執筆者:荒木 杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社
オーストラリアは世界有数の観光大国ですが、海外不動産投資の対象としても人気を集めています。
オーストラリア不動産投資は非居住者でも参入でき、健全性が非常に高いのが特徴です。
今回はオーストラリア不動産投資の特徴をご説明するとともに、現地のおすすめ仲介業者を厳選してご紹介します。
最後までお付き合いいただき、オーストラリア不動産投資の魅力を理解していただけると嬉しく思います。
オーストラリア不動産の物件は居住用・商業用ともに人気
まずは、オーストラリアの特徴についてみていきましょう。
日本貿易振興機構(JETRO)の発表によると、オーストラリアの人口は2021年実施の国勢調査で約2,550万人に達しており、2016年の調査より200万人増加しました。
後述するように、オーストラリアでは移民政策が功を奏し人口が増加しているので、住宅需要が高まっています。
エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)調査の「住みやすい都市ランキング2024」ではメルボルンが4位、シドニーが7位にランクインしており、都市自体の評価が高いのも特徴です。
また、2023年の観光人気ランキングでTPO10に位置しており、観光地・リゾート地としても高い需要が見込めます。
観光産業がさかんなほか、石炭・ウラン・鉄鉱石など天然資源も豊富で輸出産業が順調なことから、以下のグラフの通りGDPも上昇を続けています。
移住地・観光地として高い人気があり、経済も好調なために、投資先として魅力的な状態にあるといえます。
オーストラリア不動産のメリット3選
オーストラリアは観光業が活発で資源が豊富なことから観光大国・資源大国として存在感を示していますが、不動産投資にも多くのメリットがあります。
ここでは、オーストラリア不動産投資のメリットを大きく3つに分けて解説します。
移民政策により人口が増加しており不動産市場が拡大傾向
オーストラリアでは政府の積極的な移民政策によって、2005年に2,000万人程度だった人口が2022年には2,600万人に達しており、海外からの移住者が増加しています。
コロナ禍を機に移民受け入れを一部制限していますが、活発な経済や風光明媚な国土に惹かれて海外からの移住者は依然として増加傾向です。
現在の人口の約5割が移民といわれており、さらに移住者が増えた場合、以下のように50年後の人口は多ければ4,500万人を突破するという試算がなされています。
今後も人口増加が見込まれており、人口増加に伴って不動産市場もより活性化していくと期待されています。
不動産価格が上昇傾向
国土が日本の約20倍と非常に広大なオーストラリアですが、中央部は居住に不向きな地形が多く、気候が温暖で農耕に適した東部の沿岸地帯に人口が集中しています。
政府が移民政策を推進していますが、多くの移民は東部の大都市圏を居住地として選んでいます。
コロナ収束を機に、過密を避け郊外に移住していた人々が再び都市部に戻るようになりました。
都市部に人口が集中しやすく住宅需要が多いことから、不動産価格が上昇しやすいのが特徴です。
プロパティアクセスの報道によれば、オーストラリアの主要銀行は、2024年年初に当国の不動産価格が平均で5〜6%上昇するとの予測を立てています。
オーストラリア不動産市場は需要に対して供給が下回り傾向であることから、家賃が高くても入居者を確保しやすいでしょう。
法整備が行き届いており安全な取引が可能
オーストラリア不動産投資で物件を購入するには、公的機関の認可を受け、契約には原則的に弁護士が介在する必要があります。
物件購入まで複数のステップを踏む必要はあるものの、裏を返せば法的根拠に基づいた安全性の高い取引を実現しやすいです。
東南アジアなどの新興国では物件購入手続きが簡便な反面、詐欺リスクが伴うなどのデメリットがありますが、オーストラリア不動産投資では詐欺的行為は非常に起こりにくいです。
オーストラリア不動産投資は、信頼性の高い取引をしたい方にもおすすめです。
オーストラリア不動産のデメリット3選
オーストラリア不動産にはデメリットもあります。
デメリットについても把握しておきましょう。
物件価格そのものが高額
オーストラリアは都市部に物件が集中しており、供給不足・需要過多になりやすい傾向があります。
物件価格が高額なため多額の費用が必要となり、不動産投資を始める際のハードルが高くなりがちです。
2024年9月ごろのオーストラリア不動産の価格は以下の通りです。
アパート1室を購入する場合、1AUD=100円で計算すると、1㎡の価格が約120万円です。
50㎡の物件だと購入価格が約6,000万円とかなりの高額になります。
オーストラリアでは物件価格を段階的に支払う「プレビルド方式」が一般的ですが、価格自体が高いため、費用の総額は大きくなります。
不動産収益にかかる税率が高額
オーストラリアでは累進課税が採り入れられており、不動産収益に対して32.5〜45%の所得税が課されます。
インカムゲイン・キャピタルゲインの両方に同じ税率が適用されており、税率が高いのが特徴です。
物件価格や家賃が高額であっても、額面の収入から最大で半分近い税金が引かれるため、実質的な収益を上げづらい点に注意が必要です。
金融機関からの資金調達が困難
オーストラリア不動産投資に限りませんが、海外不動産投資を目的として金融機関から融資を得るのは、審査基準が非常に厳しくハードルが高いです。
オリックス銀行など一部の銀行では海外不動産投資を対象とした融資を行っていますが、やはり審査基準は厳しいのが実情です。
オーストラリア不動産投資を始めるには、基本的に自己資金を投入する必要があると考えたほうが良いでしょう。
ただし、オーストラリア不動産にはプレビルド方式が広く採り入れられているため、初期費用は比較的少額に抑えやすいです。
オーストラリア不動産投資の注意点5つ
オーストラリア不動産投資では、外国人が投資を行うにあたっていくつかの制限が設けられています。
不動産投資の際の制限を把握しないままだと、思わぬ損失を被る可能性があるので注意しましょう。
外国人の不動産投資には「FIRB」の許可が必要
外国人がオーストラリア不動産投資を行う際は、FIRB(豪州外国投資審査委員会)の認可が必須です。
無認可での不動産投資やFIRBのルールに反する投資をした場合、罰金が課される可能性があるので要注意です。
また、購入する不動産価格について、以下のようにFIRBへの申請費用がかかります。
- 投資額が100万AUD以下であれば13,200AUD
- 物件価格が100万AUD増えるごとに26,400AUD
ただし、FIRBへの申請は居住用物件に限られており、オフィスビルなどの事業用物件は申請の対象外です。
不動産取引には弁護士が必要
オーストラリア不動産投資では、物件購入時には原則として弁護士による契約内容の説明が必要です。
売り手と買い手の両方が弁護士を選任し、双方の合意を得たうえで売買契約が成立します。
不動産購入の安全性の確保やトラブル防止を目的として弁護士を選任しており、物件購入時に弁護士への報酬が発生する点に注意しましょう。
弁護士への報酬は1,000AUD(1AUD100円として10万円)程度が相場です。
非居住者が購入できる物件は基本的に新築のみ
オーストラリア不動産投資では非居住の外国人による物件の購入は、基本的に新築物件のみとされています。
また、外国人が完成前の新築物件を購入できる割合は、全戸数の50%未満に制限されているので要注意です。
ただし、FIRBが指定する特別区域内であれば、中古の居住用物件を購入できます。
FIRB指定の特別区は主にリゾート地が該当しており、リゾートエリア内のコンドミニアムなどは購入できる可能性が高いでしょう。
そのほか、商業用物件は規制の対象外なので、中古での購入が可能です。
国内居住者は物件を所有できる期間が有限
オーストラリア不動産投資では、国内に居住している外国人が不動産を所有できる期限をビザの有効期間内に限定しています。
国内に居住する外国人が期間を超えて不動産を所有するには、以下のいずれかの手続きが必要です。
- ビザの有効期限を延長する
- FIRBの許可を得る
- 永住権を取得する
特に手続きを行わなかった場合、ビザの有効期間内に物件を売却しなくてはならない点に注意しましょう。
「ヘリテージ・リスト」物件の増改築は不可
オーストラリアでは、歴史的建造物を保護する観点から、特定の物件を「ヘリテージ・リスト」に指定しています。
「ヘリテージ・リスト」を直訳すると「遺産リスト」となり、歴史的価値のある建物が該当します。
「ヘリテージ・リスト」に該当する物件の増改築は禁止されているため、購入前にリストに該当するかどうかを確認しておくことをおすすめします。
オーストラリア不動産のおすすめ仲介業者5選
オーストラリア不動産の特徴についてご説明しましたが、不動産投資の成功には現地の優良業者を選ぶことが不可欠です。
ここでは、オーストラリア不動産のおすすめ仲介業者を5つに厳選してご紹介します。
日豪プロパティソリューションズ | 現地スタッフ全員が日本人
日豪プロパティソリューションズは、オーストラリアの仲介業者のなかでも屈指の実績を誇る企業です。
日豪プロパティソリューションズについて、詳しくご説明します。
業界歴15年以上の日本人スペシャリストが集結
日豪プロパティソリューションズの代表は、不動産業界歴35年以上のスペシャリストです。
スタッフ全員が日本人で構成されており、シドニーオフィスには業界歴15年以上のスペシャリストが集結しています。
長年の不動産取引で培った経験に基づき、お客様一人ひとりに寄り添った適切な仲介を目的としており、現地に根付いた最新情報を日本語でご案内します。
諸外国との幅広いネットワーク
日豪プロパティソリューションズのネットワークはオーストラリア国内に留まらず、イギリス・マレーシア・カンボジアなど多岐にわたります。
各国の代理店と提携しており、法律事務所・金融機関なども含めた包括的なネットワークを活かしてお客様の不動産投資を強力にサポートします。
投資に必要な弁護士・税理士などを紹介
日豪プロパティソリューションズは幅広いネットワークを展開しており、不動産投資に必要な弁護士・税理士・不動産鑑定士などをご紹介可能です。
不動産の査定には専門スタッフと不動産鑑定士、契約に際しては弁護士、不動産運用にあたっては税理士と各フェーズで専門家によるサポートをご提供できます。
オーストラリア不動産投資は手続きが煩雑になりがちですが、日豪プロパティソリューションズでは物件選定・契約・税務などをフルサポートします。
資金調達面もサポート
オーストラリア不動産投資では物件価格の高騰から、多額の資金が必要です。
日豪プロパティソリューションズでは、審査のうえ現地の金融機関をご紹介することも可能です。
日豪プロパティソリューションズには為替業務の担当経験者なども在籍しており、必要に応じて資金調達もサポートします。
個人では困難な現地金融機関からの融資も、専門家がサポートすることで有利な条件で交渉を進めやすくなります。
上松不動産 | 長年の実績を誇る日系企業
上松不動産は、シドニーで30年以上の不動産仲介を行っている古参企業です。
日系企業であるため日本語に対応しており、不動産賃貸・売買や管理業務など不動産に関わる業務を全般的に手がけています。
不動産仲介にあたっては、物件選定や弁護士の手配などの代行も可能で、手数料を支払うことで不動産投資を始める際の手間を大幅に削減できます。
APEX不動産 | 不動産取引全般をサポート
APEX不動産は1994年の設立以来、シドニーを拠点に不動産取引を全般的にサポートしています。
現地デベロッパーと強固な信頼関係を築き、40万〜4000万AUDとさまざまな価格帯の物件を取り扱っています。
弁護士や税理士の紹介、丁寧なアフターサポートなど、お客様を第一に考えたサービスを提供しているのが特徴です。
Orion Star Property | 4か国語に対応したサポート
Orion Star Property は、オーストラリア各都市の優良物件を仲介しており、不動産運用や管理業務などを幅広く扱っています。
物件選定や市場調査には、ウェブサイトやFacebook・InstagramなどのSNSを駆使しているのが特徴です。
日本語・英語・中国語・韓国語と4か国語でのサポートが可能です。
GIM Capital Professional Pty.Ltd | 各都市の物件をカバー
GIM Capital Professional Pty.Ltdは、シドニーで2010年に設立された新進企業です。
シドニーのほか、メルボルン・ゴールドコーストなどの幅広いエリアをカバーしており、取り扱い物件は5,500件にも上ります。
コンサルティング会社であることから独自の審査基準で厳しく物件を選定しており、基準を満たした物件のみを仲介しているのが特徴です。
オーストラリア不動産投資は現地仲介業者のサポートが不可欠
オーストラリア不動産投資の表面利回りは約3%といわれており、他国と比較してあまり高い水準とはいえません。
物件価格自体が高額で、物件購入にあたってはいくつかの制限があるほか、専門機関からの認可や弁護士の手配といった手間もあります。
個人が英語や英文書を用いて契約を取り交わすのは、なかなか困難に感じやすいのではないでしょうか。
利回りが低い一方で税率が非常に高いので運用が難しく、思うように収益を得られないかもしれません。
オーストラリア不動産投資で収益を上げるには、現地に根付いた業者のサポートは不可欠です。
弁護士との折衝なども必要なので、日本語によるサポートが望ましいでしょう。
弊社は日豪プロパティと業務提携をしており、日本人スタッフ経由でオーストラリアの物件を仲介可能です。
日豪プロパティとの合同セミナーなども行っておりますので、オーストラリア不動産投資に興味のある方は、ぜひ弊社までお問い合わせください。
まとめ
オーストラリア不動産投資は住宅需要が高く、法的根拠に基づいた信頼性の高い取引を実現しやすいです。
一方で、特有の制限があり、税金が高額であるなど不動産運用の難易度が高い側面があります。
オーストラリア不動産投資の成功には、現地事情を熟知した仲介業者のサポートは不可欠です。
弊社では、現地の優良業者である日豪プロパティソリューションズと業務提携しており、手厚いサポートをご提供できます。
オーストラリア不動産投資に興味のある方は、ぜひ弊社までお問い合わせください。
荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社
代表取締役 / 宅地建物取引士 / 宅地建物取引業 東京都知事免許(2)第99967号
所属団体:一般社団法人RE AGENT 理事長 / 一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC) / 公益社団法人全日本不動産協会
1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。
著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
はじめての海外不動産投資