執筆者:荒木 杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

カンボジアは国内経済が順調に成長しており、移住先や事業の海外拠点として注目を集めています。
居住用・事業用物件の両方が増加しており、不動産取引も活発です。
一方で、タイとの国境紛争が大きく報じられるなど、カンボジアの現在の状況に不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、カンボジアの治安に関する最新情報や、カンボジアで発生しやすい犯罪などについて詳しく解説します。
現地での安全対策などもご紹介しますので、ぜひ最後までお付き合いください。
外務省のホームページでは危険レベルが1or3
外務省のホームページでは、世界各国の安全情報が公開されており、情報は随時更新されています。
2025年9月現在、カンボジアの安全情報については以下のように区分されています。

それぞれの状況については、続く記事で詳しくみていきましょう。
全土【レベル1】 | 盗難に要注意
外務省のホームページでは、カンボジアの国内全土が「危険度レベル1」以上に指定されています。
「レベル1」は「十分に注意」に該当し、国内全土で盗難や詐欺・強盗が発生しやすいと記載されています。
カンボジアは経済が活発に成長しているものの、先進国の水準と比較すると、国民の平均所得は決して高くないのが現状です。
先進国からの移住者や観光客の所得水準は、カンボジア国内と比較すると大幅に上回っていることが多く、ターゲットにされやすい傾向にあります。
特に日本人は裕福であると広く認知されており、ターゲットにされやすい傾向があるので注意が必要です。
国境【レベル3】 | タイとの国境紛争で治安が悪化
外務省ホームページでは、カンボジアとタイの国境地帯は「危険度レベル3」で、「渡航の中止勧告」が発令されています。
カンボジアとタイの国境には画定が曖昧な部分があり、長年にわたって紛争の火種となっていました。
2025年5月末には、両国の国境地帯であるプレアヴィヒア寺院の周辺で、領土侵犯を巡る軍部間での銃撃戦が勃発しました。
その後も両国の緊張関係は急激に高まり、7月には民間人を含めた死傷者の出る大規模な軍事衝突に発展しています。
ASEANや中国・アメリカの仲介により停戦合意はなされましたが、タイとの国境地帯での緊張は完全に解消されたとは言いがたい状況です。
不測の事態に巻き込まれないためにも、指定された区域への立ち入りは避けましょう。
カンボジアとタイの国境紛争については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
カンボジアで特に注意したいシチュエーション5選
カンボジアでは特定の都市や場所・時間帯によって危険が高くなりやすい傾向があります。
ここでは、カンボジアで特に注意したいシチュエーションを5つ解説します。
なお、タイとの国境地帯も情勢が不安定なので、不要不急の接近は避けましょう。
繁華街 | 外国人を狙った盗難が多発
カンボジアの首都であるプノンペンなど、大都市の繁華街は観光客や外国人移住者などで賑わいます。
人口が多いため、スリやひったくり・置き引きといった盗難が発生しやすく注意が必要です。
特に日本人を含む外国人はカンボジア人よりも裕福である場合が多く、外国人が狙われる事例が発生しがちです。
なかには、暴力を伴う強盗事件によって被害者が負傷した事例もあります。
観光地 | 観光客をターゲットにしたぼったくりに注意
カンボジアにはプノンペンのほか、アンコールワットなどの遺跡で知られるシェムリアップや、リゾート地として人気のシアヌークビルといった観光地の治安にも注意が必要です。
シェムリアップやシアヌークビルなど訪問者の多い都市では、外国人旅行者を対象にして法外な料金を請求するツアーがあります。
観光客・外国人に親しげな態度で接近し、物乞いや詐欺をするといった行為にも要注意です。
タクシーなどの乗り物を利用する場合、メーターが付いていなかったり、高額な運賃を要求されたりする事例があります。
夜間 | 男女問わず1人歩きは非推奨
カンボジアでは男女を問わず、夜間の1人歩きはなるべく控えたほうがよいでしょう。
プノンペンなどの繁華街ではナイトスポットでの夜遊びを楽しめますが、盗難やぼったくりに要注意です。
アルコールが入ると気が緩んでしまいがちですが、酔った状態だと犯罪に巻き込まれやすくなる可能性があります。
カンボジアは常夏の気候なので服装も薄手になりやすいですが、特に女性の露出度の高い服装は性犯罪を招く要因になるかもしれません。
人気のない夜道で複数人から暴行を受けて金品を奪われた事例があるため、女性だけでなく男性も十分に注意が必要です。
東部・西部地域 | 地雷・不発弾の暴発による事故に注意
カンボジアでは、内戦やベトナム戦争時に敷設された地雷や米軍の爆撃による不発弾が多数埋没しており、東部・西部を中心に死傷者が出ています。
政府やNPO法人などの尽力で撤去作業が進行中ですが、いまだに完全な撤去には至っていません。
危険地帯には立ち入り禁止を示す看板がありますが、看板が設置された地点以外にも地雷や不発弾が埋まっている可能性があります。
また、人や車が踏み入っていない道路や、農地・森林・空き地などにはむやみに接近しないように注意しましょう。
東部の幹線道路は、ベトナム戦争時に重要な攻撃目標として多数の爆弾が投下されており、道路に比較的近い場所であっても注意が必要です。
感染症 | 生物を媒介とした感染の危険性
カンボジアでは蚊や野犬などが危険な生物として認識されています。
熱帯・亜熱帯気候において、蚊は熱帯性マラリアなどの感染症の媒介となることがあります。
熱帯性マラリアに感染して24時間以内に治療をしないと、命に関わるほど重篤な症状を引き起こすので注意が必要です。
カンボジアには多数の野犬が生息していますが、野犬に噛まれたり引っ掻かれたりしてできた傷口から、狂犬病に感染するケースがあるので要注意です。
野犬のほか、ウイルスを保持するネコ・コウモリなどによっても感染するケースがあります。
狂犬病は数ヶ月の潜伏期間を経て、神経障害や昏睡を引き起こし、致死率が極めて高い危険な病気です。
カンボジア渡航前にワクチンを摂取することで、感染症に罹患するリスクを低減しやすくなります。


カンボジアの犯罪件数自体は減少傾向
カンボジア内務省によると、2024年の犯罪発生件数は3,121件で、前年より11.1%減少したとの発表がなされました。
ただし、犯罪件数に計上されていない事例なども考えられるため、現地滞在中は十分な注意が必要な点は同じです。
以下の表は、在カンボジア日本国大使館が公表した最近のカンボジアにおける犯罪発生件数の統計です。

上記のうち、日本人が遭遇した犯罪は、ひったくりが5件・窃盗が2件・昏睡強盗が1件です。
カンボジアで発生しやすい7つの犯罪事例
カンボジアではさまざまな犯罪の発生が報告されていますが、特に発生しやすい犯罪があります。
ここでは、カンボジアで発生しやすい犯罪事例を7つご説明します。
ひったくり | カンボジアで頻発しやすい犯罪
ひったくりはカンボジアで頻発しやすい犯罪で、バッグやスマートフォンなどの所持品を強引に奪う行為です。
犯行には高速で走行できて小回りも利くバイクが用いられるケースが多く、機動力で劣る歩行者やトゥクトゥクのドライバーが狙われがちです。
なかにはバッグの紐をナイフで経由切断して奪い取ったり、強引に持ち物を奪い取った際に被害者が負傷したりと、より悪質な事例もあります。
いかさま賭博 | 巻き込まれた場合の損失が多額
いかさま賭博は、単独行動をする観光客や外国人を対象として発生しやすい犯罪です。
街中や観光地などで「日本の話を聞きたい」などと親しげに声をかけ、犯行現場となる自宅などにターゲットを誘導します。
ターゲットを誘導した先には複数人が待機しており、「ゲームをしよう」といった提案をし、巨額の賭け金を伴ったゲームが行われるのが一般的な流れです。
犯行グループ側のプレイヤーはわざとゲームに負け続け、ゲームの賭け金を吊りあげていきます。
ゲームの進行中は複数人が威圧的な態度でターゲットに接するため、犯罪だと気づいても抜けづらい雰囲気です。
強引に抜けようとした場合、マフィア風の人物が現れて、携帯端末や貴重品を没収されることがあります。
賭け金が手持ちの金額を超えた段階でATMで出金するように指示され、ゲームは一時中断されます。
指示された金額を引き出せない場合は、宝石や貴金属などを購入・換金させてゲームの賭け金に充当させます。
ターゲットに指示した金額を受け取った後で、「迎えに来る」とカフェなどで待機させますが、犯人たちはその後に姿を現しません。
ゲームで多額の現金を賭けるため、被害額が数十万〜数百万と大きくなりやすいのが特徴です。
窃盗 | 観光地などでのスリが多発
スリや置き引きなどの窃盗は、観光地や飲食店などで多発しやすい犯罪で、以下のような事例が報告されています。
- 遺跡を観光中に、すれ違った相手から財布を抜き取られた
- レストランで席を外した際、テーブルに置いていたスマホを持ち去られた
- ショッピングモールで買い物中に、開いていたリュックの口から中身を奪われた
- 徒歩での散策中に子どもたちがまとわりつき、気づくとショルダーバッグから財布を抜き取られていた
大人だけでなく、子どもが物乞い中などに所持品を盗み取るケースもあるので要注意です。
強盗 | 拳銃を使用した犯罪も発生
強盗は被害者に暴行を加えて所持品を強奪する犯罪で、カンボジアでは以下のような事例が報告されています。
- 市内を散策中に、携帯電話を奪われたので相手を追跡したところ、複数の男によってナイフで腕や脚を切りつけられたうえに現金も奪われた
- 夜間にプノンペンの河川沿いを散策中に、複数の男に暴行を加えられ現金・一眼レフカメラ・パスポートなどの所持品を奪われた
- 深夜にカジノからバイクで移動中に、バイクに乗った男に追走され、拳銃で脅されて現金を強奪された
ひったくりなどに遭って犯人を追跡した結果、武器や複数人からの暴力といった反撃によって被害者が負傷するケースがあるので注意が必要です。
カンボジアでは警察官が私服を肥やすために横流しした拳銃を入手できる場合があるため、拳銃などを用いた犯罪が発生する可能性があります。
また、ターゲットに親しげに接近して食事に誘い、飲食物に睡眠薬などを混ぜて意識を奪ったうえで犯罪に及ぶといった昏睡強盗も発生しています。
昏睡強盗によって現金や貴重品を奪われるほか、主に女性を狙ったわいせつ行為や強姦の事例もあります。
空き巣 | ホテル従業員による盗難も発生
カンボジアでは、アパートなどの低層階を狙った空き巣が発生しがちです。
第三者が自由に出入りしやすい簡素なつくりの物件の低層階などは、特に被害に遭いやすいので要注意です。
また、ホテルやゲストハウスなどの宿泊客を狙った盗難も報告されています。
宿泊先に現金・クレジットカードなどの貴重品を保管する場合、施設の従業員による盗難が発生する可能性を考慮しておきましょう。
カンボジア人の平均年収は約1,200ドル(1ドル150円=18万円)といわれており、日本人の平均所得とはかなりの差があります。
日本人などの外国人が所持する現金・クレジットカードは、カンボジア人の感覚では非常に大きな価値があり、欲望を制御できずに犯行に及ぶケースが考えられます。
特殊詐欺(闇バイト) | 詐欺グループの拠点が摘発された事例が発生
2024年頃より、特殊詐欺(闇バイト)による被害が相次ぎ、大きな社会問題となりました。
特殊詐欺(闇バイト)は捜査の及びづらい海外を拠点にするケースもあり、同年10月にはカンボジアを拠点とする犯人グループが逮捕される事例が発生しました。
特殊詐欺(闇バイト)は破格の条件を提示し、SNSなどで人員を募るケースが多くあります。
ほとんどのグループは指示役と実行役に分かれており、指示役に個人情報を掌握された実行役が犯罪行為を強要されるのが特徴です。
カンボジアを拠点とした特殊詐欺では、実行犯を渡航させ、カンボジアの回線から偽の警察官や銀行員を装った電話が日本人相手に架電されました。
横領 | カンボジア人従業員に金銭を預けるのは要検討
カンボジアでは、ホテル従業員などと同じく、カンボジア人社員による金品の横領にも十分な注意が必要です。
カンボジアと日本の経済格差は非常に大きく、日本人の感覚ではそれほど高額ではない金品が、カンボジア人には非常に大きな価値に感じられやすいです。
荒木自身も、カンボジア人社員に金銭を横領された経験があります。
荒木は起業して数年間は、カンボジアで生活しながら事業を営んでおりました。
当時のカンボジアは入居者を戸別訪問して家賃を集金していましたが、荒木は妊娠中で身軽に動けなかったこともあり、集金業務をカンボジア人社員に任せていました。
多額の現金を手にして魔が差したのか、当人による集金済み家賃の横領が発生します。
被害額は約50万円と、会社の経営を揺るがすほどではありませんでしたが、信頼していた人物による横領による心理的なショックは少なからずありました。
都市と時間帯で変わる安全度を「時間」と「場所」で整理
カンボジアでは、外国人が多く訪れる都市や時間帯で犯罪が発生しやすい傾向があります。
ここでは、特定の都市や時間帯で注意すべきポイントを整理しておきましょう。
プノンペンの要点|BKK1・トンレバサック・河沿いでの注意点と「安全導線」
プノンペンのBKK1(ボンケンコンワン)やトンレバサックは外国人駐在員の居住地として人気ですが、夜間の河沿いや路地裏ではスリや強盗のリスクが高まります。
安全な移動経路を確保するためには、以下のようなルールを設定しておくのがおすすめです。
- 幹線道路から外れない
- 帰宅は配車アプリを使う
- 降車は建物入口の前
河沿いの遊歩道で強盗が発生した事例もあるため、特に夜間は幹線道路から外れた場所を1人歩きするなどといった行動は控えるようにしましょう。
シェムリアップの要点 |遺跡・パブストリートでの注意点と移動ルール
シェムリアップは、アンコールワットなどの遺跡が点在する国内屈指の観光都市です。
シェムリアップは昼間は比較的安全ですが、夜のパブストリート周辺は酔った人を狙ったスリや詐欺が横行しています。
投資用物件の視察や観光の際は、22時までに帰るといったルールを決め、現金やカードを必要以上に持ち歩かないことが効果的です。
港湾都市の要点|ポイペト・バベット・シアヌークビルで避けるべきスポット
ポイペトやバベットといった港湾都市では、賭博や密輸が絡むトラブルが発生しやすく、不要不急の訪問は避けたほうが無難です。
シアヌークビルは中国資本による投資が過熱していましたが、現在は多くの中国資本が撤退しており、違法カジノの存在や過疎化による治安悪化が指摘されています。
港湾都市でビジネスを展開する場合は現地視察を最小限にし、信頼できる現地パートナーを確保しておくことが重要です。
カンボジアで発生しやすい犯罪への5つの回避術
カンボジアでは、外国人を狙ったスリやぼったくり・詐欺といった犯罪が発生しがちです。
ここでは、カンボジアで発生しやすい犯罪を回避するための対策法を5つご紹介します。
スリ・ひったくりは「立ち止まった瞬間」に要注意
カンボジアでは歩行中よりも、立ち止まった瞬間に後方から接近してきたバイクによるひったくりが多発しています。
バッグは道路側に持たず、建物側に寄せて持つのが鉄則です。
また、スマートフォンなどの端末の操作も歩きながらの操作では周囲の注意力が散漫になりがちで、ターゲットに選ばれやすくなります。
携帯端末の操作はなるべく静止した状態で行い、アプリによるナビではなく、紙の地図を持ち歩くといった対策が有効です。
慣れた人物によるスリは感知が難しく被害に気づきづらいため、貴重品は身体の前側で持ち歩くようにしましょう。
ぼったくりは「支払い動作」で防止
市内での買い物は釣り銭を誤魔化される可能性があるので、現金での支払いはなるべく細かい通貨で行い、釣り銭をその場で確認しましょう。
可能であればモバイル決済を利用し、会計時の誤差を避けるのもおすすめです。
店舗でのモノ・サービスは、購入前に値段を確認しておくことで支払後のトラブルを避けやすくなります。
いかさま賭博などのきっかけを把握
いかさま賭博などの詐欺は、狙った相手に親しげに接近したうえで行われます。
いかさま賭博はターゲットを特定の場所に誘導したうえで実行されますが、道を尋ねられ「お礼がしたい」などといった誘い文句も考えられます。
カンボジア人は一般的に他人に対してもフレンドリーなのが特徴ですが、ことさらに親しげな態度には用心しましょう。
昏睡強盗は「親切な提案+飲食」のセットを拒絶
昏睡強盗もいかさま賭博などと同じく、ターゲットに親密な態度で接近し、飲食店などへの誘導をきっかけに行われる犯罪です。
飲食物を勧められた場合、「ありがとう、でも今は大丈夫」などとやんわりと断るフレーズを決めておくと、自然に回避しやすくなります。
また、店員がグルになっている可能性も考えられるため、提案された場所への同行を断るほか、同行自体を断ることが重要です。
デジタル詐欺や闇バイトはSNSを警戒
最近では、偽メールやSMSを使った詐欺も増えています。
受信メッセージ内のリンクにはすぐにアクセスせず、公式サイトや電話番号などで再確認する習慣を徹底しましょう。
特殊詐欺(闇バイト)グループがカンボジア国内に拠点を置いていた事例がありますが、SNSを経由して実行役を確保する手段も多くみられます。
「簡単に稼げる」「翻訳作業で月収⚪︎⚪︎万円」などのフレーズに反応したユーザーを特定のフォームに登録させ、実行役に仕立て上げる場合があります。
特殊詐欺はオンラインだけでなく、知人からの誘導もあるので注意が必要です。
現地生活の安心を底上げする5つの対策法
カンボジアで生活する際、いくつかの安全に関する対策を取り入れることで、安全な生活を送れる可能性が高くなります。
ここでは、カンボジアでの生活を安全にするための対策法を5つご紹介します。
夜の帰宅は「玄関まで」を意識
犯罪行為は意外にも「自宅までの直前の数十メートル」で起きやすいです。
夜間の帰宅では、可能であれば配車アプリで建物前まで乗り入れを指定し、降車後すぐに建物に入るよう導線を整えましょう。
徒歩で帰宅する場合も、玄関に入るまで気を抜かないことが重要です。
配車アプリと専属ドライバーを併用
カンボジアの短期滞在者にはGrabなどの配車アプリが便利ですが、長期滞在の場合は可能であれば専属ドライバーを雇用するのがおすすめです。
「夜は専属ドライバー・昼は配車アプリ」と使い分けることで、安全性とコストの効率化を両立しやすくなります。
経済的に専属ドライバーを雇用するのが難しい場合は、タクシーによる代替が可能です。
財布・携帯端末・パスポートの持ち方を注意
財布・スマホ・パスポートなどの貴重品を一か所にまとめて所持すると、盗難に遭った際の被害が大きくなりやすいです。
貴重品を複数に分けて持ち歩くほか、ダミーの財布を用意することなども被害の低減につながります。
スリなどによって貴重品を奪われた際、すぐに感知できるようズボンの内ポケットなど身体に近い部分で貴重品を持ち歩くのも有効です。
住居セキュリティの事前点検
カンボジアで物件を探す際は、24時間警備・監視カメラ・入館管理システムなどの充実度合いを確認しておきましょう。
価格や賃料が高くてもセキュリティ性の高い物件を選ぶほうが、結果的に安上がりになるケースが多いです。
弊社ではプノンペン周辺の物件を多数扱っており、セキリティを重視した物件のご紹介も可能です。
緊急連絡先と医療到達時間を把握
緊急時には「頭で分かっている情報」よりも「身体で覚えた導線」が有効に作用します。
家族でカンボジアに滞在する場合は、病院までのルートを実際に通り、所要時間を計測しておくと安心です。
カンボジアで犯罪に巻き込まれた際は、すぐに現地警察(電話番号117)に連絡しましょう。
現地警察に被害届を提出後、被害届受理証明書(ポリスレポート)が発行され、パスポートの再発行や傷害保険の請求ができるようになります。
現地警察では英語が通じないケースもあるので注意が必要です。
通訳は、在カンボジア日本国大使館を経由しての手配が可能です。
日本国大使館は日本語に対応しており、詐欺被害やトラブルに応じて弁護士も手配できます。
| 在カンボジア日本国大使館 | 023-217-161~4 | https://www.kh.emb-japan.go.jp/ |
| 在シェムリアップ日本国領事事務所 | 063-963-801~3 | https://www.kh.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000091.html |
ただし、日本国大使館・領事事務所ともに土日は対応時間外なので要注意です。
女性・同居家族の不安を小さくする3つの生活設計
夫婦や家族でカンボジアに滞在する場合、女性や子どもに合わせた生活を設計しておくことで、家族の安全を守りやすくなります。
ここでは、女性・子どもの安全性を高めやすい生活設計を3つご紹介します。
通学・買い物・習い事の時間・ルートを意識
カンボジアで家族で滞在する際に特に重要なのは、生活で使うルートの安全性です。
学校やスーパー・習い事などへの移動経路は、基本的に日中の幹線道路沿いを選択し、徒歩による移動ではなく送迎や配車サービスを組み合わせるのが安心です。
特に子どもの通学は、片道15〜20分以内で大通り経由を目安にしておくとリスクを低減できます。
ナイトスポットと公共空間でのマイルールを設定
同居する配偶者は、ナイトマーケットやバーなど夜の外出機会もゼロではありません。
夜間の外出を安全なものにするためには、以下のようなルールの設定が有効です。
- 同行者を必ずつける
- 派手な服装を避ける
- 帰宅時間に門限を設ける
家庭内のマイルールを共有しておくことで、不測のトラブルを防ぎやすくなります。
家中と外出時の“声かけ・位置共有”を習慣化
情報の共有不足が家族の安全を損なってしまうケースも多くあるので、例えば家族間で次のようなルールを設定しておくとよいでしょう。
- 外出・帰宅の際に必ず声をかける
- 位置情報をアプリで共有する
- 万一の際に合言葉で安否確認する
家族内ルールを徹底し、「小さな習慣」を積み重ねることで家族全体の安全に繋がりやすくなります。


治安が不動産投資に与える3つの影響
カンボジアの治安状態は、不動産投資にも影響を与えます。
ここでは、カンボジアの治安が不動産投資に影響を与えやすい要素を3つ解説します。
立地の安全度は賃料と稼働率に直結
不動産投資において立地は非常に大きな判断材料ですが、カンボジアでは物件周辺の治安が特に重要です。
プノンペン中心部でも、幹線道路沿いで警備が整ったエリアは外国人駐在員や富裕層に人気があり、賃料水準を維持しやすい傾向があります。
一方、治安が不安視される地域では、空室リスクが高まり賃上げも難しくなりがちです。
治安の良し悪しが収支に大きく関係しやすいので、日本国内の物件探し以上に意識すべきです。
退去率・修繕費・原状回復コストへの波及
治安が悪い地域では犯罪被害や不安感から、物件の入居者が短期間で退去するケースが多くみられます。
結果として退去時の修繕費・原状回復コストが多く発生しやすくなります。
長期入居が見込める治安のよいエリアを選ぶことで、収支の安定化だけでなくメンテナンスのコスト削減にも繋がりやすいです。
保険料・保全費・警備費のバランス設計
治安のよくない立地では、火災保険や賠償保険の条件が厳しくなり、保険料も割高になる傾向があります。
さらに、警備員の配置や監視カメラの増設など、セキュリティ関連のコストが大きくなることも想定すべきでしょう。
投資判断の際は、「賃料収入 − (保険料+警備費)」といった計算をシミュレーションしておくことが重要です。
ランキングと周辺国比較で見える「許容度」の目安
カンボジアの治安状況を知るには、ランキングサイトや周辺国との比較なども判断材料になります。
ただし、得た情報を的確に判断しないと、実情を見誤ってしまう可能性があるので要注意です。
ここでは、カンボジアの治安を的確に判断するためのコツを3つご紹介します。
世界・アジアの治安ランキングの見方と限界
「世界治安ランキング」などのサイトは、調査対象国の犯罪率や暴力事件の件数を基準にしていることが多いです。
観光客にとっては参考になりますが、投資家にとっては不十分かもしれません。
投資の判断には、契約の透明性・腐敗度・医療体制・インフラの安定性といった要素も大きく関係します。
単純な順位だけで判断せず、ランキングの指標から自分に関係のある要素を読み取ることが重要です。
タイ・ベトナム・フィリピンとの相対評価
カンボジアと周辺国の単純な治安を比較すると、以下のような特徴があります。
- タイ:観光地の安定性が高い
- ベトナム:都市ごとの差が少ない
- フィリピン:地域格差が大きい
周辺国と比較した場合、カンボジアは軽犯罪の発生率は高いが重大なリスクは低いと評価されることが多いです。
治安の良し悪しだけでなく、不動産価格・英語の普及率・仲介業者のサポート体制などと合わせて判断することで、より現実的な投資判断が可能になります。
判断基準の数値化
最終的には、治安リスクをどこまで許容できるかが物件の契約に大きく関係します。
例えば、以下のように数値やエリアを決めておけば、より明確な判断に繋がるでしょう。
- 渡航可否:レベル2以上の地域は渡航を中止
- 活動時間帯:夜22時以降の外出は全面禁止
- 家族の同行:プノンペン中心部は可、国境付近は不可
判断に具体的な数値や基準を設定することで、治安に関する情報をより有効に活用しやすくなります。
信頼できる情報源を3系統で使い分け
カンボジアの治安を的確に把握するためには、公的機関のサイトやSNSも大いに役立ちます。
ここでは、各種の情報源を3つの系統に分けてご紹介します。
政府系:外務省・各国アドバイザリーの信頼性の高い情報を入手
外務省が発信する「海外安全情報」は、現地の状況を把握するのに非常に有効です。
アメリカ・イギリス・オーストラリアなどのトラベルアドバイザリーは現地情報の更新が早く、最新の情報をキャッチしやすいです。
渡航や投資判断に先がけて、複数の公的機関の情報をチェックしておくとよいでしょう。
現地系:在住者ネットワーク・業界コミュニティの活用
プノンペンやシェムリアップには、在住日本人や業界関係者のコミュニティが存在します。
多くのコミュニティでは、Facebookグループやチャットアプリを通じて日々の治安情報が共有されています。
例えば、「昨晩このエリアでスリが発生」といった即時性の高い情報を得ることも可能です。
コミュニティを活用することで、公的機関の情報では把握しづらいリアルタイムの治安情報を把握しやすくなるでしょう。
ユーザー系:Q&A・口コミの活用ポイント
「Yahoo!知恵袋」や旅行系の掲示板などには、ユーザーのリアルな体験談が多く投稿されています。
ただし、個人の主観や誇張した表現も混ざりやすいため、複数のユーザの投稿を総合的に判断することが大切です。
例えば、「夜のパブストリートで財布を盗まれた」という投稿が複数ある場合、信憑性の高い情報といえるでしょう。
カンボジアでは不動産投資・銀行口座開設の詐欺にも要注意
カンボジアでは、以下のように不動産投資や銀行口座開設に関するトラブルも報告されています。
- プレビルド物件の未竣工:購入した新築物件がデベロッパーの撤退などにより未竣工になり、投資金額が無駄になった
- 不適切な管理による損失:管理会社が杜撰で家賃収入が支払われず、正常な運用ができなかった
- 銀行口座開設後のサポート不足:銀行口座を開設したのち資産が凍結されたが、仲介者と連絡が取れず途方に暮れた
カンボジア不動産投資・銀行口座開設は個人を介しての契約も可能ですが、契約後のサポートに対応していないことが多く、トラブルを解消できない事例がみられます。
カンボジアでは物件の代金を工事の進捗に応じて支払うプレビルド方式が一般的ですが、物件の未竣工による投資額の損失が発生しやすいので要注意です。
管理会社の対応が杜撰なケースがあり、収支の管理や物件のメンテナンスが行き届かない可能性があります。
カンボジア不動産投資・銀行口座開設のトラブルを防止するためには、個人を介した契約はなるべく避けて、信頼できる業者を選ぶのが非常に重要です。
アンナアドバイザーズは不動産投資・銀行口座開設の実績が多数
弊社はカンボジア不動産投資・銀行口座開設など、外資を取り入れた資産形成サポートサービスをご提供しております。
弊社のサービスの詳細については、以下で詳しくご説明させていただきます。
不動産 | 投資・移住・現地ビジネスなど多様な用途に対応
弊社は複数国の海外不動産を扱っており、カンボジアにおいても投資・移住・企業の現地進出など幅広いご要望にお応えしております。
弊社では代表・スタッフが実際に物件の調査・内見をし、弊社の審査基準をクリアした物件のみを厳選して仲介いたします。
プノンペンにもオフィスを設置しているため、現地での物件のご案内も可能です。
管理業務にも注力しており、弊社システムをご利用いただくことで、投資物件の収支状況をリアルタイムに閲覧できます。
カンボジア不動産投資については、こちらの記事で詳しく解説しています。
銀行口座開設 | アフターサポートも充実
カンボジアの銀行開設には主に以下のようなメリットがあり、弊社を経由して大手複数行の口座を開設可能です。
- 定期預金の平均金利は約4〜5%
- ドル建てでの預金が可能
- オンライン手続き・郵送のみで口座を開設できる銀行が多数
- 非居住者でも口座を保有可能
- 多くの銀行が日本語に対応
- 最低預金額が約100ドル(1ドル150円=1万5,000円)と安価
銀行口座開設は不動産投資よりも格段にスタートしやすく、弊社のお客様にも主婦や会社員など、さまざまな方がいらっしゃいます。
弊社では口座開設後のアフターサポートにも注力しており、各銀行アプリの使用マニュアル進呈や資産凍結の対策などが可能です。
弊社は一過性の契約ではなく、長期間にわたるサポートのご提供を重視しております。
まとめ
カンボジアは、国内全土でスリやひったくりなどの軽犯罪が発生しやすい状況です。
所得水準の高い日本人が狙われる事例もあるので、現地滞在中は十分に注意しましょう。
2025年5〜7月には、国境問題を巡ってタイとの軍事衝突が発生しました。
現在は両国間で停戦合意がなされていますが、タイとの国境周辺の情勢はいまだに不安定です。
カンボジアで発生事例の多い犯罪を把握し、対策を講じておくことで現地に安全に滞在できます。
安全対策を整えておけば、カンボジアは決して危険な国ではありません。
弊社では、不動産投資のほか、移住・現地での事業など幅広い目的に合わせた物件を仲介しております。
カンボジアの銀行口座開設もアフターサポート込みで承ります。
カンボジア不動産投資・銀行口座開設に関する国内セミナー・現地ツアーも積極的に開催しておりますので、ぜひお気軽にご参加ください。



荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社
代表取締役 / 宅地建物取引士 / 宅地建物取引業 東京都知事免許(2)第99967号
所属団体:一般社団法人RE AGENT 理事長 / 一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC) / 公益社団法人全日本不動産協会
1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。
著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
はじめての海外不動産投資
