執筆者:荒木 杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社
カンボジア不動産投資には「米ドル建て」「銀行の高金利」「利回り保証と買取保証」と魅力的なメリットが多くあります。
海外不動産投資を考える時に、メリットで投資先の国を選ぶことはとても大切です。
しかし、魅力的な部分ばかりでは予期せぬトラブルに巻き込まれてしまう恐れがあります。
トラブルを少しでも減らせるよう、カンボジア不動産投資のリスクについてしっかり知っておきましょう。
カンボジア不動産投資のリスクについて
カンボジアでの不動産投資には潜在的なリスクが存在します。以下に一般的なリスクを挙げてみましょう。
- 法的および土地所有権の問題
カンボジアは過去に政治的な混乱や内戦を経験しており、土地所有権に関する文書が不明瞭な場合があります。これにより、不動産の購入時に法的な問題が発生する可能性があります。 - 政治的な不安定
カンボジアは政治的に不安定な要素を抱えていることがあり、政策の変更や政治的なリスクが投資に影響を与える可能性があります。 - 経済の不確実性
カンボジアの経済は急速に成長していますが、その一方で依然として不安定さも抱えています。経済の変動により、投資物件の価値が変動する可能性があります。 - インフラストラクチャの不足
カンボジアの一部の地域では、十分なインフラストラクチャが整備されていないことがあります。不動産投資を行う際に、アクセスや基本的なサービスの提供に問題が生じる可能性があります。 - 市場の過熱
カンボジアの一部の地域で不動産市場が過熱している可能性があります。過剰な需要に対して供給が追いついていない場合、価格が急激に上昇し、バブルが形成される可能性があります。 - 賃貸市場の不安定さ
不動産を賃貸に出す場合、入居者の確保や長期的な安定した収益の確保が課題となることがあります。競争が激化する中で、適切なテナントを見つけることが難しい場合もあります。
これらのリスクを考慮せずにカンボジアでの不動産投資を行うことは、資産や資金を失う可能性を高めることにつながるかもしれません。
投資を検討する際には、十分な調査とリスク評価を行い、専門家の助言を得ることが重要です。
リスク① 物件が完成しないことがある
カンボジアなどの新興国で不動産投資を行う際に、物件が完成しないというリスクは確かに存在します。
以下にその理由と対策について説明します。
- 不確実な開発プロジェクト
カンボジアなどの新興国では、開発プロジェクトが予定通りに進行することが保証されているわけではありません。予算不足、技術的な問題、許認可の遅延などが原因で、プロジェクトが停滞することがあります。 - 不正や腐敗
建設業界において、不正や腐敗が存在することがあるため、これがプロジェクトの遅延や中断につながる可能性があります。
物件が完成しないリスクの対策
- 開発者の評判と実績の確認
不動産開発者の評判や過去の実績を調査することが重要です。信頼性のある開発者と提携することで、物件の完成率が高まる可能性があります。 - 契約内容の明確化
不動産の購入契約を締結する際には、物件の完成に関する条件や期限を明確に記載することが重要です。遅延時の違約金や返金に関する条項を取り決めることで、リスクを軽減できます。 - 逐次支払いの採用
支払いを物件の進捗に応じて段階的に行う「逐次支払い」方式を採用することで、開発者にとっても動機づけが生まれ、物件の完成率が高まる可能性があります。 - プロフェッショナルなアドバイザーの活用
カンボジアの不動産市場や法律事情を理解するプロフェッショナルなアドバイザーを活用することで、リスクを最小限に抑える手助けができます。 - 多角的なリサーチ
物件を購入する前に、地域の開発トレンドや市場動向を研究することが重要です。地元の不動産専門家や現地の人々から情報を得ることで、物件の完成可能性を評価できます。
物件が完成しないリスクを軽減するためには、慎重な調査とプロフェッショナルなアドバイスの利用が不可欠です。
投資を検討する際には、リスクとリターンをバランスさせた上で判断することが重要です。
リスク② 開発会社や管理会社が途中で変わってしまうことがある
カンボジアを含む新興国での不動産投資において、開発会社や管理会社が途中で変わる可能性があります。
これによるリスクと対策について説明します。
- 業界の不安定さ
新興国の不動産業界はまだ発展途中であり、市場の変動や政治的な問題が影響を与えることがあります。このような状況下では、企業が経営上の課題に直面し、活動を縮小または中止する可能性があります。 - 競争の激化
不動産市場が成長するにつれて、多くの企業が参入し競争が激化することがあります。競合他社の台頭により、一部の企業は事業の継続が難しくなる可能性があります。
会社が変わってしまうリスクの対策
- 信頼性のあるパートナー選び
不動産投資を行う際には、開発会社や管理会社の選定が重要です。評判や実績を調査し、信頼性のあるパートナーと取引することで、途中での変更リスクを軽減できます。 - 契約内容の明確化
開発会社や管理会社との契約内容を十分に明確に記載することが重要です。途中でパートナーが変わる場合に備え、契約に変更や転換に関する条項を盛り込むことで、投資家の保護を図ることができます。 - 複数のオプションを持つ
単一の開発会社や管理会社に依存せず、複数の選択肢を持つことが重要です。もしも途中で変更が必要になった場合でも、バックアップのパートナーが存在することでリスクを軽減できます。 - 情報の収集とネットワークの構築
地元の不動産市場やビジネス環境に関する情報を収集し、専門家や他の投資家とのネットワークを構築することで、業界の動向を把握しやすくなります。この情報は変更やリスク対策に役立ちます。
開発会社や管理会社が途中で変わるリスクを考慮して、慎重な計画と選定を行うことが重要です。
投資を検討する際には、将来の変更に対する柔軟性を持ちつつ、リスクを最小限に抑える方法を模索することが大切です。
リスク③ 政治的理由
カンボジアにおける不動産投資には政治的なリスクが関わることがあります。政治的な状況や決定が投資にどのような影響を及ぼす可能性があるかを考慮することは重要です。
以下にいくつかの政治的なリスクを説明します。
- 政策変更の影響
政府の政策や規制の変更は、不動産市場に大きな影響を与える可能性があります。新たな税制の導入や土地利用に関する法律の変更が、投資物件の価値や収益性に影響を及ぼすことがあります。 - 政治的不安定
カンボジアは歴史的に政治的な不安定さを抱えてきました。政治的な対立や選挙の不正疑惑などが発生すると、投資環境が不安定化し、投資家の信頼を損なう可能性があります。 - 法の不確実性
カンボジアの法律や規制は不透明な場合があり、投資家は法的な問題に直面する可能性があります。法的な紛争や土地所有権の問題が投資に影響を及ぼす可能性があります。 - 外国投資に対する態度
政府の外国投資に対する態度が変化することがあります。外国人による不動産投資に対する制限や規制が強化される可能性があり、これが投資の障害になることがあります。 - 国際関係の影響
カンボジアの外交政策や国際関係は、投資環境にも影響を及ぼすことがあります。国際的な対立や制裁などが経済や政治に影響を及ぼす場合、投資にも悪影響を及ぼす可能性があります。
政治的リスクの対策
- 政治情報の収集
地元のニュースや政治情勢を定期的にモニタリングし、政治的な動向を把握することが重要です。これにより、政治的なリスクに対する早期の警戒が可能です。 - 多角的なリサーチ
投資を検討する際には、不動産市場だけでなく、政治状況や法律事情についても広範なリサーチを行うことが重要です。地元の専門家やアドバイザーの意見を聞くことで、リスクをより正確に評価できます。 - リスクマネジメント
政治的なリスクを軽減するために、多様な投資先を持つことや、政策変更に柔軟に対応できる戦略を検討することが重要です。
カンボジアの政治的なリスクを十分に理解し、慎重に投資を進めることが、成功するための重要な要素です。
荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社
代表取締役 / 宅地建物取引士 / 宅地建物取引業 東京都知事免許(2)第99967号
所属団体:一般社団法人RE AGENT 理事長 / 一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC) / 公益社団法人全日本不動産協会
1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。
著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
はじめての海外不動産投資