執筆者:荒木 杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社
ドバイの不動産市場は、その潜在的なリターンで世界中の投資家の注目を集めています。
しかし、ドバイ不動産市場の現状と将来性をどのように理解すればいいのだろう?と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
特に、平均利回りが5%を超える魅力的な市場である一方で、実際のリスクはどれくらいなのかという懸念もあるでしょう。
この記事では、これらの疑問に答えるために、ドバイの不動産投資のメリットとデメリットを詳しく解説し、おすすめのエリアも合わせてご紹介します。
ドバイはどんな国?
ドバイはアラブ首長国連邦(UAE)の一部で、急速な経済成長と近代的な都市開発で知られています。
この国は、世界一の高さを誇るブルジュ・ハリファや豪華なショッピングモール、独特の人工島などで有名です。
ドバイは、多様な文化が融合する国際都市であり、世界中からの投資家や観光客を惹きつけています。
経済の多角化に成功し、石油依存から脱却している点も特筆すべきです。
また、ドバイ政府はビジネスや投資に対して非常にオープンな姿勢を取っており、外国人投資家にも多くの機会を提供しています。
税制面でも優遇策があり、所得税や資産税がないことが大きな魅力です。
治安の良さもドバイの大きな特徴で、国際的なビジネスハブとしての地位を確立しています。
ドバイは、2040年までの都市計画において、さらなる発展と成長を目指しており、そのビジョンは世界的にも注目されています。
ドバイの住宅不動産市場の市況
ドバイの住宅不動産市場は、近年顕著な変化を見せています。
特に、ダウンタウンやドバイマリーナ、パーム・ジュメイラなどの人気地区では、高級マンションやコンドミニアムの需要が非常に高いです。
これらの地区では、ベッドルーム数やタワーの高さ、海の眺望などが価格に大きく影響を与えており、特に海外不動産投資を検討している日本人投資家からの問い合わせが増加しているようです。
ドバイの不動産市場は、AED(アラブ首長国連邦ディルハム)を基準にした価格設定が一般的です。
また、2022年のデータによると、平均的な住宅価格は前年比で約9%の上昇を見せています。
この値動きは、ドバイの経済成長と不動産開発の活発化によるもので、特にドバイクリークやドバイモール周辺の新規開発エリアでは、完成予定のレジデンスや商業施設への期待が高まっています。
税金の面では、ドバイは他の多くの国々と比較しても低い税率が魅力です。
例えば、不動産売買に関する税金は一般的に非常に低く、また相続税や資産税が存在しないため、長期的な資産運用を考える投資家にとって有利な環境が整っています。
さらに、不動産の保有や運用に関するコストも比較的低く抑えられており、老後生活の資金計画や生活保障のための不動産投資が注目されています。
ドバイの不動産市場においては、VISA(ビザ)の取得も重要な要素です。
特に、投資ビザや居住ビザの取得条件が不動産投資と密接に関連しており、一定額以上の不動産投資を行うことで、ドバイでの長期滞在が可能になるケースがあります。
このようなビザの取得条件は、海外でのセカンドライフを検討している人々にとって大きなメリットとなるでしょう。
ドバイの不動産市場は、中東地域における経済の中心地としての地位を確立しており、アブダビや他のエミレーツとの比較でも、その投資価値は高いと評価されています。
特に、フリーゾーンと呼ばれる特別経済区域では、外国人投資家に対する規制が緩和されており、国際的なビジネスマンや投資家にとって魅力的な投資先となっています。
参照:Global Property Guide
ドバイ不動産投資のメリット
ドバイの不動産市場は、その高い利回りと経済の安定性により、世界中の投資家から注目されています。
この市場には、家賃収入の安定性や価格上昇によるキャピタルゲインの可能性、さらには税制上の優遇措置など、多くの魅力があります。
しかし、これらのメリットを最大限に活かすためには、市場の理解と適切な戦略が不可欠です。
ここでは、ドバイ不動産投資の具体的なメリットについて、以下の5つの点から詳しく解説していきます。
- 平均利回りの高さ
- キャピタルゲインの狙いやすさ
- 居住ビザの取得可能性
- 税制上の優遇措置
- 外国人に対する不動産購入の自由度
など、各側面からドバイの不動産市場の魅力を掘り下げていきましょう。
平均利回りは5%超えで比較的に高い
ドバイの不動産投資は、平均利回りが5%を超えることが多く、他の国々と比較しても高い水準です。
この高利回りは、投資家にとって魅力的なポイントであり、特に家賃収入を重視する方には大きなメリットとなります。
ドバイの不動産市場は、経済の安定性と成長性に支えられており、安定した家賃収入が期待できるため、長期的な資産運用に適しています。
また、ドバイの物件は、その豪華さとモダンなデザインで知られ、高い賃貸需要があります。
さらに、ドバイ政府による積極的な都市開発計画により、新しい住宅地やビジネスエリアの開発が進んでおり、これが家賃収入の増加に寄与しています。
ドバイの不動産市場は、国際的な投資家からの注目も高く、特に富裕層や海外移住を考える人々にとって、魅力的な投資先となっています。
キャピタルゲインが狙いやすい
ドバイの不動産市場は、キャピタルゲインを狙いやすい環境が整っています。
ドバイの不動産価格は、近年、特にプライムエリアや人気の高級物件を中心に上昇傾向にあります。
この価格上昇は、ドバイの経済成長や国際的なビジネスハブとしての地位の強化によるもので、投資家にとって売却益を得るチャンスが増えています。
ドバイの不動産市場は、新しい開発プロジェクトや大規模な都市計画により、将来的な価値上昇が期待されており、中長期的な視点での投資が有効です。
また、ドバイは国際的な投資家にとってアクセスが良く、多様な物件タイプが存在するため、投資の選択肢が豊富です。
ドバイの不動産市場は、安定した経済環境と政府の支援により、今後も成長が見込まれており、キャピタルゲインを目指す投資家にとって見逃せない市場ではないでしょうか。
不動産投資をすることによって居住ビザが取得できる
ドバイの不動産投資を行うことにより、居住ビザの取得が可能です。
これは、外国人投資家にとって大きなメリットの一つであり、ドバイでの長期滞在や移住を考える方々にとって魅力的なオプションです。
ドバイ政府は、不動産投資を通じて国の経済発展を促進しようとしており、投資家に対して居住ビザの取得を容易にしています。
このビザは、一定額以上の不動産を購入することで申請が可能であり、家族も含めてドバイでの生活を享受できます。
居住ビザを持つことで、ドバイの高品質な生活環境や安定した社会システムを利用することができ、ビジネスや教育、医療などの面で高い生活水準を享受できます。
また、ドバイは国際的なビジネスハブであり、世界各国からのアクセスが良いため、ビジネスの拠点としても理想的です。
税制によける優遇措置が受けられる
ドバイの不動産投資には、税制面でのメリットが多く存在します。
ドバイでは、不動産投資に関連する所得税や資産税が非常に低いか、または全くかからないため、投資家にとって有利な環境が整っています。
この税制の優遇措置は、ドバイ政府が積極的に外国人投資を促進しようとする政策の一環であり、国際的な投資家にとって大きな魅力です。
特に、家賃収入や売却益に対する税負担が低いため、投資のリターンを最大化することが可能です。
また、ドバイでは不動産取引に関する手数料や登録料も比較的低く抑えられており、初期投資コストの削減にも寄与します。
ドバイの税制は、国際的なビジネス環境に適応した柔軟な体系を持っており、投資家にとって安心して投資を行える環境を提供しています。
外国人の不動産購入に規制がない
ドバイでは、外国人による不動産購入に対する規制がほとんどありません。
これは、国際的な投資家にとって非常に大きなメリットであり、ドバイの不動産市場へのアクセスを容易にしています。
ドバイ政府は、外国人投資家を積極的に受け入れる政策を採っており、特定のエリアにおいては100%の外国人所有が認められています。
この開放的な姿勢は、ドバイの不動産市場を国際的な投資家にとって魅力的なものにしており、多様な背景を持つ投資家がドバイの不動産に投資しています。
外国人投資家は、住宅用物件から商業用物件、高級リゾート物件まで、幅広い選択肢から投資を行うことができます。
また、ドバイの不動産市場は透明性が高く、取引が容易であるため、安心して投資を行うことが可能です。
ドバイ不動産投資のデメリット、注意点
ドバイの不動産市場は、その魅力的な投資機会にもかかわらず、いくつかのデメリットや注意すべき点が存在します。
外国人投資家が直面する課題は、例えば以下のとおりです。
- 現金での大規模な投資が必要である
- 円安の影響
- 市場価格の変動
- ディベロッパー選定の難しさ
- 交通インフラの重要性
ここでは、これらのデメリットや注意点について、詳しく解説します。
融資ができないため現金で購入が必要
ドバイの不動産市場では、外国人投資家に対する融資が限られているため、多くの場合、物件の購入には現金が必要です。
これは、特に大規模な投資を検討している場合、大きな初期投資が求められることを意味します。
ドバイの不動産価格は、エリアや物件の種類によって大きく異なりますが、高級物件や人気エリアでは特に高額になる傾向があります。
現金での大規模な投資は、資金計画や流動性の管理に大きな影響を与える可能性があり、慎重な資金計画が必要です。
また、現金購入の場合、資金の出所を明確にする必要があり、法的な手続きや規制の理解が求められます。
融資が期待できず、大量の現金が必要だという点は、ドバイ不動産投資の基本事項としてご理解ください。
円安の状況では割高になる
日本円の価値が下落する円安の状況では、ドバイの不動産投資が割高になるリスクがあります。
ドバイの不動産市場はUAEディルハムで取引されるため、円安が進むと同じ価値の物件の購入により多くの日本円が必要になります。
特に、国際的な経済状況や通貨市場の変動により、為替レートは予測が難しく、投資計画に大きな影響を与える可能性が高いです。
円安の状況下での投資は、特に短期間での収益を目指す場合、為替リスクによる損失を被る可能性が高まります。
したがって、ドバイ不動産への投資を検討する際には、為替レートの動向を注視し、為替リスクを適切に管理する戦略を立てることが重要です。
また、長期的な視点で投資を行う場合でも、成功には為替変動による影響を考慮に入れた資金計画が不可欠です。
相場より高い価格で購入するリスクがある
ドバイの不動産投資のリスクの一つは、相場よりも高い価格で物件を購入してしまうことです。
特に、外国人投資家がターゲットとなる高級物件や人気エリアでは、物件価格が市場価格よりも高く設定されることがあります。
このような状況は、市場の知識が不足している投資家にとって不利に働くことがあり、適正価格での購入が難しくなる可能性が否めません。
また、ドバイの不動産市場は動向が変動しやすく、価格が急激に上昇することもあります。
投資家は、物件の購入前に市場価格を徹底的に調査し、適正な価格での取引を行うために、現地の不動産エージェントや専門家の意見を参考にすることをご検討ください。
市場の動向や将来の価値を見極めるために、地域の開発計画や経済状況に関する情報を収集することも有益でしょう。
不動産ディベロッパーの選び方が非常に重要
ドバイの不動産投資において、信頼できる不動産ディベロッパーを選ぶことは非常に重要です。
ディベロッパーの信頼性や実績、過去のプロジェクトの成功度は、投資の成功に直結します。
信頼できないディベロッパーに投資すると、建設遅延、品質の問題、さらにはプロジェクトの中止など、さまざまなリスクに直面する可能性を高めます。
そのため、投資家は、ディベロッパーの選定に際して、その財務状況、過去のプロジェクトの評判、地元市場での評価などを徹底的に調査すべきでしょう。
また、ディベロッパーとの契約に際しては、契約内容を詳細に確認し、必要に応じて第三者的な機関から法的なアドバイスを受けることをおすすめします。
信頼できるディベロッパーとのパートナーシップは、ドバイ不動産投資の成功に不可欠な要素ですので、慎重過ぎることがあっても悪くはありません。
交通インフラは物件を選ぶ時にもっとも注意が必要
ドバイの不動産投資において、物件の選定時には交通インフラの状況に特に注意しましょう。
ドバイは急速に発展している都市であり、交通インフラの整備状況は地域によって大きく異なります。
良好な交通アクセスを持つ物件は、居住者やテナントにとって魅力的であり、投資価値を高めます。
逆に、交通アクセスが不便な地域の物件は、賃貸需要が低く、投資リターンが期待できないリスクを高めます。
投資家が、物件の選定時に考慮すべき点は以下のとおりです。
- 公共交通機関へのアクセス
- 主要道路への接続性
- 将来の交通インフラの開発計画
また、ドバイの都市計画や交通インフラの開発計画は頻繁に更新されるため、最新の情報を常に把握するように努めましょう。
ドバイ不動産投資でおすすめのエリア5つ
ドバイの不動産市場は、その多様性と成長の勢いで知られています。
投資家にとって魅力的なエリアは数多くありますが、特におすすめの5つのエリアを紹介します。
ドバイマリーナ(Dubai Marina)
ドバイマリーナは、高層ビルと豪華なマリーナが特徴のエリアです。
近代的な生活スタイルを求める居住者や投資家に人気があり、特に水辺の景観を望む物件は高い需要があります。
また、レジャー施設やショッピングモールが充実しており、生活の利便性が高い点も魅力です。
パーム・ジュメイラ(Palm Jumeirah)
人工島であるパーム・ジュメイラは、ドバイのランドマーク的存在です。
高級リゾートホテルや豪華な住宅が立ち並び、世界中からの注目を集めています。
特に海岸沿いの物件は、素晴らしい眺望とプライバシーを提供し、高級不動産市場で常に人気があります。
ダウンタウン・ドバイ(Downtown Dubai)
ダウンタウン・ドバイは、世界最高峰のビルブルジュ・ハリファを中心に発展しているエリアです。
ショッピングモールやエンターテイメント施設が豊富で、都市生活を満喫したい人々に適しています。
不動産価値の高さと賃貸需要の安定性が投資の魅力を高めています。
ビジネスベイ(Business Bay)
ビジネスベイは、オフィスビルや商業施設が集中するビジネスの中心地です。
国際企業や地元企業のオフィスが多く、ビジネス関連の不動産投資に最適なエリアと言えます。
また、近隣のダウンタウン・ドバイとの連動性も高く、投資価値は今後も増加すると予想されます。
ジュメイラ・ビーチ・レジデンス(JBR)
ジュメイラ・ビーチ・レジデンスは、ビーチフロントのライフスタイルを提供するエリアです。
レストラン、カフェ、ショップが立ち並び、観光客や居住者に人気のスポットです。
特に海を望む物件は、リゾート感覚で暮らせるため、賃貸市場でも高い需要があります。
これらのエリアは、ドバイの不動産市場において特に注目されており、投資家にとって魅力的な選択肢となっています。
各エリアの特性を理解し、自身の投資目的に合った物件を選びましょう。
利回りが近いカンボジア不動産投資とどっちがいい?
カンボジア不動産投資とドバイ不動産投資、確かに両国とも利回りが近いですが、どちらがより良い選択かは投資家の目的やニーズにより大きく異なります。
経済成長と市場の安定性
2023年現在、カンボジアの不動産市場は急速な経済成長と人口増加に支えられ、特に首都プノンペンの中心部や観光地シェムリアップでは、戸建てやコンドミニアムの需要が高まっています。
一方、ドバイは国際的なビジネスハブとしての地位を確立し、パームジュメイラやドバイマリーナなどの高級住宅地区での不動産投資が注目されています。
投資額とアクセシビリティ
カンボジアの不動産市場は、比較的低い投資額から始められる点が魅力です。
特に、中古物件や小規模な開発プロジェクトへの投資は、初心者や少額投資家にも手が届きやすいです。
しかし、法人設立や土地の所有権に関する複雑な規制があり、これらを理解し適切に対応する必要があります。
対してドバイの不動産投資は、国際的な投資家にとって安定したインカムゲインを提供する可能性が高いです。
特に、高級ホテルやオフィスビルへの投資は、長期的な資産形成に寄与すると考えられています。
税制と負担
ドバイでは不動産購入時の印紙税や贈与税、キャピタルゲイン税が低いため、税負担が少ない点も魅力です。
両市場の比較では、利回りの高さだけでなく、リスクの程度や市場の安定性も考慮する必要があるでしょう。
市場のリスクとリターン
カンボジアは新興市場であるため、高いリターンが期待できる一方で、政治的リスクや市場の変動性が高いことも理解しておく必要があります。
一方、ドバイはより成熟した市場であり、安定した経済環境と透明性の高い不動産市場を提供しています。
投資戦略と市場の多様性
投資戦略の面では、カンボジアでは地元のデベロッパーや不動産会社との連携が重要です。
これに対し、ドバイでは国際的な不動産会社やプロジェクトが多く、英語でのコミュニケーションが可能です。
また、ドバイでは不動産プロジェクトの多様性が高く、住宅から商業施設、リゾート開発まで幅広い選択肢があります。
資金計画と為替リスク
資金計画の面では、カンボジアでは米ドルを基準とした取引が一般的であり、為替リスクを考慮する必要があります。
ドバイでは、AEDを基準とした取引が主流で、為替の安定性が高い点がメリットです。
まとめ
本記事では、ドバイ不動産投資のメリットとデメリット、おすすめのエリアについて詳しく解説してきました。
ドバイは急速な経済成長と国際都市としての魅力により、高い利回りとキャピタルゲインの可能性を秘めています。
しかし、円安の影響や市場価格の変動、不動産ディベロッパーの選定の重要性など、注意すべきリスクも存在します。
また、ドバイマリーナやパーム・ジュメイラなど、特に投資価値の高いエリアを紹介しました。
ドバイ不動産投資を検討する際には、これらの情報を参考にして頂けますと幸いです。
荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社
代表取締役 / 宅地建物取引士 / 宅地建物取引業 東京都知事免許(2)第99967号
所属団体:一般社団法人RE AGENT 理事長 / 一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC) / 公益社団法人全日本不動産協会
1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。
著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
はじめての海外不動産投資