防省からの承認書が必要
  • 科学者:エミレーツ科学評議会の推薦状などが必要
  • 文化や芸術に関するクリエイティブ人材:AED内の文化芸術局からの承認書が必要
  • 執行役員:同じ職に5年以上の経験があり、最低50万AED(200万円)以上の給与明細の提出など
  • アスリート:スポーツ総合局またはスポーツ評議会からの推薦状が必要

ほかに、高校生・大学生に対しても学業成績などによってゴールデンビザが発給されることがあります。

専門的人材に発給されるゴールデンビザの有効期間は10年間(高校生は5年間)で、条件により更新が可能です

ドバイ移住の準備には平均で約3ヶ月必要

ドバイに移住するための準備期間は、約3ヶ月程度を想定しておくとよいでしょう。
ドバイ移住までの手続きは、大まかに以下の通りです。

  1. パスポートの更新・航空機の手配:長期滞在の場合、パスポートの有効期間は6ヶ月以上必要
  2. ビザの取得:取得予定のビザを確認し、条件に該当しているかを確認
  3. 日本の住宅を処理:賃貸物件の場合、約1ヶ月~2ヶ月前の解約通知が必要
  4. 運転免許証の更新:手続き時に海外に移住する旨を伝えて、国際運転免許証を取得
  5. 海外転出届を管轄自治体に提出:1年以上の海外滞在の場合に必要で、日本の住民票は除籍
  6. 年金・健康保険の手続き:海外転出届の提出で、国民年金保険・国民健康保険の納付義務が喪失

実際に準備を進めると各種手続きに書類の提出などが必要になるため、対応に追われがちです
早い段階で準備を進めておき、慌てることのないように心がけましょう。

なお、国民年金は申請により海外在住中でも納付可能で、納入額は将来受け取れる年金に加算されます。
年金受給額を減らしたくない場合は、海外転出届と同時に管轄自治体に申請しておくとよいでしょう。

ドバイに移住するメリット5選

ドバイ移住にはさまざまなメリットがあり、多くの外国人が移住する原因にもなっています。
ここでは、ドバイ移住のメリットを5つご説明します。

自然災害が少ない

ドバイを含むUAEは大陸プレートの境界から離れた位置にあるため、地震や津波が発生しづらいです。
直下型の大地震が発生する確率は極めて低く、万が一の事態に備えて多くの建物が耐震性の高い設計になっています

ドバイは山岳地帯に囲まれていますが、目立った活火山はないため、火山噴火による被害のリスクは非常に低いといえます。
台風の発生もほぼありませんが、稀に豪雨に見舞われることがあり、都市の構造的に冠水などの被害が出やすい点には注意が必要です。

税金が非常に安く節税しやすい

ドバイの大きな特徴として、税金の安さが挙げられます。
ドバイの税金の安さは広く知られており、ドバイの税制は以下のようになっています。

  • 個人の所得税・住民税は0%
  • 確定申告が不要
  • 法人税は0〜9%
  • 相続税は非課税

税金がほぼ発生しないため自動的に節税がしやすく、手元に残る所得が多いのが特徴です。
日本と比較すると税金が非常に安くなりやすく、特に税金の負担が多い高所得者がドバイに移住するケースも増えています。

インフラが整備されており快適に生活しやすい

ドバイは緻密な都市計画のもとに土地や建物が開発されており、インフラも充分に整備されています
ドバイでは自動車が主な移動手段ですが、自動車が走行しやすいように道路が整備されています。

ドバイでは酷暑への対策のため、ほぼすべての建物にエアコンが設置されており、年間を通して快適な室温を保つことが可能です。
砂漠に囲まれた地理的要因から水が少ないと思われがちですが、高度な海水淡水化技術や水循環システムによって豊富な水資源を得ています

治安状態が良好で安全に暮らしやすい

ドバイの治安は世界でもトップクラスといわれており、夜間でも女性や子どもが安全に外出しやすいです
NUMBEOの2025年調査ではドバイの安全指数は83.9で、世界第4位という高い順位です。

ドバイでは法律によって迷惑行為や犯罪を厳しく取り締まり、罪状によっては国外追放のうえ、当事者の再入国を認めていません。
イスラム教の宗教規範が社会全体に広まっていることで、多くの人がマナーやモラルを遵守しています。
国内の平均所得が高いため、貧困を原因とした犯罪が発生しづらいのも特徴です。

外国人移住者が多く現地に馴染みやすい

ドバイは人口の約9割が外国人移住者で構成されている多民族社会です。
人口の大半が外国人移住者なので、外国人が受け入れられやすい環境です

高所得者や富裕層も多く居住しているため、ドバイ現地のコミュニティに所属することで、人脈の開拓やビジネスの発展に繋がる可能性があります。
ドバイ日本人学校やインターナショナルスクールが設置されており、子どもに高度な教育を受けさせやすいため、子ども連れの家族でも移住しやすいです。

ドバイ移住のデメリット・注意点5選

ドバイ移住には多くのメリットがある一方で、デメリットや注意点もあります。
ここでは、ドバイ移住のデメリット・注意点を5つ解説します。
ドバイ移住を後悔しないためにも、デメリットや注意点もしっかり把握しておきましょう。

夏季が非常に暑い

ドバイは砂漠気候に属していますが、夏季にあたる5〜8月頃は日中平均気温が約40℃に達し、非常に過酷な暑さです
暑さピーク時間帯の体感温度は約60℃ともいわれており、屋外での活動は困難を極めます。
また、砂漠に近いため風によって砂が飛来しやすく、自動車や洗濯物が汚れやすいです。

夏季は過酷な暑さですが、12月〜3月ごろの日中平均気温は20℃前後になり、快適に過ごしやすくなります

物価水準が高い

ドバイは経済成長が活発で、国内の平均所得も高いですが、同時に物価水準も高い状態です。
以下の表は、ドバイと東京の物価平均額を比較したものです。

消費品目ドバイの
平均価格
東京の
平均価格
比率
安いレストランでの食事1,631円1,000円163%
一般的なレストランのコース10,604円7,000円151%
マクドナルドのバリューセット1,427円800円178%
国産生ビール(500ml)1,835円500円367%
カプチーノ(レギュラー)856円510円168%
水(330ml)163円116円141%
牛乳(1000ml)285円232円123%
食パン(500g)204円226円90%
白米(1㎏)367円673円55%
卵(中12個)489円317円154%
チーズ(1㎏)1,427円2,198円65%
鶏ささみ(1㎏)1,387円1,124円123%
牛モモ肉(1㎏)1,835円3,155円58%
りんご(1㎏)367円766円48%
バナナ(1㎏)285円359円80%
トマト(1㎏)245円803円30%
じゃがいも(1㎏)163円430円38%
玉ねぎ(1㎏)204円430円47%
水(1500ml)82円140円58%
ボトルワイン2,447円1,200円204%
タバコ20箱(マルボロ)979円600円163%
交通機関の片道チケット245円200円122%
タクシー初乗り(通常料金)489円500円98%
タクシー1km(通常料金)122円440円28%
ガソリン(1000ml)122円179円68%
光熱費の基本料金(85㎡アパート)32,097円27,117円118%
携帯電話の月額プラン(通話+10㎇以上のデータ)9,013円4,080円221%
インターネット月額料金15,172円4,918円308%
フィットネスクラブ月額料金(大人1名)12,602円10,418円121%
インターナショナル小学校(1名)1,970,671円2,274,773円87%
ジーンズ1本(リーバイス501など)11,216円8,070円139%
サマードレス1着(ZARAなど)9,299円5,559円167%
シティセンターのアパート(1ベッドルーム)337,526円169,617円199%
市内中心部のアパート購入価格(1㎡あたり)994,838円1,538,417円65%
平均月給(税引後)592,303円367,769円161%
住宅ローン金利(20年間固定金利)4.43%1.78%244%
※ドバイの平均価格は1AED(ディルハム)=40.78円(データ計測時)で円換算
出典:「NUMBEO 2025年」

食料品を除く多くの消費品目が日本よりも高額で、飲食店の価格設定も高いため、外食メインだと食費がかさみやすくなるでしょう。
日本よりも多くの生活費が必要になりやすく、日本居住時と同等の所得だと、経済的要因からドバイに住みづらいと感じるかもしれません。

家賃の負担が大きくなりやすい

ドバイは生活費が全般的に高額ですが、なかでも家賃相場は非常に高い状態にあります。
ドバイではコロナ明けの2021年ごろから、住宅販売件数・住宅販売価格が急激に上昇しており、国内全体で家賃相場も高騰しています。

ダウンタウンなどの都市部では1LDKほどの物件の月額賃料が約30万円で、東京と比較しても高額です。
家賃は固定費となる支出なので、家計への負担が大きくなりやすいです。

ドバイ不動産の価格推移については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

飲酒に関する規制が多い

ドバイはイスラム社会で、宗教上の理由から飲酒に対する規制が日本より多く設けられています。
ドバイでは飲酒そのものは可能なものの、店頭でアルコール飲料を購入できるのは一部のリカーショップやスーパーマーケットのみです。

飲酒できるのはバーやレストランといった店舗内などに限られており、路上や交通機関など公共の場での飲酒は認められていません。
公共の場での飲酒のほか、酔って路上で大声を出すなどの行為も禁じられており、違反した場合は処罰・逮捕の対象になることがあります

重い酒税が課せられているため、アルコール飲料全般の値段が高く、お酒が好きな方は出費がかさみやすいかもしれません。

日本との文化・生活習慣の違いを感じやすい

ドバイは日本と一部の文化や生活習慣が異なるため、両国間の違いによって住みづらさを感じてしまうかもしれません。

前述したように、ドバイはイスラム教に起因する価値観から、飲酒に対するスタンスが厳格です。
お酒に酔って公共の場で寝たり嘔吐したりといった行動は、日本では許容されるケースもありますが、ドバイでは刑罰の対象となることがあります。

イスラム教の安息日は金曜であるため、ドバイでは一般的に日曜日から木曜日が平日として扱われます。
原則として土日が休日の日本とはサイクルが異なるため、特に移住当初は戸惑いやすいかもしれません。

イスラム教にはラマダン(断食)の習慣があり、ドバイのラマダンは比較的緩やかですが、時間帯やシチュエーションによっては飲食に関して一部の制限があります。

ドバイの生活で必要になる年収の目安

ドバイは経済が順調に発展しており、国民の所得水準・物価水準がともに高い状態です。
特に不動産価格が高騰しているため、生活費のうち固定費となる家賃が高額になりやすいです。

都市部の1LDKの家賃平均額は約30万円と、東京と比較しても高額です。
単身者がドバイに移住する場合、都市部である程度の余裕がある生活を送るには、年収約600万円〜が基準になると考えられます。

ドバイは教育水準も高く、インターナショナルスクールも200校以上が設置されています。
インターナショナルスクールは高度な教育を受けられる一方で、年間費用の平均額が約200万円(月額約16万6,000円)と、日本の私立学校と比較しても高額です。
子どもを伴う家族の移住で都市部の物件に入居する場合、家賃+教育費が大きな支出になると予想されます。

両親と子ども2人の4人家族でドバイに移住すると、家賃+教育費が平均で約800〜1,000万円必要になると考えられます。
家族4人がある程度の余裕をもって生活するには、世帯年収は約1,200万円〜が現実的といえるかもしれません。

ドバイ現地で日本人が得ている仕事は多種多様

外務省のデータによれば、2023年10月時点でドバイを含むUAEに在留している日本人は約4,500人です。
海外赴任などで現地に在住するほか、経営者や資産家が移住するケースも増えています

ドバイ在留日本人の職種は、ホテル従業員・美容師・シェフなどに加えて、ITエンジニアなど多岐にわたります。
ビザによっては、リモートワークで収入を得ながら現地への長期滞在が可能です。

前述したように、収入条件を満たしてビザを取得する場合、必要年収が1,000万を超えるビザが多くあります。
投資家を対象としたビザでは、投資額の条件が約3,000万円〜となっており、やはり額面が多いのが特徴です。

ドバイへの移住・ビザ取得はサポート業者の利用が可能

ドバイに移住する際、現地に長期滞在するためのビザが複数あります。
ビザ取得には所定の書類を提出し、英会話や英文を用いて手続きを進めていく必要があります。

初めての海外移住では、ビザの申請や取得条件の確認・必要書類の提出など、慣れない手続きや言語の違いに戸惑ってしまうかもしれません

ドバイ移住をサポートする日系業者は複数存在しており、サポート業者を経由してのビザ取得などが可能です。
日系業者を利用する場合、日本語のみで手続きを完了できるのも大きなメリットといえます。
業者によってはドバイ不動産の仲介にも対応しており、移住後の住居もスムーズに確保できる可能性があります。

ドバイ移住にあたって、手続きに不安がある方や手続きの手間を簡略化したい方は、日系業者のサポート利用を検討してみるのもよいかもしれません。

まとめ

ドバイは経済が順調に成長しており、整ったインフラで快適に生活を送りやすい環境です。
税金の安さや治安のよさなど、ドバイならではの魅力が多く、外国人移住者が増えています。
現在、ドバイには永住権そのものはありませんが、永住権に近い長期滞在ビザは複数あり更新も可能です。

ドバイに移住する際は、ご自身の職業や収入に合ったビザを取得するとよいでしょう。
ドバイは物価水準・居住者の平均所得がともに高く、収入や投資額を条件にしたビザは条件となる金額が高く設定されているので注意が必要です。

ドバイに移住する際、ビザ取得の手続きなどに不安のある方や手続きを簡素化したい方は、日系のサポート業者を利用するのもおすすめです。
サポート業者を利用することでビザをスムーズに取得しやすくなり、業者によってはドバイ不動産の仲介にも対応しています。

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荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

代表取締役 / 宅地建物取引士 / 宅地建物取引業 東京都知事免許(2)第99967号
所属団体:一般社団法人RE AGENT 理事長 / 一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC) / 公益社団法人全日本不動産協会
1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。
著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
   はじめての海外不動産投資