【カンボジア中央銀行 デジタル決済システムの運用開始】 カンボジア不動産はアンナアドバイザーズ

2020/11/11

こんにちは、アンナアドバイザーズの荒木杏奈です。
日本でも2019年の増税をきっかけに、一気にキャッシュレスの波が広がりましたが、カンボジアでもキャッシュレス決済、デジタル決済の運用が広がってきています。
カンボジアの中央銀行は、スマートフォンを使って現金と同じように支払いや送金ができる、新たなデジタル決済システムの運用を始めました。開発には日本企業も関わっていて、各国が研究するデジタル通貨に近い仕組みだと受け止められています

それがこちら
 
【BAKONG(バコン)】

バコンはスマホのアプリを使い、電話番号またはQRコードで店舗への支払いや個人間の送金ができる決済システムです。

 

決済通貨はUSドル、カンボジアリエルいずれも可能で、送金手数料は無料。

バコンは、デジタル化されたカンボジアリエル(KHR)または米ドル(USD)を使用し、即時取引を可能にする中央銀行デジタル通貨(CBDC)システムです。送金手数料が不要で安全に支払うことができるデジタル通貨であり、18金融機関がすでに参加しています。個人でもスマホに簡単にダウンロード可能で、電話番号やQRコードを使って、個人間や銀行口座間での送金、店頭での支払い等ができます。ただ、現状では、支払い可能な店舗は、まだ少ないようです。

また、カンボジアは高度にドル化した経済であり、多くの支払がドル現金で実施されていますが、バコンにより現地通貨リエルの使用促進にも効果があるものと期待されます。また、ドル化されているために、NBCは通常の金融政策(金利誘導、通貨量操作等)が十分に行えませんが、バコンを通じて、こうした金融政策を行う自由度やその効果も増大すると見られます。
 

バコンの導入により、金融包摂の促進、現地通貨リエルの使用促進、NBCによる金融政策の効果増大等の効果があるものと期待されます。

カンボジアでは15歳以上の78%の国民が銀行口座を開設していません。一方で、スマートフォンの国民への普及率は150%であり、多くの国民が2台のスマートフォンを所有しています。広大な農村地域では銀行の支店も少なく、銀行口座の開設率は低い一方で、スマートフォンの使用は爆発的に増加しています。

銀行にお金を預けていない人々に銀行サービスを提供することを目的としています。利用者は、銀行口座を所有していない場合でも、オンラインで「バコン」口座を開設できます。さらに利用者が本人確認を行って銀行口座を開設すれば「バコン」の利用限度額がアップし、「バコン」から銀行口座にワンクリックで資金移動ができるようになります。

このように「バコン」は、利用者にとってオンラインで気軽に開始できる決済手段であると同時に、カンボジアの金融機関にとっても、銀行口座開設を促すことができる重要なツールになります。
 

Bakong公式サイト

日本では、旧態依然の全銀ネット等のしがらみで、国内送金やキャッシュレスの手数料が高い等の問題があります。日銀は、CBDCの研究を進めるとしていますが、大きく出遅れているのが実態です。

カンボジアは、しがらみの少ない状況を活用して、一気に本格的CBDCの世界に移行しようとしており、今後の大きな発展が期待されます。

 

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荒木杏奈 / アンナアドバイザーズ株式会社

代表取締役 / 宅地建物取引士 / 宅地建物取引業 東京都知事免許(2)第99967号
所属団体:一般社団法人RE AGENT 理事長 / 一般社団法人東京ニュービジネス協議会(NBC) / 公益社団法人全日本不動産協会
1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。
著書:東南アジア投資のラストリゾート カンボジア (黄金律新書) 新書 幻冬舎
   はじめての海外不動産投資