ドル円相場で円高について。「急速な円高」進行の要因とは?

執筆者:荒木 杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

今回は為替についてお話ししたいと思います。

今年の上半期の為替相場は急速に円安が進み、1ドル160円台まで下落したかと思うと、一転して140円台まで急騰するなど、乱高下(らんこうげ)していますので、これから日本はどうなるのだろうと不安に感じられる方もいらっしゃると思います。

表面的に動いている点を色々言っても仕方がありません。
アップダウンに気持ちを左右されないようにしましょう。

円安基調は当分続き、悪い条件が重なれば通貨危機さえ起きかねないというリスクは持つようにしたほうがいいと思います。

急速な円高の進行要因とは?

では、「急速な円高」進行の要因はなんでしょうか?

冒頭にもお伝えしましたが、年始は140円だったものが夏は160円になりボラティリティーが激しく、基本的にはドルが強く、円が弱い流れがある中で調整が入るのでアップダウンがありました。

株価や為替などの価格変動率の大きさをボラティリティ(Volatility)といいます。
急騰と急落を繰り返す相場では、株価の変動率が大きく、ボラティリティが大きいと表現します。

円を売って円安を期待していた海外の投資家が円を買い戻していることが大きな理由です。
米国のAI(人工知能)などのハイテク株の調整で売られているのでボラティリティーが上がって、円キャリトレードをせざるを得なくなった結果と言えます。

円キャリートレードとは、相対的に金利が低い円建てで資金を借り入れ、その資金を外貨に転換して運用する取引のことです。外貨に転換した後に向かう先は、外国債券や外国株式、原油などの商品先物、海外不動産、ヘッジファンドなど、借り入れた投資家の運用手法によって多種多様です。

金利差の縮小

日本が利上げして、米国が利下げしても金利差が5%前後残るため、それが理由で大きな円高にはならないと思います。
また日銀が金利操作やマイナス金利政策を解除したり、色々と動きがあり修正はありましたが、実質金利がマイナスなので円が強くならないですね。

米国が利下げしてさらに円安が進可能性があり、今の円高は短期的と考えています。

大統領選挙について

トランプさんの発言でで半導体株が反応している点があります。

大統領選挙の結果は為替に影響がありそうで、トランプが勝てば利上げが上がる方向にあり、円高
ハリス氏が勝てば利下げの方向になり、円安。なんて言われています。

今後の米国経済の見通しは?

2025年も強めだと思います。
IT企業が米国は一人勝ち、半導体を守ったり、コロナ中の金融政策などが強い要素を持っているからです。
長期でみも円安ドル高基調は変わらないと思います。

どのようなペースで政策変更をしていくのか分からないですが、株価の暴落で歴史的な暴落がありました。
これは『日銀が利上げしにくくなった=実質金利がマイナスが続く』ということです。

  • 日本の通貨危機が起こる可能性がある
  • 日本は預金と現金がまだまだある
  • 海外にお金が流れだすと海外が日本の動きが分かった時にさらに通過危機が進む可能性はある

アメリカの景気がいいと、日本の景気が良くなります
これは日本株も良くなるので、日本国内の要素というよりは一貫性のある強い要素と言えます。

超円安のおかげで日本ではインフレが起きていて、円安で輸入コストが上がり、値上げをする流れがありました。
デフレ心理が根付いておりましたが、インフレの流れが続いており、円安でエンキャリーが続いています。

企業の売上も業績も上がり、株高が上がる。そして賃上げにつながります。
海外であげた収益が円安によって為替でプラスという良い流れが来ている点は日本にとっていいことです。

不動産業界への影響は?

不動産投資をする方の中には、円安によって不動産投資がどのような影響を受けるのか心配に思う方もいるかもしれません。
円安が不動産投資にどのような影響があるのか、円安のメリット・デメリットや今後の予測について解説します。

海外資本の流入

以前から日本の不動産は海外の投資家から人気があり、円安によって割安に見えるため、投資対象としての魅力が上がっています
そのため、海外の投資家が日本の不動産を買う動きが目立ってきており、今後も海外資本が日本の不動産市場に流入してくると予想されます。
弊社にも海外の投資家さんからお問い合わせを頂く機会が増えました。

建築費の高騰

日本で使われている建築資材の多くが輸入品であるため、円安になると値段が上がります。
新型コロナが終息して世界的に需要が急回復したことで、ウッドショックやアイアンショックといわれる物資不足になりました

また、ウクライナ戦争の影響もあり、建築資材は大幅な値上がりを続けています。
人材不足による人件費の高騰や原油価格の上昇による電気やガソリンの値上がりなども加わり、建築費の高騰が続いています。

不動産価格の上昇

海外資本の流入や建築費の高騰で、都市部の新築マンションの価格が値上がりを続けています。

不動産経済研究所の調査によると、2023年の東京23区の新築マンション平均価格は1億1,483万円であり、1億円を超えました
価格上昇の背景には、海外資本の流入等の他、複数の超高級マンションの販売時期が重なったことも要因の1つといえます。

ローン金利の上昇

固定金利型ローンの代表である住宅金融支援機構のフラット35の金利が2022年以降上昇しています。 
それに対して日銀は金融緩和政策を継続しているため、短期金利は据え置かれている状態です。

今後も円安が続き日銀が短期金利を引き上げれば、住宅ローンの変動金利も上昇していくことが予想されます

今後のドル円相場は、米景気動向や日米金融政策の行方、米大統領選などさまざまな要因によって変動性が高まる局面が予想される点には留意が必要です。
足元では日銀の追加利上げ観測は後退しているとみられるものの、金融市場が落ち着きをみせれば、追加利上げがふたたび視野に入ってくる可能性があります。

貯蓄から投資へ

日本銀行のデータによると、日本人の、国内資産は、預金がおよそ54%で他の国に比べるとかなり多いです。
それ以外には、株式投資や投資信託などで14%、保険で28%を占めています。

最近は、政府が「貯蓄から投資へ」というスローガンも掲げ始めましたが、まだまだ日本では「投資」よりも「現金・預金」で資産を持つ人が主流であるという現状があります。

そのため、今の日本は投資をする上で優遇されやすく、チャンス、先行者利益、税制優遇があるので今始めた方がいいのです

身近な例でいえば、2024年は、新NISAが始まり、個人の投資への注目が高まっています。
ところが、日本の投資環境は、株式投資やFXを個人で売買できるようになった反面、投資と投機の違いをわかってない人が多いのが現状です。

世界には、様々な投資商品があります。まずは、見極める前に知ることが重要です。
また、資産には「金融資産」と「実物資産」があり、それぞれメリット、デメリットがあります

日本人の多くは投資教育を受けていないため「金融資産」に偏り過ぎている、もしくは日本の資産に偏り過ぎているという問題があります。
預貯金だけではないが、国内投資、つまり円に偏かたよりすぎています
お金を生み出さないならまだしも、預貯金は「インフレリスク」に弱いので、インフレが起こると、継続的に物価が上昇します。
物価が上昇するというのは、 「これまで100円で買えた商品でも、160円払わなければ買えないという状況になる」ということです。

実際に2022年の後半あたりから、電気、ガス、食料品など、身近なモノの物価がどんどんと上昇していることを感じている方は多いと思います。
同じだけの、現金(預金)をもっていても、対価として購入できるモノは、減っているのです。

また、今年は「長く続いたマイナス金利政策の解除」に注目が集まっています
日銀は、「マイナス金利政策」を解除し、金利を引き上げることを決めました。日銀による利上げはおよそ17年ぶりです。
ですので、借入リスク、さらなる為替変動リスクも予想がつかなくなってきました。
金融政策の変更が、予想もできないような影響を日本経済に与える可能性があります

もし日本が経済危機・通過危機に陥ってしまった場合、国内だけで資産運用したら、その資産は無価値になってしまうかもしれないということです。

そのような心配がある方は、分散投資の考え方を取り入れて少しでも移行していくことで、これからのグローバル時代、資産を確実に増やし守ることができるようになるでしょう。

まとめ

資産運用により得られる富は、労働によって得られる富よりも成長が早いという事実があります。
お金に働いてもらう考えを持つことがポイントです。

日本だけに限らず、世界の色々な投資案件、投資商品の中から自分に合った投資商品を選ぶことがこれまで以上に大切な時代が来ています。
海外で外貨を持ち、銀行預金と実物資産の不動産投資を組みい入れることで、為替に左右されない理想の資産形成をすることができます。

弊社では、日本から米ドルでの口座開設や海外不動産のご案内をしております。
ご興味のある方はお気軽にご連絡くださいませ。

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荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

代表取締役 / 宅地建物取引士 / 宅地建物取引業 東京都知事免許(2)第99967号
所属団体:一般社団法人RE AGENT 理事長 / 一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC) / 公益社団法人全日本不動産協会
1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。
著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
   はじめての海外不動産投資